2017/1/6

3952:一対比較  

 我が家には現在2台のMarantz Model7がある。もともと使っていたものは、初期型に属するModel7である。

 ビンテージショップで購入し、知人の知り合いの方にフルレストアをしてもらった。その方は熱烈なWE信奉者で、フルレストアの際にWE系のパーツが多く使われた。いわゆるオリジナル忠実型とは一味異なり、「WE系7」とでも言うべきものである。

 そして、もう1台後から我が家にやってきたModel7は最後期型のものである。こちらは別の方にフルレストアしてもらった。

 その方は、オリジナルの部品には拘泥することなく、より高性能な部品を使ってフルレストアされる。一気に時代を駆け上った「Modern系 Model7」といった趣である。

 かけるレコードをはじめ、レコードプレーヤーやパワーアンプ、スピーカーなどを同じくし、プリアンプのみを切り替える方法で、これら二つのModel7は「一対比較」をすることができる。

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 仲良さげにその2台がラックの上に並んだ様子は、さしずめ「一卵性双生児」である。ぱっと見では区別がつかない「二人」であるが、真ん中に四つ並んだスイッチのノブが焦げ茶色であるのが「WE系7」で、真黒なのが「Modern系7」である。

 そろそろ「Modern系7」のエージングも完了しつつあるとの判断から、一対比較をしてみようかという気になった。

 選択したレコードはブルッフのヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26。バイオリンはジョアン・フィールド。ルドルフ・アルベルト指揮ベルリン交響楽団の演奏である。

 ブルッフが作曲した最初のヴァイオリン協奏曲である第1番は、その後の第2番や第3番よりも有名で人気がある。

 ブルッフの代表作で、数あるヴァイオリン協奏曲の中でも広く愛好される作品の一つである。3楽章構成で、演奏時間はおよそ25分。

 第1楽章の冒頭は、静かなティンパニのトレモロで始まる。それに木管が答えて幕が開き、独奏ヴァイオリンの幽玄な調べが現れると後はほぼ全体にわたって独奏ヴァイオリンが曲を支配する。

 第1楽章と第2楽章は直接アタッカでつながれていて、第1楽章はどちらかというと第2楽章の前奏曲的な役割を果たしている。

 第2楽章は、この曲のメインを成す。第1楽章同様ほぼ独奏ヴァイオリンが支配する。独奏ヴァイオリンの旋律は甘い美しさと抒情に溢れ、音楽から蜜がこぼれているかのようである。

 終曲である第3楽章は、重層的な勢いがある。思わず競馬のシーンを連想してしまうほどに疾走感に溢れている。

 第4コーナーを立ち上がって先頭を行くのはもちろんジョアン・フィールドのヴァイオリンであるが、オーケストラもそれに負けじと追い上げるといった展開に手に汗握る。

 独奏ヴァイオリンは華麗に舞い、疾駆する。オーケストラは雄大な展開力でそれを支える。ロマン派のヴァイオリン協奏曲はかくあるべきといった感のある完成度の高い曲である。人気があるのもうなずける。

 この曲を双子の兄弟たちはどう描き分けるのか・・・それは興味が尽きないところである。まずは兄である「WE系7」で聴いてみた。



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