2014/3/19

2924:キズ  

 マカノヴィツキーのレコードをLP12のターンテーブルから取り上げる際、LP12の電源を一旦切る。そしてターンテーブルの回転が止まってからレコードを取り上げた。

 いちいちそんな面倒なことをするのは、このレコードが普通のレコードよりも若干小さいからである。ふつうの12インチレコードであればレコードの端はターンテーブルからほんの少しはみ出している。

 それであればターンテーブルが回転していてもしっかりとレコードをつかむことができる。しかし、このレーベルのレコードはレコードの端がターンテーブルのほんの少し内側に位置している。すると途端につかみづらくなる。

 実は一度大きな失敗をしている。同じレーベルのシュティッヒ=ランダルのレコードをつかみ損ねてターンテーブルの上に落してしまったことがあった。センタースピンドルに当たった個所に傷をつけてしまい、大いなる後悔をしたことがあったのである。

 それからというもの、このレーベルのレコードの取り扱いには慎重を期するようになり、いちいちLP12の電源を切ってから取り上げるようにしているのである。

 次にかけたのは、その因縁の一枚である。同じクラブ・フランセ・デュ・ディスクから出ているテレサ・シュティッヒ=ランダルのモーツァルト&シューベルト/歌曲集である。

 傷つけてしまったのはシューベルトの歌曲が入っている面である。なので、反対側のモーツァルトの歌曲が入っている面を聴くことにする。

 シューベルトの歌曲が入っている面を聴いていて、その箇所に差し掛かり、「ボツ・・・ボツ・・・ボツ・・・」と傷を針先がなめる音を聴くと、あの時の後悔の念がよみがえるからである。

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 しかし、なんでまたこのクラブ・フランセ・デュ・ディスクから出ているレコードはほんの少し小さいのであろうか・・・さらにジャケットが表と裏とでは印刷されている方向が90度ずれている。表からくるっと裏返すと裏は横向きになっているのである。まったく、フランス人のやることはよく分からない。

 それにしても、このレコードは素晴らしい。テレサ・シュティッヒ=ランダルの歌声はこの世のものとは思えないような幽玄さを秘めている。夢の中で音楽を聴いているような気分にさせてくれる。世俗的な欲望を超越した次元で音楽が展開されている。名盤である。返す返すも傷のことが悔やまれる。

 「TANNOY GRFは我が家に着いたばかりである。部屋に馴染むまでには数年を要するであろうが、馴染んでいくであろう兆候は見せてくれている。淡い期待感を抱きながら、その熟成を見守っていこう。」そんな思いにさせてくれるテレサ・シュティッヒ=ランダルの歌声であった。



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