2015/9/25

3297:アドレナリン  

 家に帰りついた私の様子を見て、家族は口を揃えて「どうしたの・・・?半分死んだような顔してるよ・・・」と呟いた。

 時刻は11時を回っていた。ダイニングテーブルの椅子に座り込んで、しばしぼ〜としていた。家族はリビングで、テレビを観たり、自分のスマホを見ていたりしていて、日常的な休日の夜をいつものように過ごしていた。

 なんだか、こんななんということもない家庭の風景が妙に新鮮に感じられる。それほど非日常的な時間を過ごしてきたのであろうか。

 今日一日で経験した様々な場所や時間などのことをふっと思いだそうとしたが、体が疲れ切っていて、ふわふわとしかその様子が浮かばなかった。

 どの位座り込んでいたのであろうか・・・20分ほどであったであろうか・・・ようやく重い腰を上げて、浴室へ向かった。

 シャワーで汗を流し去った。普段のロングライドでもあるいはジムでのトレーニングでも、汗を大量に流した後に浴びるシャワーは私にとって、一種の快感である。

 何かしらの達成感のようなものを感じるのである。無為には過ごさなかった証のように体には汗と疲れがまとわりついている。それを勢いよくシャワーで流し去るのである。

 シャワーですっきりとしてから、ベッドで横になった。ベッドに入る前は「ベッドで横になったら、きっとすぐさま深い眠りに吸い込まれるに違いない・・・」と思っていた。

 しかし、実際はそうではなかった。「あれ、なんだか眠れないな・・・どうしたのであろうか・・・?」と訝しく思った。

 体は針が振りきれるぐらいに疲れ果てているはずである。しかし、何度か寝返りをして暗い寝室でしばしの時間を過ごした。

 どうやら、脳内に大量に放出された興奮成分がまだ引き切っていないようであった。体にとって過酷な体験をすると、脳内からアドレナリンが放出される。それが脳を興奮させて、過酷さに立ち向かわせる。

 「今日一日で私の脳内に放出されたアドレナリンはどれほどであったのであろうか・・・?」そんなことをふっと思った。

 しばし、脳内が沈静化するのを待った。やがて、それは訪れた。電源スイッチをパチンと切るようにして、私は無意識の中に沈んでいった。



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