2013/4/4

2576:ニンジン  

クリックすると元のサイズで表示します

 里山はたおやかな春の中にあった。春の陽光は芽吹いたばかりの緑のように柔らかく、頬に当たる風はすっかりと衣替えを行ったようであった。

 今週の週末も天気が崩れるとの予報に接し、急遽今日は休暇を取って単独ロングへ出かけた。天気は快晴。風も午前中は穏やかであった。

 桜は葉桜になってしまったが、山々には様々な色の花があちらこちらに見えた。鶯がその美声で歌の練習を始め、時折りひよどりが鋭い鳴き声を空に放っていた。

 今日はこれ以上ないのではと思えるようなロングライド日和であった。目指す先は行き慣れた「山伏峠」。いつものように旧青梅街道、岩蔵街道を通って飯能方面へ向かった。名栗川に沿った道を走る頃には気温もぐんぐん上がり、暖かいを通り越して熱いくらいであった。

 平日の昼間なのでロードバイクとすれ違うことは日曜日よりも少なかった。山伏峠の上り口に着くまでに3台のロードバイクとすれ違った。

 上り口についてトイレ休憩した後、タイマーをセットした。今日は2回のタイムアタックを行うかどうか少々迷っていた。「2回のタイムアタックはしんどいよな・・・」

 山伏峠は上りなれた峠であり、いつもタイムを計る。目標タイムは18分。アスリート系の人にとっては朝飯前以前のような遅いタイムである。しかし、齢がついに50歳に達した「ウィークエンド・老ディー」にとっては、そこそこ頑張らないと出ないタイムである。

 「じゃあ、こうしよう・・・1回目のタイム計測で18分を切れたら、そのまま正丸峠まで足を伸ばして、正丸丼を食べる。18分を切れなかったら罰として、もう1回タイム計測を行う。」そう思いついた。これなら頑張るしかない。目の前にニンジンを吊るされた馬の心境である。

 前半は抑えめに・・・10分を経過するまでは無理は一切せず、脚に余力を残す。そして後半から徐々にペースを上げて、最後は気合のみ・・・という最近の作戦で臨んだ。

 上り始めて数分を経過すると前を走っているローディーが見えた。「良いペースメーカーが・・・」そう思って、その背中を視野に入れ続けた。

 前半は無理に追い上げず、着かず離れずで進んだ。半分くらいを経過した。少しづつペースを上げた。前を走っていたローディーとの差が詰まってきた。そしてそのまま抜いた。

 抜いていく際に「こんにちわ・・・」と小さめの声で挨拶した。そして、後半いつものようにしんどそうな呼吸で上がっていく。だれそうにはなるが、どうにか踏ん張った。

 山伏峠と書かれたプレートがある峠の頂上を、荒い呼吸を響かせながら通過した。タイマーのスイッチを押した。表示されたタイムは「17分39秒」。やはり「ニンジン」は効果的であった。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ