2015/7/6

3396:SPU-GT  

 「あ、そうだ・・・まだ時間大丈夫・・・?これから仕事じゃないでしょう・・・」

 2度目に立ち上がった私に向かって小暮さんは尋ねた。

 「いえ、仕事の予定は入ってません。もう9時過ぎですからね・・・」

 「じゃあ、もう少しいいかな・・・つい最近ちょっと良いものを手に入れたんでね・・・」

 そう言うと小暮さんはラックの脇に置いてあった小さな白い箱を取り出した。その白い箱には赤い文字で「ORTOFON」と印刷されていた。

 「SPU-GT・・・ハーマン時代のものでね・・・結構古いものなんだ・・・GTだからトランス内臓・・・昇圧トランスを介せずに直接プリアンプに繋ぐことができる。」

 箱から取り出されたSPU-GTを見せてもらった。とても小さなトランスがシェルの内部に取り付けられている。見た目的には「これで大丈夫・・・?」と思われる小ささである。

 JS NO.384の昇圧トランスからケーブルが抜かれプリンアンプに直接接続された。そしてTD124のカートリッジが取り換えられた。

 従前取り付けられていたカートリッジはORTOFON SPU CLASSIC G。ORTOFON JAPANの時代になってから復刻されたモデルである。現在はMkUになって存続している。

 なので、厳密にはGTの内部の昇圧トランスとJSの昇圧トランスの聴き比べ以外の変更要素が入ってはくる。

 昇圧トランスで音は大きく変わる。それが楽しくもあり難しくもある。SPUを使う場合は同じデンマーク製のJSのトランスを使ったり、ORTOFON製のものを使うことが多い。

 昇圧トランスは星の数ほどある。それらを全て聴き比べることは不可能である。SPU-GTが気に入れば、昇圧トランス選びに頭を悩ませずにすむという「オマケ」が付いてくる。

 トランス内臓のタイプにはSPU-GTとSPU-GTEの2種類がある。GTは丸針でGTEは楕円針である。丸針の方が音が比較的穏やか、楕円針の方が細かな音を拾い上げることができると言われている。

 接続を終えてから小暮さんは「LP12の方が良かったかな・・・?」と独り言のように呟いた。

 私はすぐさま答えていた。

 「いえ、TD124でお願いします・・・TD124で・・・」



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ