2018/10/19

4602:電線病  

 第1楽章が終わったところで、大川さんはORACLE CD2000のリモコンを操作してCDの回転を止めた。そして、「では、早速試してみませんか・・・?」と言われた。

 私はふと我に返って、鞄の中から2組のRCAケーブルを取り出した。大川さんはそれを手にして「これですか・・・」と興味深げにしげしげと眺めた。

 「見た目的にはどうということのないものですね・・・ドイツのものなんですか・・・?」

 「ええ、小暮さんからはそう聞いています。メーカー名はどこにも記載されていないので、不明なのですがテレフンケン製のようです・・・」

 「相当古いもののようですね・・・」

 「1930年代のもののようです・・・」

 「1930年代ですか・・・それはまた古いですね・・・」

 「小暮さんがジャーマンヴィンテージのマニアの方から入手してRCAケーブルに加工したもののようです・・・」

 「2種類あるんですね・・・」

 「中の線材は同じもので、被膜の仕様が違うようなんです・・・私のところではDACとプリの間に被膜がしっかりとしているものを使って、プリとパワーの間で被膜が緩めでねじってある方のもものを使ってます・・・」

 「では、そのパターンで取り換えてみます・・・」

 大川さんは手早く2組のRCAケーブルを取り換えた。そして一旦OFFにしたオーディオ機器の電源を再度ONにした。

 そして、先ほどまで聴いていたメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調の第1楽章を再度聴いた。

 結果として、Straight WireのRCAケーブルとテレフンケン製のケーブルを利用したRCAケーブルとの比較ということになった。

 RCAケーブルを取り換えた後の印象はというと、音の質感がよりアナログライクになったというものであった。

 決して帯域がワイドレンジなったり、SN比が改善されるといった変化ではないが、演奏者があたかもそこにいるかのような実在感がアップする感じがあった。

 「生々しい感じがしますね・・・」

 大川さんは神妙な面持ちでそう言った。続いて、最初に聴いたマーラーの交響曲第5番の第1楽章も聴いた。

 「こちらも受ける印象が違いますね・・・グールドさんからメールが来て、グールドさんは早速小暮さん連絡したようです。まだ、在庫が残っているか・・・」

 大川さんはグールドさんかのメールの件を話された。そして、「ケーブルってやはり面白いですね・・・再発しそうです『電線病』・・・」と言って笑われた。



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