2017/4/13

4049:スプレー  

 私はその青い小瓶を右手で掴んだ。そしてその瓶を上に掲げ、リスニングルームの白熱灯のオレンジ色の光にかざしてみた。

 中の液体は瓶の7割ほどを埋めていた。光にかざしたからといって、特にその液体は特別な光彩を放つことはなく、ただ淡々と瓶の中の空間を埋めていた。

 「空間がすっきりする・・・」と「ゆみちゃん」は話していた。「空間がすっきりか・・・」私は心の中で彼女の言葉を繰り返した。

 その小瓶を斜め45度に上を向け天井めがけて4回スプレーした。1回スプレーするごとに1歩手前に進んだ。

 噴霧された小さな霧は一旦上に上り、ふわっと広がりながら落下傘部隊のようにゆっくりと降りてきながら消えていった。

 芳香剤のような強い香りがあるわけではない。しかし、全くの無臭というわけでもないようである。かすかな香りがしてそれもあっという間に消えていった。

 空間がすっきりとしたかというと、「そう言われたらそうかもしれない・・・」といった程度にしか体感できなかった。

 先日「Mimizuku」で「ゆみちゃん」が私の頭上にスプレーしてくれた時も何かが変わったという実感はほとんどなかった。

 ただし、その後口にしたコーヒーの味わいが随分と変わっていた。それは噴霧された液体の一部がカウンターに置いてあったコーヒーカップの中にも入ったためだと思っていた。その時は珈琲の味わいが軽くなるというか、渋みや苦みが軽減され澄んだ味わいになった。

 「もしかしたら・・・音が変わったりするのかな・・・」

 心の中の声は静かに響いた。

 私は先程ケースにしまったブルッフのヴァイオリン協奏曲のCDを再度ケースから取り出してZZ-EIGHTにセットした。

 リスニングポイントに置いてあるイージーチェアに座って、リモコンを操作した。ブルッフのヴァイオリン協奏曲の第1楽章が緩やかにTANNOY GRFから流れ出した。

 「あら・・なんだか雰囲気が違う・・・空間が済んでいるような気が・・・」

 耳の錯覚とは思えなかった。どういう理屈なのかは全く不明であるが確かに雰囲気が違う。その効果のほどはどれほどの持続性があるのであろうか・・・30分ほどであろうか・・・

 「これってもしかしてマイナイオンか何かが関連しているのであろうか・・・」

 そんなことを思った。マイナスイオンを空間に放出すると、気分がすっとして、オーディオの音にも影響があると何かで聞いた記憶があった。

 オーディオで音楽を聴く前に、マイナスイオンを発生させるスプレーをリスニングルームにシュッとスプレーする・・・なんてことが習慣になるのかもしれない・・・そんな気がした。



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