2018/2/28

4369:担々麺  

 帰りには、楽しみが待っていた。普段はコンビニで昼食休憩を取るが、今日は気温が低いままであるので、どこか飲食店に立ち寄って昼食をとることになったのである。

 いくつかの候補のうち選ばれたのは「担々麺 杉山」であった。その店名通り、ここは担々麺の専門店である。海老の出汁が濃厚でとても美味しい。

 しかし、その「ご褒美」にありつくには、まだまだ厳しい行程を走り切る必要があった。まずは小沢峠を越えた。

 小沢峠の上りはそれほど長い距離ではないが、バトルモードで上っていくので、当然のことのように、1963年製造の古いエンジンの回転数はすぐさま170を超えてきた。

 脚の余力はほぼ底をついた状況であったから、小沢峠の上りの最終エリアでは、心拍数が178に達し、山伏峠での負荷とほぼ同じ重みとなった。

 ようやく小沢峠を上りきった。その先の小沢トンネルを抜けていって成木街道を走り、途中で右折して松の木トンネルをやり過ごした。

 その後は道なりに青梅方面へ向かって走った。途中2カ所ほど緩やかであるが長い上りを走らなければならず、ない脚を振りしぼってどうにかこうにか上っていった。
 
 ようやくJR青梅線の踏切が見えた。その手前を左折して「担々麺 杉山」を目指した。もう少しである。

 鼻先に人参をぶら下げられた馬のようになって、6両編成のトレインは走った。「担々麺 杉山」は人気があるので、多少並んで待つ覚悟が必要である。「あまり並んでいないといいけど・・・」そんなことを思った。

 店に着いた時には、店の前には2名しか並んでいなかった。その2名もすぐに店内に案内され、我々6名もほどなく、店内に案内された。タイミングがちょうど良かったようである。

 テーブル席に座って待っていると、担々麺が颯爽と現れた。その色合いは鮮やかなオレンジ色。サービスで小ライスも付いてくる。

クリックすると元のサイズで表示します

 まずはスープから・・・海老とゴマの味わいが沁みていて、濃厚な味わい。そして麺へ・・・麺は細麺、もっちり感があり、歯応えが残る茹で加減。スープが良く絡んで一気に食べていく。

 麺を食べ終えると、お楽しみの第二弾。サービスで付いてくる小ライスを残ったスープに入れて、即席雑炊に・・・レンゲでその雑炊を食べると、ガソリンタンクはほぼ満タン。

 食べ終えた頃合いに出される杏仁豆腐でお口直しをして「ご褒美」は完了した。「生き返る・・・」と心の中で溜息を洩らした。

 担々麺の力を借りて、最後の行程を走り終えた。今日のロングライドは平均スピードが速く、かなり良いトレーニングになった。その証拠に自宅にたどり着いた時、右足の太ももが攣りそうにピクピクしていた。

2018/2/27

4368:低調  

 山伏峠の上りは、走り始めはゆったりとしたペースで進んだ。そして少し前まで工事が続いていた擁壁が完成したあたりから、「イーブンペース走行」に移行した。

 「イーブンペース走行」は、ヒルクライムエリアをほぼ同じ負荷で走るもの。平均パワーは230ワットから250ワットに設定することが多い。

 しかし、今日は脚の余力はあまりなく、このところの仕事の忙しさから調子も低迷気味なので、パワーは少し抑えめの220ワットぐらいのイーブンペース走行となった。

 それでも心拍数はするすると上がっていった。調子が良くない時は、パワーが低めであっても心拍数が高くなる。

 今日はそんな感じであった。心拍数は170を超えて175まで上がった。前半は心拍数が175を超えないよう負荷を調整した。

 山伏峠は斜度の上がる箇所が2箇所ある。まずは最初のポイントにさしかかった。ここはパワーを上げないと失速するので、クランクに込める力を少し増した。

 最初のポイントを越えた。斜度が緩むと精神的にほっとする。心拍数は175を超えてきた。180まで達すると、スタミナ切れを起こしてしまう。

 今日は途中から平均パワーではなく、心拍数の数値を見ながら走った。2箇所目の斜度が上がるポイントにさしかかった。

 ここはダンシングでしのぐ感じで上っていった。隊列はすでに随分と長くなり、先頭グループはもうすでに視界から消えていた。

 2箇所目のポイントを越えた。普段であれば、ここからペースを少し上げるのであるが、今日はまったく脚が反応しなかった。

 「かなり、落ちているな・・・」

 「まあ、この時期はしょうがないか・・・」

 「くそっ・・・脚が重い・・・」

 そんなことを思いながら、山伏峠の終盤へさしかかった。心拍数は落ちなかった。サイコンには178ぐらいの数値が出続けていた。

 峠道は木々に囲まれて静かである。ロードバイクの乾いた走行音と自分自身の呼吸音を後方に残しながらゴールを目指した。

 ようやく峠の頂上が見えた。ダンシングに切り替えて、上りきった。ゴールポイントでサイコンのラップボタンを再度押した。

 ラップ計測区間の距離は3.5km。その間の平均パワーは214ワットであった。随分と低い数値である。

 それを見て改めて「かなり落ちている・・・」と少しがっかりとした。確定申告が終わるまではしょうがないが、仕事が一段落したら、6月のMt.富士ヒルクライムへ向かて調子を上げていかないといけない。

クリックすると元のサイズで表示します

 山伏峠の頂上は眺望が良いわけではない。山伏峠と書かれた道標のそばで記念撮影を済ませた。

2018/2/26

4367:ハイペース  

 体が冷えていたので、どうしても暖かいものを補給したかった。選択したのは「ファミコロ」と「カレーチーズまん」。飲み物はホットコーヒー。

 「ファミコロ」は、ポテトの味わいが気持ちをほっこりとさせてくれ、「カレーチーズまん」は何でもあり的な味わいのハーモニーが心地よかった。

 ファミリーマート飯能上畑店は天気さえよければ、店の前に並んだベンチに座っていると、「縁側での日向ぼっこ」気分で過ごせるのであるが、今日は太陽の手助けはまったくなかった。
 
 そのため、あたたかい補給食でひと時体がほぐれたが、時間の経過とともに体の熱はすっかりと奪われてしまった。

 コンビニに着いた時と同様に寒さに体をこわばらせながらリスタートした。山王峠を越えて山伏峠の上り口まで行くコースを選んだ。

 山王峠は短い峠である。普段はメインの峠でのヒルクライムに備えるため緩めのペースで上る。しかし、今日は違った。

 かなりのハイペースで先頭メンバーが引いていったので、隊列を維持しながらそのペースに合わせていった。

 心拍数は170を超えた。呼吸も激しいものに変わった。どうにか山王峠を越えた。「ふ〜」と声を漏らしながら、下りに転じた道に合わせてギアを変えた。

 山王峠を越えると後は名栗川沿いに続く鄙びた風情の県道を走っていく。ここからは信号も少なく走りやすい。

 道は緩やかな上り基調である。いつもよりもペースが速かった。今日は皆「温存」という二文字が頭から消え去っているかのようであった。

 心拍数は150〜160の間で推移していた。脚の余力は走りのペース同様、素早く削られていった。山伏峠の上り口に着いた時には、かなり脚にきていた。

 確定申告業務が始まったこの時期は、仕事がかなり忙しい。継続している定期的なトレーニングもほとんどできていなかった。

 「今日はペースを抑えめで上らないと、体はもたないな・・・」と思った。山伏峠の上り口からはゆるやかに道が曲がって続いている。

クリックすると元のサイズで表示します

 メインのヒルクラムコースである山伏峠は走り慣れた道である。距離は4kmと少し。斜度が厳しくなるポイントは2箇所。それ以外はそれほど厳しい坂ではない。

 序盤はゆったりと会話しながら走った。新しい擁壁工事が終わった箇所を過ぎてから、サイコンのラップボタンを押して「イーブンペース走行」へ移行した。

2018/2/25

4366:決戦用ホイール  

 昨日の土曜日は暖かく春が近いことを思わせてくれたが、今日はまた冬へ一気に逆戻りしたようである。

 天気予報は「今日は、日中でも気温が上がらないでしょう・・・・」と伝えていた。朝の7時にKuota Khanに跨って自宅を後にして、集合場所であるバイクルプラザへ向かった。

 多摩湖サイクリングロードを走った。もうすぐ2月が終わる。ジョギングをしている人の数が少し増えたような気がした。

 バイクルプラザに着いて、メンバーが集まる空き時間を使って、とあるものをリーダーに発注してもらった。

 それはCampagnolo Bora Ultra 35である。チューブラ仕様で、ブラックラベル。今年は決戦用ホイールを購入する予定でいた。

 どれにするか、いろいろと悩んでいたが、定番モデルに落ち着いた。普段のロングなどは今までどおりRACING ZEROを使い、ヒルクライムレースに参加するときのみ、決戦用ホイールを使うのである。

 チームメンバーの多くが複数のホイールを持っていて、そのように使い分けている。私もやや遅ればせながら2種類のホイールを所有する予定となった。

 ホイールはフレーム同様、乗り味に大きな影響がある。より軽く高性能なカーボンホイールがレースにおいて良い影響を与えてくれることを期待したい。

 行先は山伏峠に決まった。普段は山伏峠の先にある正丸峠まで行くことが多いが、正丸峠への道にはまだ雪が残っているようである。

 低い気温のままに固定されたような空気のなかスタートした。空は灰色の雲が覆っていて太陽が顔を出すことはなさそうである。

 太陽が顔を出してくれたなら空気が随分と和らぐはずであるが、今日はどうやら1日こんな空模様のままのようである。

 走り慣れたコースを走った。旧青梅街道、岩蔵街道と走っていったが、空気は冷たく体が全然暖まらなかった。

 岩倉温泉郷を抜けるあたりから気温がまた一段と下がった。いつも休憩するファミリーマート飯能上畑店に立ち寄った。ここは店の前にサイクルラックがある。そのサイクルラックにはハンドル位置が交互になるようにロードバイクが掛けられた。

クリックすると元のサイズで表示します

2018/2/24

4365:対話  

 リスニングポイントに置かれている座面が少しくたっとして柔らかな座り心地になっている黒い革のソファに座った。
 
 最初にかかったのは、ショスタコービッチの交響曲第5番の第2楽章であった。「おっと・・・奇遇だ・・・」と心の中で独りごちた。

 実はエム5さんのご自宅に来るまでに、車の中で聴いていたのが、シュスタコービッチの交響曲第5番であった。

 EMM LABSのトランスポートに収納されて高速で回転していたのは、ドミトリ・キタエンコ指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の演奏した盤であり、私が車の中で聴いていた演奏者のものとは違う。

 この盤はCD、SACD 2CH、SACDマルチが入っているハイブリッド盤である。聴かせていただいたのはSACDマルチであった。

 SACDマルチは実に盤石な構えで、揺るぎがほとんどない。音のリアルさに対する掛値なし具合が非常に高い。目をつぶって聴いていると、座っている革のソファの座面がさらに3cmほど沈み込んでいくような感覚にとらわれる。

 作り物に対する違和感、つまり「腑に落ちない・・・」という感覚がないので、「落ちてしまう」のであろうか・・・

 そんなエム5さんのリスニングルームでのSACDマルチの凄さは前回訪問時でも経験済みであり、それは前回の訪問から1年を経過した今回も変わりがなかった。

 エム5さんは「今は2CH再生にも力を入れているんです・・・」と話されていた。その後は、SACDマルチとともに、CDやSACD 2CHもいろいろと聴かせていただいた。

 そんななかで強く印象に残ったのは、次の3枚のソフトであった。

 1枚目は、白井光子のメゾソプラノ、ヘルムート・ヘルのピアノ伴奏でのブラームスの歌曲集のCD。レーベルはCAPRICCIO。1987年の録音である。

 「六つのリート」から「野のさびしさ」を聴きながら「沁みる・・・実に沁みる・・・」と心の声が思わずこぼれた。

 齢50を数年過ぎて、人生の折り返し点をとっくに通過し、過ぎし方を振り返ることの多くなった初老の男性の心には実に沁みる・・・長い年月において少なからず傷も負い、皺を刻んできた心には、じわじわと沁みる音楽である。

 2枚目はエフゲニー・スドビンのピアノ、オスモ・ヴァンスカ指揮ミネソタ管弦楽団の演奏によるベートーベン ピアノ協奏曲第4番・第5番。

 レーベルはBISで、こちらはSACDである。ベートーベンの5曲のピアノ協奏曲の中で、一番有名で演奏機会の多いのは第5番「皇帝」である。

 第5番が華やかで壮麗なイメージであるのに対して、その一つ前の第4番はどちらかというと地味なイメージがある。しかし、第4番は個人的にはとても好きな曲である。

 その第4番の第2楽章を聴いた。この第4番は、どこかしらベートーベンの心の揺れのようなものが感じられる。この曲からは難題に立ち向かう強靭なベートーベンではなく、人間が本来持っているもろさや弱さを謙虚な心持で表出しているような印象を受けるのである。

 特に第2楽章は、オーケストラとピアノが対話する形で曲が進む。第2楽章のその対話を聴いていると、べートーベンがより高い存在との対話を通して癒されているかのような展開を感じる。

 オーケストラがより高い存在として問いかけや励ましを語り、ピアノがべートーベンの内面の返答のように聴こえる。

 その演奏を聴き終えて「良い録音と演奏ならCDもSACDも関係ないですね・・・」とエム5さんとしみじみと語った。

 そして、もう一枚強く印象に残ったのは、私が自宅から持ち込んだグレン・グールドのピアノによるバッハのゴールドベルグ変奏曲のCDである。

 これはCDが最初に世に出た時に出されたCDの中の一枚である。当時の定価は3,800円であった。人気があったので、その後度重なり再販された。

 そのCDを聴くと「神がかっている・・・」という言葉が自然と漏れる。そこには自由があり、救いがあり、なにものかからの開放が強く表出されているように感じられる。

 グレン・グールドは様々な奇行で有名で、いわゆる「自閉症」的な性格の持ち主であったが、この演奏においては、その内面がまったく別の次元に浮き出てしまっているかのように感じられる。

 この「解放感」は、再販盤だと希薄になってしまう。CDもレコードと同じように盤によって音楽の濃淡が如実に表れるようである。

 時間にして2時間ほどの滞在であったが、実に濃厚な経験であった。B&Wのスピーカー群はウーファーが馴染み、部屋とのマッチングも進み、システム全体の熟成度が増したようである。それはCDであれSACDであれ、2CHであれマルチであれ、音楽の表情が豊かになったことからも感じられた。 

クリックすると元のサイズで表示します

2018/2/23

4364:退避場所  

 「ピアノの上の壁にかけているもの何なの・・・気味が悪いから外してくれないかな・・・ピアノを弾いていると視界に入るから嫌なんだけど・・・」

 と妻からやや怒気の籠った言葉が放たれた。

 「しまった・・」と内心の言葉が漏れ出た。

 「ああ、あれね・・・ちょっと借りた物で・・・すぐに場所を移すから・・・」と答えて、リスニングルームに向かった。

 妻のひんしゅくを買ったのは、大川さんが先日我が家のリスニングルームに持ち込み「2週間ほどお貸ししますよ・・・それで効果が十分あると確信されたら、購入されたらどうですか・・・?一般受けするものではないですし、こういった外観ですから・・・しかも、けして安いものではないですからね・・・」と言ってくれて、しばしの間お借りすることとなった「額縁」である。

 これはまだ一般に市販されているものではなく、あくまで試作品であるが近い将来に製品版が販売される予定のものである。

 「額縁」をリスニングルームのいずれかの壁に設置すると、聴感上リスニングルームのすべての壁が後方に下がったような感覚がもたらされるというものである。

 つまりリスニングルームが広くなったかのように感じるのである。理論上はどう考えても意味不明の「とんでも商品」なのであるが、実際に試してみると確かに効果がある。

 大川さんは「クリアでクリーン」な質感に音が変わると表現された。私はリスニングルームが一回り広くなった様に感じた。

 設置する場所はどの壁でもいいとのことであったが、なんとなくリスニングルーム背後の壁の真ん中あたりに設置したくなった。

 シンメトリックな配置が好きなのはオーディオマニアの性であろうか・・・センターの位置に設置したほうが良い効果があるような気になってしまうのである。

 しかし、妻からの叱責を受けて、その位置は変えざる得ないこととなった。ピアノを弾く妻の視界から完全に消し去る必要がある。

 スピーカーの背後の壁の真ん中という手もあるが、そうするとリスニングポイントの真正面の位置になり、音楽を聴きながらその「物体」を見ることになる。

 この「物体」、理論的な意味不明度も高得点であるが、それ以上に見た目が良くない。私も妻同様「それ」が視界に常にあるのは心地良いものでない。

 両サイドの壁でも視界に入ってくる。やはりリスニングポイント背後の壁しかない。背後には妻のアップライトピアノが真ん中に置いてある。

 そのピアノの両サイドのいずれかで床から近い位置であれば、ピアノを弾く妻の視界に入らないエリアがある。

 妻のアップライトピアノの椅子に座ってその視界から外れる「死角」を探した。そしてそのエリアに収まるように「額縁」の位置を移した。

 「これなら・・・どうにか大丈夫かな・・・」

 そこで、早速その設置位置にかかわらず効果の程度は変わらないということが事実であるが否かを検証してみることにした。

 従前の位置にもピンが壁にささったままになっているので、位置移動は簡単にできる。従前の位置のほうが良ければ、普段は「退避場所」にかけておき、オーディオを聴くときのみ従前の位置にかけかえる・・・という手法も考えられる。

 そして、慎重な検証作業が行われた。その結果は「ほとんど変わらないかな・・・」というものであった。

 ということで、この「額縁」はリスニングポイントであるイージーチェアに座っても、そしてアップライトピアノを弾いていても決して視界に入ってこない位置に設置されることとなった。

2018/2/22

4363:HRS-130  

 我が家のリスニングルームに最新鋭のハイエンドオーディオ機器が並んでいたのは、10年ほど前のことである。

 その当時はGermanphysiksのHRS-120という少し変わったスピーカーを使っていた。これは、多少のマイナーチェンジを受けたようであるが、現在でも本国ドイツでは販売されているようである。

 HRS-120はエンクロージャーの上部に特徴的な形状のDDDユニットが取り付けられていて、エンクロージャーの底面には下向きに20cmのウーファーが装着されている。

 360度無指向性が特徴のスピーカーは、コンサートホールのホール感が出やすく、空間表現が得意なスピーカーであった。

 そのHRS-120を使っていた期間は4年ほどであったであろうか・・・その後ヴィンテージオーディオの分野に足を踏み入れてしまい、現在ではTANNOY GRFが我が家のリスニングルームの主として生息するようになっている。

 時折HRS-120のことは懐かしく思い出す。リスニングルームには60年以上前に製造されたTANNOY GRFが鎮座していて、現行モデルでもあるハイエンドスピーカーのHRS-120が懐かしい存在という、時間の流れを逆流するような状況なのである。

 そのHRS-120のことを改めて思い出すような連絡が先週入った。それは「GRFのある部屋」さんからのものであった。

 「今、我が家にHRS-130があるんですけど、聴きにきませんか・・・?」というものであった。「HRS-130・・・?」と一瞬いぶかったが、「以前使われてたHRS-120のウーファーを30cmにしたものです・・・」との説明に納得した。

 インターネットでGermanphysiksのサイトを調べてみると確かにHRS-130という製品名が載っていた。その横にはHRS-120の製品名もあった。

 HRS-130はHRS-120を一回り太くした形状をしている。DDDユニットは私が使っていた10年前は銀色のチタン製のものであったが、現在はカーボン製のものになっているようであった。

 画像検索するとオーディオショウでのHRS-130の展示写真があった。その写真を眺めながら「懐かしいなこの感じ・・・HRS-120を思い出すな・・・」と心の中で感慨が漏れた。

クリックすると元のサイズで表示します

 「もしも今でもHRS-120を使っているとしたら、リスニングルームに流れる音はどんな様相であろうか・・・駆動するアンプはどんなものを使っているだろうか・・・」

 そんなことをふと思った。とりあえず、時間をどうにかひねり出してHRS-120の兄貴分であるHRS-130の音を聴いてみたくなった。

2018/2/21

4362:Aセグメント  

 ナポリタンのオレンジとコーヒーの黒の組み合わせが、目に鮮やかであった。その色の組み合わせが、新型POLOを連想させた。

 VW小平が先日送ってきた新型POLOのティザーカタログを鞄から出した。新型POLOのイメージカラーはオレンジである。

 それを「ゆみちゃん」に見せた。「今度新しいPOLOが出るんだけど、買い替えるかもしれない・・・どう、このデザイン・・・?」

クリックすると元のサイズで表示します

 そのカタログに載っているオレンジ色をしたPOLOの写真を見て、「この色良いですね・・・私好きかも・・・デザインは・・・そうですね・・・堅実なイメージでしょうか・・・」と彼女は言った。

 続けて「この色、今流行っているんですか・・・実は先日会社の同僚が同じ色の車を買ったんです。オレンジに黒の差し色が入っていて・・・とてもかわいい感じの車でした。インスタに画像をあげていました・・・ちょっと待ってください・・・」そう言って、彼女は自分のiphoneを操作した。

クリックすると元のサイズで表示します

 そして、同僚が購入したという車の画像を見せてくれた。それはルノー トゥインゴ GTであった。

 確かに色鮮やかなオレンジ色に黒の差し色が入っている。トゥインゴはPOLOの属するBセグメントの一つ下のAセグメントに属する。

 リアにエンジンを積む後輪駆動、つまり「RR」である。その特性を活かして実に小回りが利く車である。

 デザインは、個性的でおしゃれな質感に溢れている。可愛い外観であるが、緩くなりすぎず、見る角度によってはきりっとした表情も見せる。

 「私は、このデザインのほうが好きですね・・・ちょっとかわいいけど、なんだか分かってるって感じがして・・・」
 
 「なるほど・・・これはフランス車だけど・・・いかにもフランスの粋が感じられるね・・・この色も確かに利いてる・・・オレンジと黒の組み合わせってけっこう良いね・・・もしかしたら今後流行るのかも・・・」

 私はその画像をじっくりと見た。そして、そのiPhoneを彼女に返した。Aセグメントの車は買換え候補にはあがっていなかったが、「それもありかな・・・」と思った。

2018/2/20

4361:ファイテン  

 中野坂上にある喫茶店「Mimizuku」は、随分と古い店である。当初は夫婦で始めたようであるが、現在は数年前に夫を亡くした女主人が一人で切り盛りしている。

 私は、その「Mimizuku」の古びた扉を開けた。扉に取り付けられている鈴がカラカラと鳴った。「いらっしゃい・・・」と女主人はくぐもった声を出した。

 カウンター席には先客がいた。「こんばんわ・・・・」「ひさしぶり・・・」とその先客に挨拶して、カウンターに座った。

 「ゆみちゃん」は、もうすでにナポリタンを食べ終えていた。そして、いつものアイスコーヒーではなく、ホットコーヒーを飲んでいた。

 コートを脱いで座ってすぐに「疲れてます・・・?」と彼女に訊かれた。「えっ・・・表情やつれている・・・?」と私は逆に訊き返した。

 「そうですね・・・表情もそうですが、オーラが暗くなってます・・・」

 彼女の言葉に「あっ・・・オーラね・・・色合いが暗い・・・」と独り言のように吐き出した。

 本当なのかどうか検証する術は持ち合わせていないが、彼女には人の背後に広がるオーラが見えることがあるという。特にこの「Mimizuku」のうように薄暗いオレンジ色が広がる空間では見えやすいそうである。

 「生命力が落ちてますね・・・」

 「そうかもしれない・・・脳がオーバーヒートしてしまって・・・首の筋肉ががちがち・・・」

 「首ですか・・・それ私も悩んでいたんです・・・良いものがありますよ・・・」

 「なになに・・・」
 
 「ファイテンのネックレスです・・・あの羽生選手も使っているんです・・・」

 「そうなの・・・効く・・・?」

 「個人差があるかもしれませんが、私には効果がありました・・・首のがちがちが和らぎました・・・」

 「それ試してみようかな・・・高い・・・?」

 「1万円しないくらいだったかな・・・今もしてますよ。見てみます・・・?」

 彼女は首からそのネックレスを外した。それほど長いものではなく、真ん中に丸いものが付いている。

 そこが磁石になっているのか、私は渡されたものを手に取って、試しに自分の首につけてみた。

 即効性があるものではないので、すぐに首のがちがちが解消することはないが、ずっとつけていれば効果があるのかもしれない。

 「ありがとう・・・」と言ってそれを彼女に返した。彼女はすぐさまそれを自分の首に戻した。彼女の首は改めて見てみると随分と細かった。

 すぐさまスマホを取り出して「ファイテン ネックレス」と検索してみた。随分と商品ラインナップがあった。

 高いものは1万円を超えるもののあり、安いものもあった。彼女がしていたものと同じく丸く小さな球体が付いているネックレスを注文した。

 「同じものを頼んだよ・・・」

 「そうですか・・・もう一回、これをしてもらっていいですか・・・」彼女はそう言って、再度そのネックレスを外して私に渡した。

 不思議に思ったが、言われるままにそれを手にしてマグネットでくっついている箇所を一旦両手で離してから首に取り付けた。重さはほとんどなく装着感は軽かった。

 彼女は私の背後にピントを合わせるような視線を向けた。1分ほど経過したであろうか、「効果、あるみたいですよ・・・ファイテン・・・」とさらりと言った。

 「オーラの色合いが変わった・・・?」

 「少し、良くなりました・・・」

 私は笑顔になって、ネックレスを再度彼女に返した。彼女の「見立て」によると、このネックレスは私にも効果があるようである。

 Amazonで頼んだので、明日には自宅に届くであろう。そうこうしているうちに頼んだナポリタンができた。

 カウンターの上には湯気を上げるナポリタンがカウンターの上に置かれた。そして、その脇にはホットコーヒーが添えられた。オレンジ色と黒の色合いがバランスよく並んだ。

2018/2/19

4360:伝統  

 VW POLOはゆっくりと駐車場から出た。このPOLOはもうすぐ納車からまる7年を迎える。今ではBセグメントの車であっても標準装備となっている、自動ブレーキやレーン逸脱警告システムなどの安全装備は付いていない。

 フロントライトも今はほとんどの車がLEDを採用しているが、このPOLOは普通のライトで現在では少数派になりつつあるオレンジ色の光を前方に放っていた。

 1.2Lの4気筒エンジンは相変わらず快調である。7速DSGは、発売当時その斬新さに感動した覚えがある。

 その7速DSGは経年により走り始めの時に若干もたつきが出始めたが、その変速スピードは今でも爽快感を伴うものである。

 現行型POLOは5代目である。初代のPOLOが発売されたのは1975年のことであるので、43年の歴史を持つロングライフモデルである。

クリックすると元のサイズで表示します

 昨年本国で発表された新型POLOの展示会場には、その初代を含め歴代のPOLOも顔を揃えていた。その初代の姿は40年以上前の車とは思えないようなモダンな風情を保っている。

 シンプルでクリーンな外観は、POLOの伝統であろう。そして、日本でもおそらく4月あたりに発売が開始される新型POLOのエクステリアデザインにも、その伝統は引き継がれている。

クリックすると元のサイズで表示します

 もうすぐ日本でも現行型でなくなるPOLOはスムースに走った。1時間ほどで目的地近くのコインパーキングに着いた。

 そのコインパーキングにPOLOを停めた。取り回しが良いサイズなので、苦労なく停めることができた。

 すぐ隣には同じVWの車が停まっていた。現行型のGOLFであった。POLOの兄貴分にあたり、Cセグメントのベンチマーク的な存在で、VWの屋台骨を支える主力モデルである。

 GOLFもPOLO同様日本で広く受け入れられているので、見かけることが多い。期せずして2台並んだVWの車を少し下がって眺めた。

 そのサイズはちょうど一回り違う。そして、その醸し出す雰囲気は同じメーカらしくとても似ている。

 そのGOLFの色はPOLOと同じブラックであった。「黒のGOLFか・・・渋いな・・・」そんなことを思いながら、少し歩いた。

 やがて古びたビルが視界に入ってきた。1階が喫茶店になっていて、薄明るいオレンジ色の灯りが三つある小さめの窓から漏れていた。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ