2014/12/6

3185:罠  

 「これはきっと罠に違いない・・・巧妙に仕掛けられれた罠に・・・」 私はそう思った。

 シチュエーションがあまりも似ている。風邪の症状は9割がた収まった。体全体をしつこいくらいに覆っていた倦怠感はすっと薄らいでいき、鼻水もくしゃみも出ない。もともと熱は平熱のままである。喉に少し違和感を覚えるのと、時折咳き込むのが、風邪の残り香のように残留しているにすぎない。

 この状況は先週の土曜日と全く同じである。先週の土曜日にはその回復具合に気を良くして、2週間もの間足踏みを強要されたことに対する怒りの感情も作用し、完全に風邪を追い払ったとはいえない状況ではあったが、翌日の日曜日のロングライドへの参加を決心し、ジムでのトレーニングを再開した。

 しかし、日曜日のロングライドでは試練の連続にみまわれた。「苦難、汝を玉にする・・・」という格言をもすっかり忘れ去るほどの激しい苦難を背負って走る羽目に陥った。

 そればかりか、翌日の月曜日からは、嫌悪感を催すような様々な風邪の症状が矢継ぎばやに体に戻ってきたのであった。

 「元の黙阿弥」と相成ったのである。それからの日々を力なくめくるようにやり過ごしてきた。そしてようやく土曜日になって明かりが差し込んできた。

 まだ喉に違和感はある、時折咳もでる。しかし、体はずいぶんと軽くなった。3週間もの長き間苦しめられてきた風邪によって、忘れかけていた健康な体の感覚が甦り始めている。

 右手の中指の第二関節と人差し指の第一関節は「健康な感覚」に触れている。それをこちらに引き寄せようとするが、完全に掴んでいるわけではないので、微妙な距離感を保っている。

 この状況で先週と同じ決断をしたならば、私は巧妙にカモフラージュされた落とし穴にドスンと落ちるであろう。

 これは「罠」であると同時に「試し」に違いない。私の学習能力や忍耐力を試す一種の「テスト」のようなものに違いないのである。

 明日のロングライドには参加しない。風邪の完全なる撃退を目指す。この異様に長い期間続く風邪によりコツコツと積み上げてきた登坂能力は相当低下してしまったはずである。私としては少々不条理なものを感じないわけではない。

 しかし、風邪が完治してから再度コツコツと小石を積み上げれば、またいずれ同程度までの能力は確保できるはずである。1ケ月では無理かもしれない。2ケ月あるいは3ケ月以上かかるかもしれないが、きっと戻すことができるはずである。



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