2018/11/30

4644:候補  

 Gershman Acousticsのスピーカーは独特の形状をしている。上に行くにしたがって細くなり、仰角が付けられている。

 見るからに空間表現が得意なスピーカーという印象を受ける。基本は細身のトールボーイタイプであるが、見るものに強いインパクト与える。

 きっと、大川さんの好みからすると、同じ傾向のスピーカーを選択したもの思われる。一番先に私の脳内スクリーンに浮かんだのは、AVALON Transcendentであった。

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 AVALONらしい造形で、いかにも音離れが良さそうである。濃厚な音というよりも、すっきりとして澄み切った音を奏でるというイメージを受けるスピーカーである。

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 次に浮かんだのは、PIEGA Coax 511である。PIEGAはSWISS MADEである。スイスのクールな空気感を連想させるアルミキャビネットとリボンツイーターが特徴である。

 キャビネットの振動をシャットアウトし、ユニットの純粋な音がスムースに空間に放たれるイメージのスピーカーである。

 大川さんがお持ちのOracleのCDトランスポートやCOPLANDのプリアンプ、パワーアンプが持つ質感との共通性も感じさせる。

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 そして、もう一つ「もしかして・・・」と思ったのが、FOCAL Sopra No.2である。堅牢なキャビナットを備え、FOCALらしい曲線美を活かしたデザインは、見るものを引き付けて止まない。

 こちらも空間表現が素晴らしそうな形状をしている。何種類かのカラーから選択することができ、ホワイトなどを選ぶと空間を爽やかに彩ってくれそうである。

 ぼんやりと、大川さんが選んだ新しいスピーカーを想像しながら、車を降りた。玄関ドアの脇にあるインターフォンの小さな丸いボタンを押すと、チャイムが小さく家の中で響くのが分かった。

 やや間があってから、玄関ドアが開いた。大川さんはすでに子供が独立しているので、奥さんと二人暮らしである。「今日は、家内は出かけてまして・・・」と、大川さんは言った。

 私は手土産としてお持ちした、紀伊国屋の「おこじゅ」が4個入った紙袋を手渡しながら、「いや・・・楽しみですね・・・新しいスピーカー・・・」とつぶやいた。

 大川さんのリスニングルームは1階にある。スリッパに履き替えて、その部屋に向かった。大川さんは部屋の扉をおもむろに開いた。

2018/11/29

4643:一区切り  

 「いあ、実はスピーカーを換えたんですよ・・・」

 「えっ・・・何にされたんですか・・・?」

 「それは、見てのお楽しみということで・・・」

 「随分と思い切りましたね・・・」

 高円寺にお住いの大川さんから連絡が入ったのは、先週のことであった。大川さんはGershman AcousticsというメーカーのGrande Avant Gardeというとても珍しいスピーカーを長年にわたって使われていた。

 20年以上にわたって使われてきたスピーカーを換えるというのは、オーディオマニアにとってはかなり勇気のいることである。

 「いや〜人生の一区切りも迎えましてね・・・少しまとまったお金も入ったものだから・・・」

 大川さんは定年退職を迎えた。あと5年は1年契約の嘱託で仕事は続けられるようであるが、第一線からは退くこととなったようである。

 「ちょっと・・・気分を変えたくなりましてね・・・おそらく最後のスピーカーになるでしょうから・・・実は半年ほど前からいろいろと探していたんですよ・・・」

 私は、ロングライドを終えて、手早くシャワーを浴びてから、BMW523iに乗り込んだ。ロングライドを終えてすぐに車に乗り込んむといつも思うことであるが「車って便利だよな・・・漕がなくていいしな・・・それに守られているっていう感じで安心感がある・・・」と思いながらハンドルを握っていた。

 大川さんのお宅には車で1時間ほどの距離である。新青梅街道を東へ向かった。西東京市を過ぎると、道の名前から「新」がとれて、青梅街道になった。

 その道をひたすら進むと、杉並区に入っていった。荻窪駅の前を通りすぎて、さらに杉並区役所の前を通りすぎて少し行った先を右折した。

 青梅街道から一本入ると途端に道は狭くなる。「一方通行ならまだしも、そうでない道でこの狭さって、どうなの・・・」と思いながらいつも通る。

 どん詰まりの私道にバックで車を入れた。車のシートに座りながら「なんだろう・・・新しスピーカー・・・」と一瞬頭にいろんなスピーカーを思い浮かべた。

2018/11/28

4642:舞茸天丼  

 「都民の森」での休憩は最小限に抑えて、「数馬の湯」に向かって下り始めた。日の当たっていた「都民の森」は思っていたほどには寒くはなかった。

 しかし、下りでは、強い風を体に受けるので、さすがに寒かった。特に道が日陰であったりすると、その寒さが体に堪えた。

 体の筋肉を強張らせながら下っていくと、「数馬の湯」の建物が見えてきた。ここは日帰り温泉施設である。

 サイクリストも結構訪れるのか、入り口の脇にはサイクルラックが置かれている。そのサイクルラックにチームメンバーののロードバイクは次々にかけられていった。

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 温泉が恋しい季節となったからであろうか、ちょうどお昼時であったこともあり、この日帰り温泉施設の中にある「レストラン とちの実」は、思っていた以上に混んでいた。

 ここは食券方式である。レストランの入り口手前にある食券販売機で食券を購入して、中に入り、テーブルに座って、その食券を店員さんに見せる。

 私は「舞茸天丼」を選択した。海老が3尾、大きな舞茸やかき揚げの天ぷらが乗っている天丼でボリュームはありすぎるほどである。

 カロリーも相当であろう。「これだと消費したカロリー以上に食べることになっちゃうかも・・・」と思いながら、その天丼を胃袋の中に納めていった。

 建物の中は暖かい。お腹もいっぱいになり、まったりとした時間をしばし過ごしていた。しかし、いつまでもそうしているわけにもいかず、根が生える前に「数馬の湯」を後にした。

 建物の外に出ると体がきゅっと引き締まった。ロードバイクに跨ってさらに下っていった。風を切ってしばし走っていくと「橘橋」の交差点まで到着した。

 この交差点を右折して 檜原街道を快速で走っていった。下り基調の道を進んで行くと、市街地に出る。

 市街地に入ると、武蔵五日市駅まではそれほどかからない。駅が見えてきた。ここまで来ると寒さも和らぎ、ほっとする。

 駅前の交差点を右折して、睦橋通りを走った。この通りは信号が多い。タイミングが悪いと赤信号に頻繁に出会う。

 今日も赤信号に行く手を何度か遮られながら進んでいった。往路でも休憩した拝島駅前のファミリーマートで、小休止をしてから最後の行程を走った。

 LOOK 785 HUEZ RSでの2度目のロングライドは無事に終わろうとしていた。HUEZ RSは相変わらず上質な乗り味を提供してくれて、私を助けてくれた。

 ヒルクライムを重視した軽量バイクではあるが、ロングライドにも向いた乗り味である。「やはりオールマイティーだよな・・・」と思いながら走った。

2018/11/27

4641:都民の森  

 数馬から都民の森までは5キロ程の距離がある。ここからは上りのみである。斜度の変化はそれほどなく、しっかりとした坂道が最後まで続く。いわゆる激坂エリアはないが、けっして緩まない。尻尾まであんこが詰ったたい焼きのようである。

 2名のメンバーが先行スタートしていった。その背中は徐々に小さくなっていって、やがて視界から消えた。

 残り6名はその後にゆっくりとスタートした。斜度のしっかりとある坂を集団で上り始めた。私は6台のロードバイクの隊列の後方に位置して、集団のスピードに合わせてクランクを回した。

 序盤はのんびりペースであるが、徐々にペースは上がってくる。それに合わせて、サイコンに表示される私の心拍数も、その数字が大きなものに変わっていった。

 予定の距離の半分を過ぎたあたりから、集団はばらけていく。前を3名のメンバーがペースを上げて走り、その背中を見ながら私ともう一人のメンバーが追いかけていた。

 やがて先頭の3名もばらけていき、私は3番手のメンバーの背中に時折視線を向けて、その差が開かないように、クランクを回し続けた。

 長引いた風邪の影響で落としていた調子もかなり戻ってきたようで、後半に入ってもパワーはそれほど落ちなかった。

 しかし、喉の違和感はまだ少し残っていて、激しい呼吸で喉を酷使すると、時折咳き込んでしまう。

 そうなると、落ち着くまでペースが落ちてしまう。咳が治まると、またペースを戻して走っていった。

 コースは終盤に入っていった。私ともう一人のメンバーは連なるようにして、前を行くメンバーとの間合いをほんの少しずつであったが詰めていった。

 辛いコースの終盤を走っていくと、ようやくゴールが見えてきた。それを合図に私はダンシングに切り替えてラストスパートした。

 どうにかゴール地点で前を行くメンバーに追いついた。都民の森には多くの車が停まっていた。ローディーの姿も思っていた以上に多かった。

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 普段であれば、ゴールした後は、ここにある「売店 とちの実」に向かい、「みとう団子」か「カレーパン」を買って食べる。

 しかし、今日はこの後、数馬まで下っていって日帰り温泉「数馬の湯」の中にある「レストラン とちの実」に立ち寄って昼食を摂る予定であったので、ぐっと我慢した。

 「標高が高いので、都民の森は相当寒いかも・・・」と思っていたが、陽光が降り注いでいたので、意外と暖かかった。

2018/11/26

4640:数馬  

 8両編成のトレインは、小平市の市街地を抜けて、玉川上水に沿って続く道を走っていった。朝のうちはまだ空気が冷たいものであったので、体はなかなか暖まらなかった。

 信号待ちなどで止まると、ついつい日が当たっているところを選んでしまう。冬の太陽はありがたい存在である。

 西へ西へと走っていくと、いつも休憩する拝島駅近くのファミリーマートに着いた。拝島駅のフェンスにロードバイクがずらっと並んだ。

 ここで補給食を選んだ。ホットコーヒーと「カレーチーズまん」を購入してロードバイクの近くで胃袋の中に詰め込んだ。やはり暖かいものが欲しかった。

 コンビニ休憩の後は、睦橋通りを走った。片側2車線の広い道路でまっすぐにな道である。ほぼ平坦であるが、軽いアップダウンもある。

 赤信号で時折ストップアンドゴーを繰り返しながら、武蔵五日市駅の手前まで走った。駅の手前を左折すると、檜原街道に繋がる。

 駅前からしばらくは市街地が続く。市街地が途切れると、緑の多いのどかな雰囲気の中を走っていくようになる。

 檜原街道は、日影となるエリアが多い。夏には涼しくありがたいが、これからの時期にはひんやりとした空気感はそれほどありがたいものではない。

 山間の道を進んでいって、次なる休憩ポイントである「山の店」に着いた。ここには駐車場があり、公衆トイレも設置されている。

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 ここでトイレ休憩をするのであるが、その公衆トイレが建て替え中で、仮設トイレが設置されていた。

 新しい公衆トイレはまだコンクリートの基礎ができているだけであった。今度ここに立ち寄る時には真新しい公衆トイレができているのであろうか・・・

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 トイレ休憩を済ませて、先に向かった。檜原村役場の前を通りすぎると、「橘橋」のT字路交差点が見えてくる。

 この交差点から都民の森までは21kmである。ここからタイムトライアルするローディーも多い。60分を切ればまずまずの脚力という評価をもらえる。

 交差点を右折すると上り基調のアップダウンが続く。決して上りばかりではなく、時折短い下りも入る。

 「数馬」までは隊列をキープして無理のないペースで走っていった。「上川乗」の交差点を通りすぎ、「数馬の湯」を左手にやり過ごすと、「数馬」に到着した。

 ここまで上り基調の道を走ってきた。時折厳しい上りも幾つか越えた。脚は重くなっていた。「今日は、脚が結構へたっているから・・・最初から無理をせず、流れに身を任せて、前に出ることはしないでおこう・・・」そんなことを思いながら、ここまで着用し続けていたウィンドブレーカーを脱いで、ネックウォーマーを外した。

 数馬から見る風景は実にのどかであった。青い空は気持ちの良い色であり、所々赤やオレンジに色付いた木々が目を和ませる。

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2018/11/25

4639:V2-r  

 11月も下旬となり、晩秋から初冬に季節は移ろうとしていた。朝早く暖かいベッドから抜け出すのに、少し踏ん切りというか、そういったものが必要になってくる。

 6時に起きだして、サイクルウェアに着替えた。インナーは冬用のもの。サイクルジャージは長袖であるが、厚手の生地ではまだない。

 下半身はレーサーパンツを履き、レッグカバーを装着した。ネックウォーマーとウィンドブレーカーとフルフィンガータイプのグローブは1階のリビングのソファに置いた。

 朝食を済ませ、LOOK 785 HUEZ RSのタイヤに空気を補充した。タイヤは長い間、コンチネンタルのグランプリ4000を使っている。乗り味も良く安心感のあるタイヤである。

 7時なって「はやく起きた朝は・・・」が終わった。「寒いかな・・・」と思いながら、HUEZ RSに跨って自宅を後にした。

 空気は冷たいものであった。真冬のように痛いほどではないが、走り始めはとても冷たく感じた。

 東から差し込んでくる朝の太陽の陽光は弱く、頼り気のないものであった。「冬の太陽になってきたな・・・」しみじみと思った。

 集合場所であるバイクルプラザに着いた。今日の参加者は8名であった。スタートまでの空き時間に、メンバーのCOLNAGO V2-rに乗らせてもらった。

 漕ぎ始めてすぐに感じたのは、剛性の高さと踏み始めの軽さである。踏んだ分だけ全くロスなく前に進む感覚が気持ち良い。

 直進安定性は素晴らしく、「気持ち良いな・・・」と思いながらクランクを回した。装着されていたホイールはマビックのキシリウム・プロで、タイヤはピレリのP ZEROであった。

 このピレリのタイヤの効果であろうか、路面との設置感は柔らかく滑らかであった。フレームの剛性の高さと、タイヤと路面の設置のしなやかさが、とても良いバランスで、気持ちよく走れた。

 「さすがにGOLNAGO・・・」と思わせる優れたフレームであった。LOOK 785 HUEZ RSとは乗り味が随分と違うが、どちらもクオリティーは高い。

 そしてもう一つ感心したのはピレリのタイヤである。今履いているグランプリ4000はそろそろ取り換え時が近づいてきている。

 グランプリシリーズは最近グランプリ5000という新製品を出した。こちらも気になるところ。P ZEROにするかグランプリ5000にするか・・・少し悩むところである。
 
 今日の目的地は「都民の森」に決まった。往復距離は120km程である。都民の森の標高は1,000メートルほどである。

 「標高が高いから、頂上は少し寒いかもしれない・・・」そんなことを思いながらスタートした。
 
 8台のロードバイクは隊列を形成して、小平市の市街地を抜けていった。8台のロードバイクの内訳は、ORBEAが3台、COLNAGOが2台、そしてLOOK、KUOTA、ANCHORが1台ずつであった。 

2018/11/24

4638:チェロ協奏曲  

 カセットテープのクリーニングテープ部分が経過すると、エルガーのチェロ協奏曲の冒頭がSONY製のラジカセから流れ始めた。

 冒頭は、ホ短調のカデンツァではじまる。このカデンツァの響きが、とても悲劇的なものを予感させる。

 ついつい、デュ・プレのその後の人生に起こる悲劇を連想してしまう。この録音をした時点(1965年)においては、本人はおろか、周囲の人々も想像すらしていなかった悲劇を・・・

 3人組の女性客がいたので、その会話の邪魔にならない程度に低い音量に設定した。曲は流れのスピードを緩めたり、速めたりしながら進んでいった。

 「SONY CF-2580」・・・カウンターの脇に置いてある古いラジカセの型番を確かめた。カセットホルダーが真ん中にあり、その左右にスピーカーがある。

 一応ステレオ再生が可能なようであるが、よっぽど近づいて聴かない限り、ステレオ効果を享受することはできないであろう。

 今から40年近く前に製造されたラジカセが現役で動いていること自体、かなり稀有なことである。当然今までに何度かメンテナンスも受けているようである。

 今でも、こういった古い機器を修理してくれる業者があるようである。私が自宅で使っているヴィンテージオーディオも修理できるのであるから、1970年代の製品が修理できるのは不思議ではないのかもしれない。

 珈琲を飲みながら、エルガーのチェロ協奏協をしみじみと聴いていると、後ろから女性のか細い声がした。

 「あの・・・写メしてもいいですか・・・?」

 例の3人組の一人がすぐ後ろに立って訊いてきた。「写メ・・・?」私は質問の意味が分からず、尋ね返した。

 「このラジカセ・・・なんですけど・・・」

 「あっ・・・ラジカセ・・・かまわないと思いますよ・・・私のものではないですけど・・・どうぞ・・・どうぞ・・・」

 と不意を突かれて感じで、おどおどしながら答えた。

 すると、彼女はスマホを横にしてラジカセの写真を数枚撮った。大学生である彼女には、この40年ほど前に製造された古いラジカセは、珍しいものなのであろう・・・

 撮った写真をどうするのであろうか・・・インスタにあげるのであろうか・・・その写真にコメントを入れるとしたら・・・

 「レトロなラジカセ・・・古い喫茶店のなかで見つけました!」といった感じのコメントであろうか・・・

 30分ほどの演奏時間が経過して、エルガーのチェロ協奏曲は終わった。珈琲も飲み終えた。巻き戻しボタンを押すと、キュルキュルと音をたてながら、カセットテープはA面の初めに戻った。

 巻き戻しが完了してイジェクトボタンを押した。勢いよく開いたカセットホルダーからテープを取り出した。

 そのテープをケースに戻して、ミュージックテープが入っている箱に入れた。数年前に亡くなったご主人が、このミュージックテープを購入したのはいつ頃なのであろうか・・・きっと1970年代だろうと推測した。 

2018/11/23

4637:純喫茶  

 けっして自宅からも事務所からもそれほど近いというわけではないが、週に2,3度足を運ぶ喫茶店がある。

 中野坂上にある喫茶店「Mimizuku」である。大きな通りから一本中に入ったところにあるので、都会の喧騒からは遠い感じである。

 5階建ての古びたビルの1階にあり、時代からすっかりと取り残されて忘れ去られようとしている存在である。

 木製の扉を開けて中に入ると、カウンター席が4つあり、4人掛けのテーブルが二つと、2人掛けのテーブルが一つある。

 もともとは夫婦でやっていたようであるが、現在は女主人が一人で切り盛りしている。ここの珈琲は美味しい。しっかりと深みのある味わいで雑味が少ない。

 経営的には厳しいはずであるが、このビルの所有者であるのかもしれない。テナントとして入っているのでは経営は成り立たないような気がしている。

 今日も午後の3時過ぎに近くの顧問先を訪問したついでにぶらっと立ち寄った。いつも座る一番奥のカウンター席に座った。

 4人掛けのテーブル席には珍しく若い女性の3人組が座っていた。それ以外には客はいなかった。

 若い女性が3人も店内にいるからであろうか、いつもより店の雰囲気が明るいものになっているような気がした。

 私は珈琲を頼んだ。ここは珈琲専門店のように何種類もの珈琲があるわけではない。ブレンドとカフェオレだけである。

 スマホを鞄から取り出して、Twitterを開いた。10月に参加した箱根ヒルクライムの時にゲストライダーとして参加されていて、ゴール後に一緒に写真を撮らせてもらった篠さんをフォローしたところ、凄い数のTwitterが画面に並ぶようになった。それらをさらさらとチェックしていた。
 
 店内にいる若い女性3人組は大学生のようであった。それとなく聞こえてくる彼女たちの会話からそれと察せられた。

 「もしかしたら、これからも若い女性たちがこの店に来るようになるのであろうか・・・昭和の香りを色濃く残した純喫茶巡りが若い女性の間で静かに流行っているとと聞いたことがあるが、その流行りがMimizukuにもやってきたか・・・」

 そんなことを思いながら、カウンターに出された珈琲を一口飲んだ。味わいはいつもと変わることはなかった。

 店内にはBGMは流れていなかった。私はカウンターに置かれている箱の中のミュージックテープを物色した。

 するとジャクリーヌ・デュ・プレのチェロによるエルガーのチェロ協奏曲のミュージックテープがあった。
 
 それを手に取った。Mimizukuには有線放送はない。唯一音を出すのは1970年代に製造販売されたSONYのラジカセのみである。

 イジェクトボタンを押して開いたカセットホルダーにそのカセットテープを挿入した。カセットホルダーを元に戻し、PLAYボタンを押し込んだ。 

2018/11/22

4636:ベラヴィスタ  

 「ベラヴィスタ」は奥武蔵グリーンラインから急な坂を下ったところに建っている。いつもは素晴らしい景色が臨めるテラス席に座るが、今日は気温が低いこともあり、建物の中の席に座った。

 3種類のピザと4種類のスバゲティがメニュー表に並んでいる。私は「カルボナーラ」を選択した。しばし談笑しながら待っていると、7名のメンバーの前には順次頼んだスパゲティーが運ばれてきた。

 今日は「グルメライド」でもある。前半は「パン工房 シロクマ」で、そして後半は「ベラヴィスタ」で、たっぷりと消費したカロリーを補給した。

 建物の中からも大きな窓を通して、重なり合う山々の景色を楽しめる。ここに来ると、しばし喧騒の世界とは無縁な時を堪能できる。

 空が澄んでいれば富士山も見えるが、今日は少し霞んでいて富士山は見えなかった。山並みは青のグラデーションを綺麗に描く。

 「ベラヴィスタ」で穏やかな時間を過ごした後、リスタートした。奥武蔵グリーンラインを進み、顔振峠を経由して、途中から奥武蔵グリンラインから外れて、東吾野方面へ下りていった。

 東吾野駅で一息入れた。駅舎の前にはトイレがあり、自販機が置かれている。長い下りで体が冷えたので、自販機で暖かい飲みものを選んだ。

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 暖かい缶で冷えた両手を暖めた。「来週からはハーフフィンガーではなく、フルフィンガーのグローブを使おう・・・」と思った。

 ここからは、東峠・山王峠・笹仁田峠を越えていくコースか、国道299号を経由するコースかのどちらかを選択する。

 上りがないという点では後者の方が負担が軽いが、国道299号は車が渋滞している可能性が高い。渋滞している車の脇をすり抜けていくのは結構神経を使う。そこで前者を選択した。

 東峠は、隊列キープで無理のないペースで上り切った。次は山王峠、ここは軽めのバトルで走った。軽めとはいえバトルモードだと一気に負荷は上がる。

 そして最後の笹仁田峠では序盤からアタックがかかり、本格的なバトルモードで駆け上がった。最後のスパートゾーンでは、どうにかこうにかではあるがラストスパートした。

 これで課題は全てこなしたことになる。後は平たんである。コンビニ休憩を一度挟んで帰路を進んだ。

 LOOK 785 HUEZ RSでのロングライドは終わろうとしていた。ニューマシーンは期待以上に上質な走りをもたらしてくれた。

 「これで、ホイールをカンパニョーロ ボーラ ウルトラ35に換えてチューブラタイヤで走行したらどんな感じになるのであろうか・・・」そんなことを考えながら、岩蔵街道、旧青梅街道を走っていった。 

2018/11/21

4635:グルメライド  

 白石峠を上り始めた。白石峠は序盤から斜度が厳しい。峠道の右側には頂上までの残り距離が書かれた表示板が定期的に並んでいる。

 それは「残り 6.3km」から始まる。7台のロードバイクは一団でスタートして、やがて縦に長くなっていった。

 1km程走ったあたりから4名のメンバーが先頭集団を形成してペースを上げていった。私は既に心拍数が170を超えていたので、ペースを維持したまま走っていった。

 今日はサイコンのパワーの数値よりも心拍数を注視しながら走った。心拍数は「175」あたりで固定されていた。

 白石峠の平均斜度は8.6%だが、一定の斜度で続いているわけではなく、定期的に斜度の変化がある。

 少し緩んだかと思うと、すぐさま厳しいエリアが現れる。この斜度の波動攻撃に心を折られないように注意しながら走っていくと、先頭集団から1名が切れて視界の中に入ってきた。

 視界の中に前を行くメンバーの背中があると、気持ちが切れない。その背中に引き上げてもらうように、クランクを回し続けた。

 厳しい斜度の波状攻撃は、延々と続く。「残り 2km」の表示板を過ぎたあたりで前をいくメンバーをかわせた。

 「勝負平橋」まで来ると、残りは1kmほどである。この先は斜度が緩むエリアである。ここからさらにギアを上げて、ラストスパートすべきであるが、現在の脚力では難しい状況である。

 斜度に合わせてペースを変化させながら残りを走り切った。先週よりも体の反応は良くなっていた。

 先週山伏峠と正丸峠を走った時には、「調子が戻るまでに2ケ月はかかりそう・・・」と思ったが、「これなら1ケ月でほぼ戻るかもしれない・・・」と思えた。

 LOOK 795 HUEZ RSを峠の頂上の道標をバックに石垣に立てかけて記念撮影をした。峠の頂上の気温はかなり低かった。

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 上りきった直後は体の発熱で暑いくらいであるが、やがて冷えてきた。メンバー全員が上り終えて、記念撮影を済ませてから、奥武蔵グリーンラインを走った。

 次なる目的地は「ベラヴィスタ」。今日は「パン工房 シロクマ」と「ベラヴィスタ」を訪問するグルメライドの予定であった。

 奥武蔵グリーンラインはいくつもの峠を結ぶ稜線を走る道である。大野峠、刈場坂峠を通り、しばし走っていくと「ベラヴィスタ」に到着した。



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