2012/6/20

2288:台風  

 ゴルフスクールの終盤に差し掛かって、いよいよ雨風は強くなってきた。そのため、予定よりも10分ほど早く、ゴルフスクールは終了した。

 「さすがに、これは凄いことになってきたな・・・」

 その荒れ狂う様子を見ながら、いそいでクラブハウス内にキャディバッグを運び込み、休憩コーナーの椅子に座って、ガラス越しに台風の猛威を眺めていた。

 「どうしますか・・・今は出ていかない方が良いと思いますよ・・・きっと今がピークでしょう・・・少し様子を見ましょう。これでは車の運転も危険ですよ。」

 私は、アイスコーヒーをテーブルに置きながら、「寧々ちゃん」に話しかけた。

 「そうですね・・・これではちょっと危ないですね。枝とか風で飛んできそうですし・・・今年一回、凄い強風の日に車を運転していて、怖い思いをしたことがありました。」

 彼女も、外の風のただならぬ様子を目の当たりにして、目を丸くしていた。

 「これだけ風が吹くと、車の下に風が猛烈な勢いで流れ込んできて、凄い音を立てるんです。しかもハンドルをとられる危険もあります。」

 私も、一度強風の吹き荒れる中車を運転していて怖かった体験について話した。車の下に吹き込む風は「ゴーゴー」と不気味な音をたて、ハンドルがとても重くなったことがあった。

 Nさんはお休みであったので、彼女と二人でしばらく時間をつぶすこととなった。時折強風が威嚇するように音を立てて、雨を休憩コーナーのガラス窓へ叩きつけてくる。

 台風はしっかりとその仕事をこなしていた。「これだと電車も止まっているかもしれませんね・・・」彼女は、雨がざっとガラス窓に当たると、呆れた様子でそちらを眺めながら言った。

 台風は日常的な風景を一変させる。激しく、暗く、猛々しい。それは見ている者の心理にも強く働きかける。

 なにかしら、揺れ動くのである。揺れ動かされた心は徐々に日常的な平常心をそぎ落とされる。そして、内奥に秘めていた、衝動的な情念が露わになってくる。強烈な雨風は木々の枝や葉を吹き飛ばすだけでなく、人間の心の枝葉も吹き飛ばすかのようであった。



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