2019/7/30

4888:螺旋階段  

 「『芸術点』が高くなったという感じでしょうか・・・木綿のダブル使いの方は『技術点』が高い印象でした・・・」

 「帯域バランスは、こちらの方がピラミッド型というか、穏やかな稜線を描いていますね・・・」

 私は、受けた印象を断片的な言葉で表現した。

 全く魔訶不思議な世界である。変更した電源ケーブルは、レコードプレーヤーのモーターを回すための電源を供給するものである。

 音楽信号を構成する電源ではない。しかし、その電源ケーブルを替えると、音の変化が認められるのである。

 電源ケーブルが変わることにより、モーターの回転に影響が出て、その結果、音にも影響を及ぼすということなのであろう。

 電源ケーブルというテーマは、私にとって懐かしいものである。オーディオに嵌まるきっかけとなったのは、今はなき「ダイナミックオーディオ アクセサリーセンター」であった。

 そこに足繁く通い、螺旋階段を登った2階にあった試聴室で様々なハイエンドオーディオを耳にして、その泥沼に足を突っ込んでしまったのである。

 そのアクセサリーセンターはガード下の怪しげな雰囲気な店が並んだ先の奥まったところにあった。

 こんなところに高価なハイエンドオーディオ機器を販売している店があるとは全く想像がつかない感じであった。

 その店の主は島田さんであった。島田さんはケーブル好きである。その影響をもろに受けて、私もケーブルの摩訶不思議な世界に嵌まった。

 その当時、隆盛を極めていたケーブルメーカーが、STEALTHであった。私もこのメーカーの電源ケーブルを2本持っていた。

 このメーカーは何故かしら機器側のコネクターの接続感覚が曖昧で、すぐに緩んでしまう傾向があった。

 その音は、微粒子感が出て、空間表現が広がる。美音系になって、どちらかというと「芸術点」が高くなるという印象であった。

 今日は期せずして、ジャーマンビンテージ・ケーブルを使った2種類の電源ケーブルによる音の違いを体験した。

 その差に耳を澄ましていると、あのアクセサリーセンターの2階でケーブルを取り換えて、その差を聴き取ろうと耳を澄ましていた懐かしい景色が頭の中に浮かんできた。
 
 それは、もう10年以上も前のことである。年月は抗いようのないほどに速いスピードで過ぎ去っていった。懐かしいあの螺旋階段の上は今は何になっているのであろうか・・・ 



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