2019/7/16

4874:サブシステム  

 「サブシステムだよ・・・サブシステム・・・」

 スマホの向こう側から元気な声が響いた。声の主はPaoさんである。Paoさんから連絡が入ったのは、先週のことである。

 「勢いでね、一式揃えたよ・・・もちろん、価格はずっとリーズナブルだけどね・・・」

 ディープなオーディオマニアは、割と高い比率でサブシステムを有している。メインシステムとは別の部屋にセッティングされていて、メインシステム程には大がかりなものではなく、お金もそれほどかけない。メインシステムよりはより気軽に聴けるのが魅力である。

 Paoさんは、ベテランのオーディオマニアであるが、どうやら最近になってサブシステムを一式揃えたようである。

 Paoさんのメインシステムは、スピーカーが、YAHAMA NS-5000、CDプレーヤーがMARANTZ CD34(工藤氏によるフルチューンバージョン)、プリンプがMARK LEVINSON NO.26L、パワーアンプがMARK LEVINSON NO.27.5Lである。

 YAHAMA NS-5000は、YAMAHAが数年前に新たに発売した高級スピーカーである。最新の技術を使ったユニットを採用してるが、その見た目は往年のYAMAHAのスピーカーの雰囲気を有している。ピアノブラックの塗装は、とても上質なもので艶やかな色合いである。

 その他のオーディ機器も全てブラックである。センターラック方式により整然とセッティングされている。色合いが黒で統一されているので、全体として精悍な表情をしている。

 そういったメインシステムをお持ちであるPaoさんが新たに選択したサブシステムがどのようなものなのか・・・とても気になるところであった。

 「まあ、詳細は来てから説明するよ・・・」

 メインスピーカーを替えた数年前と同じ展開であった。その時も「何にしたんだろうか・・・」と思案した。

 YAHAMA NS-5000にスピーカーを替える前は、長岡鉄男氏設計のD-55を長年使われていた。バックロードホーン方式のキャビネットは、マットブラックに塗装されていた。

 その時も全く予想が当たらなかった。「YAMAHA NS-5000か・・・」とびっくりした覚えがある。

 「サブシステムか・・・なんだろうな・・・想像もつかない・・・まあ、一つだけ確かなことは色が黒ということだけだな・・・」

 そんなことを思いながら、高田馬場駅で降りて、早稲田通りを歩いていった。少し歩くと明治通りとの交差点に達した。

 その交差点を真っ直ぐに渡り、さらに歩いた。連日梅雨空である。雨は降ったり止んだりで、7月とは思えない冷ややかな空気が支配している。

 やや歩いて早稲田通りから左に折れて裏道に入った。大通りから一つ入ると急に静かになる。やがてその裏道は穴八幡宮に達した。

 ついでなので、そのひっそりとした神社の中に入り、参拝した。神社の中はここが新宿区だとは思えないほどに静かである。

 穴八幡宮を出て、神社に接している甘泉園公園を抜けていって、都電荒川線が通っている新目白通りの方向へ歩いていった。

 Paoさんのお宅は甘泉園公園に面している。北隣は3階建ての古いマンションである。南隣は小さな出版社の社屋ビルである。

 Paoさんにとっては実家であり、今は相続して一人暮らしをしている木造家屋はかなり古いものである。その前に立つと、時の流れが一気に遡っていくかのようであった。



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