2017/11/1

4251:欲望  

 バーバーのヴァイオリン協奏曲の第1楽章は、前奏なしで独奏ヴァイオリンがいきなり奏でる叙情豊かな主題が印象的である。

 GIL SHAHAMのヴァイオリンは心にすっと染み込む豊かな音色を有している。曲はその流れのスピードや向きを様々に変えながら進んで行く。

 中盤には大きくうねる様な展開が生まれる。そして、ところどころに入ってくるピアノの音が非常に効果的に用いられている。

 変化してゆく曲の展開に身を任せていると、心地よい陶酔感が舞い降りてくる。速度指定はAllegroであるが、体感的にはもっとゆったりとした流れるを感じる。

 ヴァイオリン協奏曲の第1楽章が終わった。昨日はPontaさんのお宅のQ Acoustics Q2020iで同じ曲を聴いた。Q2020iとT4を比べるのは、Q2020iには多少酷である。両者の価格には10倍以上の差がある。

 Pontaさんはその両者の差を切実に感じ取られたようで、「全然違う・・・もう帰ろかな・・・」との言葉がぽろと漏れ出てきていた。

 Q2020iは信じられないほどに高いコストパフォーマンスを有しているが、やはりコストの制約はいかんともしがたい。

 一方のT4は、その構造や使用されているユニット、さらにはネットワークに至るまで、贅を尽くしている。

 T4のコストパフォーマンスも凄いと言える。もしも、海外製品でこんなに凝った内容のスピーカーであれば、軽く100万は超えるであろう。

 その後、何枚かのCDをかけながら、合間合間に色んな話をした。その話の中で、Pontaさんがかって使われていた高級小型2ウェイスピーカーの話になった。

 Pontaさんは現在はコストを抑えたQ2020iをお使いであるが、以前は高価な2ウェイスピーカーを使われていたのである。

 私が最初にPonta邸を訪れた時には、JM LAB MICRO UTOPIAを使われていた。その後、Sonus Faber Electa Amatorを使われていたこともあった。

 そして、一時的にオーディオを中断される直前には、B&Wの805Dを使われていた。これらはいずれも比較的小型の2ウェイスピーカーであるが、贅を尽くした構成で極めて高性能なものであった。

 3年前、Pontaさんは会社を辞めて新たな事業を始められた。その事業はすぐには軌道には乗らなかったので、オーディオ機器は一旦全て処分された。

 しかし、やがて音無し生活の辛さから現実的な価格のオーディオセットを一揃えされたのである。

 「音楽を楽しむうえではこれで十分・・・」と納得されていたPontaさんであるが、PSD T4は、その心の奥底に潜んでいたオーディオマニア的欲望に多少の作用をもたらしたのかもしれない。



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