2018/10/11

4594:ゴルフレッスン  

 「ドラコンプロ安楽拓也の飛ばしなんて簡単だ!」・・・YouTuveでたまたま見つけたゴルフレッスンものの動画である。

 この手の動画は星の数ほどある。動画を見ただけで上手くなれば苦労はない。なので、時間つぶし的な感じで観ていた。しかし、観ていくうちに何かしら引き込まれるものを感じた。まずは理論が非常に分かり易い。

 「ニュートラルポジションでアドレスすれば、クラブは必ずボールに当たる。ボールに当てにくのではなく、クラブを振ったらボールに当たるという感覚が大事です・・・」という言葉は新鮮に感じられた。

 「腰を回す感覚はいらない。両足を交互に踏み込めば、腰は自然と回ります。クラブは重心移動を原因として振り上げてくので、頭は右に動くのが自然で頭を固定する必要はない・・・」との説明に今まで「頭は固定したほうがスイングが安定するのかな・・・」と思っていたので、「そうなんだ・・・」と認識を新たにした。

 「クラブはインパクトを目指して振っていくのではなく、フィニッシュを目指して振っていく。最後まで左足を踏み込んいってしっかりとフィニッシュを取る。」確かにフィニッシュがしっかりと決まると、良いスイングとなっていることが多い。

 ゴルフのレッスン動画は、「テイクバックはまっすぐ低く引いていって、トップでは右股関節でしっかりと体重を支えて、左腰を鋭く切っていてダウンスイングを開始する・・・」といった細かなチェックポイントが羅列されるものが多いが、この動画は基本的なことを押さえておけば、後はとりあえず雑に動いても良いといった感じで取り込みやすいと思えた。

 「ドラコンプロ」は、プロドラコンツアーで賞金を稼ぐことができ、有名になるとトークショーや、ドラコンイベント、DVD出演などで、出演料を稼げる。一般的なプロではないが。ドライバーショットに特化したプロと言える。

 そのシリーズの動画を続けて観た。一つ一つは数分間にまとめられていて短いので観やすい。一連のシリーズを観終わって、「明日のゴルフで早速試してみるかな・・・いきなり試してみても良い結果が出ることはまずないけど・・・」と思った。

 明日の天気は「曇り時々雨」である。残念ながら秋晴れでのゴルフというわけにはいかないようである。

 概ね月1回の頻度でゴルフ場には足を運ぶ。練習場に行くことはなくなったので良いスコアが出ることはない。

 「明日のゴルフで少し良い結果が出たら、この安楽拓也プロの動画をもっと観て、練習場にもまた行ってみようかな・・・」とも考えた。

2018/10/10

4593:クーペ  

 店舗やマンションの内装デザインを手掛ける会社を訪問した際に、そこの会社の社長が「車、買い替えましたよ・・・」と打ち合わせが終わった頃合いに話した。

 その社長はVW GOLFを愛用していた。GOLF GTIやGOLF Rと言ったスポーティーなモデルではなく、1.4Lのエンジンを搭載した通常のモデルであった。

 「こんどは、何にしたんですか・・・?」と水を向けると「Audiです・・・との返答が得られた。頭に浮かんだのは「A3」であった。

 「Aduiですか・・・お洒落ですね・・・GOLFからの買換えであれば、A3ですか・・・?」と話を続けると、「A3ではなくて、A5です・・・」との意外な展開に・・・

 「A5・・・じゃあクーペですか・・・?」

 「クーペと言えば、クーペなんですけど・・・ドアは4枚あって、いわゆる4ドアクーペって奴です・・・」

 「4ドアクーペですか・・・」

 Audi A5は、A4をベースにしたクーペモデルである。A4が実用性が高く堅実なモデルであるとすれば、A5はより流麗で遊び心に溢れたモデルともいえる。

 日本ではクーペなど前時代的な存在になってしまっているが、ヨーロッパでは根強い需要があるようで、BMWも、Mercedes-Benzもクーペモデルをしっかりとラインナップしている。

 Audi A5は純然としたクーペモデルのほかに「SPORTSBACK」という名称で4ドアクーペを販売している。

 「A5は、そのデザインが気に入って・・・少し高かったけど思い切って替えてみました・・・」その社長はデザイン関係の仕事をしているだけに、車のデザインに関してもうるさい。

 「じゃあ、少し乗せてくださいよ・・・」

 「良いですよ・・・運転してください・・・」

 ということになり、少しの時間だけであるが、その社長に助手席に座ってもらってAudi A5 SPORTSBACKのハンドルを握ることができた。

 Audi A5の最大の魅力は、その流麗なスタイリングであろう。サイドのキャラクターラインは微妙に波打っている。

 フロントフェイスは、今年になってから出たAudi A6やA7ほどには鋭角的な鋭さはなく、Audiとしては少し優し気な雰囲気を持っている。

 駆動方法は「クワトロ」と呼ばれる4輪駆動である。エンジンは2.OLガソリンエンジンで4気筒。最新の4気筒エンジンは滑らかで実に静かである。

 ボディーカラーは白で、シートはブラックの本革製である。サッシュレスのドアを開けて運転席に座り込むと、着座位置はクーペらしく低く、包まれ感がある。腰痛持ちの人にはちょっと辛いかもしれないが、気持ちがしっとりと落ち着くポジションである。

 インテリアはほぼA4と同じものである。「バーチャルコックピット」は、やはり先進性に溢れていて、新鮮である。

 走り始めると、その足回りやエンジンの質感は思っていた以上に高級感に溢れている。Audi A4にも乗ったことがあるが、走りの質感はA5の方が高いと感じた。

 乗り味の基本はドイツ車らしく引き締まったカチッとしたものであるが、妙なツッパリ感はなく、表面はビロードの手触りを思わせるようなものに包まれている。

 後席の居住性は外観から想像する以上に悪いものではなく、4名乗車が十分に可能である。荷室はゴルフバッグなら二つは余裕で飲み込む感じあった。

 「これ良いですね・・・走りはA4よりも良い感じです・・・A4よりも値段は高いはずですが、その価値はあるんじゃないですか・・・?」
 
 「もう子供は独立したから、クーペも良いかなって思ってね・・・」と、助手席に座っていた社長は頬を緩ませていた。

 「我が家もあと数年したら、子供達も独立して夫婦二人の生活が始まるかもしれない・・・そういう時代になったらクーペも良いかもしれないな・・・」と心の中でそう思いながら、A5をしばしの間走らせていた。

2018/10/9

4592:B-CLASS  

 現在、BMW 523iの代車として乗らせてもらっているBMW 218dアクティブツアラーの直接的なライバルは、Mercedes-Benz B-CLASSである。

 そのB-CLASSの新型がパリモーターショウでお披露目された。B-CLASSに先立ってフルモデルチェンジされ、最近日本での販売も開始されたA-CLASSと同じ文法のデザインが採用されて、現行モデルよりはすっきりとした佇まいになった。

クリックすると元のサイズで表示します

 今後フルモデルチェンジされるMercedes-Benzのモデルは、この顔付きに統一されていくはずである。

クリックすると元のサイズで表示します

 リアのデザインも、AudiやVWを思わせるような横長できりっとした印象を与えるリアランプが全体の表情を引き締めている。こういった造形は、全世界的な流れのようで、ちょっとデザインが画一化されている危惧を抱いてしまう。

クリックすると元のサイズで表示します

 インテリアは、ほぼA-CLASSそのままである。横にまっすぐに連結された液晶パネルが特徴的である。液晶表示は明瞭であるが平坦で立体感がないという特徴を長所としてとらえたような造りは斬新である。

 エアコンの吹き出し口のデザインも派手で目を惹く。インテリアに関しては一気に新世代に突入したという印象を受ける。

 このB-CLASSにも当然、A-CLASSで採用された音声により様々な指令ができる機能が加わわっているはずである。

 それは「ヘイ!メルセデス・・・」と語りかけると、起動する。そして、メルセデスが「ご用は何ですか・・・?」と返答する。

 「ヘイ!メルセデス・・・エアコンつけて設定温度は20度で・・・」「ヘイ!メルセデス・・・ナビで○○を検索して・・・」といった具合に語りかけるのである。

 自分でボタンを押すか、コントロールダイヤルを回せば済むことであるが、音声で支持するのが今風なのである。

 その機能は、各社順次採用していくことになるであろう。同じパリモーターショウでお披露目された新型3シリーズにも当然採用されている。

 もしも将来、完全自動運転が実用化されたなら、「ヘイ!メルセデス・・・○○まで連れてって・・・」と一言発するだけで、目的地まで行けるようになるであろう。

2018/10/8

4591:218dアクティブツアラー  

 BMW523iは納車からまる2年が経過した。走行距離は40,000kmを超えて、ハードな使用状況に耐えてくれている。

 1年に1回の法定点検を受けるため、BMWのディーラーに向かった。ディーラーには自宅から車で10分ほどで着く。

 「法定点検の予約をしていた〇〇です・・・」と要件を告げて、指定された席に座った。出されたアイスコーヒーを飲みながら待っていると、担当者が来て、何枚かの書類にサインをした。

 法定点検を終えた523iを取りに来るのは3日後であり、代車が用意されていた。その代車は218dアクティブツアラーであった。

 BMWが作ったコンパクトミニバンであり、クリーンディーゼルエンジンを搭載したモデルである。駆動方式はFFである。

 FRにこだわり続けてきたBMWであるが、ミニバンでは空間効率を最優先しFFを採用した。BMWはMINIでFFには挑戦しているので、FFに関しても十分なノウハウの蓄積は既にある。

 218dアクティブツアラーに乗り込んだ。ミニバンなので当然着座位置が高めである。そのため視界は見下ろす形となって良好である。サイズもコンパクトなので取り回しは良さそうである。

 操作系は基本的には523iと同一なので、私にとっては分かり易い。フットブレーキを踏んでエンジンのスタートボタンを押した。

 「ブルル・・・」と音を発ててディーゼルエンジンは目覚めた。ディーゼルエンジンらしい乾いた質感の音である。

 その音質は一聴でディーゼルエンジンと分かるもので、決して気分を盛り上げてくれるものではない。音質だけで言えばやはりガソリンエンジンの方が良い。

 電気式のパーキングブレーキを解除して、車をスタートさせた。着座位置が普段よりも高いせいか、少し腰高感を感じた。エンジンはディーゼルエンジンらしくトルクは十分であり力不足は感じなかった。

 「走りの質感や足回りの感じは少し軽く、腰高な感じがする・・・まだ慣れていないから、ちょっと落ち着かない感じかな・・・」スタートさせた直後の218dアクティブツアラーの第一印象はそんな感じであった。

 523iの乗り味が体に沁み込んでいるので、多少の違和感を覚えながら走っていた。ハンドリングに関してもやはりFF特有のネガが多少感じられた。駆動輪を操舵しているということがやはり感じられる。

 同じFFならGOLFの方が洗練されていると思えた。しかし、このモデルの直接的なライバルは決してGOLFではない。

 その直接的なライバルは、Mercedes-Benz Bクラスである。Bクラスと言えば、パリモーターショウで新型が発表されたばかりである。

 Aクラス同様、新たなデザインを身にまとって商品力を相当上げたようである。それが日本に入ってきたら、2シリーズア・クティブツアラーには勝算はないかもしれない。

 妻に頼まれた買い物をついでにするために、ヤオコー東大和店に向かった。この車は、30代の夫婦で小さな子供が一人いるようなファミリーを想定ユーザーとしているのであろう。

 「普段は週末に子供も連れて、買い物などに行き、年に数回高速を使って遠出する・・・そういった使われ方であろうか・・・」

 スーパーの駐車場に車を停めた。外に出て店の入り口に向かった。ふと振り返り、218dアクティブツアラーを眺めた。なんだか、スーパーの駐車場に妙に馴染んでいた。   

2018/10/7

4590:3シリーズ  

クリックすると元のサイズで表示します

 10月2日から開催されているパリモーターショウで、7年ぶりにフルモデルチェンジされたBMW 3シリーズがお披露目された。

 7年経過するとさすがに、古くなった感じがしていた現行の3シリーズから一気にアップデートされた印象を受けた。

 2年前にフルモデルチェンジした5シリーズの場合、新しくはなったけど、それほど変わったという印象を受けなかったのに対して、3シリーズの今回のフルモデルチェンジは、一つステージが明らかに変わったという感じがした。

 それはフロントフェイス、特にフロントライトの下の部分の造形がかなり攻めたものになったのが大きいのかもしれない。

 フロントライトとキドニーグリルが完全にくっつく形状への変化は7シリーズや5シリーズで少し目が慣れてきているが、フロントライト下部の形状変化とLEDライトによる縁取りを前提としたデザインはかなり新しい。

 このフロントフェイスは、よりきりりと引き締まり、ちょっと抜けた感のあった現行3シリーズをより男前にしている。

 個人的には7シリーズや5シリーズのフロントフェイスよりもまとまっていると思える。7シリーズや5シリーズに今後行われるであろうマイナーチェンジの際にフロントライトの形状がこの新しい3シリーズに近いものに変更される可能性を感じる。

クリックすると元のサイズで表示します

 リアの造形も変わった。伝統的なL字形状のリアライトはより横長のプロポーションになり、こちらもきりっとした表情になっている。

クリックすると元のサイズで表示します

 インテリアにも「変えよう・・・」という意思を感じた。Audiが先鞭をつけたデジタルインフォメーションディスプレイは、各社取り入れてきた。

 BMWも取り入れてきたが、従来のアナログディスプレイのイメージを大きく変えないようにしてきたが、ここにきて大きく方針を転換したようである。

 クリックすると元のサイズで表示します

 このデジタルインフォメーションディスプレイは、オプションになるであろうが、一気に先進性を身に付けた3シリーズである。

 走りやハンドリングに関しては定評のある3シリーズであるので、新しい3シリーズはきっと成功するであろう。

2018/10/6

4589:クラシックチーズバーガー  

 「待ち合わせは『ジンムジ』駅の改札で、11時50分です・・・」2週間ほど前にishiiさんから連絡があった時に「ジンムジ」と言われて、その漢字がすぐに思いつかなかった。

 「京急線です・・・『シンズシ』の一つ手前です・・・」。「シンズシ」はすぐに頭の中で「新逗子」に変換された。

 電話を切ってすぐにスマホで「ジンムジ」の正体を探った。その正体は「神武寺」であった。特に謎めいたものではなかった。

 今日、その「神武寺」まで行ってきた。立川駅から南武線で川崎駅までまっすぐに南下し、京急線に乗り換えた。

 「金沢八景」で同じ京急線の別の列車に乗り換えると間もなく「神武寺」に着いた。駅周辺はこれといった商店街もなく閑散としており、穏やかで鄙びた風情が漂っていた。

 列車を降りてすぐにishiiさんと遭遇した。もう一人の参加者であるH氏ともやがて合流できた。そして、共通の趣味がオーディオである3名は、この駅から徒歩5分ほどで着くとある場所へ向かった。

 ishiiさんはALL LINNのシステム、H氏はアクシオム80を真空管アンプで鳴らされている。私はTANNOYをMarantzの真空管アンプで鳴らしている。それぞれ、システムには個性が染み出ていて、あまり共通項はないが、メインジャンルがクラシックであることは共通している。

 向かった先は「コンバック・コーポレーション」である。「Harmonix」「Reimyo」「Hijiri」などのブランドで様々なオーディオ機器やオーディオアクセサリーを製造販売している会社である。その試聴室にお邪魔できることになったのである。

 3名は連れ立って、晴れて10月としてはかなり暑く感じられる道を歩いた。すると3階建ての立派な社屋が見えてきた。

 試聴室は3階であった。お休みで人気のない社屋の中を案内してもらい、かなりの広さがある試聴室の黒い革製の3人掛けソファに座った。

 目の前にはオーディオシステムが美しくセッティングされていた。「Reimyo」ブランドのオーディオ機器達は、パワーアンプ以外は美しい特製ラックに納められていて、それぞれHarmonix製のインシュレーターで足元がチューニングされていた。パワーアンプは床に置かれていて、その四隅にはかっちりとしたHarmonix製のインシュレーターの姿があった。

 スピーカーは幾つか置いてあったが、今日聴かせていただいたのは、HarmonixのENCOREという名前のスピーカーであった。

 同軸2ウェイのユニットを使っている小型のスピーカーである。これが専用のスピーカースタンドにセッティングされていて、スピーカーの底面とスピーカースタンドの天板の間にはHarmonix製のインシュレーターがあり、そういうセッティングが前提のスピーカーのようであった。

 とても小型のスピーカーで左右の手でその両側面を押さえてすいと持ち上げられそうなくらいであるが、只者ではない感じのオーラが盛大に放たれていた。

 Reimyoのオーディオ機器は、CDトランスポートがCDT-777、DAコンバーターがDAP-999EX Limited、管球式プリアンプがCAT-777MKII、トランジスタ型パワーアンプがKAP-777というラインナップであった。

 それらすべては共通するデザインで統一されている。そのデザインはやや無骨ではあるが、こちらもENCORE同様只者ではないというオーラがきらきらと放たれていた。

 音楽を聴く前に、代表者の方が、プレゼンをしてくれた。コンバック・コーポレーションの売り上げの大半は海外でのものであり、海外での受賞経験が豊富であることや、Harmonixの主要な製品であるインシュレーター開発にあたっての考え方など、静かな語り口ではあったが、情熱深く語ってくれた。

 その後、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を皮切りに何曲がクラシックの曲を聴かせていただいた。

 3名は時折センター位置を交換し合いながら、興味深く耳を傾けた。内振りがやや強めに付けられたENCOREは、空間表現に優れたスピーカーであった。

 試聴室の後方一杯にサウンドステージが広がる。その広い空間から音楽が聴こえ、この小さなスピーカーから音が放たれているとは視覚的にまったく認知できない感じであった。まさに「スピーカーが消える」という感覚である。

 その後、それぞれが持ち寄ったCDも聴かせてもらった。H氏は古楽器を使った高音質のCDを、ishiiさんはクラシックのみならずポピュラー系のCDも、そして私は「耳タコソフト」であるモーツァルトのピアノ曲、マーラーの交響曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲を聴かせてもらった。

 広い空間に提示される音楽はパノラマ写真のようである。映画館で映画を観るときに、映画の予告編が終わって本編が始まる前に、スクリーンがやおら横に広がったりするが、そんな印象を受けるほどに広くて高いサウンドステージであった。

 音の一つ一つが丁寧に描かれるので、耳障りな感じやバランスを欠いた感じがなく、安心して音楽に浸れる雰囲気があった。

 スピーカーのサイズからして朗々とした低音が床を這うといった感じはないが、実に自然で誇張感がなく、広く透きとおった空間表現は実際のホールでの音の質感を彷彿とさせるものである。

 プレゼンや質疑応答の時間も含めて3時間ほど時間をこの素敵な環境の試聴室で過ごさせていただいた。

 日本では知名度がそれほど高くないが、海外では日本で想像する以上に知名度が高い日本のオーディオメーカーは幾つかある。「Audio Note」や「ZYX」などもその例であろう。

 コンバック・コーポレーションの製品も日本に比べて海外での評価が圧倒的に高いようである。今日、実際に聴かせていただいて、その理由が分かったような気がした。

 内容の濃い時間を過ごした後、3人は新逗子駅近くの「FRESHNESS BURGER 逗子店」に場所を移して、今日の感想を述べあい、オーディオ談議に花を咲かせた。

 その内容も、この店のブレンドコーヒー同様に濃いものであった。そして、小腹が空いたのでコーヒーと一緒に注文した「クラシックチーズバーガー」も、中身がぎっしと詰まっていて濃い味わいであった。

2018/10/5

4588:豆腐  

 「絹と木綿ですか・・・なんだか、豆腐の味比べのようですね・・・」グールドさんは、私が二つのケーブルの被膜の素材について話した後、そう言って笑った。

 「確かに、そうですね・・・絹ごし豆腐と木綿豆腐のようなのかもしれません・・・音の感触もそれに近いところがあるような気がするのです・・・」

 グールドさんはもう一つの方のRCAケーブルの接続を終えて、取り外したRCAケーブルをMITのケーブの横に並べた。

 そして、再度モーツァルトの幻想曲 ハ短調を聴いた。KRELLのCD-DSPは、1991年の発売なので、既に27年前のモデルである。

 その間、3度ほどのメンテナンスを受けられていて、現状はその経過した年数を感じさせないスムースな動作をしている。

 二人は最初の低音の打鍵を静かに待った。曲は厳かな雰囲気で始まる。そして曲調が変わり緩やかな小川の流れを思わせる展開部の後、また厳粛な雰囲気に戻っていく。

 先程よりもピアニストの左手がしっかりと認識できるような気がした。帯域バランスは低域寄りに戻り、ピラミッドバランスである。

 「高域の抜けきり感は減退した。『絹』の時より、さらにMITの時よりも腰の低さを感じさせる。どっしりとしているな・・・このピアノ曲の場合、最適かどうかは少し疑問ではあるが、大編成のオーケストラなどは向いているのかもしれない・・・」私は心の中でそう思った。

 聴き終えて、グールドさんは「まさに、木綿豆腐ですね・・・冷奴よりも鍋物で活きるという感じですかね・・・」と評されていた。

 「冷奴よりも鍋物か・・・確かにピアノソロよりもオーケストラで活きるケーブルなのかもしれない・・・」と思った。

 「これって、先ほどの『絹』とこの『木綿』を組み合わせると面白いような気がしますね・・・」とグールドさんは続けた。

 「そうですね・・・我が家ではCDとプリに間は『絹』を、プリとパワーの間は『木綿』を使っています・・・」と私が言うと、「じゃあ、同じ配置で聴いてみましょう・・・」とグールドさんは応じ、ケーブルの取り換え作業に取り掛かった。

 上流は「絹」で下流は「木綿」という構成となった。リスニングルームの床にはMIT MI-330が2セット揃えて並べれていた。その長さはすべて1メートルでプラグは初期型の簡易なものである。

 そして、また再びモーツァルトの幻想曲ハ短調が流れた。その最初の打鍵を耳にした瞬間、私はWilson Audio CUBのバーチカルツイン構成になっているユニットを改めて見つめ直した。

 「これは・・・」と息を潜めるような空気感がリスニングルームにさっと広がり、二人の聴覚が一段と鋭い感覚領域に入り込んだのを感じた。

 釣り人が瞬間的な確信を持って、さっと釣り竿を引き上げるような感じであろうか・・・「かかった・・・!」釣り針、釣り糸、そしてカーボン製の釣り竿を伝って右手に感じる重みを二人の耳は鋭く感知したのかもしれない。

 その後、マーラーの交響曲第4番第1楽章、そしてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第1楽章も聴き直した。

 「この組み合わせだと、それぞれの長所が活きる感じですね・・・ちょっと驚きました。小暮さんもよくこんな古いものを見つけてきましたね・・・MITに戻すのが少し怖いですね・・・」とグールドさんはおっしゃられた。

 「MITはバランスが良く抜けもまずまず、一言で言うとウェルバランスです。でもこの『絹』と『木綿』の組み合わせは、バランスを崩さずにより生々しい実在感を上げてくれる感じがしました・・・」私はそう総括した。

 「確かにそうですね・・・それぞれだけで使うと長所・短所あってという感じでしたが、組み合わせて使うと、補い合っていい感じになりますね・・・」グールドさんは、既に冷え切ったミルクティーを飲み干してから、そう言った。

 その右手に持たれていたティーカップには、蝶とも花とも取れるような模様と円が一筋のラインに繋がれて描かれていた。

クリックすると元のサイズで表示します

2018/10/4

4587:二つのケーブル  

 「では、モーツァルトの幻想曲ハ短調で、このドイツ製のケーブルを試してみましょうか・・・?」とグールドさんは言った。

 「そうですね・・・CDプレーヤーとプリアンプの間のケーブルを交換してみますか・・・それ以外は固定したほうが分かりやすいですからね・・・」私はそう答えた。

 「二つあるのなら、最後にCDとプリの間と、プリとパワーの間、両方に使ってみましょう・・・また違う世界が見えてくるでしょうから・・・」そう言いながら、腰を上げたグールドさんは、CDプレーヤーとプリアンプの電源を一旦切った。

 「どちらからにしましょうか・・・」私は2セットあるRCAケーブルを手にしながら、見比べた。一つはしっかりとした被膜の仕様のもので、素材は絹が使われている。

 もう一つはやや緩めの被膜の仕様のもので素材は木綿が使われている。中の電線は同じもののようである。

 つまり中身が同じで外側だけが違うのであるが、そこを通ってきた音は変わる。理論的なことは分からないが、その被膜を手で触った感触と出てくる音の感じは似ている。

 絹でしっかりとした被膜が形成されたケーブルはしっかりとした音がして、木綿で緩やかな被膜が形成されたケーブルはふんわりとした音がする。

 まずは絹の被膜のケーブルをグールドさんに手渡した。MITのRCAケーブルは取り外されて、床に置かれた。

 そのケーブルはMIT MI-330である。MITの最初期の時代のケーブルである。独特の肌色に似た色合いのケーブルで、細く華奢なケーブルである。

 絹製の被膜の古いドイツ製のケーブルに換えて、幻想曲ハ短調の印象はどう変わったか・・・「なんだか生々しくなったような・・・」というのが、その第一印象であった。

 聴き進むうちに、マイクのセッティングがよりピアノに肉薄したような感覚に捕らわれた。しかし、じっくりと聴くと、もう少し緩い面があった方が全体を俯瞰しやすいのかもしれないとも思える。

 MITは抜けきり感は今一つであるが、全体のバランスは自然で破綻しない良さがある。短期集中型の聴き方では、このケーブルの方が能力が高いといえるが、長い時間音楽鑑賞をするうえでは、短所も見受けられる。

 グールドさんは「すっと抜けますね・・・ピアノの弦の振動がより体感できる感があります。帯域バランス的には少し高域寄りにシフトするためか、低域の量感が少し不足する感じもあります・・・」と評された。

 グールドさんの印象も、私とほぼ同じようなので安心した。「そうですね・・・私も同じ印象を受けました・・・」そう話しながら、もう一つのRCAケーブルをグールドさんに手渡した。

 「随分手に持った感じが違いますね・・・」グールドさんはそう言いながら、CDプレーヤーとプリアンプの間のRCAケーブルをもう一度交換した。

2018/10/3

4586:お揃い  

 用意していたただいたミルクティーを飲みながら、しばしの時間雑談をした。その中で「例のものはどんな感じですか?」とグールドさんから話があったので、鞄の中からRCAケーブルを2セット取り出した。

 「これですか・・・」とグールドさんはそのケーブルをしげしげと眺めた。「どのくらいの年代のケーブルなんですか・・・?」

 「小暮さんによると、1930年代のものとのことですが、真偽のほどは分かりません・・・小暮さんのお知り合いで、ジャーマンビンテージの熱心なコレクターの方がいて、その方からケーブルを分けてもらって、小暮さんがRCAケーブルに仕立てたようです。」

 「この二つは中のケーブルは同じものなのですが、被膜の仕様が違うようで、その被膜の仕様の違いで音の傾向も変わるようです・・・」

 「そんなに古いものなんですか・・・1930年代と言えばドイツでナチスが政権を奪っていく時代ですよね・・・ドイツが破滅への階段を上がっていった時代ですね・・・」

 「そうですね・・・そう思うと、歴史を感じますね・・・」

 「しかし、我が家のオーディオシステムは、第2次世界大戦でナチスドイツを打ち破ったアメリカの製品で占められているから、相性はどうですかね・・・」
 
 グールドさんはそう言って笑った。そういえば、グールドさんのところではRCAケーブルもすべてMITで揃えられている。

 「RCAケーブルもMITだから、アメリカ製ですものね・・・電源ケーブルは何をお使いですか・・・?」

 「3本ともJPS Labsというメーカーです・・・これもアメリカ製ですね・・・」

 「統一感が凄いですね・・・」

 「揃っているのが好きなんですね・・・KRELLも、MITも、JPS Labsも揃えてしまいました・・・」

 「確かに揃ってます・・・」

 そんな雑談の後、KRELLで揃えられた駆動系とWilson AudioのCUBで構成されたシステムで、CDを何枚か聴かせてもらった。

 モーツァルトの幻想曲 ハ短調、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番第1楽章、マーラー交響曲第4番第1楽章と聴いた。

 グールドさんのシステムは1990年代の機器である。決して最新型のものではないが、その精緻な音の具合に感心した。

 「揃っている・・・」ということがグールドさんのシステムにおいて、グールドさんの個人的な嗜好性を満足させるだけでなく、音の様相にも良い影響を与えているようである。

 「この揃った環境に、異質なものを持ち込むのはいかがなものか・・・」とも思いながら、その変化具合のほどを心の中で想像してみた。

2018/10/2

4585:リスニングルーム  

 国立市の地名は分かりやすい。国立駅を背にして放射線状に道が形成されていて、真ん中は「中」、向かって右は「西」、向かって左は「東」といった具合に地名が決められている。

 グールドさんのお宅は向かって右側の「西」にある。大きな通りから一本入ると大半の道が一方通行になるので、少しばかり大回りする必要がある。

 グールドさんのお宅から徒歩で数分のところにコインパーキングあるので、そこに車を停めた。大通りから一本入ると実に静かである。

 まだ、雨は降り出していなかった。時折小雨がぱらつく程度であったが、空の色合いは濃いグレーに塗りこめられていて、いきなりざっと降り始めてもおかしくない様相であった。

 グールドさんの家を訪れて、さっそくリスニングルームに案内された。グールドさんのリスニングルームは8畳ほどの広さである。

 部屋は縦長で短辺側に背後の壁からの距離をしっかりと取ってスピーカーが設置されていて、その二つのスピーカーの真ん中後方にKRELLのオーディオ機器が綺麗に納められた三段ラックがあった。

 それ以外にはイージーチェアと小振りなサイドテーブルが置かれているのみであるので、狭く感じることはなかった。

 イージーチェアは黒い革製で、木部は濃い目の茶色をしていた。質実剛健なデザインである。海外製品ではなく、グールドさんに確認すると、「斉藤衛家具工房」というオーダーメイドの家具を製造販売している工房で作ってもらったチェアとのことであった。

 ハイバックのイージーチェアとペアとなるオットマンは流麗というよりもしっかり感にあふれている。

 私はイージーチェアに座らせてもらい、グールドさんはオットマンをスツールとして座られた。サイドテーブルにはミルクティーがその淡い色合いを見せていた。

 リスニングポイントの後方の壁には、Ge3の「額縁」が掲げられていた。少々珍妙な現代美術といった風情のその「オブジェ」は、この一部の隙もないような空間にぽっかりと開けられた穴のようにも感じられた。

 この「額縁」・・・どう考えても「オカルト」でしかないのであるが、あるとないとでは聴感上あきらかに違う。

 リスニングポイントに座ると視界には入ってこないので、リスニングポイントの背後の壁に設置するのが正解であろう。我が家でも同様な設置方法となっている。

 イージーチェアのがっしりとしたひじ掛けに腕の重みをもたせかけて、前を向くと、そこにはWilson AudioのCUBが左右にセットされていた。

 サウンドアンカー製の専用スタンドに乗せられたその姿は凛々しい。そしてそのスピーカーの後方、センターの位置に置かれたMusic Tool製の3段ラックにはKRELLのCD-DSP、KSL-2、KSA-150が縦に並んでいた。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ