2018/10/6

4589:クラシックチーズバーガー  

 「待ち合わせは『ジンムジ』駅の改札で、11時50分です・・・」2週間ほど前にishiiさんから連絡があった時に「ジンムジ」と言われて、その漢字がすぐに思いつかなかった。

 「京急線です・・・『シンズシ』の一つ手前です・・・」。「シンズシ」はすぐに頭の中で「新逗子」に変換された。

 電話を切ってすぐにスマホで「ジンムジ」の正体を探った。その正体は「神武寺」であった。特に謎めいたものではなかった。

 今日、その「神武寺」まで行ってきた。立川駅から南武線で川崎駅までまっすぐに南下し、京急線に乗り換えた。

 「金沢八景」で同じ京急線の別の列車に乗り換えると間もなく「神武寺」に着いた。駅周辺はこれといった商店街もなく閑散としており、穏やかで鄙びた風情が漂っていた。

 列車を降りてすぐにishiiさんと遭遇した。もう一人の参加者であるH氏ともやがて合流できた。そして、共通の趣味がオーディオである3名は、この駅から徒歩5分ほどで着くとある場所へ向かった。

 ishiiさんはALL LINNのシステム、H氏はアクシオム80を真空管アンプで鳴らされている。私はTANNOYをMarantzの真空管アンプで鳴らしている。それぞれ、システムには個性が染み出ていて、あまり共通項はないが、メインジャンルがクラシックであることは共通している。

 向かった先は「コンバック・コーポレーション」である。「Harmonix」「Reimyo」「Hijiri」などのブランドで様々なオーディオ機器やオーディオアクセサリーを製造販売している会社である。その試聴室にお邪魔できることになったのである。

 3名は連れ立って、晴れて10月としてはかなり暑く感じられる道を歩いた。すると3階建ての立派な社屋が見えてきた。

 試聴室は3階であった。お休みで人気のない社屋の中を案内してもらい、かなりの広さがある試聴室の黒い革製の3人掛けソファに座った。

 目の前にはオーディオシステムが美しくセッティングされていた。「Reimyo」ブランドのオーディオ機器達は、パワーアンプ以外は美しい特製ラックに納められていて、それぞれHarmonix製のインシュレーターで足元がチューニングされていた。パワーアンプは床に置かれていて、その四隅にはかっちりとしたHarmonix製のインシュレーターの姿があった。

 スピーカーは幾つか置いてあったが、今日聴かせていただいたのは、HarmonixのENCOREという名前のスピーカーであった。

 同軸2ウェイのユニットを使っている小型のスピーカーである。これが専用のスピーカースタンドにセッティングされていて、スピーカーの底面とスピーカースタンドの天板の間にはHarmonix製のインシュレーターがあり、そういうセッティングが前提のスピーカーのようであった。

 とても小型のスピーカーで左右の手でその両側面を押さえてすいと持ち上げられそうなくらいであるが、只者ではない感じのオーラが盛大に放たれていた。

 Reimyoのオーディオ機器は、CDトランスポートがCDT-777、DAコンバーターがDAP-999EX Limited、管球式プリアンプがCAT-777MKII、トランジスタ型パワーアンプがKAP-777というラインナップであった。

 それらすべては共通するデザインで統一されている。そのデザインはやや無骨ではあるが、こちらもENCORE同様只者ではないというオーラがきらきらと放たれていた。

 音楽を聴く前に、代表者の方が、プレゼンをしてくれた。コンバック・コーポレーションの売り上げの大半は海外でのものであり、海外での受賞経験が豊富であることや、Harmonixの主要な製品であるインシュレーター開発にあたっての考え方など、静かな語り口ではあったが、情熱深く語ってくれた。

 その後、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を皮切りに何曲がクラシックの曲を聴かせていただいた。

 3名は時折センター位置を交換し合いながら、興味深く耳を傾けた。内振りがやや強めに付けられたENCOREは、空間表現に優れたスピーカーであった。

 試聴室の後方一杯にサウンドステージが広がる。その広い空間から音楽が聴こえ、この小さなスピーカーから音が放たれているとは視覚的にまったく認知できない感じであった。まさに「スピーカーが消える」という感覚である。

 その後、それぞれが持ち寄ったCDも聴かせてもらった。H氏は古楽器を使った高音質のCDを、ishiiさんはクラシックのみならずポピュラー系のCDも、そして私は「耳タコソフト」であるモーツァルトのピアノ曲、マーラーの交響曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲を聴かせてもらった。

 広い空間に提示される音楽はパノラマ写真のようである。映画館で映画を観るときに、映画の予告編が終わって本編が始まる前に、スクリーンがやおら横に広がったりするが、そんな印象を受けるほどに広くて高いサウンドステージであった。

 音の一つ一つが丁寧に描かれるので、耳障りな感じやバランスを欠いた感じがなく、安心して音楽に浸れる雰囲気があった。

 スピーカーのサイズからして朗々とした低音が床を這うといった感じはないが、実に自然で誇張感がなく、広く透きとおった空間表現は実際のホールでの音の質感を彷彿とさせるものである。

 プレゼンや質疑応答の時間も含めて3時間ほど時間をこの素敵な環境の試聴室で過ごさせていただいた。

 日本では知名度がそれほど高くないが、海外では日本で想像する以上に知名度が高い日本のオーディオメーカーは幾つかある。「Audio Note」や「ZYX」などもその例であろう。

 コンバック・コーポレーションの製品も日本に比べて海外での評価が圧倒的に高いようである。今日、実際に聴かせていただいて、その理由が分かったような気がした。

 内容の濃い時間を過ごした後、3人は新逗子駅近くの「FRESHNESS BURGER 逗子店」に場所を移して、今日の感想を述べあい、オーディオ談議に花を咲かせた。

 その内容も、この店のブレンドコーヒー同様に濃いものであった。そして、小腹が空いたのでコーヒーと一緒に注文した「クラシックチーズバーガー」も、中身がぎっしと詰まっていて濃い味わいであった。



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