2014/1/13

2860:復路  

 箱根駅伝は往路と復路で争われる。今年は東洋大学が往路も復路も征し完全優勝を果たした。テレビの前で母校を応援していた私としては少々残念な結果であったが、襷を渡し終え倒れ込むようにゴールする学生の姿を目にすると心が熱くなる。

 ロードバイクのロングライドも往路と復路がある。メインの峠を上り終えたら、折り返す。復路の始まりである。

 復路は下り基調であることが多い。なので、スピードも往路よりもアップする。メインの峠を上り終えたので、気持ちも少々開放的になっている。

 しかし、復路にも困難は待ち構えている。特に飯能方面に向かった時の復路には小さな峠を越えることが多い。

 正丸峠を上り終えて復路を順調に駆けていった。まず待ち構えているのが「山王峠」である。斜度はそれなりにしっかりとしている。上りの距離はそれほど長くはないが、メンバーとバトルしながら上るとなると、かなりハードな試練となる。

 特にメインの峠でめいっぱい頑張った場合には、疲れた脚にかかる負担は厳しいものがある。山王峠の上りに入ってすぐに先頭を引いていたメンバーが急にスローダウン・・・両足をいっぺんに攣ったようである。

 さらに少し行ったところで一人のメンバーがアタック・・・それに付いていったがそのメンバーもスローダウンした。脚が攣りそうになったようである。

 私がしばらく先頭を引いた。半分ぐらい行ったところでチームリーダーがアタック・・・その背中がすっと小さくなる。

 ペースが速くてすぐ後ろにはつけない。差があいた。後半にさしかかって徐々にペースを上げる。その差は少しづつ縮まる。しかし、売切れ表示を示す赤いランプが脚にともり始めた。呼吸も限界状態・・・その吸排気に伴うノイズは異常音を放っていた。ラストスパートは不発で頂上に到着した。

 山王峠を上り終え、また下り基調の道を進んだ。最後に待っているのが「笹仁田峠」。この峠は斜度がとても緩い。引力の法則が働くよりも慣性の法則が働く比率が高い。唯一70kgという重い体重が活きる峠である。

 先頭交代でたまたま私が先頭を引いている状態で笹仁田峠に入った。ゆったりとした上りは大好きである。徐々にペースを上げていく。ギアを重いものに換えてペース良くくるくる回していた。

 もう少し行ったところでアタックをかけようか思案していた私の右脇を、2名のメンバーが掠め飛ぶように駆け抜けていった。アタックである。

 追いかけるタイミングが少し遅かった。あっという間に20mほど差が開いてしまった。最後に斜度が上がるエリアがある。そこからいつもスプリント合戦になる。そのエリアに達するまでに追いつかないと・・・

 使いきったと思っていた脚であるが、不思議と回った。時折太腿にはピリピリと電気のようなものが走った。スプリントでは脚の筋肉を極度に痛めつける。「もつだろうか・・・」不安が少しよぎる。

 先行した2名のペースが若干緩んだおかげで、すぐ後ろに付けることができた。3名がピタリと連なったトレインとなってスプリントエリアに入っていった。

 1名がスプリント開始・・・それを合図に私もダンシング体勢に・・・思いっきり加速する。早めのアタックで脚を使っていたメンバーをかわして、頂上へ・・・上りきった後は息も絶え絶えである。

 復路の二つの困難は過ぎ去った。困難が享楽でもある「坂バカ」・・・絶え絶えの呼吸のなか「楽しかった・・・」という言葉が口を突いて出てくる。「バカ」である所以である。



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