2018/2/16

4357:オブジェ  

 「これですか・・・パイオニアのプリアンプ・・・良いデザインしていますね・・・この時代の日本の製品らしく、気合がしっかりと入っていますね・・・」

 大川さんは、リスニングルームの右側に三つ並んだYAHAMA GTラックの真ん中の上段、一番目立つ場所に置かれたパイオニア C21を見てそう言った。

 「Model7の代役でお借りしているのです・・・Model7ほどには音楽を歌わせることはありませんが、良い仕事してますね・・・という印象を持ちます・・・特にフォノイコライザーの実力は、その当時の販売価格が5万円とはおもえないようなものです。あと、スイッチやノブの触感が良いです・・・軽々しさがまったくないです。」

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 私は大川さんにリスニングポイントに置かれているイージーチェアを勧めながら、そう答えた。

 大川さんは、そのヴィンテージのイージーチェアをしげしげ眺めながら、「これは、誰のデザインですか・・・?」と訊いた。

 大川さんのリスニングルームには、ハンス・J・ウェグナーがデザインした3人掛けのソファであるGE236がリスニングポイントに置かれていた。

 デンマーク製のヴィンテージ家具に興味を持たれている大川さんは、我が家のリスニングルームに置かれているイージーチェアに興味を持たれたようである。

 「これは、アルネ・ヴォッダーがデザインしたものです。チーク材を使っていて、このアームの造形が素晴らしいので、一目ぼれしました。アームがジェット機の翼のような形状をしているのです。」

 例の「額縁」が入ったトートバッグは、部屋の外に置かれていた。その状態でCDで2曲とレコードで2曲聴いた。

 CDはショスタコービッチの交響曲第5番第4楽章とブルックナーの交響曲第7番第1楽章、そしてレコードは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲第1楽章とハイドンのチェロ協奏曲第1番第1楽章である。

 「C21のフォノイコ、良いですね・・・まあ、この時代はアナログしかない頃ですからね・・・力の入れ方が違いますね・・・」

 4曲を聴いた。1時間近い時間が経過した。そして例の物体が入ったトートバッグがリスニングルームに招き入れられて、取り出された。

 エアパッキンが取り外されて「額縁」が姿を現した。その姿は少々異様なものである。現代美術のオブジェのように見えなくもない。つまり、意味不明な形状をしているのである。

 その名称の通り額縁状のそのアイテムはリスニングポイントンの背後にあるアップライトピアノの向こう側の壁に設置された。

 重量は軽く、背後にひもがついているので、壁にピンをさしてそれにひもを引っ掛けると簡単に設置できた。



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