2017/10/31

4250:T4  

 10月15日、10月22日、10月29日と3週続けて日曜日は雨であった。そのため、チームのロングライドは全て中止、随分と長い期間ロードバイクに乗れていない。

 脚力は相当低下てしまっている可能性が高いが、これからしばらくはオフシーズンであるので、体を休めておくのもいいのかもしれない。

 そんな雨に祟られがちな日曜日である10月29日には、その前日にお邪魔したPontaさんが我が家に来てくれた。Pontaさんのお目当ては、PSD T4である。

 我が家のリスニングルームには現在PSD T4が置かれている。TANNOY GRFに装着されていたモニターシルバーは、不具合が生じてしまったので専門業者のもとに送られている。

 その補修が終わるまでの間、PSDの大山さんのご厚意でT4をお借りしているのである。T4は専用のスタンドと一緒にTANNOY GRFの前にセッティングされている。

 このT4はノーマルバージョンのT4ではなく、豪華な突板が奢られたLimited バージョンである。濃い目の茶色をしたこの突板は貴重なもののようで、現在ではワシントン条約で輸入が禁止されてしまい、入手が難しいもののようである。

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 T4は非常に堅牢な構造を持つキャビネットを有し、厳選されたユニットが装着されている。相当な高性能を有するスピーカーである。

 そして不思議なことに60年ほど前に製造された我が家のMarantzの真空管アンプでもしっかりと鳴る。

 ダンピングファクターが現代アンプと比べて一桁以上低いのに、ぼやけた音にならない。不思議なスピーカーである。

 雨のなか、待ち合わせ場所である新小平駅へ向かった。先週に続き台風が近づいてきていたので、雨は本降りである。

 予定時刻よりも早く着くとの連絡があったので、早めの時間に待ち合わせ場所に着いて待っていると、無事に合流できた。ワイパーでフロントウィンドウの雨を勢いよく弾きながら、車で自宅に向かった。

 自宅に着いて早速リスニングルームへ・・・T4は後方の壁からかなり離されて、平行法でセッティングされている。狭い部屋なので、結果としてスピーカーはリスニングポイントからかなり近い位置にある。

 専用のスタンドは高さが低めである。視覚的にはもう少し高さがあった方がしっくりとくるような気がするが、この高さにはきっと意味があるはずである。

 2ウェイのスピーカーをスタンドにセットする場合、ツイーターの位置がリスニングポイントに座った状態での耳の高さにするといいと聞いた記憶があるが、この専用のスタンドではソファーに座った状態での耳の位置よりも若干低い。

 しかし、その音場は後方に高く広がり、決して「低い・・・」と感じることはない。視覚的には後方にあるTANNOY GRFが鳴っているようにしか思えない。

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 まずは前の日にPontaさんのお宅で最初に聴かせていただいたバーバーのヴァイオリン協奏曲の第1楽章をかけた。ヴァイオリンはGIL SHAHAMである。

2017/10/30

4249:コスパ  

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 Pontaさんのリスニングルームにお邪魔するのは、ちょうど1年ぶりである。使用機器は全く変わっていない。3ピース構成のいたってシンプルなシステムである。

 スピーカーはQ Acousticsの小型2ウェイである「Q2020i」。このQ Acousticsというメーカー、実は昨年Pontaさんのところで目にするまで知らなかった。

 Q Acousticsは、イギリスのメーカーで、2006年の設立である。コストパフォーマンスの高いスピーカーを作ることを目標に製品開発を行い、2012年には、「Q2000シリーズ」が、「What Hi-Fi!? Sound & Vision Magazine」で三つもの賞を受賞した。

 CDプレーヤーとプリメインアンプはMarantz製のもの。こちらもコストパフォーマンスが高いオーディオ製品である。

 Pontaさんの現在のオーディオシステムは、「やっぱ、コスパ!」というSEIYUのテレビCMでのキャッチコピーを思い出させてくれるほどにコスパが異様に高い。

 部屋はマンションのリビングダイニングなので十分なエアボリュームがある。スピーカーの背後はべランダに出る掃き出し窓がある。

 床面は元々絨毯が敷き詰められているが、そのままでは部屋の響きがデッドになり過ぎるため、音を反射させるための床材などが適宜敷かれていて、部屋の響きを調整されている。

 この反射と吸音の比率がとても重要で、上手く調整できると高域と低域のバランスが上手く取れて、音がいびつにならない。

 まずはSAMUEL BARBERのヴァイオリン協奏曲から第1楽章を聴かせてもらった。ヴァイオリンはGIL SHAHAMである。

 Q2020iはその大きさからして帯域を欲張ったスピーカーではない。しかし、その音質は価格がにわかには信じられないほどに高い。

 部屋の反射と吸音のバランスが上手く取れているようで、音がまろやかに感じられる。高域が突出して低域とのバランスを崩すことなく寄り添っている様は心地よい安心感をもたらしてくれる。

 「芸術を変質させる歪」が全く見当たらない。聴く者を威圧するような音圧や、微細な音の片鱗までをも顕微鏡を通して見通すような情報量があるわけではないが、家庭で音楽を鑑賞する楽しみを十二分にもたらしてくれる。

 その後、クラシックを中心に何枚かのCDを聴かせてもらった。ケーブル類もいたって現実的な価格のもので統一されていて、オーディオマニア的な嫌味がない。

 しかし、1箇所・・・「やはりマニアック・・・」と思わせるところがあった。それは電源コンセントと壁の間に挟むコンセントベースである。

 コンセントベースは、オーディオアクセサリーとしていくつか製品化もされている。金属製であったりカーボン製であったりするが、Pontaさんのお宅のものは木製で自作である。

 幾つかの木材のものを試されて今は2種類の木を合わせて使われている。どうやら硬い木と柔らかい木を組み合わされているようであった。

 「これで、結構変わるんですよ・・・金属製のものも試しましたがキンキンするので木にしました・・・木も幾つも試して今はこれに落ち着いています・・・」

 その説明に、「やはりマニアック・・・」と思いながら心の中で微笑んでいた。しばしの時間、音楽を聴き、近況を報告しあった。

 音楽とオーディオを堪能した後、Pontaさんのお宅を後にして車に向かった。「やっぱ、コスパ!」「やっぱ、マニア!」・・・そんなキャッチフレーズが、周囲の雨の音と一緒に心の中に静かに響いた。

2017/10/29

4248:台風  

 デビッド・ボウイの「アラジンセイン」のミュージックテープをYAMAHA K-8にセットした。SONY TA1120のセレクタースイッチを「TAPE HAED」の表示の所に合わせた。

 K-8のPLAYボタンを押すと、ミューッジクテープはするすると回転を始めた。TA-1120の左端についているボリュームノブを一旦絞った。

 音が出始めたのでボリュームを少し上げていった。やや抑えめの音量にセットした。「アラジンセイン」は1973年に発表されたデビッド・ボウイの6作目のアルバムである。

 グラムロックの最先端を走っていた頃で、そのジャケットは視覚的インパクトがある。1曲目が流れ始めた。疾走感のあるロックがこの広くない部屋に静かに響いた。

 私は、二人掛けのソファに腰かけた。隣の「ゆみちゃん」は、ティッシュで鼻をかんでから、小さな白いリモコンを手にした。

 「この部屋の照明はLEDなんですけど、色合いが白色と白熱灯色が選べるんです・・・」リモコンのボタンを押すとその色合いが淡いオレンジ色に変わった。

 そしてリモコンについているスライドを操作してその光量を減らしていった。部屋の全体の照度はするすると降下していき、その照明器具のすぐ近くのみが淡くオレンジ色に光り、遠くは薄暗くなった。

 「こうすると、K-8のメーターが綺麗でしょう・・・」と彼女はその目線でYAMAHA K-8を指し示すようにしながら、ぼんやりとした表情を見せた。

 K-8の針式のメーターは俊敏に動いていた。「PEAK」と表示されたランプが時折緑色に瞬く。1曲目が終わり2曲目が始まった。その曲はアルバムタイトル曲である「アラジンセイン」である。

 うねる様なピアノが印象的な曲である。その音楽は1970年代前半の混迷した空気を引きずっているかのようにけだるく重い。

 淡く薄暗いオレンジ色の部屋の照明の効果であろうか、流れているアラジンセインの持つけだるさゆえであろうか、それともすぐ隣で風邪の発熱により少し意識がもうろうとしている感のある女性が放つ特殊なオーラのせいであろうか、K-8の針の動きに目の焦点を合わせていると、私はソファの座面に吸い込まれて体が重く沈み込んでいくような感覚に捉われた。

 LEDの放つ白熱灯色の色合いは、本当の白熱灯に比べるとその色合いは白っぽかった。そのオレンジ色はどこかしら人工的な薄っぺらさがあった。

 曲は3曲目に変わった。私はふと何かを思い出したように、K-8の上に置いておいた操作方法についてワープロした紙を手にした。

 それを彼女に見せながら、レコードからカセットテープに録音する方法について、順序立てて説明をし始めた。

 K-8のINPUTはLINEにしておくこと。DOLBYはONにして、REC LEVELはとりあえず真ん中の「5」に合わせ、針の動きを注視してレッドゾーンに針が入り込まないレベルに合わせることなどを説明した。

 彼女は相変わらず少々目線が茫洋としていたが、私の説明を素直に聞いていた。曲はA面の4曲目の「パニック イン デトロイト」に変わった。

 SONY TA1120の操作方法も説明を終えた。この部屋に入ってすでに30分ほどの時間が経過していた。

 この部屋に一つある掃き出し窓からはそのガラスと淡いクリーム色のカーテンを通り抜けて外の雨の音が聞こえていた。

 その音は相当激しく雨が地面やアスファルトの道路に落ちてきていることを示していた。外はきっと寒いはずである。

 台風の影響により風も強まっているのであろう。外から聞こえる雨や風の音は、何かしらこの小さな部屋がまるでシェルターであるかのように感じさせた。

 台風により、二人は日常とは違う少し歪んだ空間と時間に閉じ込められたかのようである。結局彼女の部屋には1時間近くいた。

 「お大事に・・・ビタミンCを摂ると良いみたいだよ・・・あとはひたすら寝るだけ・・・」

 私は彼女の部屋を出て、コインパーキングまで歩いた。風に吹かれた雨により随分と濡れた。車に乗り込んでエンジンをかけた。吹き上がったエンジンの音は、強い風の音によって、さらっとかき消されてしまった。

2017/10/28

4247:ショートメール  

 彼女の部屋は5階建ての賃貸マンションの3階にある。入口を入りオートロックに部屋番号を入力した。「呼」と書かれた丸いボタンを押すと、チャイムが静かに鳴った。

 しばし間があってから、彼女が出た。「あれ・・・ショートメール送ったんですけど・・・あっ、でもどうぞ・・・今開けます・・・」と彼女の小さめの声が聞こえた。

 「ショートメール・・・?」

 と訝しく思いながら、開いたドアの中へ入りエレベーターの前まで歩いていった。そしてエレベーターの前でダウンジャケットのポケットに入れていたスマホを取り出した。

 エレベーターに乗り込んで3の数字を押した。それとほぼ同時にスマホでショートメールをチェックした。

 確かに彼女からショートメールが来ていた。ジムでのトレーニング中に来たようで全く気付かなかった。

 そのショートメールを開くと「今日は風邪で体調がすぐれないので、日程を延ばしてもらえますか?」という短い文面が目に入ってきた。

 「しまった・・」

 と思ったが、後の祭りである。場の悪さを感じながら私はエレベーターが昇るに任せた。機械であるエレベーターは淡々とその職務をこなし、私を3階に連れて行った。
 
 「挨拶だけして引き返すか・・・」

 私はそう思いながら、エレベーターを降りた。少し歩くと彼女の部屋の前に着く。各階に部屋が五つある。青い色をした同じ意匠の玄関ドアが五つ並んでいた。そのドアの横には茶色のインターホンがそれぞれ取り付けられている。

 私はそのうちの一つの玄関ドアの前に建ち、インターホンを押した。ややあってから、青いドアが開いた。

 「すいません、ショートメールに気付かなくて・・・具合が悪いようで、また日を改めましょう・・・」

 私はドアが開いた空間へ向かって言葉を押し込んだ。彼女はグレーの上下のジャージを着ていた。少し熱があるのであろうか、目が軽く充血していた。

 「あっ・・・いえ・・・それほど酷くないんで大丈夫です・・・せっかくですから、少し上がってください・・・」

 彼女は、あまり意に介さない様子でそう言った。開いた玄関から室内の温かい空気が漏れ出ていた。

 「じゃあ、少しだけ・・・」と、中に入り、ドアを閉めた。「カチャ」と軽くドアの締まる音が響いた。部屋は加湿器とエアコンが稼働していて暖かく湿度も高く設定されていた。

 「しんどそうだね・・・休んでいて・・・」

 「風邪って結構辛いものだって、改めて思いました・・こんな格好ですみません・・・でも、少しは良くなっているんです・・・」
 
 彼女はそう言って、二人掛けのソファに腰かけた。

 私は「これ、後で食べて・・・」と言って、フルーツがたくさん入ったロールケーキの入った紙袋を部屋の片隅のミニキッチンにある冷蔵庫の中に入れた。

 それから、オーディオ装置の方へ行って、RCAケーブルをカバンから取り出した。それをアンプとカセットデッキの所定の位置に接続した。

 そして、ワープロ打ちした「カセットデッキでの録音方法」と題された紙を一枚取り出して、それをYAMAHA K-8の上に置いた。

 大きめのサイドボードの上には、オーディオ機器が綺麗に並べられていた。それぞれが古く、そして美しい機器たちであった。

 それらを一瞥してから、振り返って彼女を見た。部屋着を着て、化粧を全くしていない彼女の姿は、特に大きな違和感を感じさせることなく、私の網膜の上に投影された。

 「これ、かけてみます・・・?」

 彼女はそう言って細い腕でとある一つのカセットテープを差し出した。それは、彼女が先日一緒に行った中目黒の「Ruts」で購入したデビッド・ボウイのミュージックテープであった。

2017/10/27

4246:台風  

 ジムのそばのコインパーキングを出た時には午後3時を少し回っていた。ここから中野坂上にある「ゆみちゃん」のマンションまでは1時間ほど着くはずであった。

 雨は本降りである。これから夜にかけて雨はさらに強くなり風も出てくると天気予報は伝えていた。

 超大型の台風21号は日本列島を横断するコースを取るようであった。雨が降り、台風が近づいてくるなか、31歳の独身女性が一人暮らしをしている部屋に出向くのは、なんだかとても奇妙というか、そぐわないような気がしてしょうがなかった。

 彼女の部屋に入るのは3度目となる。一度は一式そろえたオーディオセットを設置しに行った時である。

 レコードプレーヤー、プリメインアンプ、そしてスピーカーを車から降ろし、彼女の部屋に運び入れ、ケーブルを接続してセットアップした。そして音出しして動作確認を済ませた。それは、作業であり、必要性に裏打ちされていた。

 二度目はそのオーディオセットに不具合が生じて片チャンネルから音が出なくなったので、その原因を探り、解決するために行った。

 その時はカートリッジの不具合であったので、持ち込んだ予備のカートリッジに付け替えることにより修復は完了した。これも「現地作業」であった。その作業は手早く適切に行われ、結果もしっかりと伴った。

 今回は、新たにそのオーディオセットに加わったカセットデッキによるレコードの録音方法を伝授するために行くことになったのであるが、わざわざ現場に行かなくとも図でも書いて説明してあげれば、彼女一人でも十分に出来る事のように思われた。

 しかし、話の流れの中で彼女の部屋に赴くことになったのである。彼女の部屋は賃貸マンションの一室でいわゆるワンルームである。

 長方形の部屋は綺麗に整頓されている。長辺側の一面の壁のみに青い壁紙が貼られていて、アクセントとなっている。

 部屋には、大きめのサイドボードあり、その上に並べられるか形でオーディオセットが置かれてる。薄型のテレビは壁に直接設置されている。

 座面が床のすぐ近くにある低い二人掛けのソファがサイドボードに対面する形で置かれ、そのソファの背後にはベッドが置いてある。

 車を走らせながら彼女の部屋の様子を思い浮かべていた。雨が少し勢いを増してきたので、ワイパーの間欠モードを一段上げた。
 
 「しかし、それにしてもちょっと無防備だな・・・一人暮らしの部屋に男性を入れるのは・・・」

 ワイパーは雨粒を弾くように押し出していく。しかし、さっと開けた視界をすぐに雨粒が覆い始める。

 「彼女も31歳・・・和歌山から上京して10年ほど経っている。十分大人だし、今まで色んな経験も積んできているはずだろう・・・」

 風に運ばれてきた大きな葉がフロントウィンドウの右に貼り付いた。それをワイパーが右端へ押しやった。しかし、飛ばされていくことなく右端に残った。

 「プライベートな話もMimizukuでしたが、ボーイフレンドの話は不思議としたことがなかった。結婚を考えなければならない年齢だし、実家の両親もそれを切に望んでいるはずだが・・・」

 低い唸り声のような音がして一瞬強い風が吹き付けた。車のフロントガラスに貼り付いていた木の葉はひとたまりもなく吹き飛んだ。

 心は車の外と同様に少々ざわついていた。Mimizukuで彼女の話は散々聞いてきているので、ある程度の彼女のことは知っている。

 しかし、もしかしたら今日彼女の部屋に行くと、全く違った彼女の一面に遭遇するかもしれない・・・そんな気がしていた。

 「まあ、思い過ごしだろう・・・」

 道は空いていた。台風が近づいているこんな日に出かける人は少ない。東京でも道路の冠水などの被害が出る可能性も十分あるはずだった。

 強い風が車の下を潜っていった。低くくぐもった音が足元を通過した。足元をすくわれたような感じがして、心が不安になった。

 青梅街道から脇道へ入っていった。彼女のマンションのそばのコインパーキングはもうすぐそこであった。

2017/10/26

4245:TABATAプロトコル  

 午後になってから車に乗ってジムへ向かった。ジムの中に入ると、いつものように手早く着替えて、エアロバイクに跨った。

 日曜日の午後早い時間、しかも台風が近づいてきているということでジムは空いていた。エアロバイクには大きな画面が付いている。

 テレビを見ることもできるしインターネットもOKである。私はYouTuveで、Mt.富士ヒルクラムや全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の参加者が投稿している車載動画などを見ることが多い。

 普段はそういった動画を見ながら60分ほど200ワットほどの出力で漕ぎつづける。その間ぺースは一定で変化しない。

 今日は、YouTubeで「ROADBIKE TRANING」と入力して検索してみた。すると表示された幾つかの動画の中に「TABATAプロトコル」というものが見つかった。

 「なんだろうこれ・・・?」と思って開いてみた。動画のにはTABATAプロトコルの説明が最初に入っていた。

 TABATAプロトコルは、20秒の激しい運動と10秒の休息を1セットとして、これを8セット行うというもの。

 ロードバイクの場合20秒間必死でクランクを回し続け、その後10秒をゆっくりと回す。これを8回繰り返す。

 20秒プラス10秒で30秒・・・これを8回であるから全部で4分。とても短い時間である。その動画は、始める前にウォームアップを5分間、終わった後でクールダウンを5分間する構成になっているので、全部で14分間であった。

 動画のとおり5分間のウォームアップを行った。その後TABATAプロトコルに突入である。ペダルの重さを重めに設定して20秒間もがく。

 その後10秒間は脱力状態・・・10秒はあっという間である。2回目の20秒間のもがきに入る。2回目ぐらいまではまだまだ余裕であるが、3回目、4回目になってくると余力はなくなってくる。

 5回目、6回目はかなり疲労度合いが深まる。20秒間のもがきも少しパワーダウンしてくる。7回目、8回目はもうすぐ終わるからと自分を鼓舞してどうにか踏ん張る。

 8セット終わると息が切れる。その後5分間はクールダウンである。動画は14分ほどで終わった。「これで効果があるのかな・・・?」と思わないでもないが、この4分間の運動によって、大多数の人が「有酸素性エネルギー供給系」も「無酸素性エネルギー供給系」も刺激されるとのことである。

 このTABATAプロトコルを完了した後はいつものようにヒルクライムレースの参加者が投稿した車載動画を見ながら45分ほどペダルを回し続けた。

 選択した動画は「赤城山ヒルクライム」。来年から新たに参加する予定のヒルクライムレースである。

 全部で1時間ほど・・・たっぷりと汗をかいた。トレーニングウェアは汗で濡れてぴったりと上半身に貼り付いている。シャワーで汗を流し去った。

 「TABATAプロトコル・・・またやってみようかな・・・ジムでのトレーニングの時に必ず入れると、そのうち効果が出てくるかもしれない・・・」

 そんなことを思いながら、ジムを後にした。時刻は3時になろうとしていた。今日は4時に「ゆみちゃん」のところへ行く予定が入っていた。

 外に出てみると雨はしっかりと本降りであった。ビニール傘に当たる雨の音は結構激しいものであった。台風は確実に近づいてきているようであった。

2017/10/25

4244:比較  

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 左端のYAMAHA GTラックにはORACLE CD2000が設置された。アクリルとアルミで神秘的とも言える形状に造形されたこのCDトランスポートは何とも言えない独特のオーラを盛大に放つ。

 Sf映画に出てくる宇宙船を思わせるCD2000の真ん中にCDを収納した。リモコンで操作して先ほどと同じ、マーラーの交響曲 第5番 第3楽章とシベリウス ヴァイオリン協奏曲 第1楽章を聴いた。

 変わったのはCDトランスポートのみ。Bowtechnologie ZZ-EIGHTで聴いた時と比べて、その印象は変わったか・・・

 「やはり違う・・・かなり違うと言っていいかも・・・」

 低音のしっかり感が違う。土台がよりしっかりとした感じがあり、ピラミッド型の音域バランスが安心感をもたらしてくれる。

 各楽器の音色は派手さがなくより自然・・・ZZ-EIGHTは多少都会の華麗なイルミネーションを思わせるような演出を感じたが、CD2000はそういった演出がない。

 「音の質感が自然・・・ニュートラル・・・」

 ZZ-EIGHTではオーケストラのフォルテシモで少し破綻するところがあったが、CD2000では余力を持って受け止めていた。

 大川さんが我が家にCD2000を持ってこられた時にも感じたが、やはりコストのかけ方がZZ-EIGHTとは相当な差があるので、その分音にも差が出るようであった。

 今回、ZZ-EIGHTが修理から戻ってきたので、条件をそろえた一対比較を行うことが出来た。結果としてCD2000の実力の高さが証明された。

 どちらも素晴らしいデザインを纏っているが、我が家のリスニングルームではCD2000が今後もレギュラーの座を守りそうである。

 我が家ではアナログもデジタルも送り出しはORACLEとなった。三つ並んだGTラックの上には真ん中にMarantz Model7を挟んで右側にORACLE Delphi6、左側にORACLE CD2000が設置されることになった。

 そのシンメトリックな配置は美しい。そしてGTラックの下段には真ん中にO-DAC PRO Mk3を挟んでその両側にモノラル構成のMarantz MODEL2が設置されている。こちらもシンメトリック。

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 リスニングルームでしばしの時間を過ごしていると、時間はお昼時になった。昼食を手早く済ませて、ジムに行くことにした。
 
 雨は降り続いていた。しかし、風はまだなかった。台風はまだ遠い位置にあるようで、台風に刺激された秋雨前線による雨のようであった。

2017/10/24

4243:zz-eight  

 2枚のCDを選択した。1枚はマーラーの交響曲第5番。その第3楽章を聴いた。演奏はピエール・ブーレーズ指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団。

 もう一枚は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。その第1楽章を聴いた。演奏はヴァイオリン 五嶋みどり、ズービン・メータ指揮イスラエルフィルハーモニー管弦楽団。

 まずは、Bowtechnologie ZZ-EIGHTで2曲を聴いた。ZZ-EIGHTからO-DAC PRO Mk3にデジタル信号が送られて、デジタル信号はアナログ信号に変換される。

 ZZ-EIGHTは一体型CDプレーヤーである。DACを搭載しているので、O-DAC PRO Mk3を通さなくても音は出るのであるが、O-DAC PRO Mk3で変換した方が断然質感は良くなる。

 DACというものは現在でも進化している。CDトランスポートは既に過去の遺物と化していしまっているので、今後に期待はできないが、DACは今後も進化を続ける可能性が十分にある。

 O-DAC PRO Mk3によりアナログ変換された音楽信号はMarantz MODEL7で艶やかに整えられ、さらにMarantz MODEL2で増幅される。

 そして最後に行きつく先が、PSD T4である。今お借りしているT4はLimitedバージョン。豪華な突板が奢られている。

 さて、その音であるが、繊細にして流麗。腰の強さや低さ加減においてはもう一つ粘るところが欲しいとも感じるが、なかなか質感が高い。

 ZZ-EIGHTは見た目はやや華奢に見えないでもないが、手に持ってみると見た目以上に重量がある。構造体はかなりしっかりとしている。

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 このデザインはデンマークというこのメーカーの出自をしっかりと語っている。日本製の無骨なCDプレーヤーなど足元にも及ばない優れたデザインセンスである。

 そのセンスの良さが音にも反映している。マーラーもシベリウスも、都会的で洗練された響きに感じられる。野趣溢れる趣は影を潜め、全てが理路整然と空間のなかで響き合っている。

 2曲を聴き終えた。

 次はORACLE CD2000の出番である。ZZ-EIGHTをGTラックから降ろし、CD2000をセットするだけであるので、所要時間は数分で済む。

 CDトランスポートとO-DAC PRO Mk3を接続するデジタルケーブルは、VooDoo CABLEのStradivariusである。

 CDトランスポートがZZ-EIGHTからCD2000に変わると、音楽の聴こえ方がどのように変わるのか・・・音楽愛好家にとってはどうでもいいことかもししれない・・・しかし、オーディオマニアにとっては、どうでもいいことではないのである。

2017/10/23

4242:両者  

 日曜日は朝から雨が降っていた。台風21号が近づいてきているので、「時間が経過するほど雨が強くなるでしょう・・・」と、天気予報は伝えていた。

 先週に続き、日曜日に予定されていたチームでのロングライドは中止となった。秋雨前線が活発なこの時期は雨により走れないことが多い。

 少々体が鈍りそうで心配であった。「昼食を摂った後にジムにでもいくか・・・」と、窓から雨が降る外の様子を眺めながら思った。

 若い頃は、こういった場合ベッドで相当な時間をだらだらと過ごすことが出来たが、この年齢になると、そういったことが出来なくなってきた。

 7時過ぎにはベッドから脱け出して朝食を摂った。最近私ははちみつに嵌っている。食パンをバルミューダ製のオーブントースターで焼いて、マーガリンを塗る。

 その上にはちみつをかけて食べる。はちみつは「中央蜂蜜」のもの。この「中央蜂蜜」は、小平市に工場がある小さな会社である。原材料はハンガリー産アカシヤ蜂蜜。なかなか美味である。

 その後、私はリスニングルームへ向かった。現在我が家ではPSD T4が鳴っている。TANNOY GRFのモニターシルバーに不具合が出た為、今GFRはキャビネットだけになっている。

 モニターシルバーの修理はPSDの大山さんを通じてお願いした。ユニットを取り外しに大山さんが我が家に来てくれた際、PSDのT4を置いていってくれたのである。

 鳴らす前は現代のスピーカーであるT4とMarantzの古い真空管アンプとの相性はいかがなものであろうか・・・と思っていた。

 しかし、その心配は杞憂であった。T4は実に素晴らしい音を放った。その精緻な空間表現力は「さすが・・・」と唸らせるものがあった。

 Marantz MODEL7とMODEL2のペアとの相性もむしろ良いのでは思ってしまった。60年の歳の差があるのに実に不思議なスピーカーである。

 土曜日には、2ケ月ほど前に修理に出していたBowtechnologie ZZ-EIGHTがようやく戻ってきた。その帰りを大人しく待っているべきであったはずであるが、いろんなことがあって、ZZ-EIGHTが置かれていた場所には、現在ORACLE CD2000が置かれている。

 今日は雨が降ったので、その両者を聴き比べてみる時間を持つことが出来た。しかし、それにしてもこの両者のデザイン・・・実にレベルが高い。

 このレベルのものが2台揃っている様は、実に貴重と言えるかもしれない。ORACLE CD2000を一旦YAMAHA GTラックから降ろした。

 そして、ZZ-EIGHTをその位置に納めた。CD2000はMarantz MODEL7を挟んで、同じORACLEのDelphi6とシンメトリックな構成となり、素晴らしい全体美を描く。
 
 それも素晴らしいが、ZZ-EIGHTの漆黒の色合いも全体を引き締める。「やはりこのCDプレーヤーは素晴らしいデザインをしている・・・」と心の中で溜息を洩らした。

2017/10/22

4241:K-8  

 カセットテープに関する商品を専門的に扱っている中目黒の「Ruts」はお洒落な店であった。店内には豊富な在庫量のミュージックテープが美しく陳列されていて、ラジカセやウォークマンも売られていた。

 店のオーナーは日本のAmazonを立ち上げたメンバーの一人で、今までやってきたこととは真逆のことをやりたいとのことで、Amazonを退社しこの店を立ち上げたようである。

 この店は、Amazonによって衰退を余儀なくされた「小規模な直販店」という形態をとっていて、ネット販売も行っていない。真逆と言えば真逆である。

 ユニークなのはカセットテープという、一般的には過去のものとなった商品に的を絞っているところである。

 彼女と一緒にその店に出かけていったのは、まだまだ暑い頃であった。その店の隅、あまり目立たない一角に細長い棚があり、そこに数台のカセットデッキが縦に並んでいた。

 その中から彼女が選んだのが、YAMAHA K-8であった。1981年に発売された製品で、カセットホルダーを排した優れたデザインを有している。

 K-8はこの時代のYAHAMAらしく、実に丁寧に造形が考案されていて、清潔で爽やかな印象を見る者に与えてくれる。

 「まだ、レコードからカセットテープに録音したことがないのです。一度、教えて下さい・・・やり方がよく分からなくて・・・」

 彼女は話のなかでそう言った。

 「そうだね・・・でも、レコードはレコードで聴いた方が音は良いけどね・・・カセットテープに録音すると少し音がこじんまりとするんだよね・・・」

 「そうなんですか・・・カセットテープだとラジカセでBGMとして流しておけるし、扱いも楽だから・・・」

 「そうそう・・・レコードってちょっと気を使うよね。ラフには扱えないから・・・じゃあ一度、やってみよう。」

 「また、部屋に来てもらえますか・・・?」

 「いいよ・・・じゃあ来週ぐらいにしようか・・・」

 「今度の日曜日の夕方は空いてますか・・・?」

 「今度の日曜日・・・ちょっと待って・・・多分大丈夫かな・・・雨が降らなければロードバイクに乗るけど・・・週刊天気予報では台風の影響で雨が降りそうだし・・・」

 「4時ぐらいで良いですか・・・?」

 「4時ね・・・了解です。」

 心に少し引っかかるものがあったが、話はさらっと流れた。31歳の女性が一人暮らしをしている部屋に入るというのは、少々心穏やかではないところがあるのは事実である。

 彼女とはこの「Mimizuku」で週に1,2回はカウンター席で会って雑談する。時間は1時間程度であろうか・・・彼女にとっては年の離れた良い話し相手という存在となっているようである。



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