2018/2/8

4249:KRELL  

 JR中央線の国立駅を降りると「大学通り」と名のついた大きな通りがまっすぐに伸びている。その通りは立派な桜並木になっていて、花の季節には淡い桜色に染まる。

 そのメイン通りを中央として放射線状にサブの通りがやはり同じくまっすぐに伸びている。街がしっかりとした都市計画に基づいて作られたことが窺える。

 そのせいか、住所も分かりやすい。「西」「中」「東」・・・その意味するところが明快な住居表示である。

 グールドさんのお宅は、その国立市の「西」にある。国立駅を背にして右斜めに向かって真っすぐに続いている道を歩いて行った。

 その通りにはほぼ同じくらいの間隔で枝道が生えている。その枝道もまっすぐに続いていて、その多くが一方通行になっている。

 その中の一つの道に向かって右折した。駅からは15分ほど歩く必要がある。日中は太陽が陽光を降り注いでいるので、それほどは寒くなかった。

 国立は高級住宅地であり、綺麗な家が立ち並んでいた。しっかりと歩いて多少足が疲れた頃合いにグールドさんのお宅に到着した。

 グールドさんのお宅は設計士に依頼して建てられたもので、優れたデザイン性を有している。外壁は濃いめの茶色に塗装されている。全体はスクエアな形状のシンプルなものであるが、所々に優れたデザインセンスをうかがわせる。

 その家の一つの部屋はオーディオ専用に充てられている。部屋は4対3ぐらいの比率の長方形をしていて、8畳ないくらいの広さである。

 グールドさんはKRELL好きである。ただし現在のKRELLではない。「今のKRELLはもうKRELLではないですから・・・」とグールドさんはスパッと切り捨てられているようである。

 そのKRELLラインナップは、CDプレーヤーがCD-DSPで、プリアンプはKSL-2、そしてパワーアンプがKSA-150である。

 この時代のKRELLにはあまり詳しくないので不確かであるが、これらはほぼ同じ時代のKRELLのように思われる。

 それらの渋い色合いとデザインのKRELLのオーディオ機器たちは、分厚いガラス製の棚板が印象的なMUSIC TOOLS製の3段ラックに納められていた。

 そしてその3段ラックを真ん中にして、両サイドには、Wilson AudioのCUBが、サウンドアンカー製の専用のスピーカースタンドに乗せられ設置されていた。

 「CUBは絶対にオリジナルです・・・MK2にはがっかりしました・・・」と、グールドさんは初代CUBに対する思い入れが強いようであった。

 グールドさんは木曜日と日曜日、仕事が休みである。今日は国立市にあるクライアントに寄る予定があり、その約束の時間は午後5時であったので、3時にグールドさんのお宅に立ち寄って、2時間ほどかけて、とある「実験」をグールドさんのリスニングルームで行う予定であった。

 その実験のための道具は書類カバンとは別の薄い布製の手提げカバンの中にひっそりとしまわれていた。

2018/2/7

4348:キドニーグリル  

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 昨年フルモデルチェンジされたBMW 5シリーズを、街中で見かけることが多くなってきた。私が乗っている先代の5シリーズと比べると、デザインの大きな変更点はなく、基本的にキープコンセプトなフルモデルチェンジであった。そのため、一気に先代モデルが古くなってしまうことはなく、少しほっとしている。

 遠目にはマイナーチェンジぐらいにしか思えないのは、先代のオーナーにとっては、心理的な救済感が大きいのである。

 今のBMW 523iの前に乗っていたMERCEDES-BENZ E350の時は、購入して2年後にマイナーチェンジが行われた。

 マイナーチェンジ前までのEクラスを特徴付けていた独立4灯ヘッドライトが廃止されて、グリルも真ん中に巨大なスリーポイントテッドスターが据えられたスポーツグリルが標準になった。

 その時はマイナーチェンジなのにどう見てもフルモデルチェンジとしか思えないようなフロントマスクの変わり具合に「なんだよ・・・これ・・・まるでフルモデルチェンジみたい・・・」と、言葉を失った。

 新型5シリーズのフロントマスクにはそれほど大きな変更はなかったが、ヘッドライトとBMWを象徴するキドニーグリルとの関係は、やはり少し変わった。

 ヘッドライトがキドニーグリルと繋がっている。先代モデルでは適度な空間が保たれていたのであるが、その空間はすっかりと放棄された。

 これについては、「なんで繋げるのかな・・・」と、個人的にはあまり好ましく思っていない。

 「でも、これがしばらくはBMWデザインの潮流となって浸透していくのだから、目を慣らしていくしかないか・・・」

 と、新たな潮流に身を任せたほうが得策と判断していたが、少し前に開催されたデトロイトモーターショウで正式発表されたX2の写真を見て、少し意外に感じた。

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 ヘッドライトとキドニーグリルのと間にはしっかりと空間が確保されていた。そしてX2のキドニーグリルの形状は下に向かって広がっていく形状になっている。

 これが今後のBMWのデザインの流れなのであろうか・・・X2は今のところBMWの最新モデルであるので、その可能性は高いような気がしている。

2018/2/6

4347:POLO  

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 事務所の営業車としては、Bセグメントに属する5ドアハッチバックを採用してきた。初代はトヨタ ヴィッツ、2代目はマツダ デミオ、3代目がニッサン マーチであった。
 
 そして7年前に4代目の営業車としてVW POLOが採用された。そのPOLOが今年の9月に3回目の車検を迎えるので、買い替えを検討している。

 その本来の目的からすると5代目となる営業車もBセグメントから選択するのが無難と思われた。

 しかし、Mercedes-BenzのNEW A-CLASSの情報を先日見て「これは新しい・・・良さそう・・・」と思った。

 「一つセグメントを上げてCセグメントから選んでもいいかな・・・」とは以前から思っていたので、「A-CLASSという選択肢もありかな・・・」と考えた。

 しかし、「営業車としては豪華すぎるし・・・POLOよりはかなり価格も高くなるだろう・・・やはり、ちょっと無理があるか・・・」と思い直しているところである。

 そういったこちらの心理を見透かしているかのように、今日帰宅するとPOLOの簡易なカタログがVW 小平の封筒に入って届けられていた。

 その封筒には「POLOのオーナー 様へ」と書かれており、担当の営業マンが車で自宅まで来てポストに入れていったもののようである。

 カタログと言っても簡易なものであり、実際に正式販売される際に配られるものではない。表紙にはオレンジ色のPOLOが載っていて、このカラーが今回のイメージカラーなのであろう。

 新型POLOのデザインはキープコンセプト。現行型から大きく舵を切ることはなかった。全体のプロポーションは、ワイド・アンド・ローになって、より安定感が増した。

 様々なラインは実に歯切れよく、全体的にきりりとした清潔感に溢れている。サイズは確実に大きくなっているので、実車を見たならば、写真で見るよりも堂々した印象を受けるのかもしれない。

 カタログに載っている内装写真は、VWらしく分かりやすいシンプルな操作系でまとめられている。

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 そのうえで、デザインはより若々しくなっている。ナビの画面が現行型よりも高い位置に移されて、視認性を高めているのも好印象である。

 気になるのはエンジンである。今回主力となるエンジンは、排気量は1.0Lで、3気筒エンジンである。

 きっとパワーに関しては不足感はないであろうが、3気筒エンジンと聞くと、音や振動面において多少心配になる。

 BMWも1.5Lの3気筒エンジンを1シリーズやMINIに搭載しているが、その印象はそれほど良いものではなかった。

 実用的で燃費が良いと割り切れば、3気筒エンジンは利点が多いが、回転数が上がった時にそのサウンドが多少がさついて、振動も大きくなる傾向があるはず。

 新型POLOの3気筒エンジンがどこまでその欠点を克服しているのかが気になるところである。VWの秘術力をもってすれば、そのあたりもきっちりと克服できているのかもしれない。
 
 現行型POLOの1.2Lエンジンは4気筒である。その質感は心地よいもので、出来が良かった。新型エンジンは排気量が0.2L減り、気筒も一つ減る。ダウンサイジングが上手くいっているのか・・・それが大きな決め手になりそうである。

2018/2/5

4346:Aクラス  

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 メルセデスベンツは2月2日、オランダ・アムステルダムにおいて、新型『Aクラス』を発表した。

 現行Aクラスは3世代目モデルで2012年春、ジュネーブモーターショーで初公開された。その3代目からは、初代や2代目と違い、VW GOLFと真っ向勝負するかのような正統派ハッチバックデザインを採用した。

 この現行Aクラスは、販売面でも大きな成功を収めた。日本でも一気にメルセデスベンツの販売台数を押し上げる効果をもたらし、VWが不正問題で躓いているすきに、一気に販売台数で抜き去ったのである。

 そのAクラスが、およそ6年ぶりにフルモデルチェンジし、4世代目モデルが登場した。新型Aクラスのフロントマスクには、先だって発表されたCLSと共通するテイストでまとめられている。

 かなりすっきりとクリーンな造形に変更された。ヘッドライトやテールランプには、最新のLEDテクノロジーがしっかりと組み込まれ、どこかしたAudiを思わせるきりっとした表情は、かなりクール・アンド・モダンなテイストである。

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 外観と同様にインテリアも変わった。新型Aクラスのインテリアには、コックピットの上のカウルを完全に無くしたデザインを導入している。

 円形の空調吹き出し口のデザインや3本スポークのステアリングホイールは、最近のメルセデスベンツ・デザインの特徴である。

 インテリアの特徴である横長の液晶パネルはやはりインパクトがある。SクラスやEクラスに近い質感をこの新しいAクラスは手に入れている。

 その姿はかなり近未来的である。これに慣れてしまうと従来型のインテリアが一気に古臭く感じられるのかもしれない。
 
 エンジンで主力となるのは、新開発の「M282」型1.4リットル直列4気筒ターボ。最大出力163hp、最大トルク25.5kgmで、7速デュアルクラッチトランスミッションが組み合される。

 「かなり気合が入っている・・・商品力が半端なく高そう・・・」メルセデスベンツの本気具合がひしひしと感じられる新型Aクラスである。 

 日本に入ってくるのは今年の年末頃であろうか・・・・今年の夏に3回目の車検を迎えるPOLOは、夏前に正式発売される予定の新型POLOへの買い替えが最有力であったが、3回目の車検をあえて通して、Aクラスを待つという選択肢も現実味を帯びてきた。

2018/2/4

4345:薄型  

 この約8畳の広さを持つリスニングルームにある三つのプリアンプは、いずれも薄型の躯体を持ち、色は黒である。

 「プリアンプは薄くなくちゃ・・・そして、パワーアンプはがっしりとした筋肉質でないとだめなんだよ・・・プリアンプで巨大なのはNG。パワーアンプで軽いのもだめ。プリは女性的、パワーは男性的・・・そういった組み合わせがぐっとくる・・・」

 これは、もう何度も耳にしたPaoさんの持論である。なので、Paoさんのリスニングルームにあるプリアンプはどれも薄型である。

 そして、そのデザインも優れたものが集まっている。Mark Levinson NO.26Lは言うに及ばず、YAMAHA C2aもYAHAMAらしい精細な清潔感にあふれている。

 AUREX SY-Λ88Uは、一見茫洋としているが、その実しっかりと計算されたような造形バランスを見せている。

 NO.26Lは二人がかりで丁寧に一旦その場所から取り外されて、リスニングルームの床に着陸した。

 そしてそのぽっかりと空いた空間には、Aurex SY-Λ88Uが据えられて、MITのケーブル類が接続された。

 先ほどと同じマーラーの交響曲第5番第1楽章を聴いた。Mark Levinsn NO.26Lとの対比となるが、パワーアンプがMark LevinsonのNO.27.5なので、相性という点では多少不利になるのかもしれない。

 SY−Λ88Uは、素直なまとまりの良さのようなものを感じる。魅惑的なフレーバーは控えめである。

 歪が少なく、清潔感のある音がする。綺麗に整理整頓されて埃のない部屋のような空気感である。
 
 どこかしら内省的で、豊饒さとは別のベクトルを向いている。無駄のない響きはしっかりとしたサウンドステージを形作り、滲みや曇りがない。

 音艶の発色は控えめで、破綻がなく、耳を刺激するような過度な演出は絶対に出てこない。「理系のまじめな大学生」といった印象であろうか・・・かなりのハイクォリティ・アンプであることはまちがいない。どちらかというとクラシック向きかもしれない。

 第1楽章が終わった。もう一度Paoさんと私で、プリンアンプの移動作業が行われた。次にひのき舞台に立ったのは、YAHAMA C2aである。

 このプリアンプは、実に美しく、様になる。YAMAHA独特のきりっとした精細さが目に心地よく、その周囲の空気感が変わる。

 YAMAHA C2aで聴くマーラーの交響曲第5番は、情緒的なうねりの強弱よりも、空間的な抜け具合が印象的であった。

 相当に物理特性の優れたパーツなどが奢られているのであろう。ワイドレンジでありかつ音の粒立ちが良い。

 マーラーの音楽のどこかおどろおどろしい感覚は出にくいが、すっきりと広がるサウンドステージは「爽やかな青年・・・」といった印象を受ける。

 Paoさんは、比較的短期間の使用でこのC2aを見限ってしまったようであるが、それが分かるような気がした。

 Paoさんは「爽やかな青年・・・」とは真逆な存在であるからである。きっと、深い情念・あるいは怨念といったものまでもを、その音楽からくみ取りたいという場合には向いていないのかもしれない。

 C2aもどちらかというとクラシック向き。特に編成の大きな交響曲や協奏曲が向いている。そして、マーラーよりもモーツァルトのほうが合っているような気がした。

 「どう・・・Marantz Model7を手放す気になった・・・?どっちでも持っていっていいよ・・・7万円で、どう・・・?」

 Paoさんは我が家のオーディオを「骨董趣味」と評して、「もっと新しい機械にしたら・・・?」と口にする。

 確かにヴィンテージオーディオはいろいろ忍耐すべき点が多いのは事実である。しかし、Paoさんのところのオーディオ機器もNS5000を除けば、どれも世間一般的にはかなり古いものばかりである。

 それを指摘すると、「いや1970年代以降のものは決してヴィンテージではない・・・」と反論するのであるが・・・私はひそかに「50歩100歩」ではないかと、思っているのである。

2018/2/3

4344:交響曲第5番  

 Paoさんはマーラー好きである。まず最初に聴かせてもらったのは、マーラーの交響曲第5番の第1楽章であった。

 演奏は小林研一郎指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団である。録音は1999年。情感豊かな雄大な表現が素晴らしい演奏である。

 CANYONの録音も優秀である。ホールトーンを十二分に活かした録音でスケールがとても大きく感じられる。

 マーラーは自分の人生を「足に重い粘土をつけて歩いてきた人生」だと語っているが、その生涯は苦難が多かったようである。

 しかし、この交響曲第5番が完成したのは、音楽家としての成功を収め、美しく教養のある妻アルマと結婚をした1902年である。

 人生の実り多い時代に書かれた交響曲第5番は、マーラーの充実した精神状態が表れているのか、人気もあり演奏機会も多い。

 YAMAHA NS5000は導入から1年以上の時間が経過して、随分と馴染んできたようで、音の角がまろやかになった印象を受けた。

 NS5000は実に透明なスピーカーである。それ自体の色付けが非常に少ないイメージである。送り出しのCDプレーヤーやアンプや個性がそのまま増幅されて出てくる。

 Paoさんの現在のシステムの音はMark Levinson No.26Lが支配しているような気がした。粒子の細かい美音を基調として透明感のある音である。

 美音基調ではあっても、音の芯はしっかりとしていて、存在感が希薄になることはない。低域のグリップも確かでコントラバスの音程は明確である。

 初期のマーク・レビンソンは、その優れたデザインとともにこの音の独特の雰囲気で人気があるのかもしれない。

 「とても、良いですね・・・この時代のレビンソンってなんだか大人って感じですね・・・」

 「そうそう・・・大人だよね・・・懐深い感じ・・・Aurex SY-Λ88 UもYAMAHA C2aも良いプリアンプなんだけど、まじめな大学生って感じかな・・・」

 「そうですか・・・聴き比べてみたいですね・・・マーラーの交響曲第5番の第1楽章で聴き比べてみましょう・・・」

 「そうくると思って、2台とも電源は入れて暖めておいたから・・・」

 「じゃあ、どっちからにする・・・?」

 私はリスニングルームの床に置かれている2台の黒いプリアンプを眺めた。どちらも薄型のデザインで色はブラックである。

 「AurexのSY-Λ88Uからにしましょう・・・」

2018/2/2

4343:ピアノブラック  

 引き戸式の玄関のすりガラスの向こう側に人影が近づいてきた。そしてガラッと乾いた音を発っしてその玄関は開いた。

 「どうぞどうぞ・・・ひさしぶり、1年ぶりくらいかな・・・まだ雪にはなってない・・・?」

 「ご無沙汰しています・・・ちょっと雪が混じり始めましたかね・・・それにしても寒いですね・・・明日の朝、あまり積もらないといいですね・・・」

 と差し障りのない挨拶を済ませて、家の中に入っていった。Paoさんの家は木造で築後50年以上が経過している。

 古い家独特の匂いがした。しばらくすると鼻が慣れて気にならなくなるが、その匂いはどこかしら懐かしいものであった。

 リスニングルームの様子は、1年前に訪問した時と変わってはいなかった。センターラック方式のセッティングで、その縦型の大きめのラックの最上段には、MarantzのCD34が鎮座していた。

 コンパクトな躯体で高級感はないが、アンプ製作で有名な工藤氏により徹底的なモディファイが施されたCDプレーヤーは、「羊の皮を被った狼」と言える。

 「その改良費用だけで100万円は払っているよ・・・4回ぐらいバージョンアップしたからな・・・」とPaoさんは語られていた。

 そのCD34は、どう見てもカッコいいとは思えない小さな座布団のようなインシュレーターの上に、言葉通り「鎮座」していた。

 この少々風変わりなインシュレーターも工藤氏製作のもののようであった。内心「もっとカッコいいものにすればいいのに・・・」と思うが、効果のほどは確かなようであった。

 その下にはMark LevinsonのNO.26Lが置かれていた。フロントパネルは曲線を上手く利用した素晴らしいデザインである。

 ブラックのフロンパネルに白いスイッチやノブ類が実に渋い。中古市場でも未だに人気が高くて、高値で取引されている。

 そのすぐ下にはNO.26Lの電源部が置かれていた。別躯体の電源装置がついていると、SN比の点から有利なようである。

 一番下にはMark LevinsonのNO.27.5の巨体が収まっていた。一番上から下まで、すべてブラックでまとめられていて、統一感がある。

 そして、その魅力的なオーディオ機器が詰まっているラックの左右には、やはり黒い色をした真新しいスピーカーがその威容を誇っていた。

 スピーカーはYAMAHA NS-5000。NS-5000は純正のスタンドの上に設置されてやや内振りがつけられて設置されていた。

 NS-5000のブラックは美しいピアノブラックである。YAMAHAのピアノ塗装の技術がそのまま活かされた塗装は実にゴージャス。

 Paoさんも「音も良かったけど、一番の決め手はこの塗装かな・・・上質なピアノ塗装の黒にはすっかりと魅了されたよ・・・」と話されていた。

 そしてこれらのオーディオ機器を繋ぎ合わせるケーブル類は以前と変わっていない。すべてMITの最初期のものが使われている。

 「CD34で世話になっている工藤氏からは、このケーブル以外使うなとの指示があってね・・・」Paoさんは数年前にそう説明した。

 MITの最初期のケーブルは、最近我が家のリスニングルームでも活躍している。肌色のような独特の色合いが特徴のケーブルである。

 リスニングルームの景色は1年前と変わりがなかったが、リスニングポイント左側の床には2台の黒く薄型のプリアンプがひっそりと置かれていた。

 その2台は、AurexのSY-Λ88UとYAMAHA C2aである。どちらもオーディオが隆盛を誇っていた1970年代から1980年代前半までの期間を代表する日本製のプリアンプである。

2018/2/1

4342:甘泉園公園  

 冷たい雨が降っていた。天気予報では夜には雪に変わるとのことであったが、午後5時半頃ではまだ雪は含まれていなかった。

 新宿区の甘泉園公園のすぐそばにあるコインパーキングに車を停めた。コインパーキングの黄色のラインで区切られた区画にVW POLOはすんなりと納まった。その隣にはMINIの5ドアハッチバックが停まっていた。

 MINIはグレードが三つある。下から「ONE」「COOPER」「COOPER S」である。そのMINIはミドルグレードの「COOPER」であった。

 ボディーカラーはグレーで、屋根とドアミラーはブラックという渋い組み合わせであった。ボンネットのストライプはペイントされていない。

 「大人のMINI」とでも評したい雰囲気に少し見とれた。MINIというと派手目の色合いの組み合わせとボンネットのストライプで目立つことが多いが、それとは逆の方向でMINIの良さをうまく引き出していると思われた。

 甘泉園公園にはテニスコートが2面あるが、人影はなかった。そのテニスコートに隣接する形で遊具がある児童公園がある。

 遊具たちは冷たい雨に濡れて、ひっそりとたたずんでいた。テニスコートと児童公園はこの広い公園の脇に付属していて、その公園の大部分は、回遊式の日本庭園になっている。

 江戸時代から整備された日本庭園は本格的なものであり、その真ん中には大きな池がある。鬱蒼とした木々が周囲を覆っているので、とても静かで、ここが新宿区とは思えないような憩いのスポットになっている。

 Paoさんの自宅はその甘泉園公園に隣接している。自宅の東側が公園になっている。相続で取得し、一人住まいされている自宅の敷地は50坪ほどであろうか。

 木造の家は古く築後50年ほどの年月が経過している。北側は古い中層のマンションが建っていて、南側は教育関連の出版社の社屋がある。東側は甘泉園公園で、西側に道路がある。

 そのため、オーディオの防音ということに関してはそれほど気を使わなくてもいいようである。

 その古い家屋の1階の一部屋がオーディオ専用ルームになっている。広さは8畳ほどであろうか・・・昔は和室であったものをリフォームして洋間に変更したもののようである。

 コインパーキングから歩いて数分でPaoさんの自宅に到着した。昭和の香りが色濃く残る門構えの門扉を開けて、引き戸式の玄関の右わきにひっそりと取り付けられている白い呼び鈴のボタンを押した。

 呼び鈴のコールは3度鳴った。「ピンポン・・・ピンポン・・・ピンポン・・・」そのテンポはゆったりとしていた。



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