2013/4/10

2582:シロノワール  

 「昨日のラウンドはどうでしたか?」

 「寧々ちゃん」はコーヒーカップをソーサーにもどしながら、話題を変えた。

 「それは、まあ散々でした。シャンクが2回も出たし、グリーンが硬くて速くて・・・アプローチはよらず、パットは強気で攻めるとスリーパットがどかどかと・・・結構タフなコースでした。90を切るどころか100を叩いてしまいましたよ・・・」

 彼女は微笑んだ。

 「そうだったんですか・・・でもtaoさんが100を叩くとなんだか嬉しくなりますね。私と同類って感じで・・・」

 「時々ありますよ・・・100叩きなんか・・・練習も週に1回のスクールだけですしね・・・それに、冬の間はまったくラウンドしなかったから。やっぱり、クラブは頻繁に振っておかないとだめですね。」

 コーヒーの色合いは黒い。その黒の中に若干の茶色が混じっている。その表面は淡く光を反射していて、つややかである。

 「先週、ラウンドしたんですよね・・・どうでしたか?」

 今度は私が彼女に訊ねた。

 「106でした・・・私としてはまずまずなんですけど・・・前半51で、もしかして、と思ったんですけど後半は55、ちょっと残念・・・という感じかな。でも、なんだか少し光明が見えたような気がした・・・まあ、気のせいかもしれないけど。」

 彼女はまだ100を切ったことがない。彼女にとっての鬼門はバンカーである。いつもバンカーでは苦労するのである。

 昨年のスクールでのラウンドレッスンで、彼女と一緒に回った。途中まで50を切るかもしれないペースで回っていたOUTの8番ホール、顎の高いバンカーで4回も打ってしまった。前日の雨でバンカーの砂が湿って重くなっていたのである。そのため、薄く入れないとボールが飛ばない。かなり手前にクラブヘッドが入ってしまって、ボールは力なく上がるだけで3度も足元に転がってきてしまった。これでリズムを乱して、結局その日のラウンドでは100を切ることはできなかった。

 「ゴルフって、叩くとへこむけど、18ホール回っている中にはなにかしら良いこともあるもんですよ。私も昨日は出だしはパースタートだったんです。しかも、セカンドショットは難しいポジションで、狙い通りフェードを打てたんですよ。すううとボールが右に曲がっていって、グリーンにONした時には、気分良かったです・・・俺って結構できるんじゃないって勘違いしたくらいです。」

 その後もゴルフのことで話は盛りあがった。彼女と待ち合わせたのは最近流行りなのであろうか、時折ロードサイドで見かける広い駐車場を併設した郊外型の大型喫茶店。

 コーヒーもまずまず美味しい。二人ともシロノワールとコーヒーのセットを頼んだ。シロノワールは丸いデニッシュにソフトクリームが乗っかっている。さらにシロップを好みでかける。そんなシロノワールをソフトクリームが溶けないうちに口に運んだ。すると、口の中は種々雑多の味わいで満たされた。

 「今日は時間、大丈夫?」

 彼女の眼を覗きこむようにして訊ねた。

 「ええ、大丈夫・・・」

 彼女は、唇についた白いソフトクリームを舌で取りながら、頷いた。

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