2015/4/30

3329:ルーテシア  

 「これってサスペンションアームに亀裂が入っているのかもしれないね・・・となると修理代はうん十万かな・・・」

 私は彼女の所有するAlfa Romeo Mitoのステアリングを握りながらそう呟いた。道の凹凸を越える時にMitoの床の下からは金属が擦れるような音が断続的に聞こえてくる。

 「それとミッションもちょっとギクシャクしてる。これは2速から3速を飛ばして4速に入っちゃっているのかな・・・そのあたりでカクンとくるね・・・」

 「どうしよう・・・もうそろそろ限界かな・・・修理するか、買い替えるか・・・」

 彼女はそう言って苦笑いした。彼女は幾何学模様のはいったふわっとしたブラウスの上に白いカーディガンを羽織っていた。

 「ご主人はなんて言ってるの・・・?」

 「買い替えようって・・・ルノーがいいって・・・」
 
 「ルノー・・・じゃあ、ルーテシア・・・?」

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 「そう、ルーテシア・・・色は赤がいいんじゃないかって・・・」

 「いいかもね・・・割と良いセンスしてると思うけど・・・」

 「でも、ちょっと金魚みたいって思っちゃう・・・」

 「金魚ね・・・確かにちょっと金魚っぽいね・・・色が赤だと・・・」

 黒のMitoは旧青梅街道を走っていた。やがて、左手に武蔵村山市役所が見えてくる。それをやり過ごししばらく走ったところを左折した。特にこれといった目印のないところで分かりにくいが、その道の角に「手打ちうどん」と書かれたのぼりがある。

 左折してすぐ右折する。対向車がくるとすれ違うのに苦労すると思われる細い道を進んだ先に「満月うどん」がある。

 ここは店も駐車場も狭い。時間帯をずらさないと随分と待たされる。時計の針は1時半を回ろうとしていた。

 天気は晴天・・・気温は25度を超えているかもしれない。Mitoの窓は開け放たれていた。車内をとおり抜ける風は心地よいものであった。

2015/4/29

3328:暴走列車  

 帰り道は下り基調である。正丸峠・・・山伏峠・・・を下り、名栗川の流れに沿って帰路を走った。

 帰り道もペースは速かった。8両編成のトレインの先頭車両の行き先表示器には「小平」としっかりと表示され、さらに「急行」と赤字で表示されていたかのようである。先頭を順繰りに引くのであるが、誰もペースを抑えようとはしなかった。

 帰り道には「山王峠」と「笹仁田峠」を越えるコースを選択した。名栗川に沿って勢いよく走っていくと、やがて右折すると山王峠に向かう交差点に達した。

 その交差点を右折すると道が上りに転じる。今日は序盤からバトルモードに展開した。「今日は展開が早いな・・・いつもは序盤は穏やかに入るのに・・・」と思いながら、そのペースに遅れまいとした。しかし、体が重くペースがなかなか上がらなかった。

 正丸峠でのバトルの影響であろうか・・・あるいは今日は妙に速いペースでの巡航の疲れであろうか・・・アクセルを踏んでもエンジンの回転数は低いまま。パワーが絞り出てこない。

 上りの最終盤になってようやくエンジンの回転が上がってきた。エンジンの回転数の上昇に合わせてクランクを回す回転数も上がった。

 山王峠を越えてまた下り基調の道に戻った。先頭列車の「急行」の表示はいつのまにか「特急」に変わったのであろうか・・・さらにペースアップして列車は走っていった。

 なんだか、今日はメンバー全員のテンションが高い。誰も緩めることなく速いペースのままで帰路を次々と制覇していった。

 最後のバトルポイントの笹仁田峠に到着した。山王峠同様早い段階でバトルモードになるかと身構えたが、序盤は穏やかな展開であった。中間地点ぐらいで一人のメンバーがアタックした。

 それを合図に一気にヒートアップ。私もペースアップを図ったが、それほどスピードに乗れなかった。

 最後の斜度が上がるスプリントポイントに入ってダンシングでスパートした。スピードに乗ったスプリントで最後のバトルエリアを通過した。

 「山伏・正丸峠」「山王峠」「笹仁田峠」・・・いずれのバトルエリアでも最終的には限界心拍数まで追い込んでのゴールとなった。

 笹仁田峠を下り終えた先にあるファミリーマートで補給食を摂って休憩した。帰路も終盤を迎えた。先頭列車の表示が「特急」から「暴走」に変わったかのように、誰もブレーキをかけることなく走った。なんだか皆その暴走具合を楽しんでいるかのようであった。

2015/4/28

3327:バトル  

 山伏峠の上り口にある公衆トイレでトイレ休憩を済ませてから、山伏峠、さらにはその先にある正丸峠の頂上へ向かって上り始めた。

 工事のため片側一方通行となっているところを抜けて、何度が曲がる峠道を進んだ。ペースは徐々に上がっていき、集団は縦にばらけていく。

 山伏峠の頂上までは4kmと少し上らなければならない。途中斜度がきつくなるポイントが2箇所ほどある。そこはダンシングでやり過ごし、後はほとんどシッティングでこなす。

 山伏峠の上りの終盤に入ると、2名の実力者が先頭を行き、やや遅れて3番手のメンバーが上り、さらにやや遅れて私ともう一人のメンバーが追いかけるという展開となった。

 山伏峠を並走してくれたメンバーは身長と体重がほぼ私と同じ。身長は約180cmで体重は約70kg。こういった体型はどちらかというと平坦路をハイペースで駆け抜けるのは得意ではあるが、ヒルクライムにはあまり向いていない。もっと小柄で体重が軽い体型の人がクライマーには向いている。小野田坂道君のように・・・

 そんなクライマー向きとは言えない体型の2名は、山伏峠をようやく越えた。少し下ってから正丸峠の上り道へ向かって右折した。

 正丸峠の上りは1kmほど・・・山伏峠で脚を使いきると、この短い上りが実に辛いものになる。それを考慮に入れて山伏峠を上り切らないといけない。

 正丸峠の上りに入った。3番手のメンバーには下りで一旦追いついた。しかし、上りに入るとすぐさま差がついてしまった。その速いペースに付いていくことができずに、20メートルほど前に・・・。山伏峠を並走していたメンバーは脚を使い切ったのか遅れていった。

 前を行くメンバーの背中を捉え続けることは重要である。視界に入ってこなくなってしまうと気持ちが切れてしまう。どうにか差がこれ以上広がらないよう高まっていく乳酸値に抗してクランクを速いペースで回し続けた。

 正丸峠の上りの後半に入って、さらにペースを上げた。心拍数は当然のことのように限界値に達した。サイコンに表示される数字は明らかにレッドゾーンに入り込んでいた。前を行くメンバーとの間合いが少し詰まってきた。でもまだ10メートル以上は離れていた。

 正丸峠の頂上手前は斜度が緩む。そこで一気にスパートした。ダンシングでありったけのパワーをTIMEのペダルに注ぎ込んだ。前を行くメンバーの背中が近づき、その右わきを通り抜けた。

 奥村茶屋のある峠の頂上に辿りつき、呼吸を整えた。ロードバイクを道の脇にあるガードレールに立て掛けた。

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 正丸峠の激しいバトルで脚にはどんと重い疲労感が・・・「帰り道にはミニバトルエリアが待ち構えているが、脚がもつであろうか」・・・そんな心配がふと頭をよぎった。

2015/4/27

3326:ハイペース  

 いつも通り、多摩湖自転車道を経過して旧青梅街道を通り、岩蔵街道へ出た。6名で順繰りに先頭を引くうちにペースが徐々に上がってきた。

 天候が素晴らしく、また気温が上がってきたので皆サイクルウェアがより軽装なものになってきたのが功を奏したのであろうか、一旦上がったペースは落ちることはなかった。

 ファミリーマート 飯能上畑店で小休止、ここで2名のメンバーと合流した。トイレを済ませ、補給食を摂った。実際の効果のほどは不明ではあるが、補給食と一緒にレッドブルを飲んだ。なんとなく気分がアゲアゲになった気がした。

 コンビニ休憩時に摂る補給食は特に決まりはない。おにぎりでもサンドイッチでもドラヤキでもいい。その時の気分で選ぶ。今日はサンドイッチを選択した。

 目についたのが「ファミマプレミアムサンド ツナハム野菜ミックスサンド」・・・ツナサラダとチェダーチーズ、さらにハムとトマトにたまごサラダ、レタスなどを合わせたちょっと豪華なサンドイッチであった。美味であった。

 ロングライドの休憩時にはコンビニに寄るので、コンビニの新商品にも敏感にもなってくる。コンビニの商品開発力はやはりなかなかのものである。

 休憩を終えて先へ進んだ。小沢峠を越えていった。成木と名栗を繋ぐ道であるが、成木側から進むと、道は極めて緩やかな上りが続き、峠というイメージは殆どない。小沢トンネルの前は少し斜度が上がる。

 トンネルを潜ると下りである。こちらは斜度がしっかりとある。勢いよく風を切って下っていった。

 名栗川沿いの道に出て信号を左折した。ここからは信号もほとんどなく、上り基調の山間の道がしばらく続く。

 とても良いペースで走り続けた。8両編成となった列車は乾いた走行音を響かせて、湖上をスムースに進む競技用ボートのように走っていった。

 先頭から2番目でこのエリアを走っていた。先頭を引くメンバーが良いペースで引いてくれていた。その背後にピタッとついてクランクを回し続けていると気分がスカッとさわやかなものに・・・・

 こういった緩やかな上り基調の道をやや速めのペースで走り続けていくのは大好きである。どこまでも走れるような気がしてくる。

 先頭交代で私が先頭に・・・気分が良いまま速いペースを維持した。「出てる・・・出てる・・」と感じていた。脳内麻薬がじわっと滲みだしているようであった。

 気付くと山伏峠の上り口に到着した。いつもよりもかなり速いペースでここまで走ってきた。これから厳しいヒルクライムが待ち構えているが、その前に気分良く走りすぎて少々消耗してしまったかもしれない。

2015/4/26

3325:儀式  

 4月は雪が降るような寒い日があったりもしたが、もうすっかりと暖かい日々が続くようになった。気付くとゴールデンウィークはもう目の前・・・季節はすっかりと入れ替わった。

 さすがにコートの出番はもうないであろう。今日も昼頃には半袖でも大丈夫な気温になると天気予報は伝えていた。

 そうなるとロングライドの時に着るサイクルウェアも変わってくる。より軽装なものに変更されていく。しかし、走り出しの朝のうちはまだ少しばかりひやっとする。今日はアームカバーとニーウォーマーは着用した。グローブはハーフフィンガーで全然大丈夫。

 寒い時期はレッグウォーマーに隠れていた脚が、この時期あたりから直接外気に触れるようになる。ということは、一つの儀式を執り行うことが必要となる。その儀式は昨晩行われた。場所は自宅の風呂場・・・

 その儀式とは「毛剃りの儀式」である。脚を出さない寒い時期は脚の毛は自然のままに任せてある。2本の脚は「LET IT GO! LET IT GO!」と口ずさみながら、あるがままの姿になっていった。

 それを自然の摂理には逆らうのかもしれないが、5枚刀が装着されたShick製の剃刀により、脚の毛を剃っていった。そしてこの「すべ脚状態」は脚を出して走る季節の間継続される。

 この習慣は昨年から採用された。それ以前は「あるがままが一番・・・」とローディーの風習をあえて無視していたのであるが、やはり「郷に入れば郷に従え・・・」ということで方針変更した。

 今朝はその幾分軽やかになった2本の脚に風を受けて、チームのロングライドに参加するためバイクルプラザに向かって、KUOTA KHANを走らせた。

 季節はすっかりと新緑の時期となった。時折満開のハナミズキが美しい花を誇らしげに見せてくれていた。

 今日の目的地は定番の「正丸峠」に決まった。往復距離は100kmちょっと。行き慣れた道である。参加メンバーは6名。途中2名が合流して8名になる予定である。

 天気は快晴。予想最高気温は24度。「昼過ぎには暑くなるかもしれないな・・・」と思いながら、6両編成のトレインを形成して、目的地へ向かった。

2015/4/25

3324:オーディオ讃歌  

 M5さんの広いリスニングルームに佇むのは久し振りである。何年ぶりぐらいであろうか・・・確か2年ぶりぐらいのはず。

 部屋の短辺・長辺・高さの比率が黄金比率になるように設計されたこのリスニングルームの広さは25,6畳はあるであろう。一般的な家庭でこのように広く整った環境の専用リスニングルームを手に入れるのは至難の業である。それだけにこの部屋の中に置かれたオーディオ機器は幸せな存在と言えるであろう。

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 フロント左右にはB&W N801。フロントセンターにはN802が・・・そしてリア左右にはN801がセッティングされている。リアのスピーカーは前回訪問時にはB&Wの細身のトールボールタイプであった。ここにN801も持ってくることにより5本のユニットが揃い全体のスクラム力が飛躍的に向上したようである。

 送り出しはEmm Labs。2CH用と5CH用に2系統ある。パワーアンプはCLASSE。プリは2CHの時はEmm Labs、5CHの時はアキュフェーズ。それぞれの機器を繋ぐケーブルや電源ケーブルは非常に質の高いものがそれぞれ奢られている。そして、もう一つの肝がクロック・・・GPS仕様の高精度のものがEmm Labsに接続されている。

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 何よりも圧巻だったのは、Emm Labsを送り出しとする5CHマルチの音・・・ホノグラフィックな美音ではなく、リアリティーを伴った美音とでも言うべき音は圧倒的な余裕度を持ちながら、広々とした空間に実態感を伴った音のうねりを放出する。

 かなりの音量であるはずなのに、耳に優しい音のまろやかさ・・・聴き疲れのしない音の有機的な質感に少々驚く。

 前回訪問時の音の方が、もっとムキムキの筋肉体質であった。こちらの体が弱っているときには対峙すると疲れるような質感を感じたが、今回の音は聴く者を優しく包み込むかのような懐の深さを感じさせる。決して力技で押し通すような感じはしない。空気を大きく揺らすグランカッサが鳴り響いても、それは体を包みながらすっと通り過ぎる。

 今日聴かせていただいたCD、SACDのなかで最も印象的であったのはモーツァルトのレクイエムであった。

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 Jordi Savall指揮による古楽器を使った演奏であるが、実に良い演奏であり、録音である。その豊かな響きは天上の世界まで届いているかのように感じられた。

 5CHマルチの圧倒的な優位性を感じさせてくれるM5さんのリスニングルームには、朗々とした「オーディオ讃歌」が響き渡っていた。「ここには一つの桃源郷がある・・・」そう思わせてくれるこの部屋には、また近いうちに訪れたい。

2015/4/24

3323:ナポリタン  

 私のナポリタンが出来上がった。カウンターには湯気を上げるナポリタンが白い皿に盛られて置かれた。皿はそれほど大きくなく、ナポリタンは嵩高く盛られている。見た目的なインパクトはそれなりにある。

 たっぷりめのバターできっちり炒められたパスタは細めの麺。ナポリタンというと太麺を連想しがちであるが、Mmizukuはシャキッとしている。

 茹で加減はアルデンテ。歯ごたえはしっかりとしている。これも一般的なナポリンタンのイメージである、茹で置きでふにゃとした噛み応えとはちょっと違う。

 具はハム、玉ねぎ、マッシュルーム、ピーマンとオーソドックス。玉ねぎはシャッキリ感が若干残っており、ハムはごく普通のもの。

 味わいはシンプル。粉チーズを少し多めにかけると、味わいにまろみが加わわる。時間をそれほどかけずにぐんぐん食べたくなる。

 「ゆみちゃん」は食べ終えてから、とある女性誌を鞄から出して、私に見せた。付箋が貼ってあるページを開いて見てみると、読者の投稿写真のページがあり、その中の写真の一つに彼女の姿があった。

 「掲載されたんだ・・・すごいね・・・」

 「やっとね・・・もうどれだけ写真を送ったか・・・」

 「ファッションコーディネーターの方の寸評も載っているでしょう・・・結構ほめられちゃった・・・」

 私はその寸評を読んでみた。しかし、その文章はありきたりで脳の表面を滑っていった。それよりも私は彼女のフルネームと年齢に目が釘付けになった。

 そこには「神崎 夢美 29歳 OL」とあった。「『夢美』と書いて『ゆみ』と読むのか・・・変わっているな。しかし、名は体を表すではないが、その名前はどことなくふわふわした感じで現実感が希薄な彼女の性格をよく表しているのかもしれない。年齢は29歳か・・・どちらかというと童顔だからもう少し下かと思っていた・・・」

 店には1時間ほどいた。ゆみちゃんと様々なことを話した。彼女の出身地である和歌山市のことや、京都の私立大学に通っていた時代のこと、そして今勤めている会社のことなど・・・彼女はソフトウェア関連の大きな会社に勤めているシステムエンジニアである。

 「でも、なんで東京に来たの・・・?関西じゃなく・・・」

 「好奇心かな・・・でもちょっと後悔している・・・」

 「向こうの方が暮らしやすいでしょう・・・」
 
 「東京は人が多すぎ・・・絶対量が多すぎる・・・」

 「じゃあ・・・いつかは帰る?」

 「できれば・・・いつかは・・・もう、いつかいつかって言ってられる歳でもないんですけど・・・」

 彼女は関西風のイントネーションが見え隠れする言葉で話した。4月は寒い日もあったが、ここ数日は生暖かい日が続いている。夜になっても空気は柔らかいままであった。

2015/4/23

3322:iPhone 6  

 中野坂上にある喫茶店「Mimizuku」に着いたのはちょうど時計の針が7時に達した頃であった。辺りはすっかりと暗くなっていた。

 くたびれきった扉を開けて、いつものカウンター席に向かった。カウンター席の一番手前には彼女が座っていた。

 二つある4人掛けテーブルに客の姿はなく、一番奥まったところにある2人掛けのテーブルには中年男性の姿があった。コーヒーカップがテーブルの上に置かれ、男性は新聞を広げていた。

 「ゆみちゃん」は私の姿を認めると、軽く微笑んで会釈した。

 「久しぶり・・・元気・・・?」

 私は彼女に声をかけて、カウンター席に座った。鞄を一番右端の椅子の上に置いて、その中からスマホを取り出してカウンターの上に置いた。私のスマホはSONY製のXPERIA ZL2・・・色は黒でカバーは取り付けていない。

 「ええ、ほどほど元気です・・・」

 彼女の眼の前のカウンター上にはiPhone 6が置かれていた。淡い桜色の半透明のカバーが取り付けてあった。

 「スマホ、変えた・・・?これ、iPhone 6だよね・・・?」

 「ええ、以前は5Sだったんですけど・・・画像がさらに綺麗になっていたので・・・変えちゃいました・・・そんなに進化していないのかなって思っていたんですけど、やっぱり良くなっていました・・・画面も大きくなったし、」

 「そう言えば、テレビの画像も良くなったよね・・・この前横浜に住む兄貴が新しいマンションを買ったんだ。駅近のタワーマンションでね・・・ベランダに出ると景色が遠くまで見渡せて・・・遊びに行くと50型の新しいテレビがリビングにドンと置かれていた。Panasonicだったかな・・・その画像が違うんだよね・・・家のテレビは5,6年前のTOSHIBA製だけど・・・その画像に慣れている目には、妙に明るく精細な感じで・・・技術ってやっぱり進化しているんだって感心した・・・」

 「でも、このi-Phone6の画像もそうだけど、実際の目で見る風景とはちょっと違うような感じがする。こんなに細かく見えることって現実の風景にはない・・・画面の隅々までピタッとピントが合いまくってるって感じ・・・なんだか現実とは違う、また別のものって感じがする。」

 「ゆみちゃん」はナポリタンを食していた。時折そのナポリタンの皿の隣に置かれているアイスコーヒーをストローですすった。

 「あ、それ分かる・・・なんだかバーチャルな感じがするんだよね・・・血が通ってないっていうか・・・」

 私が頼んだナポリタンは女主人の手によって着々と完成に向かっていた。ケチャップが投入された。ナポリタンを炒める音と共にケチャップの香りがプ〜ンとした。

2015/4/22

3321:1シリーズ  

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 BMWは1シリーズを最近マイン―チェンジした。BMWのマイナーチェンジはどちらかというと外観に関してはそれほど大きな変更をしないのであるが、今回の1シリーズのマイナーチェンジに関しては、フルモデルチェンジかと勘違いしてしまうほど外観を変えてきた。

 1シリーズはCセグメントに属するプレミアムコンパクトカーである。登場から10年間で、全世界で約200万台も売れた人気車種。

 Cセグメントに君臨する絶対的な王者といえばVWのGOLF。最近はMercedes-BenzのAクラスなどもシェアを伸ばしている。こういったライバルたちはFFであるが、1シリーズは、Cセグメント唯一のFR車で、こうしたパッケージングが人気の秘密かもしれない。

 従前から1シリーズのデザインは結構斬新であった。マイナーチェンジ前のフロントマスクは良く言えば「若々しい」、悪く言えば「目つきが変・・・」といった印象のものであった。BMWの最近のデザインはコンサバ傾向をぐんぐんと強めていたので、1シリーズの存在はちょと異色でもあった。

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 マイナーチェンジによりこれまでのどこかしらゆるキャラを思わせるふんわりした目つきはきりりとした表情に変わった。その造形は最近のBMWのデザイン傾向を取り込んだもので、BMW初のFFモデルである2シリーズに似ている。

 リアコンビネーションライトも、L型デザインのLEDライトに変更された。3シリーズや5シリーズと同様のデザインとなりリアでもBMWらしさを主張している。

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 このデザイン変更は、多くのBMWファンに好意をもって受け入れられるであろう。マイナーチェンジで大きくデザインを変えると、多くの場合ちぐはぐな印象を受けることが多い。しかし、この1シリーズのマイナーチェンジはより予定調和的な方向への変更であり、違和感はない。

 現在のBMWデザインの潮流に乗ったことにより、1シリーズのBMW内における独自の存在感が薄れたことは確かである。

 「今まではちょっとずれた位置に存在していた1シリーズがBMWのラインナップの列に綺麗に納まってしまった・・・」という感想を持った今回のマイナーチェンジである。

2015/4/21

3320:小吉  

 後半のINコース、出だしの10番に向かって乗用カートに乗っているときであった。乗用カートの透明なプラスチック製のウィンドウにポツリポツリと雨粒が当たり始めた。

 「降ってきましたね・・・」

 小柄なキャディがそう言った。

 「もう降ってきたか・・・あと2時間半待ってくれればよかったのに・・・」

 雨脚はそれほど強くはなかった。少しは濡れるが、合羽を着こむほどの強さではない。キャディは一旦乗用カートを停めて、四つ並んだキャディバッグに雨を防ぐカバーを取り付けた。

 「小雨」と表現すべき程度の雨のなか、INコースをこなしていった。INコースは前半のOUTコースよりも落ち着いた展開。10番、11番、12番は3連続ボギー・・・大きく崩れることなく13番へ向かった。

 13番のティーグランドに立つ頃には雨もほとんど気にならない程度の弱いものになった。13番は距離の短いミドルホール。

 ティーショットはドライバーでなくフェアウェイウッドで手堅く200ヤードほど飛ばした。残りは100ヤード弱。アプローチウェッジで打ったセカンドショットはグリーンにONした。ポテトチップのようにうねるグリーンではあったが、どうにかこうにかツーパットで納め、後半初のパーを奪った。

 その後14番、15番、16番もボギー。可もなく不可もなくといったゴルフが続いた。雨は止んだようであった。空は灰色一色でおおわれていたが、濃い灰色でなく淡い色合いの灰色であった。

 17番ショートホール。大きな池がグリーンの左サイドまで広がっていた。この大きな池がプレッシャーを盛大にかけてくる。

 「ひっかけると池に入る。外すならグリーンの右サイド・・・」

 と、ややグリーンの右側を向いてアドレス。7番アイアンを降り切った。アドレス通りグリーンの右方向に飛び出したボールは途中からグ〜ンとカーブし始めた。

 「ひっかかった・・・」

 「これをやってはいけません・・・」的なフックボールは見事な水柱を上げて池に飛び込んだ。池の右手前に丸い円と「D.A.」と表示されたドロップエリアにボールをドロップして3打目を打った。意気消沈したせいか、スリーパットというオマケまでついてしまってトリプリボギー。

 「くそ〜、ここまで穏やかなゴルフだったのに・・・」

 と悔やんだが、後の祭りである。続く18番でなんとしてもパーをとらないとボギーペースにならない。

 最後の18番は516ヤードのロングホール。18番のグリーンのすぐそばにも池が・・・気の抜けないホールである。

 ドライバーショットとセカンドショットはまずまずのでき・・・勝負のサードショットは残り80ヤードほど。

 グリーンのすぐ右脇には池が不気味なほど静かに佇んでいる。幸いボールはフェアウェイの左側に止まっていた。今度はひっかけても大丈夫であるが、こすり玉が出てしまって右に曲がるとまた池に嵌る。

 慎重に2度素振りしてから、アプローチウェッジを短く握ってショットした。ボールは真っ直ぐに出た。無事白いボールは緑色のグリーンの上に達した。

 慎重にファーストパットを寄せて、緊張することなく5打目となる短いパーパットをカップに沈めた。これで後半のINコースはボギーペースの「45」で納まった。

 今年2度目のゴルフのスコアは「48+45=93」。おみくじで言うと「小吉」といったところか・・・嬉しいわけでもなく、悔しいわけでもなく、微妙な感触である。

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