2012/10/1

2391:Spendor  

 車はドイツ車が好きで、長年ドイツ車を乗り継いでいる。その乗り味は、どっしりとした腰の座りがあり、長距離を乗った場合の体の疲れも少なくて済む。

 それは小さな車でも感じられる。現在乗っているフォルクスワーゲンのPOLOも、小さな車に乗っているとは感じない、しっとりとした乗り味に、いつも新鮮な感覚を覚える。

 家具はデンマーク製が好きで、アンティークに属するであろう1960年代にデザイン・製造されたソファセットなどを愛用している。

 木の使い方が実に流麗であり、細かな造形にもセンスの良さが感じられる。我が家のリスニングルームにはソファセットのほか、ライティングデスクも据えられ、暖かみのある雰囲気を醸し出してくれている。

 オーディオ製品はイギリス製が好きで、現在はQUAD製の製品が主要なポジションを占めている。イギリス製のオーディオ機器は、例外はもちろんあるが、押し並べて質素である。アメリカ製のような嵩で押してくるような威圧感はない。

 我が家のリスニングルームに並んでいるオーディオ製品も、コンパクトな形状のものが多く、移動もいたって楽である。

 イギリス製のスピーカーの伝統的な系譜に並ぶメーカーのひとつにSpendorがある。このメーカーの製品はHARBETHと並んで、いかにもイギリス的な物作りのポリシーのようなものを感じさせてくれる。

 「MY Favorite things」の分類に入るメーカーのひとつである。残念ながらSpendorもHARBETHもその製品を身近に置いて楽しんだ経験はないのであるが、将来的には手元に一つ欲しいものである。

 たとえばSpendor製のスピーカーがリビングの隅に何気に設置してあり、真空管式のアンプで駆動されている。アンプには大仰でないレコードプレーヤーが繋がれいる。そんな風景に出会えたら、音はどうあれ、そのオーナーのセンスに敬服したくなる。

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 今日はそんなイギリス製のオーディオ機器好きの私の嗜好にぴったりと寄り添うようなOFF会を経験した。場所はパーサーIさんのお宅である。パーサーIさんは長年アルテックを愛用されていた。しかし、ジャズだけでなくクラシックも聴かれるパーサーIさんは、クラシック用にとSpendorのスピーカーを新たに導入されたのである。型番は「SP-100R2」。

 そのSpendorを聴きに行ってきたのである。バック工芸社製のスタンドに乗ったSP-100R2は芳しいいでたちである。その深い色合いといい、シンプルな形状といい、その木質系のキャビネットの響きといい、実に良い。見ているだけで良い。アルテックの武骨さとは好対照である。

 さて、その音であるが・・・Spendorというメーカー名からイメージする艶やかで上品、けして灰汁の強い音を出さない居住まいの良さが感じられてとても嬉しくなった。

 ハイドン、バッハ、ベートーベン、ヴィバルディ・・・どれを聴いても、しっとりと落ち着いた乗り味は、POLOのハンドルを握っているときに感じるそれと共通する。

 決して痩せた質感のシートのきしみ音はさせない。ふわふわと腰の座らないサスペンションの味付けは微塵もなく、ドライブラインをなめらかにトレースしてゆく。仰々しい力瘤はなく、固執するようなオーディオ臭さもない。

 「上質」という言葉を自然にまとったSpendorは、「紳士」なのであろう。イギリスは「紳士」の国である。Spendorはその出自を誇張なく自然と示しているようであった。



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