2018/4/30

4430:ロータス ヨーロッパ  

 11台のロードバイクは長いトレインを形成して西へ向かって走り始めた。11台のロードバイクの内訳は、ORBEAが3台、COLNAGO、Kuota、RIDLEYが2台ずつ、そしてBH、FUJIが1台ずつであった。

 小平市の市街地を抜けて、玉川上水に沿って続く道を走った。今日は初夏を思わせる天気であった。最高気温は27度まで上がるようである。4月としては少し暑すぎる気候である。

 トレインが長いと、巡航スピードは穏やかなものになる傾向があり、今日も比較的穏やかなスピードで予定のコースをこなしていった。

 最初の休憩ポイントである拝島駅前のファミリーマートに到着した。拝島駅の白いフェンスにはずらっと様々な色合いのロードバイクが並んだ。

クリックすると元のサイズで表示します

 補給食にはサンドイッチを選択した。それをロードバイクの傍で食していると、見ず知らずのおじさんが近づいてきて、話しかけてきた。

 「どこまで行くんだ・・・?」「檜原村の都民の森です・・・」「なら、日の出の大仏を見に行けばいい・・・」「大仏・・・?大きいんですか・・・?」「鎌倉の大仏よりも大きい・・・」「えっ・・・そんなに・・・」

 そんな会話がしばし続いた。日の出町の大仏は最近できたようで、高さは12メートルもあり、確かに鎌倉の大仏よりも少し大きいようである。

 話好きのおじさんと別れて、先へ進んだ。もちろんおじさんに勧められたからといって、コースを変更することはなかった。

 国道16号の下を潜る連絡通路を通り過ぎて、睦橋通りに入った。ゴールデンウィークの前半で天気は最高、ローディーの姿をもっと見かけるかと予想していたが、思ったほどではなかった。

 いつも通り赤信号で何度かストップ・アンド・ゴーを繰り返しながら、武蔵五日市駅まで走って駅前を左折した。

 檜原街道は緩やかな上り基調である。市街地を抜けていくと周囲の風景は緑の比率が多くなっていく。

クリックすると元のサイズで表示します

 今日は木陰が嬉しかった。季節は一足飛びに進んでいってもう夏に手をかけていた。檜原街道の陰地が嬉しい季節になりつつあった。

 檜原街道を順調に走っていくと、次の休憩ポイントである檜原村の特産物を販売している「山の店」の駐車場に着いた。

 ここには公衆トイレがあり、トイレを済ませた。その駐車場には濃い青が色鮮やかなロータス ヨーロッパが停まっていた。

 1966年に発売が開始されたロータス ヨーロッパは、その時代の空気を色濃く反映してノスタルジックな風情をしたスポーツカーである。

 コンディションを保つのは、きっと大変で、お金もかかるはず。趣味は違うが、我が家のリスニングルームに設置されているオーディオ機器のことを思い浮かべた。1950年代に設計・製造された古い機器は確かに手がかかる。しかし、手がかかるほど愛着も沸くものである。

クリックすると元のサイズで表示します

2018/4/29

4429:普段履き  

 「今週も履いてみようかな・・・ボーラ・ウルトラ・・・」という誘惑は確かにあった。その乗り味はやはり魅惑的であった。

 しかし、「これは決戦用だからな・・・普段履きにするわけにはいかない・・・」と思い直して、昨晩、Kuota Khanから取り外した。

 そしてブレーキシューもアルミホイール用のものに戻してから、フルクラム レーシング・ゼロを装着した。

 フルクラム レーシング・ゼロに組み合わせているタイヤはコンネンタルのグランプリ4000である。

 ここ数年、この組み合わせを継続している。チームメンバーの一人が最近タイヤをピレリのP ZEROに替えた。その印象がとても良いとのことで、次にタイヤを変えるタイミングで試してみようかとも思っている。

 普段履きとしては、この組み合わせでまったく不満はない。レーシング・ゼロはカチッとした剛性感が頼もしく、グランプリ4000は乗り心地がマイルドで、耐パンク性能も高い。

 その従来の組み合わせに戻した仕様で、朝の7時に走り出した。先週のロングライドで体験した「ボーラ・ウルトラ+コルサ スピード」の組み合わせと比べると、乗り味が硬めでダイレクト感がある。決して不快というわけではないが、路面から伝わる振動はしっかりと体に届く。

 「レーシング・ゼロ+グランプリ4000」では、踏めば踏んだ分だけしっかりと進む感じで「もっと踏んで・・・!」という感じでちょっとせっつかれる感じがする。

 一方「ボーラ・ウルトラ+コルサ スピード」では、物理的にはあり得ないが感覚としては踏んだ分よりも余分に進むような気にさせてくれる。

 なので「そんなに無理しなくても良いよ・・・こちらに任せて・・・」といったメッセージを受け取るような感じで、あまりシャカリキにならなくてもいい。

 「ボーラ・ウルトラ+コルサ スピード」では「余裕」といったものを感じさせてくれるのである。

 もちろんこれは平地巡航での話である。上りとなれば話は別であるが、このゆとり感は、比較的斜度が緩めで長い距離を走るMt.富士ヒルクライムでは、良い効果があるのではないと密かに期待している。

 来月の20日にはチームで富士スバルラインを試走する。その際には「ボーラ・ウルトラ+コルサ スピード」を再度試す予定であるので、良い効果があるのか否かがはっきりとするであろう。

 7km程の距離を走っていくと、集合場所であるバイクルプラザに着いた。今日は11名と参加者が多かった。やはりMt.富士ヒルクライムが近づいてきたからであろうか・・・

 行先は定番コースである「都民の森」に決まった。往復距離は120kmほどであり、多摩エリア在住のローディーに人気のあるコースである。

2018/4/28

4428:主役  

 大川さんのリスニングルームに置かれた三段ラックの中段に新たに設置されていたのは、THETA DS PRO BASICである。

 DS PRO BASICが発売されたのは1990年であるので、28年前の製品である。マルチビットDSP方式DAコンバーターで、発売された当時は立体感のある歯切れの良い音質で好評を得た高級DAコンバーターである。

 その躯体は1Uサイズの薄型で、とてもシンプルな造形である。センターにはトルグスイッチが二つと赤いシグナルランプが二つあるだけという潔さ。清教徒的に抑制された造形美を誇っている。

 「良いデザインですね・・・COPLANDのアンプの造形とも通じるような美しさです・・・」私はそう言うと、大川さんは相好を崩した。

 「まあ、ほとんど見た目の美しさだけ欲しくなったDAコンバーターです。このトルグスイッチが良い味出していますよね・・・見た目のシンプルさは重要です。これでセレクターその他のスイッチが複数個並んでいたりすると一気にデザインが死んでしまいます。」

 「オーディオショップでの購入ですか・・・?」

 「いえ、オークションです・・・結構手ごろな価格で出ていたんで、思わず落札しました。前から聴いてみたいとは思っていたんです。」

 CDトランスポートはKRELL MD-10が接続されていた。「KRELLとの相性が良かったので・・・」と大川さんは話されていた。

 KRELL MD-10とTHETA DS PRO BAISCの組み合わせとは実に渋い。MD-10の発売は1993年であるので、このペアはほぼ同世代である。

 この組み合わせで何枚かのクラシックのCDを聴かせていただいた。スピーカーはGershman Acousticsの Grande Avant Gardeである。私はこのスピーカーメーカーのことはまったく知らなかった。

 「このメーカーも相当昔には正規に輸入されていたんです。パイオニアインターナショナルというパイオニアの子会社が輸入代理店になっていました。もちろんとっくの昔にそんな会社はなくなってしまいましたがね・・・」

 「そうなんですか・・・全然知りませんでした。でも、このスピーカーは独特の形をしていますね・・・なんだかちょっと妖精的というか、呪術的な造形を感じますね・・・」

 「そうですね・・・一旦目にすると脳裏に焼き付いて離れない・・・そんな独特の形状をしていますよね・・・」

 最初にかかった曲はラベルの「左手のためのピアノ協奏曲」であった。これは第一次世界大戦で右手を失ったピアニストのためにラベルが書き上げたピアノ協奏曲である。

 重厚な響きが心地よく、ラベルらしい華麗なオーケストレーションも聴きどころである。Grande Avant Gardeはピアノと相性の良いスピーカーのような気がする。ピアノの華麗な響きを混濁させることなく放出する。

 KREL MD-10とTHETA DS PRO BASICの組み合わせは、大川さんが相性が良いと評されるのが分かる。どちらも音の傾向は暖色系でどっしりとしている。その相乗効果からか、左手一本で奏でるピアノの中低域に濃厚な厚みがある。

 華やかなオーケストレーションを支える低音楽器の抜けも良いバランスに思えた。「確かに相性が良いようですね・・・この両者・・・」私は、この曲が終わった時そうつぶやいた。

 「KRELL純正組み合わせももちろん良いけれど、このペアも結構良い・・・」大川さんはにんまりとしていた。

 続いてかかったのは、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番である。これはプロコフィエフの協奏曲のなかでもっとも人気のある曲である。

 構成が実に緻密で、プロコフィエフらしい目まぐるしいまでのリズムに乗って、ピアノが疾走する様が爽快である。

 この曲も現状のシステム構成で不満なく聴き終えることができた。「これをORACLE CD2000とZanden Model 5000の組み合わせで聴いたらどんな感じに変わるのだろうか・・・?」という興味は、オーディオマニア的には自然と湧いてくるものであるが、それを言葉にすることはなかった。

 「聴き比べ」は楽しくもあるが、ややもすると音楽から遠ざかる要因ともなる。今日の主役はTHETA DS PRO BASICであるから、その演奏を堪能すればいいのである。

 「それにしても、このDAコンバーター・・・良い顔しているな・・・」そんなことを思いながら、続いてかかったピアノ独奏によるムソルグスキーの「展覧会の絵」に聴き入った。 

2018/4/27

4427:GE236  

 BMW523iに乗って走った。向かったのは高円寺であった。道はそれほど混んでいなかった。大川さんの自宅前のどん詰まりの私道にバックで車を停めたのは出発してちょうど1時間後であった。

 チャイムを押すと、「どうも・・・どうも・・・」という感じで大川さんが出迎えてくれた。そして、早速リスニングルームに移動した。

 大川さんのリスニングルームは、ほぼ我が家のそれと同じ広さである。この部屋にはオーディオ機器とCDラック、そしてリスニングポイントに置かれた、ハンス・J・ウェグナーが設計した3人掛けソファとソファーテーブルのみが置かれていて、潔い感じで纏められている。

 ハンス・J・ウェグナーは1914年生まれのデンマークの家具デザインナーである。代表作は「Yチェア」で、日本でも人気のあるデザイナーである。

 3人掛けソファとしては「GE290」が有名で、北欧家具のヴィンテージショップでもよく見かけるものである。しかし、大川さんのリスニングルームにあるものは「GE290」ではなく、「GE236」である。「GE236」の生地は淡いグレーの色合い。とても落ち着いた質感である。

クリックすると元のサイズで表示します

 そして横長の三段ラックに設置されている多くのオーディオ機器の質感も何故かしら、ハンス・J・ウェグナーがデザインした家具と共通する質感を感じさせる。

 プリアンプはCOPLAND CSA-303で、パワーアンプは同じくCOPLAND CTA-505である。このペアは実に美しい。

 相当前には日本にも正規に輸入されていたようであるが、輸入代理店が途絶えて久しいようである。

 さらに大川さんのオーディオラックには2台のCDトランスポートと4台のDAコンバーターが並んでいるが、いずれも優れたセンスのデザインがなされたオーディオ機器ばかりである。

 CDトランスポートは、ORACLE CD-2000とKRELL MD-10。受ける印象はかなり異なるが、どちらもフィリップス製のメカを搭載し、トップローディング方式である。

 そしてDACマニアである大川さんは4台ものDACを所有されている。メインで使われているのはZANDEN Model 5000(ORACLE CD2000と接続)とKRELL STEALTH(KRELL MD-10と接続)。

 他の2台は気分を変えたいときに使われるようである。そのサブとしての位置付けの2台は、WADIA 12とJOB DA96であった。

 「あった」という過去形になっているのは、小型でいかにもJOBらしい「必要最小限」という凝縮された美しさを提示していたDA96が姿を消して、新たなDAコンバーターが設置されていたからである。

 そして今日の主人公はこの新しいDAコンバーターである。「新しい」と言っても最新の機器ではない。この部屋においての「新参者」という意味合いのみで「新しい」のである。

2018/4/26

4426:乗り味  

 「裏子の権現」を下り終えて飯能駅方面へ向かって走った。メンバーの一人が「子の権現」の激坂で脚を攣ってしまったので、帰路も巡航速度は抑えめであった。

 このコースであれば上り返しがないので脚にかかる負担も大きくはない。しかし、峠はないけれど時折緩やかな上りは出てくる。

 激しく攣った後は緩やかな上りでも負担が大きい。そういったエリアではペースをぐっと落とした。

 飯能市の市街地を抜けて、八高線に沿った長い上りを走っている時であった。ここは緩やかない上りが1kmほど続いている。

 ゆっくりとしたペースで走っていると、リーダーから「行ける人は先にいちゃって・・・車が抜きずらいから・・・」との指示が出た。

 「どうしようかな・・・誰かが先に出たら付いていくかな・・・」と思っていたところ、一人のメンバーが猛然とダッシュして前に出ていった。

 「えっ・・・そういう展開・・・?」と思いながら、私もペースを上げて前に出いった。斜度は3〜4%ほどであろうか・・・・

 最初にアタックしたメンバーの背中は随分と遠かったが、一緒に追いかけたメンバーの後ろに付かせてもらってその間合いを徐々に詰めた。

 後ろからもう一人のメンバーがペースをぐいと上げてさらにその間合いを詰めていった。私はさっと乗り換えてその後ろに付いた。

 ようやく最初にアタックしたメンバーをかわし、頂上が見えた段階で後ろに付かせてもらっていて脚が残っていたのでスパートした。

 なんだか「笹仁田峠」でのスピードバトルのような展開であった。ちょっと予定外のバトルであったが、今日の二度目のもがきであった。

 「やっぱり激坂系ではなく、スピード系バトルのほうが楽しいな・・・」そんなことを思いながら帰路を進んでいった。

 すると狭山湖に到着した。ここまで来るともう「ホームタウン」という感じでほっとする。さらに多摩湖まで行ってから、私は本隊から離脱した。

クリックすると元のサイズで表示します

 今日はこの後杉並区の方に出かける必要があったので、自宅に帰りついてシャワーを急いで浴びた。

 さっぱりと汗を流し去ってから、BMW523iに乗り込んだ。エンジンスタートボタンを押して、電子式パーキングブレーキを解除してから走り出した。

 しばし、走った。そして思った。「BMW523iの乗り味は、カンパニョーロ ボーラ・ウルトラ+ヴィットリア コルサ スピードの乗り味と実に似ている・・・」

 どちらも実にラグジュアリーである。体に心地いい。特に激坂ライドの後の疲弊した体にはこの上質なラグジュアリー感は嬉しいものである。

2018/4/25

4425:願い事  

 前を行くメンバーの背中を追うのはローディーの習性ではあるが、それは斜度がある一定の範囲内に収まっていることが前提条件となる。

 子の権現の終盤の斜度はその範囲を大きく逸脱していた。体感的には15%以上あると思われるような斜度の激坂が最後まで続いている。

 前を行くメンバーの背中を視界に納めると、その背中と同時に激坂が目に入ってくる。その風景は気持ちを大きく抑圧する。

 結局追いつくことはできずにゴール地点である子の権現の駐車場にたどり着いた。すぐさまKuota Khanから降りて、座り込んだ。

 激坂は足を着かずに上りきるだけでもしんどい。「激坂バトル」はしんどいを通り越して過酷とも言える。そんな過酷な時間を過ごして、体は疲弊しきった。

クリックすると元のサイズで表示します

 「子の権現」は足腰の守護で有名である。チームでは毎年「初詣ラン」で来る。メンバー全員がゴールしてから、今日もロードバイクを手で押しながら、「初詣ラン」の時と同様に本殿に参拝した。

クリックすると元のサイズで表示します

 晴天に映える本殿は厳かな雰囲気。建物の中では祈祷が行われているようで、太鼓の音が盛大に響き、読経の声が朗々と響いていた。

 そんな本殿に向かって願い事を心の中でつぶやいた。

 「Mt.富士ヒルクライムで自己ベスト更新できますように・・・」

 「いや待てよ・・・『できますように』という未来形ではなく『できました・・・ありがとうございました』という完了形で言わないと、現実化しないということを何かの本で読んだな・・・じゃあ、完了形でもう一度言ってみるか・・・しかし、待てよ、まだ実現していないことを完了形で言うのは、結局のところ「嘘」をつくことになる・・・神仏に対して「嘘」をつくとばちが当たるのでは・・・」

 結局普通に願い事をした。お賽銭は100円を奮発。参拝の後は境内にある金色の巨大なわらじの前で記念撮影を済ませて、「裏子の権現」とチーム内で呼んでいる道を下った。

 その斜度はちょっと笑いが出るくらい急である。下っていくと後輪が浮いてしまうのではないかと恐怖心が生じるエリアがある。

2018/4/24

4424:たい焼き  

 天目指峠の峠道は鬱蒼とした木々に囲まれていた。そして結構斜度が厳しい。実は天目指峠はいつも「通過点」として上ることが多いので、目一杯の出力で走ったことはない。

 今日もこの後に「子の権現」の激坂が待ち構えているので、脚を使い切らないように抑えめの走りであった。

 「結構斜度がありますね・・・」「サイコンを見ると12%ぐらいですね・・・」そんな会話を交わしながら上っていくと、ようやく頂上に達した。

 峠の頂上には東屋がぽつねんと建っていた。そして峠の名前が書かれた白い道標があった。その道標にKuota Khanを立てかけて、記念撮影を済ませた。

クリックすると元のサイズで表示します

 そしてその向こう側へ下っていった。しばし下ると「子の権現」への上り口に着いた。毎年「子の権現」には冬に来る。

 今日は「暖かい」を通り越して「暑い」と思える気温である。冬の寒々とした風景とは少し違った雰囲気をたたえていた。

 上り口で一息入れてから、いよいよ厳しい坂へ向かって走り出した。身長が181cmと高いため体重が他のチームメイトに比べて重い私にとって「激坂」はやはり苦手である。

 「子の権現」は、厳しい坂が緩むことなく最後まで続く。いやむしろ最後に向かてさらに斜度が厳しくなるようなところがある。あんこが尻尾まで詰まった「たい焼き」のような激坂である。

 序盤はなるべく抑えめに走った。「2kmほどはできるだけ抑えて走り、体的にとても厳しくなる残り1kmでどうにかペースを上げることができれば・・・」と思っていた。

 導入部は比較的優しい。そして導入部を過ぎると斜度がぐっと上がっていく。「無理のないペースで・・・」と自分に言い聞かせた。

 最初の1kmはほぼ予定通り。それほど体に負荷をかけずに走った。心拍数は170台前半で推移していた。

 「このくらいの負荷であれば終盤まで脚はもつはず・・・」と思っていた。この辺りでリーダーがペースを上げて前に出ていった。

 その後ろを5名ほどの集団で走った。ここからはサバイバルである。集団のペースも少しづつ上がっていく。

 すると170台前半だった心拍数は徐々に上がっていき180に近づいていった。「180を超えると終盤の脚が厳しくなるな・・・」そうは思ったが、ここで緩めるとあっという間に集団から切れてしまう。

 のこり1kmあたりとなった。後方から「190・・・!」という声が聞こえた。すぐ後ろを走っていたメンバーが自分の心拍数を思わず声にしていた。

 私の心拍数はさすがに190まではいかないが182を示していた。脚が限界に近づいていた。集団は残り1kmあたりから縦に長くなった。

 私の前には2番手と3番手のメンバー背中があった。リーダーの背中はすでに視界にはなかった。

 すぐ前のメンバーの背中とは50メートルほど開いてしまった。残り距離は1kmを切った。その斜度は相変わらず厳しい。その厳しさは体の芯にぐさぐさと刺さるようであった。 

2018/4/23

4423:喫茶店  

 10台のロードバイクは走り始めた。今日の天気予報は晴れ。予想される最高気温は28度。場所によっては30度を超えることもあるという。4月としては異例の暑さとのことである。

 子の権現には山王峠、天目指峠を経由するコースで行くことになった。多摩湖サイクリングロード、旧青梅街道そして岩蔵街道と走っていった。

 Kuota Khanは決戦用ホイールとして購入したボーラ・ウルトラを履いていた。さらにそのホイールにはヴィットリアのコルサ スピード(チューブラタイヤ)が装着されていた。この両者の組み合わせにより乗り味は一気にラグジュアリーなものになり、心地よく走ることができた。

 10両編成のトレインはいつもよりもペース抑えめで走った。天気予報どおり天気は良く、気温もこの時期としては高かった。

 前回のロングライドではつけていたレッグカバーはしていなかった。この時期であればレッグカーバからニーカバー、そして装着なしと段階的に夏仕様に向かうが、今日は一気に夏仕様となった。

 岩蔵街道を走っていって圏央道の下を潜った。さらに走り、笹仁田峠の緩やかな上りを越えてから下った。

 岩倉温泉卿へ向かう細い道に入り込むと結構な台数の車が信号待ちで止まっていて、普段よりも随分後方でトレインは停止した。

 すると道の右手に大きな屋根を持つ山小屋風の洒落た建物の喫茶店が視界に入った。「CAFE YUBA」という名前の喫茶店であった。

 「こんなところに喫茶店なんてあったかな・・・?」と思った。そう思ったメンバーも多く、止まりながらそういった会話となった。いつもはさっと通り過ぎるエリアなので気付かなかったようである。

 そういえば、何度もロードバイクで走りすぎている岩蔵温泉にも浸かったことがない。「日帰り入浴サービスもあるようだから、家族を連れてきてもいいかな・・・そして、この『CAFE YUBA』に立ち寄ってみようかな・・・」そんなことを思った。

 岩蔵温泉郷を抜けて少し走るといつも休憩する「ファミリーマート飯能上畑店」に到着した。晴天に誘われたのであろう今日は多くのローディーを見かけた。この店にも先客がいたので、いつものバイクラックではなく店の前のガードレールにロードバイクを立てかけた。

 補給食を購入して店の前のベンチに座って食べた。ここは日当たりが良い。冬は嬉しいが、今日は少々暑かった。

 コンビニ休憩を終えてリスタートした。山王峠をゆっくりと越えた。県道に入り、名栗川に沿って山間の道を気持ちよく走っていった。

 ここまで来ると信号は滅多にない。ノンストップに近いかたちで進んだ。とあるポイントで右折すると「天目指峠」に繋がる道であるが、その右折ポイントは少し分かりづらい。

 天目指峠には稀にしか来ない。「アマメザストウゲ」という名前からするとなんだか華やかなイメージを抱いてしまう。

 しかし、その峠道は鬱蒼とした木々で囲まれていて、頂上からの眺望も良いわけではなく、割と地味な印象しかなかった。

 その「天目指峠」へ向かう道に向かって右折した。上り始めてすぐ左側に喫茶店が見えた。「こんなことろにも喫茶店が・・・きっと窓から見える景色が良いんだろうな・・・?」と思いながら先へ進んだ。

クリックすると元のサイズで表示します

2018/4/22

4422:ラグジュアリー  

 今日のロングライドは「30周年記念ラン」ということで、チームにとっての「聖地」である「子の権現」へ行く予定であった。

 お世話になっているバイクルプラザが開店してから今年でちょうど30年とのこと。30年前、私は25歳。会計事務所に勤務して忙しい日々を送っていた。ちょうどバブル最盛期で、こなしてもこなしてもいくらでも仕事があった時代である。

 今日は私にとってもちょっとした記念ランであった。それは「初カーボンホイール」&「初チューブラタイヤ」ランであったからである。

 決戦用ホイールとして今年の3月に購入したのはカンパニョーロ ボーラ・ウルトラ(チューブラ用・ダークラベル)である。これに合わせたタイヤはヴィットリア コルサ スピード。

 フロアポンプで空気を入れる際、タイヤに記載されている空気圧の数字を確認した。とても小さなサイズであった。

 「8.14BAR」と書いてあるように思えた。「随分細かな設定だな・・・」と思ったが、もちろんこれは勘違いであった。正しくは「8-14BAR」であった。

 とりあえず空気圧は「8」に合わせた。(バイクルプラザに着いて勘違いであることを教えてもらい「9」まで上げた。)

 いつものように「はやく起きた朝は・・・」を観終わってから朝の7時に自宅を後にした。多摩湖サイクリングロードを走っていった。

 集合場所であるバイクルプラザまでは7kmほどの距離がある。その道を走りながら、まずはチューブラタイヤの乗り味の柔らかさに感心した。

 そしてカーボンホイールのボーラ・ウルトラは、極めてロスなく回る感覚であった。無駄がまったくなくすいすい進む感じは「やはり良い・・・」と思わず目尻が下がった。

 そしてブレーキ音であるが、心配されたブレーキ鳴りは一切なかった。そして文字で表記するのが難しいが「ヒュルルッル〜」といった感じの独特のブレーキ音が耳に心地よかった。

 ヴィットリアのチューブラタイヤの乗り心地、ボーラ・ウルトラの軽くロスのない回転、そしてその独特のブレーキ音・・・その三つが重なるととても「ラグジュアリー」な質感になる。

 この「ラグジュアリー」感は、走っている間ずっと続いた。普段使っているフルクラム レーシングゼロ+コンチネンタル グランプリ4000の乗り味に関して特に不満があるわけではなかったが、ボーラ・ウルトラ+ヴィットリア コルサ スピードの組み合わせを体験すると、「結構違うものだ・・・」と認識を新たにした。

 今日の記念ランの参加者は10名であった。そのロードバイクの内訳はORBEAが4台、Ridleyが2台、Kuotaが2台、そしてCOLNAGOとLOOKが1台づつであった。

 10台のうち私のKuota Khanを含め5台のロードバイクにはカーボンホイールが装着されていたので、あちらこちらからあの独特なブレーキ音が今日は聞こえた。

2018/4/21

4421:試し履き  

 決戦用ホイールとして、カンパニョーロ ボーラウルトラを今年の3月に購入した。チューブラタイヤ用である。

 これを装着して、今年のMt.富士ヒルクライムなどのヒルクライムレースに臨む予定である。普段のロングライドは今までのフルクラム レーシングゼロを使うので、使用頻度は年に数回といったところ。

 ただし、レースで初めて使う「ぶっつけ本番」ではなく、事前に1,2度使ってみたほうがいいとのアドバイスをいただいたので、4月のロングライドで一度使ってみようと思っていた。

 タイヤはチューブラであるので、もしもパンクした場合に備えて、予備のタイヤを購入して持参する必要があった。

 その予備のタイヤとタイヤレバーそしてそれらを格納するサドルバッグをバイクルプラザで購入した。

 これを現在クリンチャータイヤがパンクした場合のチューブなどが入っているサドルバッグと交換すれば、チューブラタイヤを使用する場合の態勢が整う。

 あともう一点、カンパニョーロのボーラ ウルトラを使用する場合には変更しなければならないことがある。それはブレーキシューである。

 カーボンホイール用にはそれ専用のブレーキシューが必要であり、純正品がホイールに付属している。

 その純正品にアルミホイール用のブレーキシューから交換した。ホイールに付属しているブレーキシューは接触面が赤い色であった。

 カーボンホイールはアルミホイールに比べ、熱を持ちやすくブレーキの制動にやや難点があるとのこと。最新のものはかなり改善されてきているようであるが、そのブレーキの効きの違いにも慣れておく必要がある。

 ロングライドでチームメイトが使っているカーボンホイールのブレーキ音は独特である。制動力はやや劣るのかもしれないが、その音はなんだか高性能感が溢れている。

 ただし、それはブレーキシューの位置がきっちりと合っている場合のこと、微妙にずれていると高性能感が溢れるブレーキ音ではなく、耳をつんざくようなブレーキ鳴りが出る場合がある。

 そういうブレーキ鳴りが出てしまう場合には、トーインなどの角度や取り付け位置を調整する必要がある。

 今日はブレーキシューをカーボンホイール用のものに交換してから、レーシングぜロを外してボーラ ウルトラを装着した。

 さらにサドルバッグをチューブラ仕様のものに交換した。これでボーラ ウルトラ初使用の態勢は整った。

 明日のロングライドが初お披露目となる。明日は「激坂四天王」の一角を占める「子の権現」へ行く予定である。

 軽くなったホイールがその実力を発揮してくれるといいのであるが・・・今日は午前中に3時間ほどテニスしたので、脚には少し疲労感がたまった。

 ホイールが軽量化された分とテニスをしたことによる脚の重さがちょうど相殺されて、普段通りのスピードしか出ないかもしれないが、ボーラ ウルトラの初仕事に期待感が高まる。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ