2014/3/2

2907:順番  

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 Paul Makanowitzkyは、ストックホルム生まれのロシア系アメリカ人である。第二次世界大戦の時にはアメリカ軍の爆撃機に機関砲主として搭乗してドイツ軍と戦った。ルーマニア上空で撃墜されて、捕虜になるという熾烈な経験もしている。

 その演奏は才気あふれる瞬発力としなやかさを併せ持つもので、天性の才能が強く感じられる。羽生結弦がソチオリンピックのショートプログラムで見せたような、スピードとキレのある演奏である。

 続いてROKSAN XERXES10のターンテーブルに乗ったのは、Susanne Lautenbacher。曲は同じベートーヴェンのクロイツェルソナタ。

 ZYXのカートリッジが拾い上げた音は、Marantzの「7」と「2」により丁寧に仕上げられ、TANNOY GRFから優雅に放たれる。

 Susanne Lautenbacherのヴァイオリンは、聴く者の心の襞にしっとりと寄り添ってくる。そして、抵抗感なくすいすいと湿潤してくるのである。

 奏者のまっすぐでひたむきな姿勢がその音の隅々にまでいきわたっていて、音楽が流れ出すと周囲の空気が清澄なものに変わったような気がする。

 こちらのレコードもコレターズアイテムとして、レアで人気の高いものである。もちろん価格も高い。もし入手できたとしても、口が裂けてもその価格を奥さんに言うことはできないであろう。

 Aさんは「どちらも甲乙つけがたい素晴らし演奏ですね・・・Makanowitzkyは天才でLautenbacherは秀才という感じでしょうか・・・」と話された。

 私は、Makanowitzkyは羽生結弦がソチで見せたショートプログラムの演技、そしてLautenbacherは浅田真央がソチのフリープログラムで見せた演技・・・そんな印象を受けた。

 羽生結弦がソチで見せたショートプログラムは完璧であった。そのスピード、キレの良さ、そして完成度の高さは、心に爽快なシャワーを盛大に浴びせるようであった。

 一方、浅田真央のフリープログラムは、見る者の心を引きずり込み、じわじわと感動の深淵へ誘うようであった。

 感動という点では浅田真央に軍配を上げたい気持ちがあったように、個人的な好みからするとLautenbacherの演奏をとりたい。しかし、どちらも高度な音楽性を感じさせる演奏である。

 その後、別のヴァイオリニストのレコードでバッハとハイドンを聴いたが、なぜかしら平坦に聴こえてしまう。

 Aさんも「順番が悪かったですね・・・良い演奏なんですが、この二人のクロイツェルを聴いた後では、印象が薄いですね・・・」と苦笑い。

 「一番美味しいおかずは最後に食べるべきであったのであろうか・・・」そんなことを思った。 



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