2015/9/6

3278:面白いもの  

 いつものコインパーキングにVW POLOを入れた。6台の車が停められるここのパーキングの入口を入って左側の真ん中に車をバックで入れた。

 夕方になってから雨が降り始めた。日中はずっと曇り空で耐えていたのが、こらえきれなくなったという感じでどっと降ってきた。

 ビニール傘をさして、本降りのなか車の外に出て、歩いて数分のところにある古びたビルに向かった。

 その古ぼけたビルの1階には古びた喫茶店が入っている。ビル同様相当くたびれた感のある喫茶店には、客の姿は常にまばら・・・というか全くいない時間帯の方が多いのかもしれない。

 長い時間の経過によりくすんだ感じになっている窓ガラスから店内の様子を窺った。店には客は一人しかいなかった。

 カウンター席に誰かが座っている様子はなく、店内の空気は全く動いていないのではと思えるほどに淀んでいた。

 この喫茶店の店名は「Mimizuku」。時代に完全に取り残された感のある店である。時折、この店には立ち寄る。

 店内はまさに「昭和」そのもの・・・使い込まれたテーブルや椅子は鈍く輝いている。コーヒーが入れられるカップにも時代を感じる。それらは一体となって穏やかな時間と空間を形作っている。

 扉を開けて、店内に入った。扉を開けると、扉の上部に取り付けられている鐘が「カラン・・カラン・・・」を乾いた音を2度たてた。

 ほぼ例外なく座るカウンター席の一番奥へ向かった。「いらっしゃい・・・」一人でこの店を切り盛りしている女主人は、静かに出迎えてくれる。

 「ホット・・・ブレンドで・・・」

 私は、女主人の声量に合わせるかのように、抑えめの声で注文した。ここのコーヒーは美味しい。

 カウンター席に座って、スマホでメールをチェックした。左手でスマホを持って、右手の人差し指で画面をなぞってスライドさせていった。

 このビルの4階にある「オーディオショップ・グレン」のオーナーである小暮さんからメールが来たのは3日前・・・そのメールを探し当てて開いた。

 「またまた、ちょっと面白いものが入りました。すでに予約が入っているので、店にあるのは1週間ほどです。今度の日曜日の夜、どうですか・・・?」

 そのメールを目にして、心の中で呟いた。「ちょっと面白いものか・・・あえて、何か書かないんだよな・・・いつも・・・」



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