2013/8/31

2725:雨  

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 数台の車に分乗して、乗鞍高原の民宿に到着したのは11時を少し過ぎていた。集合地点のバイクルプラザを出て高速道路をひた走り、松本インターを降りるまでは天気は快晴に近い状態であった。

 しかし、乗鞍高原に近づくに従って雲の色合いが鈍いものに変わってきた。宿に着いて途中のコンビニで買った昼食を手早く済ませて小休止した後、サイクルウェアに着替えた。

 山の稜線は雲に隠れてほとんど見えていなかった。受付開始は1時から、受付を済ませて、チームメンバーと一緒に明日の本番に疲れが残らない程度に走る予定であった。

 しかし、宿から受付会場へ向けて上り始めると、ぽつぽつと小粒の雨が空から落ち始めた。雲の流れは速く、だんだんと灰色の色合いが淡いものから濃いものへと変わっていった。もう少しで受付会場というところまで来たところで雨脚は本格的なものになった。

 一旦木陰に避難。しばし雨宿りをした。しかし、なかなか雨脚は弱まらない。少し雲の切れ目が見えてきたかなと思うと、すぐさま厚い雲が流れてくるという感じであった。

 完全には止まないであろうと判断し、少し雨脚が弱まったところで受付会場へ向かった。受付を済ませ、記念品を受け取って、宿に戻ることにした。

 その帰りの道中も途中からざっときた。帰り道は下りである。路面が濡れているのでゆっくりと下っていった。冷たい風も吹き始め濡れた体には冷たく感じられた。

 ようやく宿に着き、濡れた体を拭き、そしてロードバイクの車体を丁寧に拭いた。今日のトレーニングは中止である。

 明日の天気はどうであろうか。皆スマホなどので天気予報を確認していた。「明日は午後から雨で午前中は大丈夫の予報ですよ・・・」メンバーの一人が言った。

 とにかく、上っている最中は降らないでほしいものである。天候はモチベーションに大きな影響を与える。Mt.富士ヒルクライムの時のような快晴は望まなくても、曇天であってもいいから雨は避けたいところである。

 しかし、こればかりは運を天に任せるしかないであろう。山の天気は変わりやすいもの・・・宿に戻ってからも、少し晴れ間が出たり、またざっと降ったりの繰り返しであった。

 明日のスタートは7時43分。それから1時間40分近い時間を苦難の中で過ごす。「どうせ苦難の中で時間を過ごすのであれば、雨でも構わないか・・・」風に流されていく分厚い灰色の雲を宿の窓から眺めてると、そんな達観したような気分にもなってくる。 

2013/8/30

2724:Je3  

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 明日の朝早く「乗鞍」へ向けて出発する。明日は受付を済ませ、チ―ムメンバーと一緒に軽くトレーニング。そして、一泊して本番を迎える。

 その「乗鞍」直前の今日、チューバホーンさんが経営する杉並区の「Pro・Fit」で体のバランスを調整してもらった。2ケ月に1回の割合で受けている整体である。私の体は一定の時間が経過すると右の背筋に張りを感じるようになる。その右の背筋の張りは鋭い痛みを伴うものではないが、体の柔軟性やスムースな動きを阻害する。そこで一定期間ごとに整体によって本来のバランスに戻してもらうのである。

 1時間半の施術が終わると背中の張りがすっきりと解消し、右腕もすっと軽く上がる。さらに今日は直前に迫った「乗鞍」のために骨盤を通常よりも締めてもらった。骨盤を締めると体の重心は前寄りになる。前かがみになった姿勢の時に足に力が入りやすい。

 「Pro・Fit」で整体を受ける際に時間に余裕があると、2階のリスニングルームにお邪魔することがある。今日も1時間ほどリスニングルームにお邪魔させてもらった。チューバホーンさんのリスニングルームは12畳の広さ。

 部屋に入ると「あれ・・・変わりましたね・・・セッティング」と声が思わず出た。従来と180度くるっと回転したようにセッティング位置が変わっていた。従来はピアノのすぐ前に3人掛けのソファが置いてあり、反対側の壁にスピーカーがセッティングされていたが、今日はピアノが置いてある側にLancasterがあった。二つのスピーカーの背後にピアノが鎮座する形となる。

 早速、聴かせていただいた。ベ―トーベンのピアノソナタ31番。ピアノはブレンデル。当然スピーカー背後のアップライトピアノは共鳴しているはず。それが響きの具合を豊かにしているのであろうか、実際のホールで聴くような雰囲気が漂う。くっきりクリーンな音というよりも自然で豊かな音というイメージである。

 さらにシューベルトの交響曲第9番。ガーディナー指揮ウィーンフィルの演奏。オーケストラもホール感が豊か・・・重箱の隅をつつくような聴き方ではなく、泰然とした鳴り方をそのままストレートに受け取る・・・そういった感じで音楽に接することができて、肩が凝らない。

 続いて、白井光子のソプラノでブラームスの歌曲。チューバホーンさんはこのCDを2枚持っている。どちらも輸入盤。しかし、聴き比べてみるとその音の質感は確かに違う。製造年月日が違うからであろうか・・・

 続いて、私が持参したシベリウスの交響曲第4番第1楽章とベルリオーズの幻想交響曲第4楽章を聴かせてもらった。

 やはり古いTANNOYは良い味を出してくれる。そのキャビネットの淡い茶色の色合いのように自然で押しつけがましさのないその音の質感は心休まるものがある。

 私はとあるものを鞄から取り出した。そしてそれをそっとプリンプの天板の上に乗せた。そして、先ほどまで聴いていたCDの冒頭部分を聴き直した。
 
 「やはり変わるな・・・」

 次はLUXMANのCDプレーヤーの天板に移した。そして「有り無し実験」をしてみた。やはり質感に変化が・・・

 「それなんですか・・・」チューバホーンさんは怪訝そう・・・

 「これですか・・・これは顧問先の会社が3Dプリンターの機械を購入したんですが、その機械のデモンストレーションの時に作った樹脂製の部品です。細長い剣山のようになっていて、これを逆さに針の方を下にしてオーディオ機器の天板に置くと、良く言うと奥ゆかしく、悪く言うと大人しくなるんです。」

 つい先日、記念に一つもらった。何気なく我が家のQUAD22のペコペコの天板の上に乗せると音の質感に大きな変化が・・・

 「これ売りだすんですか?これきっと売れますよ・・・オーディオ用と銘打てば1個2万円で売れますよ。ブランド名はJe3でどうです・・・『ジェ・ジェ・ジェ』と読ませるんです。」

 チューバホーンさんは冗談ぽくそう言って笑った。確かにこの形、どことなく神秘的である。オカルトぽさが結構発散されている。

 オーディオ機器の天板になにかしら乗せたら音が変わるものである。ただそれだけのことである。ただ、小さなクラゲのようなものを乗せただけである。

 「ブランド名は『Je3』・・・製品名は『金水母』なんてどうかな・・・」ちょっとそんな考えが頭の片隅をかすめた。

2013/8/29

2723:休憩コーナー  

 「やっぱり、ダンスを始めたのは小学生の頃からですか?」

 休憩コーナーで、スケジュール帳を確認しながら来週のレッスンの予定を決めた。そして、「ジェニファー」に何気なく訊いてみた。

 「ダンスは高校生になってからなんです。小・中は器械体操をしていたんです。」

 彼女はそう答えた。

 「なるほど、なんだか共通性があるような・・・」

 私の頭のなかでは、器械体操と社交ダンスが自然と繋がった。

 「それが、全然違ったんです・・・器械体操と社交ダンスって・・・最初は戸惑いました。器械体操で基礎体力や筋力がついていたので、その点は良かったんですが・・・動きが全く違って・・・習った先生がとても厳しくて、最初から完全に競技志向のレッスンだったんです。」

 「競技」という言葉に、そう言えば彼女は競技会にも出ているのでであろうかと思い確認してみた。
 
 「競技会は今も定期的に出ているんですか?」

 「ええ、なるべく出るようにしています・・・競技会に出ると姿勢がしゃんとするというかモチベーションも違ってきますから・・・2週間ほど前にもでました。京都で行われた大会だったんです・・・」

 「京都ですか・・・結果はまずまずでしたか?」

 「ラテンは5位で、モダンは3位でした。」

 「凄いですね・・・」
 
 「いえいえ、まだまだです。もっと上を目指さないと・・・」

 私は出された麦茶を飲みながら、彼女とほんのわずかな時間であったが会話した。

 今日のレッスンはいつものとおりに進んだ。ステップは概ね覚えたが、重心の位置やその移動の仕方、腰の入れ具合や、前体重のバランスなど基本的な体のバランスや動きに、まだ慣れないところがある。そういった基本的な動きの確認をしながらステップを踏んだ。

 「だいぶ良くなりました・・・」

 「ジェニファー」はいつもの笑顔で言った。

 30分は短いが、終わるとそれなりに疲れる。レッスンが終わるとささやかなカウンターと椅子が4脚置いてある休憩コーナーでチケットを渡し来週の予定を決める。次のレッスンが入っていないと時間に余裕があるので、少しばかりの時間会話できるのである。そのささやかな時間は清涼な感覚に溢れていた。

2013/8/28

2722:インドア  

 サーブを打ってネットダッシュ、相手のリターンをボレーで返す。そこからラリーが何球が続き、ポイントが決まる。

 ダブルスの場合、やはりネットに付いた方が有利である。セカンドサーブの場合には強烈なリターンが帰ってくる可能性もあるので、なかなかサービスダッシュは難しいが、ファーストサーブであれば、ある程度相手をサーブで圧し込められるので、相手のリターンも甘くなりやすい。

 シングルスはやはりストローク力が鍵となる。現在はプロの世界でも、ストローク中心で、昔のマッケンローやエドバーグのようなサービスアンドボレーのスタイルの選手はほとんど見かけない。

 ジョコビッチ、ナダル、マレー、フェデラーのビッグフォーはいずれもストローク力が並はずれて強靭である。

 今晩は久々のテニスである。テニスラケットを握るのは月に2.3回であろうか・・・8月は2回目である。3週間ぶりにテニスコートに立った。

 私が最初に着いた。インドアのテニスコートであり、冷房も効いている。照明は明るい光をコートに投げかけていた。

 参加者は6名。夏の時期は昼間は暑いので、夜インドアでテニスをする方が快適である。特に今年の夏は昼間にテニスをする気には到底なれないくらいに暑かったからなおさらである。

 まずはストローク。次はボレー。そしてサービス練習・・・冷房が効いているとはいえ、すぐに汗が流れてくる。

 ひととおり練習を済ませた後は、ダブルスの練習試合である。6名なので3ペアできる。4ゲーム先週でゲームを行い、順次交代していく。

 ファーストサービスが決まると、ネットに付いた。甘く浮いた球が返ってきたならばボレーで決める。しっかりとボールが沈んできたなら、ローボレーで繋ぐ。さらにはロブにも注意する必要がある。

 それほどレベルが高くないので、比較的ボールが繋がる。目にもとまらないようなスピードのサーブやリターンは、このレベルではお目にかからないからである。

 テニスのポイントの数え方はとても変わっている。1ポイントめは15(フィフティーン)、2ポイントとると30(サーティー)、3ポイントとると40(フォーティー)、4ポイントとるとそのゲームをとる。さらにゼロポイントとのことを(ラブ)と言う。

 3-0だと「フォーティー・ラブ」とカウントする。数の数え方が不規則でかつゼロのことを「ラブ」とカウントする。なにかしら歴史的な背景があるのであろうが、不明である。

 「10進法でないのは何故だろう・・・」

 カウントをコールしながらちょっと思った。テニスの練習試合は楽しいものである。ゴルフやロードバイクはどちらかというと自分自身との戦いという側面が強い。テニスはもちろん自分自身との戦いという面もあるが、相手ペアとの戦い・駆け引きという面が強く、そこが面白味でもある。

 終わったのは10時。車で家に帰り着き、シャワーを浴びた。今日は昼間こそ強烈な日射で暑くなったが、夜になると秋を思わせる。秋の虫がその合奏を夜空に響かせている。夏の終わりが実感される。季節は着実に移り始めたようである。

2013/8/27

2721:CLA  

 Mercedes-Benz E350 BLUETECが我が家にやってきてちょうど3年が経過した。1回目の車検を終えたので、今日ディーラーに車を取りに行った。

 書類にサインなどして、料金を精算した。特に大きなトラブルはなかったので、普通の料金で済んだ。走行距離はもうすぐ6万キロとなる。

 「では、車をご用意してきます・・・」
 
 担当者がそう言って立っていった。待っている間、展示車を少し見て回った。そこに1台、見慣れない車が展示してあった。

 「CLA」と表示されたその新型車種・・・Aクラスのセダンモデルである。ただのセダンではない。その型番が示す通り「CLS」の弟分的なポジションにいる。つまり、クーペ風のセダンなのである。

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 フロントはAクラスのそれである。かなり押出しの強い顔つきである。緩やかに弧を描くルーフラインは確かに「CLS」を縮小コピーしたような感じである。

 その「CLA」を眺めながら、「最近は隙間にどんどん突っ込んでくるな・・・」そんな感想を持った。

 隙間モデルであった「CLS」は成功した。今は基幹モデルをも凌駕するほどである。その勢いをかって、隙間の隙間的な「CLA」が登場した。

 ドイツプレミアム御三家はお互いに対抗モデルをぶつけ合うのが習慣となている。「CLA」が登場したとなると、BMWの2シリーズがその対抗馬として新たなモデル展開をすることは、ほぼ確実となったような気がする。

 2シリースは、1シリーズベースのクーペモデル。当初はク―ペとカブリオレが登場する予定である。しかし、CLAに対抗するために、6シリーズに登場したような4ドアモデルもそのラインナップにやがて加わるであろう。

2013/8/26

2720:サイコン  

 東京では涼しい日が続いている。早朝などは半袖では肌寒く感じるほどで、夏の終わりが近いことが感じられる。

 アスファルトの上にも蝉が時折、腹を上にして横たわっている。その定められた寿命をまっとうした蝉たちは、その運命を静かに受け入れているようである。

 8月ももう残りわずか・・・今度の日曜日からは9月である。その9月1日の日曜日は「乗鞍」の本番である。

 正式名称は「全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍」。ヒルクライムレースとしてはMt.富士ヒルクライムに次いで人気がある大きな大会である。

 距離は20.5km。Mt.富士ヒルクライムよりも距離は短いが、斜度は若干厳しい。そして、終盤の森林限界を超えてゴールまでのエリアは空気が薄くなり、参加者の心肺に厳しい試練を与える。

 昨年初めて参加した。走り終えると「完走証」をくれる。その完走証に記載されたタイムは「1時間38分57秒057」。

 前半は比較的順調に推移していたのであるが、終盤に来てペースがどんと落ちてしまった。今年は前半は少し抑えめに行って、後半の厳しいエリアのタイムロスを最小限にする作戦で臨む予定である。

 目標タイムは1時間35分。昨年よりも4分も縮めないといけない。最近調子はそれほど良くない。6月に行われたMt.富士ヒルクライムでは1時間35分を切ることができたが、乗鞍ではどうであろうか・・・

 その乗鞍に向けて・・・というわけでもないのであるが、サイコンを新調した。今まで使っていたのはブライトンのサイコンである。約2年ほど使用してきたが、心拍数の表示がおかしくなり始めて数ケ月。

 心拍数が高い状況になるとある一定の心拍数で固定されてしまう。そして、明らかに心拍数は高い状況なのにやがて数値がどんどん下がってくる。

 「おいおい、そんな余裕ないんだけど・・・」

 体の状況と裏腹に下がっていく数値に思わずツッコミを入れたくなってしまう。

 サイコンを変えたからといって走りが早くなるわけではない。しかし、正確な心拍数が分かれば安心感は高い。

 新たなサイコンはポラール CS500。ちょっと変わった形をしている。変則六角形。薄型である。もしかしたら、これで数秒はタイムが縮まるであろうか・・・

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2013/8/25

2719:幸福の窓  

 朝の6時に目が覚めた。窓ガラス越しに雨が降っている音が聞こえてきた。窓を開けると本降りの雨音が部屋のなかにしっかりとした足取りで侵入してきた。

 「相当降っているな・・・これは今日は無理かな・・・」

 さらに30分ほどベッドのなかでまどろんだ。再び起き出して窓を開けた。雨は降り続いていた。すぐには止みそうにない感じであった。

 「やはり、今日は無理そうだ・・・」

 そう思って窓を閉めた。そして再びベッドにもぐりこんだ。それにしても今朝は涼しかった。昨晩、釧路空港から1時間半ほど飛行機に乗って羽田空港に着いた時には、やはり東京は蒸し暑いと思った。しかし、今朝は北海道と大して違わないくらいに涼しい。

 乗鞍までちょうど1週間。本番前の貴重なロングライドの予定であったが、雨によってチームでのロングライドは中止となった。

 ロングライドが中止となったので、臨戦態勢を整えていたORBEA ONIXは、別室へ運び込まれ、固定式ローラー台に取り付けられた。

 ローラー台でのトレーニンングはけして楽しいものではない。どちらかというと辛いものである。しかし、時折ほんのわずかな時間であるが、一種の解放感というか一体感というか独特の空白な感情にとらわれる時がある。

 今日は1時間30分、中程度の負荷でクランクを回し続けた。結構きつい。汗が大量に流れ去ってゆく。漕ぎ始めて1時間ほど経過した時であった。体の苦しみがすっと抜けていった。心にかかる負担も霧が晴れるように消えた。

 その真空状態に入り込むと、体はまるで意思や感情を持たない機械のように動き続ける。心は不思議と静かである。

 残念ながら、その真空状態は長くは続かない。数分から長くて10分程度・・・やがて、体は苦痛を再認識し、心は大きな威圧感に襲われる。

 その「真空状態」はきっと、脳内麻薬の作用であろう。脳に発せられた特定の成分の濃度がちょうど良いバランスになった時に感じる独自の平衡感覚なのかもしれない。

 今日もその「真空状態」が訪れた。短い時間であった。数分の出来事である。その時ふと思い出していた。阿寒湖湖畔のアイヌコタンの片隅にあった「幸福の窓」と名付けられた木をくり抜いた窓から見た風景を・・・心の状態は、そう、きっとこんな感じであると・・・思った。

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2013/8/24

2718:Westminster  

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 TANNOY Westminsterはとても大きなスピーカーである。しかし、t-wingさんの広大なリビングにおいては、その大きさはそれほど際立たない。

 なぜならその部屋の広さは一般的なリスニングルームのそれをはるかに凌駕しているからである。スピーカーの背後は広大なガラスがそのほぼ全面を占めていて、緩やかな陽光を部屋の中へ導き入れていた。

 t-wingさんは決してオーディオマニアではない。古い時代のジャズが好きで、この部屋でゆったりと聴かれることが多いとのことである。

 「あんまり、眉間に皺を寄せたり、腕組みして、耳を研ぎ澄ますような音楽の聴き方はしません。そういった感じって肩が凝るでしょう。できるだけ、ゆったりとした心情で音楽と接したいのでこういうシステムになっています。時折オーディオマニアの方がいらっしゃいます。定位がどうのとか、低音の質感がどうのとか、言う方もいますが、そういったことはほとんど気にしません。」

 Westminsterを駆動するアンプはマッキントッシュのプリメインアンプ。CDプレーヤーはLINNのMAJIK。シンプルな構成である。

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 t-wingさんのお宅は阿寒湖のほど近くにある。居間のガラス越しには阿寒湖がかすかに見える。敷地の隣には観光ホテルの建物も見える。そういった風光明美な環境にある。

 しばし、その広々とした居間で、音楽を聴かせていただいた。美味しいケーキとエスプレッソを頂きながら聴くその音は、実にゆったりとしている。

 Westminsterは、その容姿通りの音がする。Westminsterは本来こういう環境で鳴らすべきスピーカーなのかもしれないという気さえしている。

 普通の日本の家庭事情においては可能性のほとんどない環境ではあるが、こういう環境でこそ鳴らすべきスピーカーなのかも・・・という気がしてくるのである。

 そして、細かな粗を探すような愚をおかすことなく、この部屋に流れる空気に身を任せるべきであろう・・・

 家族連れであったのでゆっくりとすることはできなかったが、豊かな時間を過ごさせてもらった。

2013/8/23

2717:小鹿  

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 その鹿は一目で子供と分かった。まだ生まれて数ケ月であろうか、体の側面には白い斑点があり、その顔つきにも幼さが残っている。

 一心に草を食んでいた。遊歩道のすぐそばにいて、人が近づいても怖がる様子はなかった。写真を撮っても、こちらを気にかける様子もなく、ゆっくりと歩きながら食べることに専念している。

 今日の午前中、知床五胡の遊歩道を散策した。歩く距離は3km。1時間半ほどかかる。コースは決められていて、遊歩道から外れたり、逆方向に歩くことは禁止されている。

 ヒグマの出没の可能性があるとのことである。見かけたら、騒がずにゆっくりと後方へ戻るよう、出発前に注意を受けた。

 8月に入ってから6件ほどヒグマとの遭遇があったとのこと。少々緊張感を持って歩いた。なるべく声や音をたててこちらの存在を知らせた方がヒグマと遭遇しないとのことなので、家族と話しながら歩いた。

 半分ほど行った時であった。下の子が、「あっ・・・鹿・・・」と指を指した。その方向を確認すると小鹿がいた。

 しばらくその様子を眺めていた。鹿は私たち家族のことを気にかけることもなく、遊歩道を横断してまた木々の中に消えていった。

 手を伸ばせば触れられるくらいに近く野生の動物に接するのは一種新鮮な体験であった。これがヒグマであったなら、パニックに陥るところであったが、かわいらしい鹿の子供であった。

 五つの湖は自然のまま残されていて、神秘的な姿である。最後の湖から先は高架状に木道が設置されていた。そこからはオホーツク海も臨むことができる。

 気温は20度を少し上回る程度であろうか、木陰は涼しかった。しかし、太陽の光はしっかりとしていて日向では少し暑く感じるほどであった。

 知床を後にして車で網走に向かった。網走といえば「刑務所」を連想してしまう。明治時代に建造された網走監獄は今は博物館になっている。その博物館でひと時を過ごした。その当時の建物が保存されていて、歴史を感じさせる。

 網走から阿寒湖までさらに車で移動した。昨日は釧路・・・摩周湖・・・知床。そして今日は、知床・・・網走・・・阿寒湖。その2日間の移動距離は400kmに及んだ。

 時折どこまでも続くまっすぐな道に出会う。周囲の風景は本当に広々している。妻や子供たちは車に揺られて熟睡している。何かしら時間の流れがずいぶんと東京と違うような、そんな気がする・・・

2013/8/22

2716:勝手丼  

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 プラスチック製のどんぶりにまずはご飯のみを盛ってもらう。それを片手に和商市場の中をめぐり、様々な新鮮な具材をチョイスする。

 いくら、サーモン、中とろ、ホタテ、つぶ貝、はまち、ウニ、イカ・・・もうのりきれないくらいに選ぶ。

 そして市場のあちこちに置かれているテーブル席ついて、刺身醤油をささっとかけていただく。これが「勝手丼」である。

 ついつい欲張ってしまうので、結局それなりの値段になってしまう。しかし、新鮮な魚介類はやはり味わいが違う。東京で食べるそれとはなんだか格段に味が違うような気がする。

 依然テレビで見て、釧路に行ったならぜひとも立ち寄ってみたいと思っていた。妻と二人の子供たちもテンションが高い。笑顔である。

 「やっぱり違うね・・・美味しい・・・」

 今日からささやかな家族旅行である。2泊3日で道東をレンタカーで巡る。この3日間のお伴をするのはHONDA FIT。日本車のコンパクトカーのスタンダードである。ちょっとふわふわするシートにお尻が馴染むのに時間がかかったが、慣れてくればこれも悪くない。

 釧路空港から和商市場へ向かい昼食。その後一路摩周湖へ向かった。北海道の道は快適である。周りは原生林が延々と続き、道はどこまでもまっすぐ。信号はほとんどない。窓を開けると涼しい風が吹き込んできて、エアコンは不要である。

 摩周湖で一休み。湖面は青い。とても美しい青である。着いた当初は晴れやかな景色であったが、やがて霧が風にあおられるように湖面の半分を埋めた。その姿はどこかしら神秘的。

 ここから、さらに車で1時間半ほど・・・知床半島へ向かった。海岸沿いを通る国道からの美しい海の眺めに、家族一同感嘆の声をあげた。

 海は静かであった。太陽の光をきらきらと反射させている。「大海原」という言葉がぴったりの風景である。

 ほんの数日のことではあるが、日頃不足がちな家族サービスを急速補充し、日常生活から遠く離れた環境でリフレッシュする予定である。



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