2017/3/31

4036:超音波洗浄  

 レコードの洗浄には、様々な手法がある。それぞれに長所・短所があり、「これぞ決定版!」と言えるような手法は今のところないようである。

 私は、一度レコード洗浄機を購入したが、結局それは手放してしまって、最も原始的な方法とも言える「歯ブラシ洗浄法」を採用してきた。

 「歯ブラシ洗浄法」の投資金額は極めて少ない。専用のレコード・レーベル・カバー LC-1が5,000円ほど。洗浄に使う歯ブラシ(デンターシステマ)が200円ほど。レコード洗浄液が2,000円ほどである。数千円の投資額である。

 投資額が少ない割に洗浄効果は比較的高いのが「歯ブラシ洗浄法」の最大の長所である。短所と言えば、少々面倒くさいとことであろうか・・・レコード1枚当たり10〜20分程度の洗浄時間であるが、気が向かいないと重い腰が上がらない。洗浄後は滅菌ガーゼで水分をふき取り、BELLDREAM製のレコード乾燥台に立て掛ける。しばし自然乾燥させてからジャケットにしまう。「まあ、これでいいかな・・・」と思いながら、数年が経過した。

 最近とあるところから、レコード洗浄の手法として一部のレコード・マニアから支持されている「超音波洗浄法」もかなり有効であるとの情報を入手した。

 レコード洗浄に特化した超音波洗浄機も出ている。しかし、専用機は価格が高価である。20万円もする。「歯ブラシ洗浄法」が数千円の投資額であるのに対して桁が二けた違う。「せめて一桁の違いであれば・・・導入してもいいが・・・」と思っていたところ、37,500円で売っている業務用の超音波洗浄機がサイズ的にもレコード洗浄に向いているとの情報が重ねてもたらされた。

 「そのくらいの価格なら・・・」と早速我が家にも超音波洗浄機を導入してみた。洗浄能力は業務用なのできっと強力なはず。

 精製水をタンクに入れてヒーターで温度設定する。40度に設定した。タンクの上にプラスチックの棒を2本横たえてその2本の間にLC-1を装着したレコードを設置した。その状態でスイッチをONにした。ちょっとびっくりするような大きめの音がする。妙に耳つく音である。

 20万円する超音波レコード洗浄機は、自動的にレコードをゆっくりと回転させる。なのでタイマーをセットして、テレビでものんびり観ていればいい。

 しかし、そういう機能は当然ないので10分洗浄したら手でレコードを4分の1回転させる。盤面を万遍なく洗浄するためには、ちょっと手間がかかる。

 「20万円−3.75万円=16.25万円であるので、この手間を我慢するのはしょうがないこと・・・」と自分を納得させる。

 では、その洗浄効果はどうかと言えば・・・「確かにある。背景がすっきりとしてSNが上がった・・・」これにはかなり満足である。

 レコード洗浄液と歯ブラシで1回レコードを大まかに洗浄して、さらに超音波洗浄も加える・・・これが今のところ一番良さそうなレコード洗浄法であるような気がした。

2017/3/30

4035:ユニバーサルタイプ  

 現在ではユニバーサルタイプのトーンアームは少数派であるが、1970年代にはトーンアームはほとんどのものがユニバーサルタイプであった。

 ユニバーサルタイプのトーンアームの場合、シェルに取り付けたカートリッジをシェルごと簡単に交換できる。

 「ゆみちゃん」の部屋にあるYAMAHA YP-700に取り付けられているのは、ユニバーサルタイムのトーンアームである。「ゆみちゃん」にその交換方法を説明した。

 「とても簡単だから、すぐに交換できるよ・・・このカートリッジで試してみて、結果をメールして・・・」

 シェル交換機能を備えたユニバーサルタイプのトーンアームの場合、カートリッジの交換が手軽にできるため、YP-700が生産販売されていた1970年代のオーディオマニアは、数多くのカートリッジを蒐集する人がいた。

 自らが蒐集したそれらのカートリッジは、シェルに取り付けられて、シェルスタンドにずらりと並べられたりした。

 聴くレコードに合わせて、適宜カートリッジを交換したりするのが楽しかった・・・そんな時代である。

 中学生の頃、友人の父親がオーディオマニアであった。その友人の家に遊びに行ったときに時々そのオーディオを聴かせてもらった。

 確かパイオニア製であったと記憶している大型のレコードプレーヤーにはユニバーサルタイプのトーンアームが取り付けられていて、その横にはシェルに取り付けられたカートリッジがいくつも飾られていた。

 「じゃあ、今日帰ったら早速交換してみます・・・」彼女はそう言って小さな箱に戻されたGRACE製のカートリッジを鞄にしまった。

 「そういえば、何か集めてますか・・・?趣味で・・・」

 彼女に不意にそう訊かれた。

 「集めている・・・と言えば、レコードくらいかな・・・世の中にはレコードマニアがいてね・・・凄い人は何万枚も持っている人もいるよ・・・」

 「レコードって結構場所取りますよね・・・私も今30枚くらい持っているんですけど、段々場所が無くなってきて・・・」

 「レコード、結構増えたね・・・レコードってね・・・洗うと音が良くなるよ・・・」

 「えっ・・・洗うんですか・・・?」

 「そう水をかけて、歯ブラシでゴシゴシするんだ・・・」

 「歯ブラシでゴシゴシ・・・痛まないんですかレコード・・・?」

 「歯ブラシで擦るくらいなら大丈夫だよ・・・歯ブラシは『デンターシステマ』が良いんだって・・・」

 「今度やってみようかな・・・でも、真ん中にラベルがあるでしょう・・・濡れたらボロボロになりません・・・?」

 「それ用のグッズがあるんだよね・・・」

 私はそう言うと、スマホで検索してそのグッズの写真を見せた。
 
 「レコード レーベルカバー LC-1・・・Amazonで売ってる。価格は5,337円。ちょっと高いかな・・・でも、ずっと使えるから・・・」

 そんな話をして、小1時間ほど過ぎていった。Mimizukuの店内ではエアコンの音とお湯が沸かされている音が静かに響いていた。

 カウンターに置いてあるSONY製の古いラジカセは佇んでいるだけで、音は発していなかった。ラジオ受信の為のアンテナは斜め45度に向かって伸ばされたままであった。真上ではなく、斜め45度であった。「この角度が一番良いのかもしれない・・・」意味もなくそう思った。

2017/3/29

4034:握る温泉  

 「Mimizuku」はカウンター席が4席、四人掛けのテーブルが二つ、そして二人掛けのテーブルが一つある。

 私はカウンター席に座っていた。「ゆみちゃん」が店に入ってきたのは7時半ごろであった。彼女の職場は新宿御苑にある。コンピューターソフトウェアに関連する200人程の会社との話であった。

 「こんばんわ・・・」「ゆみちゃん」は挨拶をしてカウンター席に座った。私は「おつかれさま・・・」と言って、少し残っていたコーヒーを口に運んだ。

 彼女は女主人にナポリタンとアイスコーヒーを頼んだ。そういえば、彼女はいつもアイスコーヒーを頼む、ホットコーヒーを頼んだのを見たことがない。

 「極端な猫舌なのであろうか・・・」そんなことが頭の中に浮かんだ。「仕事は忙しい・・・?」私がそう訊くと、彼女は「私の部署は総務だからそれほどでもないんです・・・システム開発の部署の人は時期によっては相当忙しいみたい・・・」と会社のことや仕事のことを話し始めた。

 彼女はもともとはシステム開発の部署にいたが、3年ほど前に過労から体調を一時的崩したようある。1ケ月ほどの休職期間を経て、総務部に配属が変わった。それからはそれほど残業をすることはなくなったようである。

 「一時的に体調を崩したから、私ってこう見えて結構健康オタクなんですよ・・・」と言って彼女は鞄から普段愛用している健康グッズを取り出した。

 「これは酵素です。ペースト状になっていて1日にこの小さな袋に入ったものを二つぐらい飲むんです・・・」

 「それからこれはちょっと不思議なグッズで、この金属の棒をこうやって1本づつ手で握るんです。体にたまった邪気を吸い取ってくれるんです・・・『握る温泉』って言う商品名なんですよ・・・変でしょう・・・でもこれ効くんです・・・」

 「それっ・・・試してみていい・・・?」

 「もちろん・・・いいですよ・・・こうやって右手と左手で1本づつ握るだけです。」

 私は「ゆみちゃん」からその金属製の小さく細い棒を2本受け取った。そしてそれを1本づつ両手で握った。

 金属部分はアルミであろうか、真ん中に黒いゴムのようものが巻かれていた。金属の中は空洞になっていて何かが入っているようであった。

 それを握ってしばし目を閉じた。何かを感じようと感覚を研ぎ澄ましたが、両手に感じた金属の冷たさが、やがて手の熱で暖かくなっていった他は、格別の感覚はなかった。

 「これって本当に効くの・・・?」
 
 私は2,3分その金属棒を握ってから彼女に返した。

 「30分ほど握ると、効果が出てきます。夜寝る前なんかに、テレビ観ながら握っているんです。なんだか体がすっと軽くなりますよ・・・」

 彼女の目は笑っていた。私もそれにつられて意味のない微笑みをその顔に浮かべた。そして、今日の本来の目的を思い出した。

 「あっ・・・そうそう・・・これを渡すんだった・・・」
 
 そう独り言のように言って、先程取り出してしげしげと眺めていたGRACE製のカートリッジを鞄の中から再度取り出した。 

 小さな箱に入っていたGRACE F-8L'10を箱から出して、それをカウンターの上に置いた。黒いシェルに取り付けられた金色の小さなボディーは白熱灯の明かりの下で鈍く輝いていた。先ほど一人で見ていた時よりもその色合いが若干変わっているように感じられた。

 それは、「ゆみちゃん」が隣にいるからであろうか・・・それともほんの数分であったが、「握る温泉」を両手で握ったからであろうか・・・

2017/3/28

4033:あわ大福  

 できあがったナポリタンを食べてると、「Mimizuku」の扉が開いた。扉に取り付けてある鈴が乾いた音をたてた。

 期待感を込めてそちらに視線を移した。しかし一瞥して、そのシルエットが私が期待したものとは違うことが分かった。

 初老の男性が一人入ってきた。男性の髪は短く刈り上げられていて、額の当りが薄くなりM字状に額がせり上がってきていた。

 その男性は奥まったところにある2人掛けのテーブル席に座った。女主人が、ガラスコップに入った水とおしぼりを持っていって、二言三言話した。

 私は再びナポリタンに向かい合った。ナポリタンはどこかしら昭和の香りのする食べ物である。

 「Mmiuzku」では、白いお皿に盛られるが、これが銀色の金属製の楕円形皿に盛られているとさらに「昭和感」が増すであろう。

 最近レコードやカセットテープが人気と聞く。喫茶店のナポリタンも人気が出ているようである。どこかしら共通するものがあるのであろうか・・・

 「Mimkuzku」では軽食として、ナポリタン以外にホットサンドも出す。ホットサンド用の金具を使い、周囲がしっかりと閉じ合わされる。焼き目が綺麗に付いたホットサンドの具材は定番のハムとチーズである。

 一時「ゆみちゃん」はホットサンドに嵌っていた。やがて、その興味はちょっと変な方向に向かい、具材を自分で買ってきて、女主人に頼んでそれを中に挟んでホットサンドを作って貰ったりしていた。

 その特注具材の中には普通の感覚では「?」マークが盛大に頭の中に浮かんでくるようなものも含まれていた。

 彼女は「これはいける・・・」として目を輝かせて食べていたのは具材が「肉じゃが」のホッドサンドである。

 お総菜屋さんで購入した正真正銘の「肉じゃが」である。それをホットサンドの具材にするのは、なかなか思い付かないであろう。
 
 さらに「これも良い・・・」と喜んでいたのは、具材が大福餅であった。特に一時嵌ったのが、「紀伊國屋」の「あわ大福」を具材としたホットサンド。

 これは私も半分もらったことがある。「おいしいですよ・・・」と彼女に笑顔で言われたが、私は半信半疑であった。

 恐る恐る口に運んだが、予想に反してなかなかいけた。「名古屋ではあずきトーストが人気というし、これはこれでありかな・・・」頭の中でそう思った。

 「あれっ・・・これはありだね・・・」私がそう言うと、彼女は「そうでしょう・・・」と嬉しそうに笑った。

 しかし、そのブームは彼女の中ですでに去ってしまったようであった。私は時折あの「あわ大福ホットサンド」の味が思いだされる。そして、もう一度食べてみたくなる。

 ナポリタンを食べ終えようとしていた頃、再度扉の鈴が鳴った。「カラン・・・カラン・・・」と鈴は二度乾いた音を店内に響かせた。その響きは短い余韻を残して天上の方へ消えていった。

2017/3/27

4032:GRACE  

 車を降りて少し歩いた。3月ももう終わろうとしている。春は間近である。しかし、陽が落ちて辺りが暗くなると空気はすっとその様相を変える。

 車を停めたコインパーキングから「Mimizuku」までは歩いて数分である。「Mimizuku」は時代に取り残されたような古い喫茶店である。女主人が一人で切り盛りしている。

 扉を開けて中に入ると、外と中とでは空気感が大きく異なる。その独特な空気感の中を進んで、カウンター席に座った。カウンター席は全部で四つある。客は誰もいなかった。その一番奥に座った。

 カウンターに置いてあるオレンジ色のパタパタ時計に目を向けた。時刻は7時少し前であった。「もうこの手の時計は製造されてないのだろうな・・・」そんなことをふと思った。

 女主人にナポリタンとホットコーヒーを頼んだ。今日はとあるものを鞄に潜めていた。それはカートリッジである。

 それを鞄から取り出してカウンターの上に置いた。そのカートリッジは、GRACE F-8L'10。同じくGRACE製のシェルに取り付けられている。

 カートリッジは金色のボディーを持った可愛いものである。その小さな「器具」をMimizukuのぼんやりとした白熱灯の下で眺めていると、GRACE F-8L'10の金色が鈍く光る。そしてその小さな金色はまるで宝石か何かのように貴重なものに見えてくる。その金色を眺めていると先日ここで「ゆみちゃん」と話したことを思い出した。

 彼女は時折人の背後に淡く広がるオーラが見えることがある。何かのきっかけでオーラの色合いの話となった。

 「でもまだ金色のオーラって見たことないんですよね・・・」

 「オーラが金色って・・・お釈迦様かキリストぐらいじゃないの・・・」

 「悟りを啓かないと無理なのかも・・・じゃあ、まだ見たことがないのも分かる気がする・・・」

 「今見えてる・・・?」

 「ええ・・・ちょっと待ってください・・・少し疲れています・・・?」

 彼女は目を細めた。昼間には見えることはほとんどなく、夕暮れ時や照明が薄暗い室内で見えることがあると言う。「Mimizuku」の中では見えやすいようである。

 「えっ・・・色に出ている・・・?」

 「ちょっとくすんだ色合いになってます・・・」

 「かなり疲れているからね・・・」

 そんな、普通の人が聴いたら「ちょっと変・・・」と思われそうな会話も、不思議と「Mimizuku」の店内では、違和感なく行われる。それが1週間前のことであった。

 その後、彼女の部屋にあるオーディオの話となった。少し前から片チャンネルから音が出なくなったとのことなので、その症状をいろいろと訊いてみたのである。

 それらのオーディオ機器はいずれも古いもので、彼女から「レコードが聴けるシステムが一式欲しい・・・」と頼まれて私が揃えた。

 そのラインナップは、レコードプレーヤーがYAMAHA YP-700、プリメインアンプがSONY TA-1120、そしてスピーカーがDIATONE DS-251MkUである。

 いずれも現在30歳の彼女が生まれる前の製品たちである。コンディションは比較的良いものであったが、なにせ古い機器である。

 彼女から聴きだした症状から推測するに、YAMAHA YP-700に付属していたカートリッジであるSHURE M75MB type2の断線の可能性が高かった。

 そこで、今日彼女と待ち合わせて、GRACE F-8L'10を渡す予定であった。ユニバーサルタイプは、シェルごと交換すればカートリッジ交換は容易である。

2017/3/26

4031:整体  

 「永久橋」の交差点を左折すると、もうすぐ「Pro・Fit」に着く。もう何年も前から2ケ月に一度の割合で整体の施術を「Pro・Fit」で受けている。

 激しい腰痛に苦しんでいるとか、五十肩で腕が真っ直ぐに上がらないといった不具合が出ているわけではないが、2ケ月ほど経過すると背筋や腰に疲れが溜まり姿勢が悪くなってくる。それを整体でニュートラルな状態に戻すのである。

 確定申告業務が終わり、その疲れは腰と背筋に随分と溜まっていた。パソコンを相手にした長時間のデスクワークは体に思いのほか負担をかけるようであった。

 その重い疲労感を抱えたまま19日の日曜日にはヤビツ峠までロードバイクで走った。走行距離は150kmを越えた。走り終えた後、腰に少々違和感が出た。

 時に右側の腰に張りが感じられ、時折痛みが出た。腰痛というほどではないが、その違和感はなかなか立ち去らなかった。

 「整体の施術でその違和感がすっかりとなくなればいいが・・・」そんなことを思いながらPro・Fitの駐車場にGOLFを停めた。

 「どうも・・・お願いします・・・」と挨拶をして、整体室に入った。腰の違和感については事前にメールで知らせていた。また、右肩に不意に痛みが走ることが最近あったので、そのことも伝えていた。

 今日はその右腰と右肩を中心に施術が行われた。施術が進んで行くと、強張った体は徐々にほぐれていく。

 その間、色んな話をする。共通の趣味であるオーディオの話が中心である。チューバホーンさんがお持ちの「O-DAC PRO」は電源のバージョンアップを受けるために、Oさんの工房に入院中とのことである。

 DACにとって電源の強化は相当重要なようで、「電源が変わると随分と違うんですよね・・・それから電源ケーブルでDACはがらっと変わりますよ・・・」とチューバホーンさんは話されていた。

 「電源ケーブルか・・・」ちょっと懐かしかった。ハイエンド系のオーシオシステムを聴いていた頃、電源ケーブルには嵌ったことがある。随分と前のことである。

 我が家にあるZZ-EIGHTは付属の電源ケーブルを使用している。「ZZ-EIGHTの電源ケーブルを変えると、音も変化するだろうな・・・」そんなことをふと思った。

 1時間半の施術が完了すると体がすっかりと解れた。筋肉の収縮により丸まっていた背筋がすっと伸び、両腕が天高く真っ直ぐに上がる。身長が伸びたような感覚である。

 腰の違和感もとれた。体にはロードバイクなどで負荷を定期的にかけている。特に負荷が大きなヒルクライムは体を酷使する。体のコンディションを保つためにも定期的な整体はとても重要なものである。

 体から憑き物が落ちたようであった。チューバホーンさんにお礼を言って、車に乗り込んだ。VW GOLFのやや大ぶりなシートは、解れた体を優しく支えてくれる。

 今日はもう一箇所寄るべき所があった。真っ直ぐ自宅に向かうのであれば西へ向かうのであるが、VW GOLFは東へ向かった。

 早稲田通りを一旦東へ向かい、「阿佐ヶ谷北六丁目」の交差点を右折して阿佐ヶ谷駅方面へ北上した。

 阿佐ヶ谷駅を通り過ぎて少し走ると青梅街道に出る。T字路の交差点を左折して青梅街道を東へ向かった。

 中野坂上の交差点の手前、「CoCo壱番屋」が目印の小さな脇道に入った。脇道は狭い。その道を少し進むとコインパーキングが見えてくる。ここのコインパーキングには6台の車が停められる。今日は3台の「先客」がいたが、残り半分は空いていた。

2017/3/25

4030:GOLF  

 VW POLOのミッションの具合が悪くなったので、急遽ディーラーに見てもらうこととなった。以前から停車してからの発進時にアクセルを強めに踏むとクラッチの繋がり具合が不自然なところがあったが、異音と振動を伴うようになった。

 診断の結果、2,3日預かってもらって修理することとなった。その間の代車としてGOLFを用意してもらった。

 VW GOLFはもうすぐマイナーチェンジをする。「今ならGOLFは大幅な値引きができます。ぜひご検討ください・・・低金利ローンも用意してます・・・」営業マンは、自身のノルマに追われているのか、営業トークも忘れなかった。

 7代目GOLFに乗るのは2回目である。フルモデルチェンジした直後に乗ったのでもう3年ほど前の頃になるであろうか。

 実に良い車であった。POLOに比べると車格が一つ上がるので、腰の据わった落ち着き感を感じた。

 遮音性能も高く、ロードノイズやエンジン音が遠くから聞こえてきた。サスペンションの動きもドタバタせずにしっとりと道の凹凸をいなしてくれた。「やはり、POLOとは一味も二味も違うな・・・」と感心した記憶がある。

 久しぶりにGOLFのドライバーズシートに納まった。インテリアはVW流のカチッとまとまった造形で、見ていて気持ちがすっきりとする。

 基本的な配置などはPOLOと共通するので使いやすい。早速エンジンスタートボタンを押してみた。エンジンは静かに目覚める。

 代車のGOLFはGolf TSI Comfortlineというグレードであった。エンジンは1.2L。実にコンパクトなエンジンであるが、VWのコンパクトなエンジンは「直噴・過給」で低回転域から十分なトルクを発生させるので、日常領域でパワー不足を感じることはない。

 やはり静かである。つい先ほどまで乗っていたPOLOに比べると、ラグジュアリー感がひしひしと肌に伝わってくる。

 乗り味も同様で、軽快感が売りのPOLOに比べ、しっとりした感触がある。当然車重の関係もあるであろうが、車の性格を意図してラグジュアリーな方向へ振っているように感じた。

 新青梅街道を東へ向かった。先週の週末は3連休で道が混んでいたが、今日はその反動かそれほど混んでいなかった。

 比較的順調に進み、「北原」の交差点を右斜め方向に向かって青梅街道を進んだ。しばしそのまま走り、「井草八幡前」の交差点で左折した。

 早稲田通りは片側1車線の道路である。道沿いには比較的古い店が散在している。その通りをまっすぐに進んでいった。

 GOLFは車としてのバランスが実に良い。その中でもこのセグメントとしては乗り味が素晴らしい。サスペンションが実に滑らかに動いている。

 「ラグジュアリー」という表現では柔らかいと解されかねないが、柔らかいのではなく滑らかである。一つ上の滑らかさを持っている。それが上質なラグジュアリー感を乗っている者にもたらすのであろう。

 環八を越えて少し行くと「永久橋」という小さな交差点が見えてくる。その交差点の手前には交差点の名前にもなっている妙正寺川にかかる小さな橋である「永久橋」がある。その橋を渡ってすぐに交差点を左折した。

2017/3/24

4029:ボウ・クリステンセン  

 BOW TECKNOLOGIESは、ノアが代理店であったが、随分と前に取り扱いが中止された。BOW TECKNOLOGIES自体が無くなってしまったのかもしれない。

 ボウ・クリステンセンは、自身の名を付けた会社を興す前はPRIMAREにいた。PRIMARE時代にも斬新なデザインのオーディオ製品を作り上げている。

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 「928」という型番が与えられたPRIMAREの処女作であるプリアンプとパワーアンプは、その先鋭的デザインで一世を風靡した。かなり前の製品であるが、全く古びた感じがしない。

 プリアンプの各種スイッチやボリュームノブの造形などに、彼の並々ならぬデザインセンスの妙が感じられる。

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 PRIMARE時代に続いて発表されたのが、「200シリーズ」。そのラインナップにはプリアンプ、パワーアンプ以外にもCDプレーヤーやチューナーも含まれていた。

 200シリーズは共通のデザインテイストで纏められている。CDプレーヤーは「MODEL204」という型番が与えられている。

 Model204は、200シーリーズの製品に共通する近未来的な姿をしている。SF映画に出てくる宇宙船をモチーフにしたのではないかと思いたくなるようなデザインである。

 トップローディング式のCDプレーヤーは優れたデザインの製品が多いが、このMODEL204もその一例である。

 その後ボウ・クリステンセンはPRIMAREを去り、BOW TECHNOLOGIESを興す。そして今我が家にあるCDプレーヤーであるZZ-EIGHTを発表する。ZZシリーズにはペアとなるプリメインアンプ、ZZ-ONEもあり、こちらも共通の意匠を身にまとい、日本でも人気が高かった。

 BOW TECHNOLOGIESではZZシリーズの後、製品名の頭に「W」の付く一連のシーリーズも発表された。

 CDプレーヤー、プリメインアンプ、プリアンプそしてパワーアンプがラインナップされていた。CDプレーヤーの製品名は「WIZARD」。

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 ZZ-EIGHTとの共通性も散見されるが、こちらはもっとポップな感じのデザインである。そのリモコンも「おっと・・・!」と思わせる造形が施されている。

 彼の一連の作品は、オーディオ機器でありながらどこかしら芸術作品を思わせるようなところがある。ZZ-EIGHTは彼の一連の「作品」の中でも傑出したものではないかと、個人的には思っている。

2017/3/23

4028:6-7-8  

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 我が家のリスニングルームには、3台のYAMAHA GTラックが並んでいる。我が家のオーディオシステムが一定の完成を迎えると、その全ての領域にオーディオ機器が埋まる予定である。しかし、その一定の完成にはもう少し時間がかかる予定である。

 今現在、その3台のGTラックの上段には、真ん中にMarantz Model7が鎮座している。このModel7を真ん中に挟んで、右側にはORACLE Deephi6が、そのきらきらした妖精的な姿で佇んでいる。

 そして、その左側にはつい最近我が家のやってきたBOW TECHNOLOGIEのZZ-EIGHTが、その滑らかなグロスブラックの色合いを静かに主張している。

 右から左に向かって見てみると、Delphi6、Model7、ZZ-EIGHTと、綺麗にその型番の数字の順番通りに並んでいる。

 あとはGTラックの下段が埋まれば完成である。右側のラックの下段にはORACLE Delphi6の電源部が置かれている。

 真ん中と左側のGTラックの下段には、本来であればモノラル構成であるMarantz Model2がそれぞれ1台づつ納まっているはずであるが、随分と長い間不在である。その間はShanshanさんからお借りしている真空管式パワーアンプが代役を務めてくれている。

 そのMarantz Model2が戻ってくれば、我が家のオーディオシステムは一応の完成を迎える。早くその日がこないかと首を長くしているところである。

 前回のメールでは3月上旬にModel2の修理が終わる予定との内容であったが、その予定は残念ながら伸びてしまった。

 今月末までには修理が終わる予定とのメールが届いたのは確定申告業務の真っ最中であった。仕事で疲れた肩と腰がさらに重くなった気がした。

 今月末に修理が終わるとなると、取りに行くのは4月1日の土曜日か翌日4月2日の日曜日になるであろう。

 ORACLE Delphi6、BOW TECHNOLOGIE ZZ-EIGHT、Marantz Model7、Marzntz Model2、そしてTANNOY GRFというかなり珍しいと思えるラインナップが、我が家のリスニングルームに揃うのは4月に入ってからである。

 オーディオを趣味とするようになって10年ほどの年月が経過した。当初はハイエンド系のシステムで突き進んでいたが、10年経過してその様相はがらっと変わった。
 
 システムの要となるスピーカーやアンプが1950年代のヴィンテージ製品となった。システムの大幅な入れ替えは今後まず起きないであろう。

 あとはケーブルやカートリッジが変わる程度であろうから、一応「上がり」と言える状況になりそうである。 

2017/3/22

4027:裏ヤビツ  

 ヤビツ峠はローディーに人気のある峠である。私たちのチームメンバー以外にも多くのローディーが挑戦していた。

 上り終えたばかりは体の発熱で暑かったが、その熱は徐々に放熱されていき、時間の経過とともに少し肌寒くなってきた。

 恒例の記念撮影の後、下りに備えてネックウォーマーとウィンドブレーカーを着用した。上ってきた「表ヤビツ」を下るのではなく、宮ケ瀬湖の方へ向かう「裏ヤビツ」を下る。

 この「裏ヤビツ」、「表ヤビツ」に比べ道のコンディションは良くない。かなり狭い所もあり、車だと対向車が来るとすれ違うのに苦労する。

 長い下りを下っていった。今日は暖かい日であるがさすがに標高が高い所は空気がひんやりしている。

 スピードに乗って下っていくと、体が冷えていく。筋肉は冷却されて強張ってくる。カーブの手前ではブレーキングして曲がる方向に体重を傾ける。

 長い下りを下り終えると宮ケ瀬湖が見えてくる。しばし、宮ケ瀬湖に沿って走っていって、湖畔の水の郷商店街に立ち寄った。ここでは様々な食べ物が食べられるが、時間がおしていたのでトイレ休憩のみで帰路を急いだ。

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 帰路は所々で車が渋滞していた。三連休の中日で天気もいい。絶好の行楽日和であり、お彼岸も近いので普段よりも相当車が出ているようであった。

 車が渋滞していて、しかも車と歩道の段差との空間がない場合には、やむを得ず歩道も利用して進んでいった。

 やがて「鑓水」の交差点に達した。ほぼまっすぐで広い野猿街道を走っていき、多摩川にかかる大きな橋を越えた。

 橋を越えると多摩川に沿って続くサイクリングロードを走った。郷土の森公園のところでサイクリングロードを離れた。

 府中街道に達すると東大和方面へ向かう2名は本隊から分離されて、府中街道を進んだ。「府中街道はゆっくり行きましょう・・・」と事前に話していた。

 体は確かに疲れている。走行距離は既に140kmを超えていた。ヤビツ峠の上りでは限界まで追い込んだ。

 「ゆっくり行きましょう・・・」と話していたが、結局いつも通りの快速ペースで走った。長い距離を走った最終盤では妙なテンションが体を支配するようである。

 やがて道は東大和市に入った。もう辺りは薄暗かった。LEDの小さなライトはリズミカルに明滅していた。そのリズムは私の心臓のリズムよりも少しだけゆっくりであった。



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