2019/5/17
4814:キドニーグリル

「うわ・・・なんだこの巨大なキドニーグリルは・・・!」マイナーチェンジされたBMW 7シリーズの写真を見て、つい心の中で叫んだ。
「これはないでしょう・・・とても下世話というか、成金趣味というか、いずれにしてもデザインが破綻している・・・」と思った。
7シリーズは、BMWの旗艦モデルである。ライバルは、Mercedes-Benz Sクラス、Audi A8、JAGUAR XLなどである。
7シリーズが最も売れているのは中国である。国別での販売シェアは中国が41%をも占めている。ちなみに日本は3%に過ぎない。
となると、セールス面でそれほど成功しているとは言えない現行7シリーズの販売台数を大幅に増やそうとするならば、最大の顧客である中国人の好みに迎合するという選択肢しかないという判断になったのであろうか・・・
「それにしても・・・趣味が悪いとしか思えない・・・」そのフロントデザインを眺めながら、溜息を洩らした。

大きく印象を変えたフロントデザインに対してリアのデザインは、それほど大きな変更は加えられていない。こちらはあくまで「マイナーチェンジ」の枠内に収まっている。
現在車のリアデザインは、Audiをはじめとして左右のコンビネーションランプを繋いで一体感を出すのが流行りのようである。ポルシェのマカンもマイナーチェンジされてリアの造形が一体型に変わった。
実はBMW 7シリーズには、10年ほど前まで乗っていた。クリス・バングルがデザインして、そのアバンギャルドなデザインが物議を醸したモデルであった。5年半ほどの年月を共に過ごし、10万キロ以上の距離を走った。

確かにそのデザインは個性的であった。しかし、実際に乗り、長い年月を身近で過ごすと、その灰汁の強さに独特の魅力を感じるようになった。
そのクリス・バングルがデザインした7シリーズのキドニーグリルの大きさと、今回マイナーチェンジされた最新7シリーズのキドニーグリルの大きさを比べると、隔世の感が沸き起こる。時代は大きく変わっているのだな・・・と思った。