2020/1/27

5069:補欠  

 国立市は住宅街に入り込むと道が一方通行になる確率が高い。そのため、注意しないと目的地まで向かうのに相当な遠回りを強いられることがある。

 グールドさんがお住いの国立市西もそういったエリアである。近くのコインパーキングに車を停めて少し歩いた。人通りは少なくとても静かである。

 グールドさんのお宅は国立駅からは少し離れたところある。歩くと駅までは20分ほどかかるであろうか・・・

 1階部分の外壁はグレーがかった茶色で、2階部分はクリーム色に塗り分けられたグールドさんのお宅は落ち着いた風情である。

 インターホンを鳴らすと返答があり、アルミ製の黒い玄関ドアが開いた。グールドさんのお宅は奥さんと二人暮らしである。子供たちはいずれも独立したようである。

 「子供部屋だった部屋はどうしているんですか・・・?」と尋ねたことがあった。その返答は「あまり意味がないんですけどね、ベッドも机やタンスなどもほぼそのままなんです。捨ててしまってもいいんですが・・・今のところその部屋の使い道もないので・・・外形だけは子供部屋のままなんです・・・」というものであった。

 グールドさんは、昨年60歳になり定年退職を迎えられた。今は1年ごとに更新する再雇用契約で仕事は続けられている。

 グールドさんのリスニングルームは1階にある。やや縦に長い形状で広さは8畳ほどであろうか・・・それほど広いわけではない。

 その部屋の短辺側にセンターラック方式でオーディオセットは設置されている。なので、リスニングポイントに置かれたリクライニングチェアに座ると、全てのオーディオ機器が視界にすっぽりと納まる。

 システムの要となるスピーカーは、Wilson AudioのCUBである。オリジナルのCUBで色はブラック。サウンドアンカー製の専用スタンドに乗せられている。背面の壁からは結構離されて置かれている。内振りはほとんど付けられていない。いわゆる「平行法」と言われるセッティングである。

 その2台のCUBの後方のセンターには3段ラックが設置されている。そのラックはMUSIC TOOLS製の頑丈なものである。イタリアのメーカーのようでデザインも流麗である。

 その3段ラックには3台のKRELL製のオーディオ機器が縦に並んでいた。一番上は一体型CDプレーヤーであるCD-DSP。トップローディング方式のその造形は独自で少しSFっぽい印象を受ける。

 真ん中にはプリアンプであるKSL-2が置かれている。薄型の形状のプリアンプでシンメトリックに配置されたノブが実に実直な感じである。

 一番下にはパワーアンプであるKSA-150が鎮座している。堂々とした躯体の持ち主でその外観は相当にマッチョである。

 ほぼ同じ世代に属すると思われるKRELLで統一されているので、Wilson AudioのCUBが持つ硬質な機械感との相乗効果で、グールドさんのオーディオシステム全体からは、がちっとした高性能感が醸し出されている。

 黒い革製のリクライニングチェアに体も任せて、そのシステムを眺めていると、アメリカのハイエンドオーディオメーカーの黎明期で、熱気を帯びていた時代の息吹が色濃く感じられた。

 これらはけっして新しい機器ではない。どれも製造から20年以上経過したものであり、「ヴィンテージ」に片足を突っ込んでいる。なので、メンテナンスも大変なようである。

 昨年はCDプレーヤーであるCD-DSPがしばし入院していた。実はCUBのユニットにもトラブルが出ていたようで、昨年末から今年の1月上旬にかけてユニットの補修が行われていたようである。

 その間は、「補欠」であるとあるスピーカーが活躍していたようである。実はグールドさんはもう1セットスピーカーをお持ちである。普段それは収納されているが、今日はこの部屋の片隅の床の上に置かれていた。今日はその「補欠」も聴かせてもらえる予定であった。



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