2015/6/17

3377:紅富士の湯  

 チームメンバー全員が揃ったところで、下山を始めた。数多くの参加者が下山するので、誘導に従って何度か立ち止まって時間調整をしながら下っていった。

 肌寒い空気がウィンドブレーカーを突き抜けて進入してくる。ブレーキペダルを握り続けている指はフルフィンガータイプのグローブをしていても、凍えてくる。

 下り終えると、「ご褒美」が待っている。それは参加者全員に無料で振る舞われる「吉田のうどん」である。コシのしっかりとしたうどんはどことなく「武蔵野うどん」を思わせる。鄙びた風情がほっとさせてくれる。

 うどんを堪能した後、宿を目指して走った。そして宿の駐車場でロードバイクを車に収納して着替えた。その後疲れ切った体を労り癒すために恒例の「紅富士の湯」へ向かった。

 そこでぬるめの露天風呂にゆっくりと浸かった。一つの大きなイベントが終わった。参加した15名のチームメンバーは皆トラブルなく無事に完走した。

 富士スバルラインを上ってくる24kmの行程の中では、バンクしてロードバイクを押して下りてくる人や足が攣ったか痙攣したかで苦悶の表情で道路脇に座り込んでいる人も見かけた。そういったトラブルがなくて良かった。

 体温に近いようなぬるめのお湯にのんびり浸かっていると、つい先ほどまでの厳しいヒルクライムのことが遠い世界のことのように思えてくる。

 湯に浸かっていると頭の中はぼうっとしてくる。そんな状況であっても、脳内の灰色の細胞はゆっくりとではあるが活動している。

 「一つの大きな目標は達成できた・・・では、これで手綱を緩めるべきか・・・1年半継続してきた『1日置き作戦』は終焉すべきか・・・」

 「今回のタイムは1時間26分23秒・・・昨年のタイムを5分ほど縮めた。さらにこれを更新するのは52歳という年齢を考えると容易くはない・・・」

 「でも、もう少し強くなれるような気がする・・・もう少しは・・・」

 「そう、出来る事なら1時間25分を切ってみたい・・・」

 そんなことが頭の中に浮かんでは消えていった。そうしているうちに脳内の白いスクリーンには「1時間25分」という文字が鮮明に浮かび上がってきた。

 そして、露天風呂を出る頃にはある一つのことを自身の心に刻みつけていた。

 「モチベーションを維持するためには明確な目標が必要である。その目標は明確に数値化され達成までの期限が設定されていなければならない・・・」20年ほど前、独立開業寸前にセミナーを受講した「ナポレオン・ヒルの成功哲学」の一節が思い出されていた。

 「来年のMt.富士ヒルクライムで1時間25分を切る・・・」それが次なる明確な目標となった。



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