2013/8/5

2699:チャーハン  

 練馬区の北園交差点に程近いところに「八(hachi)」はある。数ケ月前にオープンしたばかりで、店内は清潔で明るい。

 中華料理店としては、モダンな佇まいである。女性であっても、気軽に一人で食事に来ることができる雰囲気がある。実際そういった女性の一人客が二人ほど来店しては帰っていった。

 Naruさん、本日のコーヒーさんと私は、Naruさんのリスニングルームを出て、ほろ酔い気分で、この店の席に着いた。Naruさんのところで、缶ビール3本と缶ハイボールを1本を飲んでいたので、私などは歩く時の足取りが妙にふわふわしている感じであった。

 4人掛けのテーブル席に着いた。私はエビスの生を頼んだ。二人は紹興酒のロックを頼んだ。改めて乾杯。生ビールをゆっくりと喉の奥に流し込む。その泡の滑らかな触感は、「やっぱり生は良いな・・・缶ビールも良いけど、この滑らかさは生でないと・・・」そんなことをぼんやりと思った。

 その滑らかなのど越しは、Naruさんのリスニングルームで最初に聴かせていただいた、dcsの最新型のデジタル機器から流れ出てきた音の触感を思い出させるものがあった。

 「Vivaldi」と名付けられたそのトランスポートとDACは、重厚な製品である。色は黒。見かけは、少々厳つい感じであるが、とてものど越しの滑らかな音楽が流れてきた。

 ジャズやポピュラー系が素晴らしいのは、いまさら言うことでもないであろうが、少々驚かされたのは、クラシック音楽の滑らかさである。

 白井光子のソプラノでブラームスの歌曲が流れた。この曲はあちらこちらで耳にする。なかなか自然な再生が難しい曲である。

 ふと目を閉じると、今まで眼前に広がっていた風景とはまったく違った風景や空気感が感じられた。

 最初にテーブルに置かれたザーサイを摘まんだ。しっかりとした味わいである。続いてテーブルに置かれたのは、春巻き。熱々である。

 そして一風変わった餃子風の点心も・・・それらはしっかりと吟味された味わいに満たされていて、店主の技量の高さが感じられる。店主はがっしりとした体つき。やはり中華の料理人はこれくらいしっかりとした体格でないと・・・

 デジタルで様々な曲を聴かせていただいた後、いよいよアナログの世界へOFF会は進んでいった。調整に調整が繰り返され絶妙なバランスに整えられているLINN LP-12やROKSAN TMS3のターンテーブルには素晴らしいレコードたちが次々に乗せられたいった。

 何枚のレコードが演奏されたのであろうか・・・いつものようにしっかりと吟味され、調理された音楽は心の舌を満たしてくれる。その何枚もの素晴らしいレコードのなかには、私がリクエストしたものも3枚含まれていた。

 BEATLES「RAIN」・・・これはポールのべースラインがものすごくかっこ良く、ジョージのギターは、当時影響を受けていたインド音楽の風味が感じられ独特の味わいである。ロードバイクで走っているとき、ふいにこの曲が頭の中で鳴り響くことがある。
 
 赤い鳥「忘れていた朝」・・・これは美しいメロディラインと絶妙なハーモニーの余韻が心をうっとりとさせる。このハーモニーの美しさは、どこかしら物悲しくもあり、心の中に愁いを帯びた風を吹き込ませる。特に「ふたりではじめようよ・・・」という歌詞で歌われる部分のハーモニーは胸に響く。

 LED ZEPPELIN「RAMBLE ON」・・・ハードロックの名盤「ZEPPELIN U」に収録されたこの曲。出だしのアコースティックギターが独特の雰囲気に溢れている。ドライブ感のあるベースラインが曲を引っ張っていき、アクセルをめいっぱい踏み込んだ急加速を思わせるハードな展開に・・・まったく隙のないというか、緩むことのない名曲である。

 様々な名盤、名曲に酔う時間は、水量のたっぷりとある川のように、勢い良く流れていく。私と本日のコーヒーさんはその流れにどっぷりと浸かった。

 デザート前の締めは「チャーハン」である。これが絶品。米が一粒一粒パラパラとしていて口当たりが素晴らしい。しっかりとした味わいは、均等に行きわたり、そのバランス感覚の素晴らしさには目を見張る。

 良い料理人の要件は「技量・心意気・センス」であろうか・・・それらが揃って高いレベルであれば、納得の料理が出せる。それは、オーディオも同じであろう・・・Naruさんのリスニングルームに流れた音楽を心に思い浮かべながら、チャーハンを口の中に掻き込んだ。

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