2015/3/4

3272:θ波  

 夜、自宅に帰るとリスニングルームに立ち寄ってLEAKのアンプの電源をONにした。LEAK POINT ONE STEREOのパイロットランプにオレンジ色の灯りがつき、LEAK TL-10の真空管も眠りから覚めた。一旦リスニングルームから出て着替えた。食事は外で済ませた。「疲れたから風呂にでも入るか・・・」ぼんやりと考えた。

 忙しい時期にはリスニングルームで過ごす時間も削られていく。体が疲れているうえ気持ちに余裕がないのである。

 クラシック音楽を聴くにはある程度の集中力が必要である。心身ともに疲れているときは、時間の経過とともにその集中力は急降下してしまう。気づくと意識が混濁していることが多い。

 なので、この時期はレコードの片面のみを聴く。レコードの片面であれば時間にして20〜30分ほど・・・このくらいならどうにか集中力を継続できる。

 風呂に入った。浴槽で何度かがくっと首が垂れた。浴槽でお湯につかって脳波がどんどん下がっていったようである。仕事をしているときの脳波はβ波、それがお湯につかるとのんびりとした波形であるα波になる。そして、さらに緊張が緩んでいくとθ波になって、ふっと意識が飛んでしまう。

 そんなふうで長風呂してしまった。体は十二分に暖まった。このままベッドに入り込めばぐっすりと眠れそうである。

 その前にリスニングルームに立ち寄った。LEAKのアンプは長風呂した私同様、十分に暖まっていた。

 どのレコードのするか・・・レコード棚をしばし眺める。レコード棚は演奏者ごとにインデックスで区切られている。

 そのインデックスを眺めていて、「今日はこれかな・・・」と「Teresa Stich-Randall」のインデックスで目が留まった。

 そのインデックスで区切られた空間には7枚ほどのレコードが並んでいる。モーツァルトの歌曲がA面に入っているレコードを取り出して、LP12のターンテーブルに乗せた。

 ゆっくりと針先を盤面に下ろす。1950年代の録音でモノラルのレコードである。A面にはモーツァルトの歌曲が7曲入っている。時間にして25分ほど。

 古いレコード、古いオーディオ機器・・・穏やかな音が部屋に広がる。脳波はゆったりとしたリズムに合わせて、滑らかな波形を描く。

 終わりの6曲目、7曲目になってくると脳波はα波からθ波に移行し始めた。「やはり・・・疲れているな・・・」ちょっとふらつきながらレコードをジャケットに戻した。

 私はα波とθ波の中間ぐらいの脳波を保ったまま2階の寝室へ上がり、ベッドで横になった。ベッドの中には、無意識の領域へ降りる階段がすぐ目の前にあった。



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