2020/1/31

5073:立ち眩み  

 喫茶店「Mimizuku」の入り口には木製の古い扉がある。その扉の前に立ってノブに手を伸ばした瞬間、立ち眩みがした。

 両手を膝の上に置いて少し前かがみになった。血の気が引いていく独特の感じがすっと体を貫いていった。

 「それ」が過ぎ去っていったのを確認してから起き上がった。今までにこの状態から一瞬意識を失って倒れたことが2度ほどあったが、今日はそういうことはなかった。

 ノブを右手で回して扉を開けた。木製の扉の上部には鈴が取り付けられていて、乾いた音を2度鈍く響かせた。

 「いらっしゃい・・・」女主人のくぐもった声がその鈴の響きに続いた。店内には4人掛けのテーブル席が二つと、2人掛けのテーブル席が一つある。さらにカウンターには小さな背もたれの付いたカウンター席が4個並んでいる。

 4人掛けのテーブル席に女性客二人が座っていた。30代らしき女性二人は熱心に話し込んでいた。

 私はカウンター席に座った。ホットコーヒーを頼んだ。時刻は4時を過ぎたばかりでいつも頼む夕食には時刻が早過ぎた。

 コーヒーは1杯450円である。カウンター席に座ってスマホの画面を眺めていた。スマホの画面で眺めていたのは「ヤフオク」である。

 オーディオ機器の中に面白いものがあった。それは、サテライトスピーカーが二つとウーファーユニット一つで構成されている独自のスピーカーシステムである。

 「珍しいな・・・Redeemerがヤフオクに出ている・・・」と思ってその写真を見たが、厳密にはRedeemerではなく、その原型となったアメリカのTriad社のスピーカーシステムとのことであった。

 見た目的にはRedeemerと全く同じに見える。Redeemerは、OFF会で何度か聴いたことがある。

 Redeemerを広い空間に設置すると、そのサウンドステージは広大に広がる。その姿はそれほど大きなものではない。どちらかというとスリムでコンパクトである。その姿はどことなく神がかっている。なにかしら神秘的な造形美を誇っているのである。

 「これを落札して、寝室にサブシステムを構築しようかな・・・」ついつい変な方向に思考が向かう。

 10年ほど前、我が家にもサブシステムがあった。それは2階の寝室に置かれていた。しかし、当然のことながら家族からの風当たりは強く、妻からは「これ凄い邪魔なんだけど・・・」と攻撃され、撤収することになった。

 そういう経過があるので、想像するだけである。このスピーカーを落札したなら、当然駆動するアンプが要る。

 そういった妄想の連鎖によってスマホは操作され、「これとこれを組み合わせて・・・ラックはどうするかな・・・」などと進展していく。

 女主人が淹れてくれたコーヒーを飲んだ。いつも通りすっきりとした味わいである。一口二口飲んでカップをソーサーに戻した。

 するとカップとソーサーから「カタカタ・・・」と小さな音がし始めた。カップの中の黒い液体の表面に丸い波紋が幾つも広がった。

 その様子を目にして「地震か・・・」と思った。周囲をくるっと眺めた。小さな地震のようであった。

 テーブル席に座っていた女性客も気づいたようで「揺れたね・・・まだ揺れてる・・・?」と話していた。

 揺れはすぐに収まった。「震度2くらいかな・・・3ではないな・・・」と思った。スマホの画面に視線を戻した。

 そこには特徴的な形をしたスピーカーシステムの写真があった。それをしばし眺めてから、電源ボタンを押して画面を消した。

2020/1/30

5072:経年劣化  

 昨日と今日はこの時期としては妙に暖かい天候であった。空気は春のように柔らかく、もう桜が咲くのではと勘違いしそうなくらいであった。

 まだ1月である。このまま春になるわけはない。また寒い日々が戻ってくることは確実である。気温の振り幅が大きいと体も順応が大変である。

 そんな季節外れの暖かさは夕方になっても続いていた。私は車を運転していた。青梅街道は普段通りの込み具合で比較的スムースに流れていた。

 BMW 523i Touringの走行距離は66,000kmを超えた。モデル末期の時期に購入したので、マイナートラブルはほとんどない。乗り味やハンドリングも熟成されたもので安心感がある。

 ただし、走行距離が伸びてきて気になることが出てきた。今日のような暖かさなら問題がないのであるが、真冬のような寒さの朝、エンジンを始動してすぐはエンジンの振動が以前よりも大きくなった。

 暖機運転が十分に済めば、その振動は気にならなくなるのであるが、それまではかなり気になるレベルの振動が続く。

 走行距離が伸びてきたので、エンジンマウントがへたれてきたのかもしれない。「そろそろエンジンマウントを交換すべきかもしれない・・・ディーラーに頼もうかな・・・」そんなことを考えていた。

 エンジンマウントはエンジンを支えて振動を吸収する部品である。マウントゴムが劣化すると振動を吸収しきれない。

 さらにエンジンマウントに亀裂が入るとエンジンの振動が相当車体に伝わってくるようである。おそらく亀裂までには至っていないであろうが、マウントゴムはかなり劣化しているようである。

 ディーラーに頼むのが一番安全であろう。その分費用もかさむのが難点ではあるが・・・近いうちに見積もりを依頼するためにディーラーに車を持ち込もうと考えている。

 寒い朝の振動と言えば、最近我が家の給湯器も一定以下に気温が下がると振動と音がかなりするようになってきた。

 家の築年数と同じなので設置から22年が経過している。やはり経年劣化というものであろう。こちらは古い機種になるので部品交換というわけにはいかず、取り換えが必要になるであろう。

 車も給湯器も使えば使うほど、古くなれば古くなるほど劣化していくものである。それは人間の体も同じ。

 「経年劣化」・・・時間の経過に伴う劣化は受け入れていくしかない。時間の流れを遡ることはできないのであるから・・・

 青梅街道から脇道に入るために右折した。道幅は急に狭くなる。コインパーキングがあることを示す黄色に光る看板が見えた。

 そのコインパーキングに車を入れた。時刻は午後4時を少し回ったところである。まだ空には明るさが残っていた。

 BMW 523i Touringをバックで車室にまっすぐに入れて、車を降りた。一世代前のモデルとなる5シリーズの顔立ちは優しい。どちらかというと女性的である。その柔らかな表情に送られて、少し歩いた。

 数分で「経年劣化」により随分とくたびれた雰囲気をまとった白いビルの前にたどり着いた。そのビルの1階には喫茶店「Mimizuku」がある。

2020/1/29

5071:フランス語  

 そのスピーカーはサイズがCUBとほぼ同じ感じであった。フロントバッフルの横幅は25cmぐらいであろうか、細身である。高さは50cmほどでCUB用のスタンドに置くと丁度いい高さとなる。さらに奥行きがCUB同様結構ある。

 似ているのはサイズ感だけではない。このスピーカーもCUB同様バーチカルツイン方式を採用している。どうやらグールドさんはバーチカルツインが大好きなようである。

 トゥイーターを中心に2つの同口径・同一性能のウーファーを上下に配置するバーチカルツイン方式は、低域があたかもトゥイーターを中心に出ているように聴こえる。同軸スピーカーと同等に点音源化を図ることができる。

 そのスピーカーはJM LABのMINI UTOPIAであった。CUBと違って側面には淡く美しい色合いの木が使われている。

 トゥイーターを上下に挟む形で配置されている二つのウーファーには角度が付けられていて点音源化に対する独自のアプローチも行われているようである。

 CUBがある意味アメリカ的な造形美に溢れているとしたら、このMINI UTOPIAはフランスらしい造形美に溢れている。洗練されていて優雅である。

 「美しい・・・」と心の中で溜息が漏れた。MINI UTOPIAには専用のスピーカースタンドがあったはずであるが、グールドさんが購入したものには付属していなかったようである。

 専用のスピーカースタンドにセットされていたなら、その美しさは更に2割増しになったような気がする。

 さて「補欠」としてはいささか豪華すぎる感がするMINI UTOPIAを聴いてみることになった。先ほどまでCUBで聴いていてまだ記憶に新しいシベリウスのヴァイオリン協奏曲から第1楽章を聴いた。

 トゥイーターの違いからであろうか、高域の表情がより伸びやかで繊細な印象を受ける。このトゥイーター、ヴァイオリンとの相性が良いようである。五嶋みどりのヴァイオリンの優美にして切れ込みの鋭い音の表現に優れていた。

 低域は軽やかである。なにかしら「洗練」という表現がぴったりな音の質感である。CUBとはまた別の世界を見せてくれていて、個人的にはとても気に入った。

 「これは『補欠』というよりも『同列』といった存在だな・・・」と思った。発売時期もほぼ同じであろう。その販売価格も似かよったものだったはず。

 さらに、他のCDもKRELL CD-DSPにセットされた。プロコフィエフのバイオリン協奏曲第1番から第1楽章、ヴァイオリンはチョン・キョンファ。マーラー交響曲第4番から第4楽章、演奏はロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

 いずれもMINI UTOPIAは破綻なく奏でた。特に最後に聴いたマゼールのマーラーはテンポの緩急の妙味、ロマンティックに粘る旋律などが素晴らしく、このスピーカーはその美しい演奏を実に瀟洒に表現する。

 「良いスピーカーですね・・・CUBが英語だとすると、MINI UTOPIAはフランス語で話しているような感じがありますね・・・」と感想を述べた。

 グールドさんは「そうなんですよね・・・ヨーロッパらしい奥ゆかしさというか、複雑さを感じさせてくれますよね・・・このスピーカー・・・」と話されていた。 

2020/1/28

5070:聴き比べ  

 まずは、レギュラーメンバーであるWilson AudioのCUBから聴かせていただいた。CUBはバーチカルツイン方式を採用している。

 バーチカルツイン方式は、中央に置いたツイーターの上下をウーファーで挟むことで点音源を目指した「仮想同軸型方式」である。 同軸型と同様、正確な音像定位と広い音場を目指したものである。

 CUBは15cmコーン型ウーファー2個が2.5cmチタン逆ドーム型トゥイーターを上下で挟んでいる。バッフル面の面積はそれほど大きくはない。特に横幅は243mmであり、スリムな形状である。ただし奥行きが470mmもあり、キャビネット容量は結構ある。

 1997年の発売であるので、23年前の製品ということになる。グールドさんはかつて国立駅の近くにあったオーディオユニオン 国立店で購入されたとのことである。

 グールドさんのリスニングルームでは定番中の定番であるグレン・グールドによるバッハのゴールドベルグ変奏曲から数曲を聴いた。

 さらに、ベートーベンのピアノ協奏曲第2番の第1楽章もかけていただいた。ピアノは当然グレン・グールドである。オーケストラはレナード・バーンスタイン指揮のコロンビア交響楽団。

 ユニットの補修を終えたばかりのCUBは鮮烈でありながら美音系の音を奏でる。その醸し出す雰囲気は「熟女系」から年齢が若くなったような印象を受けた。

 「フレッシュな感じですね・・・やはりユニットの補修を終えると若返るんですね・・・」と私は感想を述べた。

 「そうですね・・・数年前にネットワークのコンデンサーを交換したことがあるんですが、その時もそういう感じでした。リフレッシュという表現がぴったりですね・・・」とグールドさんも話されていた。

 続いてかかったのは、シベリウスのヴァイオリン協奏曲から第1楽章。ヴァイオリンは五嶋みどりである。共演はズービン・メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団。

 こちらはシベリウスの楽曲が持つ独特の清涼感と峻烈なエネルギー感が現状のCUBの音調とぴったりとマッチしている印象であった。

 3枚のCDを聴き終えたところで、今日の楽しみの一つであった「補欠」として数年前からグールド邸に潜んでいたスピーカーを聴いてみることになった。

 リスニングポイントからみて左後方の壁際に前面を合わされる形で床に置かれていたスピーカーをCUBのスタンドに乗せることになった。

 まずはCUBをスタンドから降ろして後方へ慎重に撤収した。大きさの割に重量があるので私も手伝った。

 そして「補欠君」をスタンドに乗せた。サイズはほぼCUBと同じような感じであるので、サウンドアンカー製のCUB用のスタンドにぴったりであった。

 「カッコいいですね・・・CUBも素晴らしデザインですが、こちらも見た目だけで惚れてしまう顔付ですね・・・」私はセットされた「補欠君」を眺めて、言葉を漏らした。

2020/1/27

5069:補欠  

 国立市は住宅街に入り込むと道が一方通行になる確率が高い。そのため、注意しないと目的地まで向かうのに相当な遠回りを強いられることがある。

 グールドさんがお住いの国立市西もそういったエリアである。近くのコインパーキングに車を停めて少し歩いた。人通りは少なくとても静かである。

 グールドさんのお宅は国立駅からは少し離れたところある。歩くと駅までは20分ほどかかるであろうか・・・

 1階部分の外壁はグレーがかった茶色で、2階部分はクリーム色に塗り分けられたグールドさんのお宅は落ち着いた風情である。

 インターホンを鳴らすと返答があり、アルミ製の黒い玄関ドアが開いた。グールドさんのお宅は奥さんと二人暮らしである。子供たちはいずれも独立したようである。

 「子供部屋だった部屋はどうしているんですか・・・?」と尋ねたことがあった。その返答は「あまり意味がないんですけどね、ベッドも机やタンスなどもほぼそのままなんです。捨ててしまってもいいんですが・・・今のところその部屋の使い道もないので・・・外形だけは子供部屋のままなんです・・・」というものであった。

 グールドさんは、昨年60歳になり定年退職を迎えられた。今は1年ごとに更新する再雇用契約で仕事は続けられている。

 グールドさんのリスニングルームは1階にある。やや縦に長い形状で広さは8畳ほどであろうか・・・それほど広いわけではない。

 その部屋の短辺側にセンターラック方式でオーディオセットは設置されている。なので、リスニングポイントに置かれたリクライニングチェアに座ると、全てのオーディオ機器が視界にすっぽりと納まる。

 システムの要となるスピーカーは、Wilson AudioのCUBである。オリジナルのCUBで色はブラック。サウンドアンカー製の専用スタンドに乗せられている。背面の壁からは結構離されて置かれている。内振りはほとんど付けられていない。いわゆる「平行法」と言われるセッティングである。

 その2台のCUBの後方のセンターには3段ラックが設置されている。そのラックはMUSIC TOOLS製の頑丈なものである。イタリアのメーカーのようでデザインも流麗である。

 その3段ラックには3台のKRELL製のオーディオ機器が縦に並んでいた。一番上は一体型CDプレーヤーであるCD-DSP。トップローディング方式のその造形は独自で少しSFっぽい印象を受ける。

 真ん中にはプリアンプであるKSL-2が置かれている。薄型の形状のプリアンプでシンメトリックに配置されたノブが実に実直な感じである。

 一番下にはパワーアンプであるKSA-150が鎮座している。堂々とした躯体の持ち主でその外観は相当にマッチョである。

 ほぼ同じ世代に属すると思われるKRELLで統一されているので、Wilson AudioのCUBが持つ硬質な機械感との相乗効果で、グールドさんのオーディオシステム全体からは、がちっとした高性能感が醸し出されている。

 黒い革製のリクライニングチェアに体も任せて、そのシステムを眺めていると、アメリカのハイエンドオーディオメーカーの黎明期で、熱気を帯びていた時代の息吹が色濃く感じられた。

 これらはけっして新しい機器ではない。どれも製造から20年以上経過したものであり、「ヴィンテージ」に片足を突っ込んでいる。なので、メンテナンスも大変なようである。

 昨年はCDプレーヤーであるCD-DSPがしばし入院していた。実はCUBのユニットにもトラブルが出ていたようで、昨年末から今年の1月上旬にかけてユニットの補修が行われていたようである。

 その間は、「補欠」であるとあるスピーカーが活躍していたようである。実はグールドさんはもう1セットスピーカーをお持ちである。普段それは収納されているが、今日はこの部屋の片隅の床の上に置かれていた。今日はその「補欠」も聴かせてもらえる予定であった。

2020/1/26

5068:11 Pro  

 朝の5時に目が覚めた。トイレに起き出して、またベッドにもぐりこんだ。その間、窓の外からは雨が降っている音が聞こえてきていた。

 「雨か・・・今日のロングライドは中止かな・・・」そんなことを思いながら2度寝した。6時過ぎに起き出して、スマホを取り出してTwitterを確認すると「本日のロングは雨天のため中止にします。」とリーダーからの連絡が入っていた。

 今日予定していたチームでのロングライドは中止となった。そこで朝食を摂った後、たまった仕事をかたずけるために、事務所に向かった。

 午前中は一人静かに仕事をこなした。昼食はスマホの機種変更をするために国分寺に出かけてきた下の娘と待ち合わせてタイ料理の小さな店「TARA」に向かった。

 その店で頼んだのは、ゲァン ガリー(タイ国風黄色カレー)。鶏肉とジャガイモが入ったカレーでそれほど辛くなく、優しい味わいの逸品である。

 下の娘はXPERIAを4年ほど使っていた。さすがにいろいろと不具合も出てきたようで、機種変更することにしたのであるが、iPhone 11 Proにするかどうかで悩んでいた。

 我が家では妻のみがiPhoneユーザーである。残りの3人はAndroidユーザーである。「あのカメラのレンズが好き・・・」とIPhone 11 Proの特徴的なカメラのレンズが気に入ったようである。

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 「色はピンクが少し入ったゴールドが良いかな・・・」とタイカレーを食べながらパンフレットの写真を娘は見ていた。

 どうやら気持ちはほぼ決まったようである。「iPhone 11 Pro・・・高いって聞いたけど大丈夫・・・?」と訊くと「36回の分割払いにするから、どうにかなる・・・」との返答であった。

 これで、我が家のiPhone派とAndroid派の比率は半々となる。日本のおけるiPhoneのシェア率はどのくらいなのであろうか・・・?

 日本はiPhoneのシェア率が世界的な平均値と比べて異常に高いと聞いたことがある。ということは50%を超えているのであろう。

 これで、我が家のiPhoneシェア率は日本のそれに近づいたことになる。平均的な日本の家庭事情となったということであろう。

 auショップに向かう娘と別れて、事務所でさらに数時間仕事をこなした。3時なったので車で隣の市である国立市に向かった。今日はグールドさんのお宅に3時半にお邪魔する予定になっていた。

2020/1/25

5067:カーシェアリング  

 事務所の最年長スタッフから「運転が不安になってきたので、顧問先には電車とバスで行くようにします。タクシーも利用させてもらっていいでしょうか・・・?」との申し出があった。

 長年事務所に貢献してくれているスタッフであるので当然「いいですよ・・・今は高齢者の自動車事故が話題になってますからね・・・」と返答した。

 ここ数年事務所の営業車であるVW POLOを使って顧問先に向かうスタッフは7名のスタッフのうち2名だけであった。

 10年以上前は7名のスタッフのうち4名ほどが営業車を利用していたが、その数は半分になっていた。そのため、営業車の稼働率も下がり、1ケ月のうち「営業車使用予定表」が埋まるのは5,6日という状況であったのである。

 ここにきて、営業車を使用するスタッフが1名だけになった。すると1ケ月のうち営業車が稼働する日数はさらに減ることになる。

 「カーシェアリングに変えるかな・・・」そんなことを考えるようになった。営業車を1台所有していると、駐車場代(1ケ月 19,800円)が毎月かかるうえ、自動車保険や車検費用などを考えると、1年間にかかる費用は40万円ほどになる。

 カーシェアリングに移行すれば、稼働が月に5回で1回当たり4時間とすると1年間にかかる費用は12万円ほど・・・

 調べてみるとTIMESのカーシェアリングステーションが事務所から歩いていける場所に3カ所あった。利用できる車両は5台。

 時代の流れは「所有」から「利用」の時代に変化している。その時代の流れに乗ることも必要なのかもしれない。

 現在使っているVW POLOは今年の9月に4回目の車検を迎える。納車から9年となるのである。その間大きなトラブルもなく、乗り味もそれほどへたり切った印象はない。

 それまでは営業車は5年ごとぐらいで乗り換えてきた。9年間は最年長記録となる。「次の車検までには決断しよう・・・」「いざ、POLOを手放すとなると寂しくなるのかもしれない・・・」そんなことを頭の片隅で思った。

 年齢的にはがっつりと昭和の高度成長期を背負っているので、「所有」から「利用」への価値観の移行にはすんなりとは乗れない年齢層に属しているが、変えるべきものは変えていかないといけないのかもしれない。

2020/1/24

5066:コンデンサー  

 オーディオ機器は長年使っていると修理が必要になることがある。なので、メンテナンスが可能かどうかはとても重要な要素である。

 特に我が家のリスニングルームで活躍しているようなヴィンテージオーディオと呼ばれる古いオーディオ機器などはメンテナンスが必要となることがとても多い。

 我が家のアンプは、プリアンプがMarantz Model7でパワーアンプがMarantz Model2である。どちらも1950年代に設計されたものである。

 これらの古いアンプはこれまでに何度も入退院を繰り返してきた。ようやく安定してしてきたところである・・・と言っても昨年1年間の間にどちらも1回は入院した。

 ヴィンテージアンプのメンテナンスでお世話になっているのが、埼玉県ふじみ野市にある「響工房」である。

 とても小さな工房で一人で切り盛りされている。そのHPには「銘機を使うためには、しっかりしたメンテナンスが必要です。 海外・国産の銘機を完全修理 。」と謳われている。

 確かにMarantz Model7もModel2も「銘機」と言っていいであろう。60年以上前に設計製造された古いオーディオ機器であるが、未だに愛用者も多い。

 特にMarantz Model7は、ヴィンテージオーディオの分野におけるプリアンプとしては一番人気のあるモデルかもしれない。

 しかし、一括りにModel7と言っても、製造されてから何度もメンテナンスを受けているはずなので、その過程において使用されたパーツによって、その音については大きく異なってくるケースがある。

 さらに製造時期によってもともと使われているパーツが異なっていたりする。一般的に初期に製造されたモデルの方がパーツ類も良いものが使われていて、販売価格も高かったりする。

 特に最初期の頃に製造されたものは、フロントパネルの色合いがゴールドで、華やかである。その後フロンパネルはシルバーに変わっていく。どうして色を変えたのかは分からないが「黄金色」に輝くフロントパネルは最初期モデルの特徴である。

 さらにウッドケースに入っていると目につくことはないが、本体のシャーシの色合いが最初期モデルは渋いグリーンである。

 これも、最初期以外はグレーの入った茶色に変わっていく。こういった最初期型の仕様のModel7はコレクターモデルとして非常に高値で販売される。「希少性」が価格を押し上げるのである。

 残念ながら私が所有しているModel7はそういったコレクターアイテムとして高値で取引される最初期型ではない。

 フロントパネルはシルバーでシャーシはグレーの入った茶色である。ただし、ボリューム部品が日本製のものに変わってしまう「後期型」ではなく、おおまかに「初期型」と呼ばれる世代のものである。

 製造されてからの年数を考えるととても綺麗な躯体である。私の手元に来るまでの間に所有されていたオーナーが非常に大切に扱っていたことが分かる。

 そのModel7であるが、具合が悪くなったわけではないが近いうちに「響工房」に持ち込む予定である。

 実は探していたコンデンサーが見つかったのである。WEのもので402Cという品番のものである。402Cはインターネットなどで検索すると幾つか見つかるのであるが、その数値が合うものはなかなかなかった。ようやく見つけて2個を購入した。それが自宅に届いたので、コンデンサーの交換作業を依頼する予定である。

 コンデンサーは消耗品である。長年使い続けていると容量が減ってきて絶縁不良が起きる。そこで新たなものに取り換えるのであるが、そのコンデンサーによって音に大きな差があるのである。

 あくまでオリジナルである「バンブルビー」にこだわる人もいれば、「ブラックビューティー」などの代替品で十分という人もいる。メンテナンスにもいろんな流儀があるのである。

 私はパーツが見つかれば、WE系のコンデンサーに変えている。WE系の古い時代のパーツは精度が高い。信頼感があるのがその理由である。「オリジナル重視派」からすると、「本来のModel7ではなくなる・・・」と揶揄されてしまうかもしれないが・・・ 

2020/1/23

5065:レンタカー  

 2ケ月に1回、長野県にある顧問先に向かう。1月は積雪の可能性が高いので、4WDでスタッドレスタイヤを装着したレンタカーを借りる。

 事務所の近くにあるトヨタレンタカーで借り受けたのはトヨタ カローラ ツーリングであった。Cセグメントに属するステーションワゴンである。

 このセグメントに属する国産車と言えば、マツダのマツダ3がクラスレスな質感の高さから人気を博しているが、昨年フルモデルチェンジされたカローラ ツーリングの出来はどうであろうかと、興味を抱きながら乗り込み、約300kmを走った。

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 エクステリアデザインは、最近のトヨタらしくアグレッシブな造形となっている。この造形に関しては賛否両論あるであろうが、今の時代やはり目立つことが大切なのである。かなり「クセ」の強いフロントフェイスは、一目で「カローラ」と分かる主張の強さがある。

 乗り込んだ際に「おやっ・・・」と思ったのはドアの締まる際の音である。安っぽい音がしない。「ばふっ・・・」というような高級車のような音とはやはり違うが、チープさは随分と軽減していた。

 インテリアデザインに関してはお世辞にもセンスが良いとは言えないものであった。むやみに存在を主張する大きな純正ナビ画面などに象徴されるように、やっつけ的な雑さが感じられた。

 フットブレーキを踏んだ状態でエンジンスタートボタンを押してエンジンを始動させた。しかしハイブリッド車であったのでエンジン音はしない。モーターが回る「ウィーン」という音が静かに耳に届いただけであった。

 アクセルを少し踏みこんで車を緩やかに発進させてもまだエンジン音はしない。駐車場から一般道に出るとようやくエンジン音がし始めるが、その音はとても穏やかである。遮音もしっかりと対策されているようであった。

 そして、その乗り味であるが「これがカローラか・・・」と疑いたくなるような滑らかでかつしっかり感のあるもので、足回りのセッティングに関してはかなり気合を入れて開発されたようである。ステアリングに関してもすっきりとした味わいで不満感を感じることがなかった。

 実は昨年の1月にもレンタカーを借りた。その時は「カローラ フィールダー」という名前で、モデルチェンジ前の旧型のモデルであったが、その時の印象と比べると随分と良くなっている。

 「あれっ・・・かなり良い車だな・・・」と少々驚いた。一般道での低速走行時においても、また高速道路での高速巡行でも、その印象は変わらなかった。

 「カローラも頑張っているな・・・」昨年マツダ3に試乗してみて「国産車も頑張っているな・・・」と感心したが、今日もまた認識をあらたにした。 

2020/1/22

5064:参拝  

 ゴール地点は子ノ権現の参拝者のための広い駐車場になっている。しかし、残雪のため車が上がってこれないので駐車場に車の姿はなかった。

 リーダーの奥さんが運転してきたサポートカーもゴール手前の残雪エリアを走破できずに、その手前で停まっていた。

 そのため、駐車場の一角で昼食休憩をするためのブルーシートと、リーダーの奥さんお手製の豚汁が入った鍋とそれを暖めるガスコンロを車から下ろし、運んでくる必要があった。

 駐車場にはがらがらであったので、日当りの良い場所を選んでブルーシートを敷いた。そこに座ってコンビニで買ってきた昼食と熱々に暖められた豚汁を皆で堪能した。この豚汁は「命の豚汁」を個人的に命名している濃厚でコクのある味わいがうれしい豚汁である。

 今年の豚汁も例年通り実に美味であった。陽光はたっぷりで冷たい風は吹いていなかったので、寒くはなかった。

 おにぎりを三つと、暖かい豚汁を胃袋の中に次々に納めていくと、なんだがゆったりとした気分になった。

 昼食休憩の後は、参拝である。子ノ権現は足腰の守護にご利益があるので、ロングライド時の事故がないことを願うとともに、6月に行われるMt.富士ヒルクライムでの自己ベスト更新を静かに願った。

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 本殿の脇には巨大なわらじと下駄のオブジェが置かれている。ここが撮影ポイントである。その前にLOOK 785 HUEZ RSを立てかけて記念撮影をした。

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 本殿の裏手の高台には鐘楼と見晴らし台がある。鐘は自由についていいようであったので、1回ついた。美しい音色で響き、長い余韻が徐々に薄らいでいく様はなんだか神妙な心持にしてくれる。

 見晴らし台からははるか彼方にスカイツリーがぼんやりと小さく見えていた。「あれがそうかな・・・」といった程度のぼんやりさであった。

 参拝を終えて帰路につくことになった。帰りは「南ルート」を下る。下り始め300mぐらいは凄い斜度であるので後輪が浮くのではないかといつも恐くなる。

 私は子ノ権現の「南ルート」に関しては下りばかりで上ったことはない。メンバーのうち何名かは南ルートを上っている。私も一度くらいは話のネタに上ってみたいと思っている。

 南ルートを下り切って県道に出た。その後山王峠と笹仁田峠での恒例のミニバトルにも参戦した。皆、子ノ権現では脚を使い切らなかったので、いつもよりもハードなミニバトルになった。

 笹仁田峠を下っていったところにあるファミリーマートで最後の短い休憩をした。サポートカーの荷室からリュックを取り出して背中に背負った。

 今年の「初詣ラン」は子ノ権現ヒルクライムコースの残雪というちょっとした障害はあったが、参拝を無事に終えることができた。そのご利益があること信じて今年も前に進もう。



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