2014/3/24

2929:コイン  

 9台のロードバイクは反転し、東京を目指して帰路を走り始めた。この時期としては暖かい日であったが、風を切って山伏峠を下っている時にはやはり少し肌寒かった。

 飯能方面へ行った帰りには、ミニバトルエリアが待ち構えている。私はよっぽど体調が悪い場合以外は、そのミニバトルに参加する。

 もちろんメインの山伏峠の上りで弾はほぼ撃ち尽くしているので、バトルに参加しても撃退される可能性は極めて高いが・・・

 小学生の男の子に戻った私はズボンのポケットに手を突っ込んで小銭を探し当てる。そのささやかなコインをゲーム機のコイン投入口に入れる。すると画面が変わり、バトルゲームがスタートする。

 第1ステージは「小沢峠」である。上りは2km弱と思われるが、最後の最後の勝負所での粘りが勝敗の決め手となる。

 4台のロードバイクが参戦した。中盤まではそのトレインにへばりついていた。しかし、最後の勝負どころに入るとそのトレインは徐々に縦に長い隊列へ変形していった。

 私はその「しんがり」を務めることに・・・最終盤の勝負どころ、すぐ前のメンバーにすがりつこうとするが・・・弾切れである。その差は開く一方・・・惰性の推進力でゴールすることとなった。

 続いて第2ステージの「笹仁田峠」・・・ここでもコインを投入した。コインが投入口から転がり落ちる音が聞こえた。心なしか空しい響きであった。

 展開上、私が先頭を引いた。徐々にペースを上げていった。しかし、このステージでは先頭を引くのは不利な展開である。後ろの動きが見えないからである。

 どのタイミングで後ろにつけている戦闘機がアタックをかけてくるか分からない。こんな時には、最近の車にはほとんど付いているバックビューモニターが欲しくなる。

 スプリントポイントが近づいてきた。すると予想よりも早くアタックがかかった。ミグ21が轟音を唸らせてかすめ飛んでいった。1機、2機、3機・・・3機もスクランブルをかけていた。

 アタックは見事に決まった。私はなす術なく撃墜された。画面には「GAME OVER」の表示が点滅していた。

 それを見ながら小学生の男の子は唇を噛む。でも、ゲーム機にコインを投入したことを後悔はしていないようであった。何故ならコインを投入しなければ決して味わえない経験を一つしたからである。



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