2017/4/1

4037:小宇宙  

 圏央道が東北道に繋がったのは、昨年の10月31日のことである。これで東北道から東名高速までが、圏央道で結ばれたことになる。

 その恩恵を今日はしっかりと享受した。自宅から車で向かった先は、埼玉県加須市にお住いのマサさんのお宅である。

 入間インターから圏央道に乗り、そのまま順調に高速道を走った。圏央道が東北道に繋がっていなければ少なくともさらに20分ほど余計に時間がかかったはずであるが、自宅を出発して1時間20分ほど走ると目的地に到着した。

 マサさんのお宅は広い。その様相は、「庄屋」「名主」「地頭」といった言葉が思わず頭の中に浮かんでくるような、広大な敷地に建つ和風のお宅であった。

 庭の一角に車を停めさせていただいたが、それは「庭」という一般的な括りをはるかに超えたような広さであった。

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 ishiiさんとMさんがやや遅れて到着。早速リスニングルームに上がらせてもらった。リスニングルームといっても、隔離された空間ではなく、広々とした吹き抜けのある広い空間のなかにオーディオシステムはセッティングされていた。

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 システムの要となるスピーカーはDIATONE 2S-305。日本の誇る歴史的な銘器である。どしっとした量感のある躯体をしているが、キャビネットが微妙にラウンドしているのでその表情は優しげである。

 システムの送り出しは2台のレコードプレーヤーである。1台はLINN LP12。日本で最も人気と知名度のあるレコードプレーヤーであろう。

 そしてもう一台がTHORENS TD-124。こちらはヴィンテージ・オーディオの世界ではガラードと並んで人気を二分するレコードプレーヤーである。

 まずは何枚かのLPをLP12で聴いた。このLP12にはKEELが装着され、さらにアームにはEKOS SEが奢られている。相当に高級な仕様である。

 それらの効果か、実に冷静沈着に精緻な音情報を送り出す。どこまでも盤石で揺るぎない。知的で冷静な表情で音楽を語る語り口である。

 「さすがに、LP12・・・」としばし感心しながら聴き進んでいった。クラシックを中心に様々なジャンルのLPを一気に聴いてから、一息入れた。

 コーヒーブレークを経てから、今度はTD-124で同じLPを聴いた。敢えて、カートリッジは同じLINNのものを使用した。(マサさんは沢山のカートリッジをお持ちで、普段はSHUREのものを使われることが多いとのことであった。)

 TD-124で聴くと、「さっきとは演奏者が変わったのでは・・・」と思えるような変化がそこにはあった。

 重心がぐっと下がり、豊かな響きが乗ってくる。中域を中心に厚みが増して、音楽の躍動感がよりダイナミックになった。

 その変化具合に3人とも目を見張った。語り口が全然違う。私は普段クラシックしか聴かない。クラシックに限定するならば、TD-124の方が音楽の豊かさを濃厚に感じさせてくれる。

 その後、マサさんのサブシステムも聴かせていただいた。こちらはALL LINNシステムである。こちらは、LINNの音世界そのものであった。

 統一感のあるLINNの小宇宙が目の前に広がる。その小宇宙の中ではすべてが小気味よくスピード感に溢れ、そしてイギリスの空気のように乾いている。

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 この時代のLINNは現在のLINNとは違い明確な世界観を持っていた。その世界観が濃厚に聴く者に迫る。「この世界にどっぷり嵌るのもいいかな・・・」そんな風に思わせる「風」のようなものを感じた。

 マサさんのお宅でのOFF会は時間の経過が早かった。いつの間にか時刻は7時を過ぎた。夜の闇はしっとりと降りていた。

 お礼を言って私は帰路に着いた。帰り道は空いていた。高速道路を走りながら、サスペンションの微妙な動きを体で感じていた。BMW523iのサスペンションは巧みに道のうねりをいなしていた。

 THORENS TD124はうねりを上手くいなして美味しいところだけを聴く者の耳に届けるような感じがした。

 THORENSは独自のトーンがある。それに嵌ると抜け出せない何かがあるようである。そしてALL LINNの音世界にもTHORENSとは全く異なる独特の世界観があった。こちらも入り込んでいくと迷宮のような小宇宙が広がっているのであろう。

 そんなことをぼんやりと思いながら走っていった。帰りつくための時間は行きよりも短くて済んだ。1時間10分で着いた。 



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