2017/9/15

4204:宮崎紅  

 大川さんの車が我が家の前の道路に止まったのは、午後4時頃であった。厳重に梱包されたORACLE CD-2000がその段ボール箱の中から解放され、修理中のZZ-EIGHTが置かれていた左側のYAMAHA GTラックの上に設置されたのは、その約15分後であった。

 ORACLE CD-2000の電源部は別躯体となっている。我が家のORACLE DELPHI6とほぼ同じくらいの大きさの電源部であるので、その二つは真ん中のGTラックの中段に仲良く並んで納まった。

 「いや〜良いですね・・・音を聴かなくても眺めているだけで良い感じです・・・」

 私は思わず本音が出た。右側のGTラックにはDELPHI6が、真ん中のGTラックにはMarantz MODEL7が、そして左側のGTラックにはCD-2000が並んだ。

 その様は、「オーディオは見た目が大事・・・」という格言が正しいことを痛感させられる光景であった。

 「綺麗ですね・・・絵になります・・・ORACLEってなんだかSF的ですよね・・・宇宙船が二つ基地で待機している感じ・・・」

 大川さんもセッティングが終わって、しばしその「風景」を眺めてから言った。

 確かにCD-2000は、そのデザインや形状がSF的である。映画「スタートレック」に出てきてもおかしくないように思われた。

 「良いな・・・CD-2000・・・ORACLEの製品がMarantz MODEL7を真ん中に挟んで対峙している構図は、実に良い・・・ZZ-EIGHTも素晴らしいデザインをしているが、CD-2000はDELPHI6との相乗効果の分、ZZ-EIGHTを引き離しているか・・・」

 心の中で「浮気風」が吹きすさぶのを感じながら、実に美しいオーディオ機器が並ぶ様を眺めていた。

 大川さんのCD-2000はオリジナルモデルである。その後長い年月の間にCD-2000は2度のマイナーチェンジが行われ、現在はCD-2000 Mk3になっている。マイナーチェンジは行われたが、その外観は全く変わっていない。変えようがないほどに完成度が高いのであろう。

 「ちょっと小腹が空きませんか・・・良いものをお持ちしましたよ・・・」

 そう言って、大川さんはセブンイレブンの袋を差し出した。そして袋の中からシュークリームらしきスイーツを取り出した。

 「これはですね・・・最近セブンイレブンで発売になった『宮崎紅のさつまいもこ』です。最近のコンビニスイーツの中で一番良い出来で、売れ行きも好調です。」

 「これは名前の通り宮崎産のさつまいもを使用していて、外観も宮崎紅の皮の色に見立てた紫色をしているんです。そして、その味わいは焼き芋を連想させるものなんです・・・」

 「これはセブンイレブンの変化球的シュークリームのシリーズである『しろもこシリーズ』の最新作なんです。このシリーズははずれがなく、どれも美味しい。『宇治抹茶クリームのまっちゃもこ』もなかなかの逸品でした・・・」

 「製造はプライムデリカ・・・プリマハム系列の会社で、セブンイレブンの総菜やスイーツを作っている会社です・・・」

 大川さんは、もしかしたらオーディオマニアであるとともに、コンビニスイーツマニアなのかもしれない。妙に語り口が熱い。

 ひととおり大川さんの「宮崎紅のさつまいもこ」に関する詳細な「講釈」を拝聴した後、そのパッケージを開けて、中から出てきたさつまいもこを口にした。

 薄紫色をしたシュー皮は、もちっとした弾力感があり、淡い黄色のクリームは確かにさつまいもの味わいが上品に漂う。

 「美味しいです・・・これは良いですね・・・」

 私は思わず口にした。「これはきっとヒット商品になるであろう・・・ロングライドでのコンビニ休憩の際に、補給食として選ぶことになりそうだ・・・」そんなことも頭の中で思った。

 空いていた小腹を満たしてから、「では早速聴いてみますか・・・」ということになった。我が家のシステムは、大川邸のシステムとは随分と違う。

 システムの要となるアンプとスピーカーが、一気に時代を遡っていわゆる「ヴィンテージ・オーディオ」の世界に入り込むのである。

 「古いスピーカーとアンプなので、くすんだ印象を受けられるかもしれませんが・・・」と私が事前に言い訳をすると、「わが家のシステムもほとんどの製品が20年以上前のものですから、結構古いものです・・・決して最新とは言えません・・・準ヴィンテージといったところですよ・・・」と大川さんは話された。

 CD-2000からのデジタル出力は、O-DAC PRO Mk3にデジタルケーブルで接続された。そのデジタルケーブルは、大川さんがCD-2000と一緒に持参されたものであった。

 メーカー名は「VooDoo CABLE」。製品名は「Stradivarius」。これまた、メーカー名も製品名も全く知らないものであった。

 「家にはデジタルケーブルが10本あるんです・・・そのなかでこれはリファレンス的な存在です・・・」

 と大川さんは話された。見た目はごく普通のケーブルである。特に細くも太くもない。外観は実に中庸なものであった。



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