2014/1/20

2867:中毒症  

 昼食休憩を終えて、いよいよ向かい風が強く吹く帰路についた。江ノ島駅を通過して、境川沿いの遊歩道を進んだ。川沿いの道に入ると風はより強くなった。冷たく強い北風である。平坦路であるが、強い向かい風のせいでまるで上り坂のようである。

 先頭を引くとすぐに疲れるので、短い間隔で頻繁に先頭交代を行い、ハイペースを保つようにした。トレインが一体となって風を引き裂いていくような感じである。当然負荷が高くなる。心拍数も上昇して、呼吸も余裕がなくなってくる。

 私は体重が重いので上りは遅いが平坦路は得意である。いわゆる「平地番長」である。スピードに乗ってしまえば、70kgの体重で向かい風を切り裂いて行ける。クランクをぐいぐい回すと、脳内にはアドレナリンがじっとりと染み出してくるのが分かる。

 アドレナリン・・・脳内麻薬である。これが脳内に大量に分泌されるとハイな状態になる。どうやら私は麻薬中毒患者のようである。しかも、かなり重症かもしれない・・・

 右脳がアドレナリンを検知すると、「もっと、もっと・・・」とその増量を要求してくる。ハイペースでクランクを回せば回すほどアドレナリンの分泌量は増える。

 しかし、チームで走行するうえでは一定のペースを保たなければならない。「自制」が求められるのである。理性を司る左脳は「自制するように・・・」と命令する。

 一方では「アドレナリンを・・・もっと、もっと・・・」と叫び、もう一方では「自制・・・自制・・・」と自制を促す。右と左に揺られながらクランクを回した。

 時折、アドレナリンを欲する欲求が勝ったりする・・・「後ろ切れてる・・・」他のメンバーが教えてくれる。「しまった・・・やってしまった・・・」と思ってクランクを回すスピードを落とす。「自制心が足りない・・・」中毒患者の陥りやすい症状である。更生施設に入って麻薬を断つ必要があるかもしれない。

 ハイスピードエリアを抜けた後はゆっくりとしたペースでトレインは進んだ。脳内に満たされていたアドレナリンはすっと潮が引いて行くように低い値に・・・禁断症状が出始める・・・顔色は白くなり、軽く手が震える・・・

 府中街道に差し掛かり、東大和方面へ向かう4名は本体と離れて、府中街道を北上した。小さなトレインになったので、スピードがグンと上がった。

 それにつれてアドレナリンの分泌量も増える。右脳は要求する。「もっと、もっと・・・もっと速いペースで・・・回せ!」と・・・

 4台のロードバイクは、とても速いぺースで駆け抜けていった。皆、体は相当疲労しているはずであるが・・・重症患者は私だけではなかったようである。少しほっとした。



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