2017/9/30

4219:WATT3/PUPPY2  

 環八も第三京浜も思っていたほどには混んでいなかった。土曜日の午後の早い時間帯であったのが幸いしたのか、杉並区のチューバホーンさんのお宅から、横浜市神奈川区のハンコックさんのお宅まで、1時間と少しで着いた。

 近くのコインパーキングに車を停めて、ハンコック邸に入った。玄関からダイニングルームを通り過ぎて、リスニングルームに案内された。その部屋の広さは6畳ほどである。

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 Wilson AudioのWATT3/PUPPY2は、既に十数年使われている。ハンコックさんにとって「相棒」と言えるスピーカーである。

 アナログの送り出しはORACLE DELPHI4で、デジタルは以前はマークレビンソン製のCDプレーヤーを使われていたが、現在はPCオーディオに変わっている。

 PCオーディオに関しては少し説明を受けたが、こっち方面に知識の全くない私にとっては外国語を聞いているようで、ちんぷんかんぷんであった。

 まずはそのPCオーディオから聴かせていただいた。WATT3/PUPPY2を駆動するのは、前回お邪魔した時はマークレビンソンのプリアンプとパワーアンプのペアであったが、調子が悪くなったため、現在はサウンドデザイン SD05である。

 クラシック、ポップス、ジャズと聴かせていただいた。PCオーディオとデジタル式プリメインアンプという組み合わせから連想される「欠食児童」的なひよわさは感じられず、どしっとした安定感のある端正な音である。

 サウンドデザイン SD05の電源ケーブルを確認するとNBSの太いケーブルが刺さっていた。「きっとこのNBSの電源ケーブルが、ややもすると綺麗だけど薄くなりがちなデジタルアンプの音の欠点を補っているのでは・・・」と感じた。

 WATT3/PUPPY2は空間表現の得意なスピーカーである。SD05が駆動することで、その特徴はいかんなく発揮されていて、広く巧みな空間表現は部屋の狭さをすっかりと克服していた。

 前半のPCオーディオを終えて、コーヒーブレークを挟んでから、いよいよ「本命」のアナログタイムに突入した。

 カートリッジはフェイズテック製のもので、フォノイコライザーは金田式の自作ものであった。フォノイコライザーからPAD製のRCAケーブルで音楽信号はSD05に送られていた。

 PADのケーブルを見かけるのは随分と久し振りである。10年ほど前にはPADは絶大な人気を誇っていたが、最近はすっかりと見る影がなくなっている。まだ日本で正式に取り扱われているのであろうか・・・

 さて、そのアナログの音であるが、ハンコックさんのメインジャンルである1950年代のジャズが何と言っても素晴らしかった。

 普段よく聴かれるジャンルに的を絞って調整を長年続けられているわけであるから、当然と言えば当然であるが、古い時代のジャズが実に心地よく部屋に響きわたった。

 「WATT3/PUPPY2で、1950年代のジャズ・・・?」と、表面的には多少アンマッチな感じがしないわけでもないが、長い年月にわたる調整の賜物であろう・・・実に熟成度の高いジャズを聴かせてくれた。

 オーディオのOFF会に付き物とも言える「実験タイム」もおまけで行われた。まずは、SD05の電源ケーブル・・・NBSからキンバーのものに変えてみた。当然音の雰囲気はがらっと変わる。しかし、ジャズにはNBSの方がマッチしているようであった。

 さらにフォノイコライザーとSD05を橋渡ししているRCAケーブルを、WE製の線材を使用したケーブルと、ドイツ製の業務用線材を使用したケーブルに換えてみたが、こちらももともとのPADのRCAケーブルの方が一枚上手のようであった。

 NBSの電源ケーブルにPADのRCAケーブル・・・10年ほど前の「ケーブル・バブル時代」の遺物のように感じられてしまうが、いやいやどうしてなかなか優れものである。今は中古で安く出回っているこういったケーブルを見直す必要があるのかもしれない。

 時刻は夕刻を過ぎて、辺りは薄暗くなってきた。ジャズが似合う時刻である。薄暗い部屋の中、シルエットで浮かぶWATT3/PUPPY2は、どことなくロボットを連想させる外観ながら、「R2D2」のように人間味あふれる雰囲気を漂わせ始めていた。

 黒く佇むWATT3/PUPPY2は確かに歌っているかのようであった。長年歌い慣れたジャズをこなれた感じで歌うさまは実に堂に入っていた。



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