2013/10/3
2758:岩の夢
暑いのか寒いのか分からないような天候が続いている。昼間太陽が顔を出すと結構暑い。10月になって「クールビズ」が終了し、スーツにネクタイという格好ではどうしても暑い。スーツを脱いで腕にかけて歩くことになる。
しかし、日が沈みすっかり辺りが暗くなってからは、昼間の暑さにほだされて真夏の時のような格好で家で過ごしていると、肌寒かったりする。
今日は夕方からどうも体が重かった。そして、なんだか熱っぽく、顔が火照る感じがする。「もしかして・・・風邪・・・」そんな嫌な予感がした。
まだ、布団は夏用の肌掛け布団を使っていた。ベッドに入った直後は良いのであるが、明け方には少々寒く感じたことを思い出した。
「油断したか・・・今日は早々に寝て、酷くならないうちに直そう・・・」そう思って家路を急いだ。夕食後は、すぐに寝室へ急行した。
体がだるい。体温計で熱を測ったら「37.5度」であった。微熱である。少々喉も痛くなってきた。症状は明らかに風邪のそれである。
寝室に入る。寝室にはオーディオセットが鎮座している。「クラシックをかけると寝つきが良いかも・・・」と思い、LINN CD12のトレイにCDを一枚滑り込ませた。
ブルックナーの交響曲第7番である。音量を小さめに設定して、リモコンのPLAYボタンを押した。弦の静かなトレモノが響き始める。
「ブルックナーの霧」である。冬の湖面に広がる幻想的な霧のように、その霧はすっと広がっていく。今年の夏に行った北海道旅行で立ち寄った摩周湖を思い出した。
その霧を引き裂いて船が出現するように低弦による印象的な主題が現れてくる。風邪による疲労感に浸されている体に、その音楽は沁み入ってくる。重たくなった体はさらに一段と沈み込み、ベッドのマットレスの中に埋没してゆく。
子供の頃、風邪などで熱を出した時必ず見る夢があった。「岩の夢」である。大きな岩が落ちててくる夢である。何トンもあるような大きな岩が幾つも落ちてくる。それらは砂埃を盛大に巻き上げながら落ちてくる。岩どうしがぶつかりあり「ガシ、ガシ」と不気味な音を響かせているのがはっきりと聞こえる。それだけの単純な夢である。しかし、その岩の重量感とぶつかり合う不気味な音がとても威圧感を与える。胸が苦しくなるほど・・・
「もしかしたら見るであろうか・・・岩の夢を・・・あのガシガシと不気味に響く音がまた聞こえるであろうか・・・ブルックナーの交響曲は長い。その音楽が流れている間は、岩のぶつかり合う音を中和してくれるかもしれない・・・」
そんなことを思いながら、私は沈み込んでいった。沼の中に引きずり込まれるように私は眠った。体は大変に欲していたようである、深い眠りを・・・。そして、「岩の夢」は見なかったようである。もう子供ではないからであろう・・・
しかし、日が沈みすっかり辺りが暗くなってからは、昼間の暑さにほだされて真夏の時のような格好で家で過ごしていると、肌寒かったりする。
今日は夕方からどうも体が重かった。そして、なんだか熱っぽく、顔が火照る感じがする。「もしかして・・・風邪・・・」そんな嫌な予感がした。
まだ、布団は夏用の肌掛け布団を使っていた。ベッドに入った直後は良いのであるが、明け方には少々寒く感じたことを思い出した。
「油断したか・・・今日は早々に寝て、酷くならないうちに直そう・・・」そう思って家路を急いだ。夕食後は、すぐに寝室へ急行した。
体がだるい。体温計で熱を測ったら「37.5度」であった。微熱である。少々喉も痛くなってきた。症状は明らかに風邪のそれである。
寝室に入る。寝室にはオーディオセットが鎮座している。「クラシックをかけると寝つきが良いかも・・・」と思い、LINN CD12のトレイにCDを一枚滑り込ませた。
ブルックナーの交響曲第7番である。音量を小さめに設定して、リモコンのPLAYボタンを押した。弦の静かなトレモノが響き始める。
「ブルックナーの霧」である。冬の湖面に広がる幻想的な霧のように、その霧はすっと広がっていく。今年の夏に行った北海道旅行で立ち寄った摩周湖を思い出した。
その霧を引き裂いて船が出現するように低弦による印象的な主題が現れてくる。風邪による疲労感に浸されている体に、その音楽は沁み入ってくる。重たくなった体はさらに一段と沈み込み、ベッドのマットレスの中に埋没してゆく。
子供の頃、風邪などで熱を出した時必ず見る夢があった。「岩の夢」である。大きな岩が落ちててくる夢である。何トンもあるような大きな岩が幾つも落ちてくる。それらは砂埃を盛大に巻き上げながら落ちてくる。岩どうしがぶつかりあり「ガシ、ガシ」と不気味な音を響かせているのがはっきりと聞こえる。それだけの単純な夢である。しかし、その岩の重量感とぶつかり合う不気味な音がとても威圧感を与える。胸が苦しくなるほど・・・
「もしかしたら見るであろうか・・・岩の夢を・・・あのガシガシと不気味に響く音がまた聞こえるであろうか・・・ブルックナーの交響曲は長い。その音楽が流れている間は、岩のぶつかり合う音を中和してくれるかもしれない・・・」
そんなことを思いながら、私は沈み込んでいった。沼の中に引きずり込まれるように私は眠った。体は大変に欲していたようである、深い眠りを・・・。そして、「岩の夢」は見なかったようである。もう子供ではないからであろう・・・