2019/4/30

4796:バトルモード  

 穏やかな巡航ペースで富士スバルラインを上り続けて3kmほど走った頃であった。リーダーともう一人のメンバーが後ろに追いついてきた。

 そして、ややあってペースを上げて右脇を抜けていった。その遠ざかろうとする背中を見ながら、少し迷った。

 「このまま、巡航ペースでのんびり行くか、ペースを上げて前を行く2名に付いていくか・・・」

 もちろん前者の方が楽であるが、人間楽な方ばかりを選択するとは限らないものである。少しの間逡巡したが、すぐに結論を出して、クランクを回すペースを上げた。2名のすぐ後ろに貼りついて走った。

 サイコンに表示されるパワーは200Wから240Wの間を行ったりきたりという具合の高めの負荷で推移した。ついさっきまでののんびりモードから一気にバトルモードに突入した。

 まだまだ先は長い。この高めの負荷で10km以上のヒルクライムを続けなくてはならない。「厳しいヒルクライムになりそうだ・・・」そう思いながら、前を行くメンバーの背中に視線を集めた。

 幸いなのは、富士スバルラインは比較的斜度が緩めであるということである。先週バトルモードで走った塩山側から上る柳沢峠の方が斜度が厳しい。

 斜度が上がると、サイコンに表示されるパワーも上がる。240ワット以上の数値になることもあった。そうなると前を行くメンバーとの間に空隙ができる。その後斜度が緩むとその空隙を埋めるべくペースを上げた。

 そのようなことを繰り返しながら、どうにかこうにか前を行く2名に付いていった。ここまで既に100km以上の距離を走ってきているので脚の余力はないはずであるが、意外と脚が回った。

 3合目を越えたあたりでリーダーがさらにペースを上げて、単独で走ってきていたローディーの背中をロックオンして追走し始めた。

 私ともう一人のメンバーはペースを維持したまま連結状態で残り距離を走り続けた。途中で私が先頭交代して前を引いて残りの行程を走っていくと、4合目の大沢駐車場の手前1km程から駐車場に入れない車が渋滞して長い行列を形成していた。

 その左脇を抜けていこうとしたが、大型バスが停まっていて左側の空間が狭く通り抜けるには危険を伴った。道の左側は深い溝があり、ふらついて落下すると大怪我をする危険性があった。

 そこで、2名は車の列の右側に出て反対車線を上っていった。車の隊列は延々と続いていた。大沢駐車場は5合目の駐車場と違いそれほど収納力はない。それ故生じた渋滞のようであった。

 車の渋滞の脇をゆっくりと抜けていき、ようやく大沢駐車場に到着した。4合目の天気は下から見上げた時と違い霧に包まれていた。陽光は全く届かず、富士山の頂上も真っ白な雲に覆われていて望むことはできなかった。

 そしてとても寒かった。上り終えた直後は体の発熱でしのげたが、その熱もすぐさま奪われた。ウィンドブレーカーを羽織ったが焼け石に水といった感じであった。

 10分もしないうちに体は寒さで小刻みに震え始めた。「寒い・・・予想以上に寒い・・・」山中湖のコンビニ休憩時に青い空をバックにくっきりと浮かぶ富士山を眺めていた時の楽観的な予測は一気に瓦解した。 

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