2018/12/1

4645:MAGICO A3  

 大川さんのリスニングルームに入ると、目に飛び込んできたのは、黒いスピーカーであった。トールボーイタイプで、キャビネットは金属製であった。

 事前に予想していたAVALONでもPIEGAでもなく、そしてFOCALでもなかった。そのスピーカーは、MAGICOであった。

 「これですか・・・」と言いながら私はそのスピーカに近づいてじろじろと眺めた。「これはA3という型番で、MAGICOとしてはエントリーモデルとなります・・・」大川さんは説明してくれた。

 「MAGICO」は、航空機グレードのアルミニウムをキャビネットに使い、高性能なスピーカーを製造しているアメリカのメーカーである。高額なハイエンドスピーカーをラインナップしている。

 「高かったんじゃないですか・・・?」と訊くと、「ペアで130万円です・・・高いといえば高いですが、MAGICOとしては、コストパフォーマンスは抜群に良いと思いました・・・」との返答であった。

 「130万円ですか・・・確かにMAGICOの他のモデルはあまり現実的な価格ではありませんからね・・・」

 「これは3ウェイなんです・・・ウーファーはダブルで、ツィーターにはベリリウム振動板を採用してます。エントリーモデルなんですけど、上級機の技術を上手くコストダウンしながら使っていて、かなり良いものができたようです。」

 大川さんは新しいスピーカーに結構ほれ込んでいるような素振りであった。「これが最後のスピーカーになるでしょうから、納得したものでないとと思いまして・・・」と話されていた。

 「では、早速聴いてみますか・・・」ということで、私はリスニングポイントに置かれた3人掛けのソファの真ん中に座った。

 リスニングポイントから見て右手には従前からのオーディオ機器がラックに綺麗に並んでいた。2台のCDトランスポートに4台のDAコンバーター、そしてCOPLANDのプリンプとパワーアンプである。

 送り出しはメインで使われているORCLE CD2000とZanden Model5000との組み合わせであった。最初にかかったのは、バーバーのヴァイオリン協奏曲であった。ヴァイオリニストはギル・シャハムである。

 甘美なメロディが流れ出してきた。その心地よい響きに耳を傾けた。ヴァイオリンの独奏にピアノが絡み、そしてオーケストラが重層的にかぶさってくる。

 MAGICO A3は細身のトールボーイであるが、低音がとても豊かである。高域の抜けも素晴らしい。アルミ製の堅牢強固な密閉型エンクロージャが良いのであろう。全く鳴きがないエンクロージャより放たれる音は、ストレスフリーである。。

 サウンドステージも現代型のスピーカーらしく開放的でリアルである。広く奥行き感のある空間表現は、目を閉じると、もっと広い部屋にいるような感覚になる。

 バーバーのヴァイオリン協奏曲は終わった。「良いスピーカーですね・・・」私は、ほっと大きく息を吐きながらつぶやいた。

 続いてかかったのは、ベートーヴェンのピアノソナタ第31番であった。演奏はイヴォンヌ・ルフェビュール、収録されたのは1973年である。

 とてもテンポが速く、凛々しい印象の演奏である。最初は、その速いテンポに戸惑ったが、聴き進むうちに慣れてきて、その演奏の素晴らしさに引き込まれていった。

 MAGICO A3は、ピアノの音色表現においても、並外れた能力を発揮した。

「これは、確かに優れたスピーカーである・・・低域の量感もたっぷりとあり、音が細くならない。」

 その後も何曲かのクラシックの曲をCDで聴かせていただいたが、MAGICO A3への高い評価は変わらなかった。
 
 大川さんは、これからとても長い期間をかけて、このスピーカーと向き合うことになるのであろう。MAGICO A3は十分それに値するスピーカーだと思われた。

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