2014/10/31

3149:魔除け  

 まずはホックを取り付ける必要がある。両面テープで取り付ける小さなホックを5個取り出した。これをまずは天井に1個・・・天井の場合はきっと部屋の中心点にあたる位置で大丈夫であろうと、椅子をその位置に引きだしてきて、それに乗っかって取り付けた。

 後は4面の壁・・・それぞれの長方形の真ん中あたり・・・と思ったが、正面の壁には窓があり、和紙製のプリーツブラインドがあるため、壁面長方形の真ん中よりは下の位置に取りつけざるを得ない。側面の二つの壁には、正面の壁の高さとほぼ同じ位置にホックを取り付ける。

 最後は背面の壁である。リスニングポイントのすぐ後ろにあたる背面の壁には妻のアップライトピアノがどんと鎮座している。

 そのため同じ高さには設置できない。妻からは「ピアノにはそのへんなもの絶対にくっつけないでね!」と語気強く注意されていたので、家庭の平和を保つためにはピアノに取り付けることはできない。背面の壁のみ他の壁よりも高い位置にホックを取り付けた。

 両面テープをぎゅっと押し付けずに軽めに押しつけた。これであれば後々位置調整も可能である。エンジェルファーはしごく軽いものであるので、壁面に両面テープをぎゅっと押し付けて強力に固定させなくても支えることは可能である。

 それらの作業を手早く済ませ、LEAKのアンプの電源をONにした。電源を0Nにしてから最低1時間は経過しないと、冴えない音しか出ないので、しばしリスニングルームを後にした。

 その間、入浴を済ませ、テレビでニュースを観た。時間は1時間以上経過した。リスニングルームに戻った。リスニングルームは除湿機の運転音が静かに響いていた。真空管アンプから発せられる熱でほんのりと部屋の空気は暖められたいた。湿度計を確認すると34%であった。これくらい乾燥していると、TANNOY GRFは気分が良いようである。除湿機の電源をOFFにした。

 まずはホックのみで、まだあの「ブツ」を吊るさない状態で、2枚のレコードを聴いてみた。ヘンデルのバイオリンソナタ第4番とブルックナーの交響曲第8番第1楽章・・・時間にして40分ほどであろうか・・・

 そしてエンジェルファーを袋から取り出して、それぞれフックに吊るした。小さいけれどいろんな意味合いで存在感のある「ブツ」である。やはり気にかけていた通り、見た目が良いとはお世辞にも言えない。

 「インディアンの魔除け・・・」そんなイメージである。夜レコード聴くときは部屋の照明を消す。ほぼ真っ暗な状態で真空管のオレンジ色の灯りのみがぼんやりと灯る。この状態にすればその「魔除け」は見えなくなるので、気にはならない。

 先ほどのレコードを再度同じ順番で聴いてみる。あまり先入観を持たないで虚心に耳を傾ける。視覚的には軽い拒否反応が確かにあったので、それによりマイナス方向に引っ張られないように気をつけた。

 そして、その効果のほどは・・・音の質感の変化具合は・・・単なる「魔除け」でしかないのか・・・?

 魔除けとしての効果のほどは検証することはできないが、部屋の音響に与える作用については一聴して分かった。

 なんだか、いろんなことが腑に落ちた。「あっこういうこと・・・」という言葉が自然と心のなかに染み出してくる。

 音数が増えるとか、音楽の輪郭線がくっきりと提示されるといったものとは違うベクトルでの変化がある。

 より自然になるとでもいうべきか・・・音の輪郭線は線ではなく、濃淡で描かれるような感じになる。よくオーディオのアクセサリーについては、その見た目であったり手で触った質感に似た効果が音に付与されると言われるが、あの柔らかな手触り感が音やリスニングルームの空気に付与されるかのようである。

 この手のグッズ・・・少々見た目的にいかがわしいものに対しては、強い拒否反応を示す人々の方が多い。私も出来ればもう少し見た目がそれらしい、つまりもう少し理論的な造形といったもの(これもいたって曖昧であるが、たとえば正方形で表面に小さな凹凸が不規則に配置されているとか・・・)であれば・・・と思わなくはないが、その変化具合は実に好ましいものであった。

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2014/10/30

3148:ハロウィーン  

 10月も終わろうとしている。テレビをつけるとハロウィーンの仮装で盛り上がる人々の話題が連日放送されている。

 私のような世代にはあまり馴染みがないハロウィーンであるが、ここ数年は急激な盛り上がりを見せて、その市場規模はクリスマスに迫るという。

 ハロウィーンの起源は古代ケルト人が行っていた収穫祭とのことである。秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったようである。

 日本ではハロウィーンといえば仮装とかぼちゃ・・・というのが前面に出ている。その仮装ではゾンビなどのおどろおどろしいものが多い。

 おどろおどろしいものは、それほど好きではない。上の娘はホラーものが大好き。ホラー映画が大の好物で、テレビなどで「恐怖映像集」などの番組をやっていると、必ず録画して何度も観る。それを脇目で見ながら、「何が面白いんだろう・・・」という気になるのである。

 そんな我が家であるが、リスニングルームに少々おどろおどろしいものがもたらされるかもしれない。今日、数日前に発注していたその「ブツ」が届いたのである。

 月に一度ほどレコードを聴かせてもらいにお邪魔している杉並区のAさんの強力なお薦めのもの・・・Ge3の「エンジェルファー」である。

 ウサギの毛と思われる手触りが良い毛が束のようになっている。上部にひっかけるように紐がついている。

 リスニングルームの四つの壁と天井に吊るすのである。そうするとリスニングルームの中の音響が変わる。一種の音響調整器具なのである。

 しかし、その見た目はお世辞にもかっこいいとは言えない。なんだかいかがわしい感じ・・・Aさんのところに最初にお邪魔したのは7,8年前のことである。そのときすでに壁と天井にはエンジェルファーが装着されていた。それ以来外されたことはない。効果があるのは確かなようである。

 Aさんのリスニングルームの壁と天井は白い漆喰で仕上げられている。なので、同じ白であるエンジェルファーはそれほど目立たない。我が家のリスニングルームは壁も天井も木である。白いものはくっきりと浮き立つ。

 宅急便で届いたそのエンジェルファー5本セットをリビングで眺めていると、「なにそれ・・・」と妻が・・・

 「あっ・・・これ・・・あの〜オーディオとピアノが置いてある部屋に吊るすんだ・・・すると音が良くなるって・・・」

 「ちょっと変だよね、それ・・・気味が悪くない・・・なんか宗教がかっていそう・・・あまり変なもの置かないでよ・・・絶対ピアノにはつけちゃだめだからね・・・ところでそれいくらしたの?」

 「これね・・・これ5本セットで26,000円・・・」

 「そんなものが26,000円!騙されてんじゃないの・・・1本5,000円以上するじゃない・・・」

 「まあ、もうすぐハロウィーンだからね・・・音に影響なくても魔除けになるかもしれないし・・・」

 苦し紛れの私の言い訳に妻は「ハロウィーンとは関係ないでしょう!」あきれ顔でつぶやいた。「確かにハロウィーンとは関係ないが、ハロウィーンである明日にでもその効果のほどを検証してみよう・・・」そう思いながらいったん取り出した「エンジェルファー」を袋に戻した。

2014/10/29

3147:鳴らし込み  

 「随分と変わりましたね・・・受ける印象がまったく違います・・・前回お邪魔した時には、正直に言いますと、TL10の音はこんなものじゃない、と思いましたが、安心しました。しっかりとTL10の良さが出ていますね・・・」

 「TANNOY GRFはここに来たばかりの頃はまだユニットがほぐれていなかったみたいです。おそらく、数年間ほとんど鳴らされていなかったのでしょう。その間すっかりとユニットはその本来の鳴り方を封印したかのようでした。鳴らし始めて半年経ちましたが、ようやくほぐれ始めたようです。」

 「そうですか・・・こういった古い時代のスピーカーは繊細ですからね・・・」

 「おそらく前のオーナーが日常的に鳴らされていた時には本来の鳴り方をしていたと思うのですが、その後オーナーの方が長患いされて、亡くなられてからもしばらくはそのリスニングルームでひっそりと沈黙していたようです。」

 「環境が変わるとこういった古い機器にはストレスが結構かかると言いますからね・・・私も何度か経験があるのですが、場所を変えた直後というのは、なんだかすっきりとしない時があるものです。移動そのものが機器にとってストレスなんでしょうね・・・」

 「まあ、命があるものではないのですが、ちょっと生きているのではと感じるような時もありますからね・・・」

 Sさんは「超」の付くLeakマニアにしてコレクターでもある。我が家にある Point One StereoとTL10も、Sさんが所有されていた数多くのLeakコレクションの一部であった。そのSさんが我が家を訪れてくれたのは、日曜日の夕方であった。

 Point One Stereoはプリアンプ。ステレオのLPが出始めた1950年代後半に設計されたようである。一方TL10はモノラルのパワーアンプ。1950年代半ば頃の設計である。

 Sさんから譲られたそれらの古い時代のLeakのアンプのコンディションをチェックするため、半年ぶりに我が家を訪れたSさんは、前回から改善された音の風情に少し安心されたようである。

 我が家にあるような古い時代のオーディオ機器、特にスピーカーは結構繊細である。ユニットだけでなく、そのキャビネットも湿度や温度によって影響を強く受ける。さらに鳴らし込みを継続しないと機嫌が悪くなったりするから気を使う。

2014/10/28

3146:ローカル列車  

 顔振峠の茶屋で味噌田楽を食した。茹でたこんにゃくに味噌だれがかかったシンプルな味噌田楽・・・串を手に口に運ぶ。サイクルジャージのポケットに忍ばせていた鮭おにぎりを取り出して、交互に食べた。何ということのない食べ物ではあるが、妙に美味しく感じられる。

 峠の茶屋からは遠くに広がる山なみが見える。涼しい風は時折疲れた体をなでる。四人は様々な会話を繋ぎ合わせていく。激坂を上り終えた独特の解放感とこの素晴らしい環境から、実にまったりとした空気が四人の肩には降りかかってきたようである。

 隣のテーブルではハイキング客がビールを酌み交わしていた。ちょっとうらやましい光景であったが、まだまだ走らなければならないので、茶碗に入れられたお茶をすすった。

 帰りのルートの話になった。来た道をまっすぐ戻っていくのか・・・東吾野駅を抜けて東峠を越えるのか・・・東峠を越える場合には、さらに山王峠、笹仁田峠を越えて戻るコースと、峠を避けて国道299号に抜けていくコースとがある。

 とりあえず東吾野駅を抜けて東峠を越えましょう・・・という話になった。その後は東峠を越えたのち決めるということで、下りの支度にとりかかった。外していたアームカバーを装着し、ウィンドブレーカーを着こんだ。

 急激な下りをしばしこなした。東吾野駅を抜けて東峠へ・・・東峠は峠の茶屋でのまったりした空気をとどめたまま、「おしゃべりペース」でゆっくりと越えた。

 東峠はのんびりと上ったので、山王峠・笹仁田峠をさらに越えていく「デザート街道」を進むことになった。

 この二つのデザート峠では恒例のミニバトルにも参戦した。山王峠は距離が短いが斜度はきつめ。ここを前半ずっとダンシングで上ってみた。斜度は緩めの笹仁田峠ではシッティングでペースを作って最後のスプリントポイントのみダンシングでもがく。

 顔振峠・東峠・山王峠・笹仁田峠・・・今日は四つの峠を越えた。秋が深まるなか、爽やかな空気と天気に恵まれたロングライドであった。

 「スペインローカル列車の旅」は、秋の行楽シーズンにふさわしく、景色を楽しみ、グルメを楽しみ、そして純粋に走ることを楽しめた日帰り旅行となった。

2014/10/27

3145:青  

 顔振峠の勾配は急峻である。上る者の覚悟を正面切って問うかのように迫ってくる。その威圧感ある峠道に対しては「行きましょう・・・最後まで・・・弱音を吐かずに・・・」と心の中で強く返答しながら、クランクを回し続ける必要がある。

 顔振峠の上りは3.5kmほど・・・上る距離は短いがほとんど緩むことなく急勾配が続く。上り始めはゆったりと入ったが、やがてペースが上がり始める。それにつれ心拍数も上昇カーブを描き始める。その曲線はこの峠道の斜度同様に急峻である。

 あっという間に170に達した。心拍数の上昇とともに一団であった短いトレインは分解していく。上級者2名が先頭を引く。私はまだペースが穏やかなうちは連結器を外すことなく付いていたが、3分の1ほどを上り終えたあたりから、その連結器は緩み始めた。

 厳しい斜度にはダンシングで対応せざる得ない。しかし、上級者2名はシッティングのまま上って行く。前を行く2名とのペースがずれ始める。

 2名のロードバイクの後輪と私のORBEA ONIXの前輪の間の空隙は徐々に広がり始めた。広がり始めた空隙は、その侵食を食い止めることが難しい土石流のように、領土を拡張し始める。それを少しでも抑えようとするが、行く手を厳しい斜度の坂道により塞がれてしまう。

 「劇坂め・・・」と心の中で悪態をつくが、脚は鉛が張り付いたように重い。その重い脚を回す。とにかく回す。

 2kmを経過すると前を行く2名の背中は随分と小さくなった。峠道はいくつものカーブを曲がる。カーブのIN側は斜度がきついが最短距離でカーブをやり過ごせる。カーブのOUT側は走行距離が長くなるが、斜度は緩む。パワーがある場合はIN側を強行突破するが、脚に広がり始めた乳酸が我が物顔に振るまい始めるとOUT側を選択する。

 半分以上上り終えた頃から、カーブのOUT側を選択することが増えた。後半にとても短い下りが入る。そこでほんの束の間脚を休ませることが出来る。砂漠の中のオアシスのような、束の間の下りが終わるとまた厳しい上りが待ち構えている。

 しばし直線の上りである。斜度は厳しい。視界のずっと先に2番手を行くメンバーのエメラルドグリーンのサイクルジャージが目に入った。遠目にも疲れていることが窺えた。しかし、届く距離では到底ない。そして、私も随分疲弊していた。

 劇坂の洗礼を受けて70kgの体重が80kgになったかのような感覚であった。それでも、鉛のような脚は依然回り続けていた。170をとっくに超えた心拍数を継続して記録している心臓もこの困難に耐えていた。肺も必要な酸素を体内に送るべく、効率が良いとは言えない方法で吸排気を繰り返していた。

 しばらく続いた劇坂がようやく緩み始めた。峠の頂上が近い合図である。最後はここまで上ってきた「坂バカ」の忍耐力を称えるかのように、緩やかな区間がある。そこをギアを入れ替えてガシガシと踏み込んだ。

 峠の茶屋が見えた。顔振峠の上りはようやく終着点を迎えた。峠の茶屋の駐車場にORBEA ONIXを立て掛けると、その向こうには真っ青な空の下に山並みのうねりが見える。そのうねりは青の濃淡で縁どられていた。

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 顎からは汗が流れ落ちた。駐車場のコンクリートに落ちた汗はすっとその灰色の中に染み込んでいって、すぐさま消えた。空の青を疲れた体で眺めていると、私の心も灰色の中に染み込んで消えるような感覚にとらわれた。

2014/10/26

3144:顔振峠  

 顔振峠・・・「こうぶりとうげ」と読む。チームで行く峠のなかでも、和田峠や子ノ権現と並んで「劇坂一派」に属する峠である。

 体重70kgの私にとって良い思い出の少ない峠である。その厳しい斜度で容赦なく出迎えてくれる顔振峠には、その名のとおり顔を振り振り、「未亡人朱美ちゃん3号」の決め台詞を連発したくなるのである。

 今日のチームでのロングは久々に顔振峠に行くこととなった。参加者は4名・・・今年参加したチームでのロングにおける最少参加者数である。メンバーは皆社会人である。仕事があり、家族があり、それなりの所用がある、そういった所用のあるメンバーが今日は多かったようである。

 天気はまずまずの晴れ。時折雲に太陽が隠れたが、おおむね晴れていた。太陽が隠れると少し肌寒い。太陽が顔を出すと少し暑い。暑くなったり肌寒かったりと目まぐるしく体感気温が変わる一日であった。

 空気は爽やかな秋のそれで、ロードバイクで疾駆していると、心は浮き立つ。「やっぱりロードバイクで走るのは気持が良い。本当に気持が良い・・・」そんな根本的な走る喜びを純粋に体験できる感じであった。

 先週柳沢峠の下りで寒さに震えたので、今日はレッグウォーマーとアームカバーをしっかりと装着した。しかし、太陽が顔を出しているときは少々暑く感じた。

 4台のロードバイクで構成されたトレインは軽快である。どことなく4両編成で単線を走る地方のローカル列車のような風情である。

 4台のロードバイクの構成はORBEAが2台、BHが2台・・・つまりすべてスペインのメーカーである。「スペインローカル列車の旅」・・・今日のテーマはそんな感じであろうか。爽やかな行楽日和のなか、4両編成の気軽さも手伝って、スピーディーではあってもどこかしらのんびりした心持ちで、予定コースを順調に進んでいった。

 往路の途中セブンイレブンで一度休憩を入れた。「顔振峠の茶屋で味噌田楽を食べましょうか・・・おにぎりを買って持っていくと味噌田楽に合うでしょうね・・・」という話になり、私は鮭のおにぎりを買ってサイクルジャージの背面のポケットに忍ばせた。

 トレインが短いので信号で切れることもなくスムースに進んでいき、気づけば道路標識に「顔振峠」の文字が見えた。青地に白で右に曲がるように指示している標識である。

 その指示に従って右に折れた。峠の上り口で少しばかり態勢を整えた。水分補給をして、着けていたアームカバーを外した。サイクルジャージのチャックを少し下ろして風通しを良くした。

 これから臨む劇坂に、きっと体は軋み、心臓は飛び跳ね、発熱による汗は顎を伝ってぽたぽたと落ちるであろう。それに備えて身支度を済ませた。そして、峠の頂上目指して4両編成の「スペインローカル列車」は駆け出した。

2014/10/25

3143:夕暮れ  

 麻布十番駅の改札を出てしばし歩く。シンガポール大使館のある角を曲がると、鳥居坂がある。その坂を上っていく。東洋英和女学院の由緒正しい雰囲気の校舎の横をしばし歩く。すると港区の麻布区民センターがある。

 麻布区民センターは古い建物である。昔ながらの公民館といった風情。周囲は都心部独特の取り澄ましたような冷徹な雰囲気が漂うが、この建物のなかはくつろいだ穏やかな感じであった。

 ここで麻布区民祭りは行われる。100名ほど入る小さなホールがあり、そこでいろんな団体やサークルが順番に出演する。フラダンスがあったり、シャンソンがあったり、ヒップホップダンスがあったりと様々である。

 ここでウィンナーワルツのデモンストレーションを行った。男性は燕尾服やタキシード。女性は色様々なドレスを着用する。

 3階が控室になっていて、そこで着替えた。男性はすぐに済むが女性は大変である。しかし、念入りにメイクアップして華やかなドレスに着替えると、雰囲気がガラッと変わる。8名で舞台裏の控室に移動する際にすれ違った人は目を見張る。

 持ち時間は10分ほど・・・最初はカドリールと呼ばれるウィーンのフォークダンスを踊る。これは振りを覚えてしまえば簡単な動きであるので難しくはない。

 続いてウィナーワルツを踊る。舞台はそれほど広くはない。そのなかを4ペアの間隔などに気をつけながら踊らなければならない。

 ヨハンシュトラウスの陽気な音楽が流れ、我々8名は小さな舞台で練習した通りのダンスを披露した。素人ばかりなので、華麗に踊ったというよりは、どうにか無難にこなした、という方が当たっているが、トラブルもなくまずまずの出来で終えることができた。

 終えるとメンバーはほっとした表情になる。私も思わず頬が緩んだ。ウィンナーワルツは音楽はゆったりとした雰囲気であるが、ステップはかなり速い。10分ほどで汗が大量に流れる。特に舞台では照明が当たっているので暑かったのであろう。

 着替え終わり区民センターを後にする頃には夕暮れがあたりを支配していた。暮れなずむ都心の街並みに多くの灯りが灯り始める。気温はちょうど良い感じで、時折吹く風は疲れた体をいたわるかのようであった。

 何の因果か社交ダンスに足を踏み入れてしまったが、「まあ、これもいいか・・・」そんな呑気な気分にさせてくれる夕暮れである。

2014/10/24

3142:ワルツ  

 まったく予期しないことが連なり社交ダンスを始めた。もともと、その分野に興味などまったくなかったのである。それから1年と数ケ月・・・なぜかしら途切れることなく続いている。

 そのきっかけとなったのがウィンナーワルツの舞踏会であった。ウィーンコミュニティーのOFF会というものがあり、誘われて出席した。参加者の男女バランスが悪く、ウィーンに行ったこともない私がそのOFF会の幹事に誘われたのである。

 幹事曰く「ウィーン関連のOFF会は、女性が圧倒的多くてバランスが悪いんですよね・・・ウィーンフィルの話題で話をつなげばいいし、まあ、女性の話をうなずきながら聞いてあげていれば、それで時間はあっという間に過ぎていきますよ・・・」

 ということで出席したウィーンOFF会・・・ウィーンフィル大好きの人やウィーンの街並み大好き派などいろんな人々がいたが、そのなかにウィンナーワルツが大好きで毎年本場の舞踏会に行くという人々もいた。ちょうどその一群の人々が前に座っている席にいた私は、その話をうなずきながら聞くことに・・・

 「今度、学士会館でウィンナーワルツの舞踏会しますので、ぜひ参加してください。きっと似合いますよ・・・背が高くてすらっとしていらっしゃるから・・・」

 「えっ・・・私ワルツなんて踊ったことなんてないですよ・・・」

 「大丈夫です。事前に初心者向けの講習会もあるんです。五反田にある日本ヨハンシュトラウス協会でダンスの講師の方を呼んで4回ほどありますから、すぐに踊れるようになりますよ・・・」

 「そうですか・・・では、せっかくのお誘いですから・・・」

 といった流れで、その舞踏会に参加することとなった。そしてその初心者向け講習会を受講した。しかし、そうすぐには踊れないものである。結局講習会だけでは無理と判断した私は国分寺駅の近くにあるダンス教室に入会したのである。そこで「ジェニファー」と出会った。それ以来週1回のペースでレッスンを受けている。

 土曜日には、その社交ダンスをするきっかけとなったウィンナーワルツのイベントがある。港区民祭りでデモンストレーションダンスを行うのである。

 もちろん私は港区民ではないが、構成メンバーの一人が港区民。その縁でか、参加することとなった。メンバーは男女4名づつの合計8名。持ち時間は10分ほど。カドリールと呼ばれるウィーンのフォークダンスとウィンナーワルツを踊る。

 土曜日は「さいたまクリテリウム」の日。世界の一流選手が間近で見られる貴重なイベントである。バイクルプラザRTのメンバーの多くは観戦にいく。

 そちらにも後ろ髪を盛大にひかれながら、パソコンに送られてきた映像を観ながら当日踊るカドリールやウィンナーワルツの復習をしている。心の奥底では「どういう経緯でこういうことになったのであろうか・・・人生はやはり不思議である・・・」と思いながら・・・

2014/10/23

3141:オイルコンデンサー  

 Point OneとPoint One・・・ふたつのPoint OneがあるとPoint Twoになるのであろうか・・・残念ながらそういったことにはならないようである。

 我が家にはいま二つのPoint Oneがある。一つは修理の旅から戻ってきたものでもともと私の家にあったもの。もう一つのPoint Oneは修理の期間、代わりに使っていててくださいとショップから送られきたものである。

 同じPoint One Stereoであるので、見た目は一緒である。真空管も同じ。しかし使用部品が少し違う。使用されているオイルコンデンサーが違うのである。

 コンデンサーのメーカーや製造年などが違うようである。見るからに古い時代のものと思えるものと、古いには古いがもう一つのものよりも少し新しめと思えるチューブラータイプのもの・・・そのコンデンサーの差が音にどの様な影響を与えるのか・・・

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 同じレコードのA面をプリアンプのみを切り替えて聴いてみる。LINN LP12のターンテーブルに載ったのは、ローラ・ボベスコのヘンデル ヴァイオリンソナタ第4番である。

 最初は古い時代のコンデンサーが搭載されたPoint One。続いて少し後の時代のチューブラータイプのコンデンサーが搭載されたPoint One。

 最初のPoint Oneはゆったりと音を伸ばす。その音の裏側にはビロードが敷かれているような感覚に陥る。その心地よさには人肌の暖かみが感じられる。

 次のPointa Oneは、キレが良い。空間が広がる感がある。特に奥行き感がすっと後方へ広がった。バイオリンとピアノの位置関係が明確で適切になったような気がした。

 それぞれに良い面があるが、長い時間心地よく聴いていられるのは前者のPointOneである。このPoint Oneにはかなり古い時代のものと思われるオイルコンデンサーが二つ取り付けられている。このオイルコンデンサーが音の質感に大いなる影響を与えているようである。

 チューブラータイプのコンデンサーにも良い点が多い。より正確で広い空間表現はその大きな長所である。こちらを良しとする人も多いはず・・・でも、私のなかでの評価基準においては、その優劣は判然としている。

2014/10/22

3140:ブラック  

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 バイクルプラザRTにおいて一大勢力を担うのはORBEAである。スペインのメーカーであるORBEAは日本ではどちらかというとマイナーな存在であるが、チーム内においては圧倒的なシェアを誇る。チームの主催者であるリーダーのお薦めのメーカーであることが要因である。

 私が現在乗っているロードバイクもORBEA。購入当時ORCAに次ぐセカンドグレードであったONIXを2011年に購入した。

 そのORBEAの旗艦はORCA。現在、ORCAは2種類ある。トップグレードがORCA OMR。セカンドグレードがORCA OMP。使われているカーボンのグレードが違うようである。

 2015年モデルでそのORCAが大きく変わった。従前のORCAは見るからに高性能であるというオーラを盛大に出していた。エアロ形状を強調するフレームは鋭角的な切れの良さが冴えわたっていたのである。

 2015年モデルではそういった表面的なアピールはやや影を潜め、少しおとなしめの造形となった。しかし、それが却って無駄をそぎ落としぐっと性能の良さを凝縮したような「できる感」を感じさせる。

 そしてもう一つ大きく変わったのがカラーリング。従来は機材を提供しているエウスカルテルのチームカラーであるオレンジを前面に出したカラーリングであった。しかし2015年モデルではそれがすっかりと変わった。エウスカルテルとの関係が無くなったのであろうか・・・

 カラーは2種類。一つは「ブルーピンク」。これはブラックのベースにピンクとブルーがあしらわれている。かなり個性的な色の組み合わせである。目立つことは請け合いであるが、個人的な好みからすると斬新過ぎる気がしないでもない。

 もう一つのカラーは「ブラック」。「ブルーピンク」から一転して実に渋い。「渋いな・・・それにブラックだとその軽量感がひときわ際立つような気がする。」

 ORCAは従前からヒルクライム能力に重点が置かれていた。それは2015年モデルになってさらに進化したようである。さらなる軽量化が施された。それは見た目からも感じられる。

 来年新調する予定のフレーム候補の一つにこの「ブラック」は浮上してきた。超軽量フレームはなぜかしらブラックが似合う。SCOTTもRIDLEYもBHもその最軽量フレームはブラックのカラーリングである。もう一つのブラックが候補リストに加わった。



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