2020/1/29

5071:フランス語  

 そのスピーカーはサイズがCUBとほぼ同じ感じであった。フロントバッフルの横幅は25cmぐらいであろうか、細身である。高さは50cmほどでCUB用のスタンドに置くと丁度いい高さとなる。さらに奥行きがCUB同様結構ある。

 似ているのはサイズ感だけではない。このスピーカーもCUB同様バーチカルツイン方式を採用している。どうやらグールドさんはバーチカルツインが大好きなようである。

 トゥイーターを中心に2つの同口径・同一性能のウーファーを上下に配置するバーチカルツイン方式は、低域があたかもトゥイーターを中心に出ているように聴こえる。同軸スピーカーと同等に点音源化を図ることができる。

 そのスピーカーはJM LABのMINI UTOPIAであった。CUBと違って側面には淡く美しい色合いの木が使われている。

 トゥイーターを上下に挟む形で配置されている二つのウーファーには角度が付けられていて点音源化に対する独自のアプローチも行われているようである。

 CUBがある意味アメリカ的な造形美に溢れているとしたら、このMINI UTOPIAはフランスらしい造形美に溢れている。洗練されていて優雅である。

 「美しい・・・」と心の中で溜息が漏れた。MINI UTOPIAには専用のスピーカースタンドがあったはずであるが、グールドさんが購入したものには付属していなかったようである。

 専用のスピーカースタンドにセットされていたなら、その美しさは更に2割増しになったような気がする。

 さて「補欠」としてはいささか豪華すぎる感がするMINI UTOPIAを聴いてみることになった。先ほどまでCUBで聴いていてまだ記憶に新しいシベリウスのヴァイオリン協奏曲から第1楽章を聴いた。

 トゥイーターの違いからであろうか、高域の表情がより伸びやかで繊細な印象を受ける。このトゥイーター、ヴァイオリンとの相性が良いようである。五嶋みどりのヴァイオリンの優美にして切れ込みの鋭い音の表現に優れていた。

 低域は軽やかである。なにかしら「洗練」という表現がぴったりな音の質感である。CUBとはまた別の世界を見せてくれていて、個人的にはとても気に入った。

 「これは『補欠』というよりも『同列』といった存在だな・・・」と思った。発売時期もほぼ同じであろう。その販売価格も似かよったものだったはず。

 さらに、他のCDもKRELL CD-DSPにセットされた。プロコフィエフのバイオリン協奏曲第1番から第1楽章、ヴァイオリンはチョン・キョンファ。マーラー交響曲第4番から第4楽章、演奏はロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

 いずれもMINI UTOPIAは破綻なく奏でた。特に最後に聴いたマゼールのマーラーはテンポの緩急の妙味、ロマンティックに粘る旋律などが素晴らしく、このスピーカーはその美しい演奏を実に瀟洒に表現する。

 「良いスピーカーですね・・・CUBが英語だとすると、MINI UTOPIAはフランス語で話しているような感じがありますね・・・」と感想を述べた。

 グールドさんは「そうなんですよね・・・ヨーロッパらしい奥ゆかしさというか、複雑さを感じさせてくれますよね・・・このスピーカー・・・」と話されていた。 



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