2016/6/20

3751:白石峠  

 まずはアンパンを口にした。焼き上がってからまだそれほど時間が経過していないようで、手に持つとまだ暖かかった。

 暖かいアンパンはじっとりとした旨みを口の中に広げた。ロードバイクで走ってきて、緑あふれる景観のなかで暖かみを残すアンパンを食していると、心がほっこりとしてくる。

 この後白石峠をひいひい言いながら上る予定であるが、このアンパンを食べていると、このままくるっと向きを変えて今来た道を帰りたくなってくる。

 そんなどちらかというと「戦闘モード」ではなく「平穏モード」にしてくれるシロクマパンのパンたちである。

 ちなみに「シロクマパン」は正式名称ではなく、正式名称は「パン工房 シロクマ」である。チーム内では「シロクマパン」で通っている。

 三つのパンを胃袋の中に納め、残り一つはサイクルジャージの背中のポケットにしまった。しばしののんびりタイムを過ごした後、シロクマパンを後にして白石峠を目指してリスタートした。

 白石峠が近づいてくると、すれ違うローディーの数が増える。やはり、メジャーな峠である。その数は結構なものであった。白石峠までは上り基調のアップダウンが続く。

 上り口のすぐ手前の公衆トイレでトイレ休憩をした後、何名かのメンバーが先行スタートしていった。後発組はしばし待ってからゆっくりとスタートした。

 少し行くと右に入って行く道がある。道路標識があり右向きの矢印と「白石峠」と書かれた文字がはっきりと見える。

 ここを右に曲がるとタイム計測開始である。サイコンのラップボタンを押した。ここから6kmと少しの距離を上ると頂上である。

 白石峠は、上り始めから厳しい斜度が迎えてくれる。2km程上ると斜度が緩む箇所も時折出てくるがすぐに厳しくなる。そんなリズミカルな斜度の変化が何度も何度も繰り返され、その波状攻撃により脚は徐々に削り取られていく。

 先月単独でチャレンジした時には上り始めから飛ばしたため後半で脚が売り切れてしまい、目標としていた30分には遠く及ばずタイムは32分25秒であった。今日は30分に近いタイムで上り切りたい。

 前回の轍を踏まないよう、今日は上り始めの斜度が厳しい序盤エリアは抑え気味に走った。白石峠には道の右側に頂上までの距離が表示されている。

 その残り距離の表示が「4km」になった辺りから、ペースを少しづつ上げた。ヒルクライムの時の呼吸独特の激しく余裕のない感じの呼吸音が響き始めた。

 隊列は縦に長くなっていき、先行スタート組のメンバーに追いつきかわしながら、その残り距離を少しづつ少なくしていった。

 白石峠は後半が勝負である。緩んで厳しくなる、また緩んで厳しくなるという繰り返しに脚の余力も心の余力も残量が目に見えてどんどん減っていく。

 斜度が上がって厳しくなるたびに、白石峠から心の強度を試されているかのようである。「まだ、頑張りますか?そろそろ脚を緩めませんか?」と斜度が厳しくなる度に訊かれる。

 その問いに首を振りながら、クランクを回し続けた。先行する2名の上級者は随分と先を行っている。2番手のメンバーの背中は見通しの良いエリアでは視界に入ってくるが、道が曲がっていると視界から消える。

 ようやく残り距離の表示板の数字が「1km」になった。もう少しである。しかし、ここからが意外と長いのが白石峠である。



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