2017/9/12

4201:ゴール  

 「5km」とゴールまでの残り距離が書かれた看板を通り過ぎた。「もう少しでアップダウンエリアに入る・・・」そう思った。

 残り3kmを切ってから先は、下りも入るアップダウンエリアになる。そこからは当然スピードがぐっと上がる。

 しばし、心拍数を高めに維持して走り続けていくとようやく「3km」と書かれた看板が道路の上に見えた。

 厳しい斜度が緩んで、緩やかに下り始める。私はフロントギアをアウターに切り替えて、ぐっと重みを増したクランクをテンポよく回し始めた。

 体に受ける風が増していく。サイコンが標示するスピードの数字もどんどんと大きくなっていった。

 しかし、そう長い下りではない。やがて道は上りに転じる。その上りを下りでの勢いを活かしながら越えると、2番目の下りが始まる。

 またフロントギアを変えて、ガシガシと踏み込む。スピードはやがて50km/hを超えていく。耳には風切り音が勢いよく飛び込んでくる。

 2番目の下りを終えると、少し長めの上りになる。後を見ることはなかった。「彼」の気配はすぐ背後には無いように感じられた。

 「引き離したかな・・・」そんな風に考えていた。

 最後の下りになった。この下りを終えるとゴールまでは上りである。短い下りを高速で走り切ると最後の上りへ入り込んでいった。

 その最後の上りをテンポよく駆け上がっていった。「500m」の看板を通り過ぎた。いよいよゴールが近づいてきた。

 上りの斜度はそれほど厳しいものではない。重めのギアでスピードを上げた。そして「200m」の看板が見えた。

 ダンシングに切り替えてラストスパート体勢に入ろうとした時であった。私の左側を切れのいいスパートで通り抜けていくロードバイクがあった。

 「彼」であった。そのゼッケン番号は見覚えのあるものであった。一旦引き離したと思っていたが、アップダウンエリアで追いついてきていたようであった。

 「彼」は10メートルほど前に出た。私もスパート体勢に入り、その間合いを詰めていった。ゴール近くではスタッフの方が声援を送っていた。

 残り距離は100mほど・・・「彼」のすぐ背後に迫った。「彼」は若干全力スパートのタイミングが早かったのであろう、スピードはピークではなくなっていた。

 私はここからさらにペダルを踏み込んだ。「彼」をかわして、そのまま最高速を保ってFINISHラインを越えた。

 その瞬間、サイコンのストップボタンを押した。ゴールして惰性で少し行った先に足首に巻き付けてある計測チップの入っているベルトを回収するポイントがあった。

 そこで止まって左足首に巻いてあるベルトを取って女性スタッフに手渡した。そのすぐ右側で「彼」も止まった。

 「彼」は、疲弊しきっていた。ハンドルにもたれかかるようにして、足首のベルトもスタッフが取りはずしていた。

 「彼」の左肩を2度ほど軽く叩き「ありがとうございいました・・・」と語りかけた。「彼」は言葉を発せないようで、2度ほど顔を縦に振って返答した。

 サイコンに記録されたネットタイムは「1:03:26」であった。昨年のタイムが「1:03:38」であったので、ほんのわずかであるが自己ベストを更新できた。

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