2012/10/5

2395:足慣らし  

 秋の虫の演奏会は夜が本番であるが、昼も演奏していた。リハーサルであろうか・・・夜の気合の入り方に比べ、昼間は多少散漫な印象を受ける。

 3名のロードバイクの隊列は、秋の虫の伴奏を所々で得ながら、順調に進んだ。5件の小さな温泉宿が立ち並ぶ岩蔵温泉郷を抜けて、ゴルフ場のそばの道を走る頃には、風景はすっかりと鄙びた風情に満たされていた。

 小沢峠に向かう前に、コンビニで小休止した。飲み物やエネルギー源となる食料を補給した。ロードバイクを始めてからコンビニに置いてある商品に詳しくなった。今回は「朝食バナナ」とスティック状のチーズケーキをチョイス。しっかりとエネルギー補給をした。

 ロードバイクはコンビニの建物の壁に立てかけた。小さなベンチが置いてあったので、そこに座って暫しの談笑タイム・・・

 「NさんのDOMOCLES、もうどのくらいになります・・・」

 Nさんの白いRIDLEY DOMOCLESを横目で見て訊いた。

 「もう3年ぐらいかな・・・本当はそろそろ新しいモデルに換えたくなっているんです・・・2013年モデルも出たし、今頃って結構物欲に悩まされんですよね・・・」

 Nさんは笑いながらそう答えた。

 ロードバイクのニューモデルは秋に一斉に発表になる。自分の贔屓のメーカーのものなどはインターネットなどでチェックしたくなる。

 「まあ、新しいモデルにしたからって速くなるわけではないですけど・・・でも、モチベーションが上がりますよね・・・」

 Nさんは、結構真剣モードのようであった。私は焚きつけるように言った。

 「HELIUM SLってかっこよくないですか・・・細身のシルエットで・・・しかも超軽量。白もありますし・・・渋いですよね。」

 「渋いとこついてきますね・・・良いですよね・・・HELIUM SL・・・お値段も良いけど・・・」

 「寧々ちゃん」はそんな二人の会話を少々呆れ気味に聞いているようであった。

 小休止の後、小沢峠へ向けて出発した。峠に達する道は延々と続く緩やかな上りである。今度はNさんが先頭をひいた。私は後ろに下がり、3名の隊列は上り続けた。

 「寧々ちゃん」のペースに合わせて上るのでゆっくりとしたペースである。しばらく行くと峠が見えてきた。斜度が峠道らしくなる区間はそれほど長くない。しかし、ここにたどり着くまでに緩やかではあるが長い上りを経過しているので「寧々ちゃん」は辛そうである。

 どうにかこうにか上り終わり、トンネルの入り口手前で休憩した。

 「がんばりましたね・・・」

 「寧々ちゃん」に声をかけた。

 「もういや・・・上りはうんざり・・・一気に体力を消耗しちゃった・・・」

 彼女はそう言ったが、表情は穏やかであった。

 峠の向こう側にはトンネルがぽっかりとその丸い口を開けていたが、その口の中には取り込まれることなく、踵を返した。

 上った後は下りである。秋風を全身に受けながら下っていった。帰りは休憩なしで瑞穂町の農協まで走った。ゆっくりとしたペースであったし、上りも穏やかなものであったので、それほどの疲れは感じなかった。

 週末のイベントに向けて、軽い足慣らしができた。それと「寧々ちゃん」もそれなりに走れることが分かった。次回は「山伏峠」まで連れ出そうかと思っている。



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