2016/12/28

3943:Spendor  

 「Mimizuku」でしばらく過ごしたのち、私は同じビルの4階に居を構える「オーディオショップ・グレン」に向かった。

 事前に小暮さんにスマホでメールしてみると、「今日は何もない日でね・・・店にいます・・・」との返答を得ていた。

 階段で4階まで上った。この古いビルは5階建てである。1階は「Mimiuzuku」、2階には「光通商」という名前の正体不明の会社が入っている。

 3階は空いているようで、なんの看板や表札もかかっていなかった。そして4階が「オーディオショップ・グレン」である。

 5階には上ることはないが、1階の階段脇にある集合ポストには「高橋法律事務所」と表記されていた。

 4階まで上がると息が切れた。インフルエンザでダメージを負った体には少々厳しめ負荷であったのであろうか・・・

 ドアをノックした。金属製のドアは硬質で濁った音を発した。「どうぞ・・・」ドアの向こうから声がした。

 中に入るといつもの風景が広がっていた。黒い革製の3人掛けソファに座った。腰を掛けるとシュッと音がして、その牛革の表皮は軽く沈んだ。

 スピーカーは1セットだけいつもの位置に置いてあった。そのスピーカーはSpendor SP-1であった。SP-1は専用のスティール製のスタンドに乗っていた。

 「オーディオショップ・グレン」では、TANNOYの古いスピーカーを多く扱っているが、時折SpendorやHARBETHの古いスピーカーも英国から入ってくるようであった。

 「Spendorは日本ではそれほど人気はないかもしれないけど、一部には愛好家がいてね・・・これはSP-1のオリジナルで、1983年の発売・・・」

 「良いプロポーションですね・・・」

 「なんだかほっとするよね・・・この姿・・・専用スタンドも良い感じだし・・・」

 SP-1はBC-1の音の思想を継承しつつ、1980年代に入り急速に普及し始めたデジタルサウンドに対応するために開発されたスピーカーである。

 低域には20cmコーン型ウーファーを、高域には3.8cmドーム型ツィーター、さらに超高域にはドーム型スーパーツィーターを搭載している。

 エンクロージャーは、Spendorの代表作ともいえるBC-IIと同一サイズでまとめられている。外観は穏やかな質感を醸し出すチーク仕上げである。



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