2018/10/18

4601:Model5000  

 Gershman Acousticsのスピーカーから最初に流れ出したのは、マーラーの交響曲第5番の第1楽章であった。

 二つのCDトランスポート、四つのDAコンバーターがあるため、全部で8通りもの組み合わせが可能な送り出しに関しては、ORACLE CD-2000とZanden Model5000の組み合わせが採用された。

 第1楽章は12分ほどで終了した。広い空間表現が印象的であり、音はさらっとした質感のものであり、べたっとしていない。

 この音の質感はどこからきているのであろうか・・・COPLANDのアンプであろうか・・・それともGrande Avant Gardeであろうか・・・

 「きっと、Model5000でしょう・・・これは結構音の支配力が強いんです。微粒子感がとてもよく出てくるんですよね・・・試しに、DACを替えてみましょう・・・」

 大川さんは私の語った印象を聞いて、そう言った。そして3連式の横長ラックの裏に回って、配線をし直した。

 「デジタルケーブルはどこのメーカーをお使いですか・・・?」

 「これはSTEALTHというメーカーのものです・・・これもダイナミックオーディオ・アクセサリーセンターで買いました。10年以上前ですが、ちょっと『電線病』にかかりましてね・・・」

 「『電線病』ですか・・・確かに多くの人がかかりますよね・・・私もその頃かかっていました。特に電源ケーブルに嵌まってしまって・・・」

 「電源ケーブルは変わりますよね・・・ちょっと信じられないぐらい・・・私も島田さんにそそのかされて電源ケーブルも何本か買いましたよ・・・」

 そんな話をしているうちに、DAコンバーターはModel5000からKRELL STEALTHに切り替わった。このDAコンバーターは、この時代のKRELLらしい渋いグレーをしている。フロントパネルの中央にKRELLのロゴが誇らしげに見える。

 発売されたのは1990年代の前半と思われるが、その時代においては最先端のDAコンバーターであり、多くのオーディオマニアが憧れたものであろう。

 そして、もう一度マーラーの交響曲第5番の第1楽章を聴いた。その印象的な冒頭部からして「変わった・・・」と感じる。

 温度感、音のエネルギー感、ともに上がり、エンジンのパワーが増したようであった。音の微粒子感はその粒が大きくなり、聴きようによっては雑になったようにも聴こえる。

 聴き終えて、「違うものですね・・・アナログで言うとカートリッジを替えたような感じでしょうか・・・クラシックに限って言えば、Model5000でしょうか・・・ただしジャズなんかは絶対にKRELLですね・・・」と私は感想を述べた。

 「そうなんですよね・・・クラシックの場合は、どちらかというとModel5000なんですよね・・・この空間に音がふわっと広がる感じは、Zandenの持ち味なんです・・・」

 結局、DACはModel5000に戻された。その状態でもう1曲聴いた。かかったのは、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調であった。ヴァイオリンは諏訪内晶子。

 先ほど聴いたマーラーの交響曲第5番とは全く異質な音楽である。冒頭からソロ・ヴァイオリンが実に甘美に歌う。

 その哀愁を帯びた抒情的なメロディーはクラシック好きでなくともかならず何度か耳にしているはず。

 まさに「名曲」と評すべきこのヴァイオリン協奏曲の第1楽章を聴いた。なんだか、大川さんのオーディオシステムに最適な音楽のように思えた。  



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