2019/11/1

4982:Fist Watt F6  

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 「First Watt」は、PASS LABの設計者であるネルソン・パスが理想とするアンプを作るために設立した個人ブランドである。

 そのFirst WattのF6というモデルをチューバホーンさんが新たに導入されたとのことであったので、今日はそのF6を聴かせていただいた。

 First Watt F6は、SITを出力素子に使う一連のモデルSIT1、SIT2、SIT3とは異なり、出力素子は通常のオーディオ機器に使われるMOS-FETを使用している。

 実はF6は既に生産完了となり、現在ではF7にモデルチェンジされている。F6は入力段にトランスを使っていて、そこがF7と異なっている。真空管のプリアンプと組み合わせるには、F7よりもF6の方が適しているとのことで、あえて一つ前のモデルを選択されたようである。

 今日が初対面となるFist Watt F6の姿かたちは、実にすっきりとしている。そっけないというか、あっさりとしているというか、奇をてらわないというべきか・・・肩からすとんと力が抜けたような造形をしている。

 それは内部も同様である。実にシンプルで簡素化された回路構成で、所狭しと様々な部品が隙間なく並ぶようなことにはなっていないようである。

 ネルソン・パスは、Fist Wattにおいては、極力シンプルな回路設計を行い、真空管アンプに近い滑らかな音色を追求してるとのことである。

 プリアンプにMarantz Model7を組みあわせて、このリスニングルームの主であるTANNOY Lancasterから放たれた音を耳にしての最初の感想は「真空管のプッシュプルアンプを聴いているような質感の音である・・・」というものであった。

 「EL34のプッシュプルアンプの音のようだ・・・」ブラインドで聴いて、「真空管アンプで鳴らしています・・・」と告げられたならば、決して疑わないであろうと思われた。

 そういった点において、このF6はネルソン・パスがFist Wattというプライベートブランドにおいて意図した音の傾向を最も端的に表しているモデルなのかもしれない。

 私はModel7とF6の組み合わせの音を聴きながら、「MarantzのModel7とModel8Bとの組み合わせの音はきっとこんな感じなのではないかな・・・」と思っていた。日頃真空管アンプを愛用している私としては実に耳馴染みの良い音の質感である。

 F6はその音の質感がプッシュプルの真空管アンプの質感にとても似ているとともに、その発熱量も真空管アンプのそれに近いものがあった。

 試しに天板に触ってみたが、「これは熱い・・・」とちょっと驚いた。これからの季節なら問題はないが、夏場は辛いかもしれない。

 クラシックのCDを次々に聴いた。私が持参したCDからも4曲聴いた。モーツァルトの「レクイエム」から第4〜6曲。ベートーベンのピアノ協奏曲第3番から第1楽章。ペルゴレージの「スターバト・マーテル」から第1〜3曲。そして、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番から第1楽章・・・それらの曲を聴きながら、ネルソン・パスがこのF6で意図した音の質感を堪能した。

 このF6の出力は25W+25Wで、ダンピングファクターは16。どちらも現代のトランジスターアンプとしては低い数値である。F6はスピーカーを捻じ伏せて駆動するタイプのアンプではない。効率の高いスピーカーを質感高く自然に唄わせる・・・そういうタイプのアンプである。その意味合いにおいては、ハイエンドタイプというよりは音楽派タイプのアンプと言っていいのかもしれない。



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